明日からの高校生活(二度目)を心待ちに早々に部屋の明かりを消して布団に潜ろうとしたら窓ガラス突き破って見たことある格好の見たことない美少女が部屋にダイナミックエントリーしてきた件について。
「頼む! 助けてくれっ!!」
「あー、うん、何となく誰だかわかるけどそれはそれとしてまず自己紹介お願いしてもよき?」
とはいえ誰だかわかってる。こんな格好、幼馴染みの片割れしかしてないだろうし。何より魂の波長がおんなじだし。
「俺だよ俺!」
「おれおれ詐欺ですかお帰りください」
「ちっげぇよっ! 俺だよ!」
「ワリオだよ?」
「誰だよ!? 俺だよ、祭里だよ! 風巻祭里!!」
「あー、やっぱりねー、服装と魂は一致してたんだよねー。でもまぁ我輩のかわいいかわいい世話焼き女房系幼馴染みの祭里は男だったんですけど? なにそれ高校デビューってやつ?」
最近の高校生は進んでるね、高校デビューで性転換かますのか。
「ちっげぇよ! 妖に女にされちまったんだよ! 頼む、何とかしてくれっ!!」
「嫁に貰えばよいので?」
「バカ──っ! おまえの陰陽術で元に戻してくれって言ってンだよ!!」
割りと本気な提案を即座に蹴られた。解せぬ。
「我輩バカなのでちょっと何言ってるのかわかりませぬ。あ、お帰りはあちらです」
「だぁぁぁぁっ! バカって言って悪かった! お願いだからせめて“視”てくれよぉっ!」
こちらが拗ねたのを察してすぐさま頭を下げてくる幼馴染み(女体化済み)に光の速さで機嫌が直る。我がことながら単純だにゃー。それではそれでは……。
「しょうがないでごじゃるにゃあ。ほんじゃまぁいつも通りに全裸になってちょ」
「は? ぜ、全裸?」
何故か戸惑う祭里にむしろこちらが戸惑う。いつものことじゃねぇですか。
「yes、全裸。余計なもん身に付けてると解析の精度落ちるから、って最初に説明したでしょ? 忘れたの? 鶏かなんかなの? それともバカなの?」
「地味に根に持ってる!? いや、でも……今の俺、女の体なんだけど……」
我輩が根に持ってるのはバカって言われたことじゃないんだよなぁ。あと女の子なのは見ればわかります。忍者衣装の上からでもわかるおパイとか。
「役得ですね。ありがとうございます」
「ぅ……服着たままじゃダメか……?」
なーにを恥ずかしがってますか耳まで赤くしちゃってこの(元)DKは。そもそも全裸チェックは男の頃からだろーに。
正直祭里の祭里クンがぷらぷら揺れてるの見ながらよりよっぽどイイ状況だと思うんですよね。
ってか意味なく全裸だったわけじゃないって知ってるでしょーが。
「良いけど、精度落ちるよ?」
「……………………服着たままで」
「葛藤長っ!」
この後むちゃくちゃ解析した。
「けっかはっぴょー」
どんぱふー。
「結論からいうと祭里は祭里ちゃんになってるね。見た目だけじゃなく骨格や内臓は当たり前、それどころか遺伝子レベルで。やったね祭里ちゃん、子供ができるよ!」
「マジか……」
ヘナヘナと力なく座り込む祭里改め祭里ちゃん。極々自然に女の子座りです。かわいい。
「ついでにいうと解呪不可だね。中途半端に抵抗したもんだから術が未完了なので手の出しようがない。ドンマイ」
「は?」
「いやね、この性醒流転? とかいう術なんだけど、これって順繰りに効力発揮する術なのよ。肉体の書き換え、それが終わったら性自認や精神の書き換え、ってな具合に」
「へ? でも俺、男の意識のままだぞ?」
そう、そこが問題なんよね。
「中途半端に、ってのはそれな。肉体が書き換えられて、慌てて本能的に抵抗を強く試みたんだろね。お陰で精神的には書き換えが行われなかった……だからこそそこで術がビジー状態、ハングアップしちゃってるわけ。だもんで、同質の術で上書きとか出来なくなっちゃってるのよ、これが」
「なんとかならねぇのかよっ!?」
まぁ解決法もあるんだけど……。
「祭里ちゃん自身が祭里ちゃんに完全になること、かな。そうすれば術は役目を果たしたと認識されて同質の術で上書けるようになる……と思う」
「?」
つまりは。
「頑張って精神的に女の子になっちゃってね! そうすればなんとかなるから」
「はっ──はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
これは幼馴染みカッポーを見守る一人の転生者の物語。我輩is傍観者。OK?
続かない。