VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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プニキリベンジ3

「淡雪ちゃん、ここからプニキ本番みたいなところあるけど―――ついて来れるか?」

「おらもういやだっぺ、故郷にかえっでじいちゃとばあちゃとストゼロ飲むんだっぺ」

「本当の田舎者はそんなこと言わない。ほらヘルカイザー淡雪ちゃん! 本当に諦めていいのか!? 負けていいのか!?」

「私は…負けたくないぃぃぃ!」

「いい子だ! よし、続きいこう!☆?」

「あいや、今のはノリというか……」

「淡雪ちゃん、みんなが君の雄姿(醜態)を期待してるよ」

「あ、はい(諦め)」

 

いいぜ、覚悟は決まった、やってやるよ。

皆この時を待ってたんだろう? それなら応えてやるのがエンターテイナーってもんよ!

VTuberの底力見せてやるぜおらぁ!!

体が軽い、こんな幸せな気分で戦うの初めて!

 

「淡雪、いっきまーーす!!」

 

なにがロビカスだ、こんなクソガキ瞬殺してやるぜ!

さぁどんな球を投げてくるんだ?

 

「……?」

 

当たり前のように空振りに終わった一球目、これはまぁ初見なら当然のことなのでいいのだが、不思議なことに今投げられた球は見覚えがある気がした。

今の緩急が付いたストレートって三番目のキャラだったピグカスの球じゃなかったっけ?

正直に言うとこの時点である程度ロビカスがどういったキャラなのか察しがついていた。

だが、頭が理解することを拒否している。世の中には信じたくないものがあるものだ。

 

――そして二球目、嫌でも理解させられる。

 

投げられた球はさっき突破したティガカスの消える魔球。

 

――このロビカスに比べれば前のキャラなど準備運動だったことに

 

「にゃにゃーん! さて解説行ってみよう!、ご存じの方も多いであろうこのロビカス、前に戦った7キャラ全てのボールをランダムに使ってくるよ」

「ふーん、エッチじゃん」

「なんか淡雪ちゃんが話聞くのを放棄してる気がするぞ! あ、ちなみにロビカス専用の球種も何種類かばっちり用意あるから期待しててね」

「ネコマ先輩、あの壺とこのロビカスを晴先輩に届けてくれよ。あれは、いいものだ!」

「はいどさくさに紛れてハレルンに押し付けないの! あ、ちなみに50球中40本ホームラン打たないとロビカスは負けを認めないからね」

「おいそこのクソガキ、てめぇの鼻の穴にボールぶち込んでピーーーーーーしてあとピーーーーーーーーーー」

「淡雪ちゃんストップストップ! それ以上はまずまずだぞ」

 

コメント

:ガチギレ酒かす雪女すこ

:ほんとひでぇキャラだな

:淡雪かロビカスか、はたしてどっちに言ったのか…

:両方でしょ(名推理)

:ロビカスはゴミカス、はっきりわかんだね

 

「まぢなところどうする淡雪ちゃん? もう配信時間も長くなってきたけど、ロビカスは後日にする?」

「……いや、リベンジって言ったくらいなのでまだ諦めませんよ!」

「流石ハレルンが認めた逸材だね☆ 勿論私もとことん付き合うよ!」

 

見とけよリスナー、これがライブオン三期生の底力じゃあああぁぁぁ!!!

 

「おいなんじゃ今の剛速球は!? 初めて見たぞ!」

「それに加えて内角も外角も狙ってくるからレベルが違うんだよね」

 

結果、ファーストトライで打てたホームランは15球。

40までは程遠い数字だ。

まだだ、まだ終わらんよ!

ニレンダァ!

 

「内角オウカスボール鬼畜過ぎません?」

「私その球は諦めた」

「え」

「知ってるかあわちゃん、ロビカス戦は打てる球を引く運命力も試されているのだよ」

「つまりただの運ゲーってことですね。よし、準備を始めよう」

「お、何の準備だい?」

「起訴です」

「草」

 

結果、セカンドトライで打てたホームランは20本。

これで半分とかマジ?

