VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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ワルクラ配信2ー2

「それでは準備ができたみたいなので一人目の刺客に登場してもらうど! 私を倒せるセンスあるもの……出てこいや!」

「やっほー! 祭りの光は人間ホイホイ、祭屋光でーっす!」

「よかったのかい、ホイホイ参加して。私は同期だってかまわず食っちまう人間なんだぜ?」

「むむむ! 光だって今回勝ちに来てるんだからな! シュワちゃんも覚悟するといいぞ!」

「威勢がいいな、よし、いいこと思いついた。この戦いが終わったら一緒にケンタッキーフライドチンチンを開こう。ケンタッキー州に住んでいる人のチンチンをフライドしてお客さんの口の中にアイキャンフライするんだ。できるだろう?」

「? え……?? どういうこと?」

「私にもわからん」

 

コメント

:?

:これは相当酔いが回ってますね、間違いない

:店名の語呂だけいいのと最後フライで掛けるのやめろ

:本人も含めてこの場の全ての人間が困惑してて草

:お薬増やしておきますねー

:できるだろうってなぜ可能なこと前提なのか

 

「と、とりあえず自己紹介はこのくらいにして、これから光ちゃんと建築バトルを行うわけなんだけど、先に建築テーマを発表していくどー」

「昨日二人で考えたんだよ! 題して【30分建築!】」

「ルールはもう題名通りだね、制限時間30分の短時間でどれだけ建築の完成度を詰められるかを競うわけだ。ふふふっ、速さも大事になってくる以上私にも十分勝機はあるんじゃないかな」

「30分、つまり約1ダーク〇ウルも時間があるわけだからね! 光だって余裕だよ!」

「光ちゃん、新たな単位を作るのはやめなされ。そんな時間であのゲームをクリアできるのは一部のドMだけや」

 

喋りながらスタートのセッティングを進めていく。

建築物が見えないようにお互いしっかり距離をとり、開けた平坦な地形からスタートだ。資源の縛りとかは無し、夜になると敵が湧いてしまうのですぐに寝る、発表時点での作りかけは失格、以上が基本ルールとなる。

 

「よし、淡雪準備オッケーだどー」

「はいはーい! 光もオッケーだよー!」

「それじゃあタイマー動かしますか、せーのっ」

「「建築開始!!」」

 

タイマーを押すと同時に、迷う時間も勿体ないので大まかに頭に浮かんだ完成形のヴィジョンを基にして、ブロックを積んでいく。

テーマがテーマだからマシュマロ返答は次の対戦からにしておこう。

基本通話はつないだままなのだが、光ちゃんの方も悩ましい声をあげながら試行錯誤しているみたいなので話しかけて邪魔しすぎないようにするかな。

えっと、大まかな骨組みはこれでいいかなー。

ってうわ、もう残り半分しか時間ないのか、ちょっとペース速くしないとだめだな、クオリティ以前に完成しなくては元も子もない。

光ちゃんも段々集中してきたのか、次第に悩む声もなくなり最後らへんは「そうか……」とか「なるほど……」などのつぶやきは聞こえてきてもほぼ無言で作業していた。

そしてタイマーが30分過ぎたことを告げる、時間終了だ。

うん、私はとりあえず完成したぞ!

 

「光ちゃーん! それじゃあ私から完成品発表するからこっち来てくれるー?」

「あ、はーい!」

 

さぁ、光ちゃんと合流し、いよいよ完成品をリスナーに批評してもらう時間だ。

 

「それでは発表します……デデン!」

 

建物の全体像が映るよう少し離れた位置から視点を向ける。

見るがいい! この私が建てし芸術品を!

皆の反応の程は――

 

コメント

:この角部分を完璧な直角で曲げるシャープな外観!

:デザイン性を犠牲にし、与えられた面積をすべて使える機能的さ!

:これがあらわすものは!

:豆腐だな

:豆腐だね

:まぁ待て、なんかてっぺんに変なおまけついてるから冷奴だぞ

 

だめだこりゃ。

 

「ぐぬぬ……時間、もっと時間さえあれば……」

「あ、あはは、だっ、大丈夫! 光はいいと思うよ! いっぱい物とか入りそうだから一軒欲しいくらい!」

「いいんだよ光ちゃん、素直に倉庫みたいと言ってくれて……」

 

くぅ、コメントの悲惨さを見るにこれは負け確定かな。

そう思いしょんぼりしながら光ちゃんの完成品へと場所を移動したのだが。

 

「あれ?」

 

なぜかそこに建物らしきものはなかった。

少々ブロックを置いた痕跡くらいは残っているが、一体これは?

 

「えっと、光ちゃん? 完成品はいずこへ? あっ、もしかして何も思いつかなかったかな?」

「シュワちゃん、光ね、気づいちゃったの」

「ん? なにを?」

「本当のサバイバルってこんな生ぬるいものじゃないんだよ」

「うん、私たちはいま建築バトルをしているはずなんだけどな?」

「本当のサバイバルはもっと過酷で、僅かな木を持ち運ぶだけでも大変な労力が必要なはずなんだ、簡単なシェルターを造るだけで数日はかかる。30分で家を建てるなんて不可能なんだよ」

「話聞いてねぇなこれ」

「私は自分にできる限界を試したい、だから……今から実際に山に全裸で籠ってくる!」

「気でも狂ったんじゃないか!?」

 

コメント

:草 ¥1200

:また光ちゃんの狂気が始まったな……

:お、もしかしてディスカバのエドニキかな?

:ちょっと俺もサバイバルの準備してきます

:全裸を見に行きたいだけだろ

:野生児と化した光ちゃんに貴重なたんぱく質として食われそう

 

結果発表! 相手の完成品無しでまさかの淡雪の勝ち!

まじでサバイバルに行こうとする光ちゃんを全力で止めながら、なんかシオン先輩の苦労が少し分かった気がするなんて思ったのだった。




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