だけどまだまだ死にゃあしねぇよ。

サンレンダァ!

 

「もう何も怖くない」

「円環の理に導かれたんだね☆」

 

はいはい28本28本。

ヨンレンダァ!

 

「ネコマ先輩最近のマイブームとかあります?」

「クソゲーかな」

「いつもでしょ」

「最後の剣、一緒にヤラナイカ?」

「あれって配信停止になってませんでしたっけ?」

「クソゲーって音楽だけは良いっていう謎のジンクスがあったんだけどねぇ、まさか音楽にトドメを刺されるとは私も予想外だったよ。真のクソゲーは最期の姿までクソだったね」

 

コメント

:雑談すんなwww

:ほのぼのとした会話の後ろで起こってる惨劇に草

:あわちゃん表情死んでそう

:最後の剣の動く床ほんとすき

:なにそれ

:床は動くのに乗ってるキャラクターは動いてくれないんやで

:大草原や

 

今回は30本かー、伸び悩んできたなぁ。

グオレンダァ!

ロクレンダァ!

ナナレンダァ!

 

「さっき調べたんですけど、このクソガキの名前クリストファー・ロビカスがフルネームらしいですね、映画でも作っててどうぞって感じです」

「あわちゃん」

「闇の騎士とかすごく好きでしたよ私、あれからアメコミ映画って方向性変わりましたよね」

「あわちゃん!」

「ちなみにこのロビカスって鼻の穴に見えてる部分が実は目で、目が4個ある説を推したいんですけど審議どうですか?」

「あわちゃん!!」

「あ、はい! すみません無心になってて、どうしました?」

 

もう時間も深夜ど真ん中で、もう6時間くらい配信時間も経っている。

その間ずっと同じことの繰り返しだったので、無我の境地にたどり着いてしまっていたようだ。反省しなければ。

 

「ノルマ! ノルマ超えてる!!」

「ぇ?」

 

その言葉を聞いて、理解する前に目が動いた。

画面のホームランカウント、そこには間違いなく残り1球を残して40本を数えていた。

え……ということは……

勝った――?

 

「ヨッシャアアアアァァァァァ!!!!」

 

勝利を理解し、思わず死に際のラ〇ウの如く高く振り上げた右手。

頬には一筋の涙すら流れる。

長く苦しい戦いだった……

 

コメント

:声www

:迫真の雄たけび

:ヨッシャアアアアァァァ!!!(清楚)

:おめでとう! ¥10000

:涙出てきた

:これはトレンド入り間違いなし

:新しい伝説の誕生

:生きる伝説 ¥30000

:ほんと好き

:おっしゃああああ!!! ¥50000

<朝霧晴>:¥50000

:ファ!?

:ハレルン!?

:感動の無言満額スパチャ

:画面の前で泣いてそうで草

 

「おめでとうあわちゃん! よし、クソゲーの魅力を理解してもらえたところでとっておきのおすすめのクソゲーを紹介しよう!」

「あ、大丈夫です」

「あれー?」

 

私にとって二度目の世界トレンド1位となったこの配信は、『ロビカスに完全勝利した淡雪UC』というタイトルで動画も作られ大きな人気を博した。

さて、締めにV界にまた一つ爪痕を残せたところで皆に一つ言いたいことがある。

 

皆、ロビカスを許すな。




sillaさんから頂いたファンアートの紹介です。
例のメンツに襲われるシオンですね笑
状況は状況ですけどかわいくて最高や!

【挿絵表示】

活動報告にてマシュマロとリクエスト募集中です!
本編に出てくるライバーに質問したいことなどあれば、活動報告『マシュマロ募集』のコメント欄に、やってもらいたいことや見たいシチュエーションがあれば『リクエスト募集』のコメント欄に書き込んでくだされば、本編にて採用されます!
よろしければ是非書き込んでみて下さい!

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