ア「どうしたのよ急に」
霊「いや、彼処のお茶菓子美味しいのよ」
ア「あー、理解したわ」
立ち込める湯気、広がる水面、そして壁一面の山。その中に男三人…俺と蛍と霖之助だ
「「「いい湯だわ〜」」」
学園が休みの土曜日の夜、俺たちは霖之助の粋な計らいで銭湯に来ていた。学園から少し離れたところに出来たここはなんでも不思議な効能があるらしく、巷で評判になっていた
「番台さーん、お酒追加でー」
霖之助はさっきからずっとお酒を頼んでいる。湯船に浸かりながらお酒が飲めるのもここが人気のポイントの一つらしい
「はいはい、持って来たぞい」
番台さんがお盆に柄杓と酒瓶を乗せて運んで来るのだが、見た目が完全に狸なのがどうしても気になってしまう
「なかなかええ男の集まりじゃの」
「あ、流石!番台さん見る目ありますね!」
「蛍、お前は謙遜という言葉をしらないのか」
「俺は正直だからな」
「そんなお主らに良いニュースじゃ、上が空いてるから向こうに行き放題じゃぞ?」
「なにっ!?」
「落ち着け蛍、座ってろ」
「若いもんはええの〜。じゃあゆっくりして行くんじゃぞ」
番台さんが出て行ってから俺たちは湯船に浸かりのんびりしていた。
「一番乗りだぜ!」
番台さんの言ったとおり壁の上が空いているので、女湯の声が全部聞こえてくる。今のは魔理沙の声だろう
「やっぱ風呂はデカイに限るよな〜」
「なぁ妖夢、デカイと言えば…」
「え、ちょっと!フラン何でタオル引っ張ってるの!?」
「お前意外と大きいよな。ちょっと触らせろよ」フニッ
「え、ちょっとフラン!ストップ!タイムタイム!」
「グヘヘヘ、いいじゃねぇか」
「何だよ嫌がらせか妖夢」
「抜け駆けとか汚いやつだぜ」
「何か酷くない!?」
「…そうか妖夢は意外と大きいのか」
壁の向こう側で繰り広げられている会話に蛍は全神経を傾けている。俺?もちろん聞いてますよ当たり前だろ、一応男子です
「全く君たちは子供だね、こんなベタベタな会話に本気になるなんてさ」
大人の余裕をかましているところ言いにくいが、鼻からでている赤い液体のせいで既に威厳もへったくれもないことに気づいて欲しい
「っていうか男湯に聞こえるよ!」
「大丈夫だって、そのための壁だろ?」
どうやら女湯の皆は壁の上が空いてることに気づいてないらしい。それもそのはず、蛍が既に能力を使いカモフラージュ用の布で、彼方からは隙間が見えないようにしている。流石変態、会話を止めさせない為の工作がぬかりない
「そ、そうだ皆はクラスの中で誰がかっこいいと思う!?」
「あれ?その話前にした気が…」
「き、気のせいだよ!ほら!誰!誰なの!?」
妖夢が必死に話を逸らそうとしている。だが、話を逸らすのにその話題は失敗だ、男子が一番気になる話題だからな!まぁまさか聞かれていると思ってないだろう。だって隙間は蛍が隠してるし
「まぁそりゃあ蛍だろ」
「蛍だね」
「蛍」
「いやっふ「落ち着け、ここで騒いだらバレるぞ」あんぶねぇ…」
つーか皆蛍かよ。テンション下がるわ…
「はっはっは、気にすることないよ竜斗君」
「黙れ霖之助、お前も同じだろ殺すぞ」
「酷いっ!?」
「でも蛍は話したらキモいよな」
「キモい」
「キモいな」
「…」
蛍は大胆に口から血を流して湯船に沈んで行った。まぁアレだけ喜んだ後にここまで落とされたらな。とにかく蛍ざまぁ
「蛍君一体クラスで何を言ってるんだ…」
「あー、アレだよ。ただの変態」
「納得」
蛍に対する共通認識が増えたところで再び向こう側の会話に耳を傾ける
「でもいいよな妖夢は、私なんか全然成長しないんだぜ?」フニッ
「やっ!?」
「それ同感〜」フニフニッ
「ちょっと変な所触らないでよ二人とも!」
バシャア!
女子側から聞こえるあられもない会話により瀕死だった蛍が水しぶきを上げて復活した。何でもいいけどとりあえずその顔の鼻血を止めて欲しい。口から鼻から忙しい奴だな
「蛍…お前がどれだけ夢を見ようがここに今広がるのは男三人しかいない空間なんだぜ…」
「…せやかて工藤」
「誰が工藤じゃ、つーか誰だよそれ」
「黙れ服部」
「だから誰だよ」
二人とも放っておいたらボケをどんどん量産していくから拾うのが大変だ。頼むから拾える範囲でぼけて欲しい
「あーもうあっつい!!」
「うわっ!チルノ落ち着けお湯が凍るから!てか凍ったから!」
どうやらチルノが湯船を凍らせてしまったらしい。そしてそのパニックに乗じて乗り込んで行った蛍のことは見逃さない
「蛍…さん…」
「はっはっは、こっちがピンチと聞いて飛んで来まし「シネ」あばばばば!!」
生々しい音とともに蛍の断末魔が聞こえてくる。まぁ蛍自身ちょっと特殊だから死にはしないだろう。いややっぱり死んでくれ
「助かった…丁度のぼせてた所…さ」
「フランが倒れたぁ!!」
「大丈夫かフラン!?」
そのセリフを聞いた後、俺は考えるより先に行動していた。無意識のうちに動く体は現世と天国を隔てる壁を悠々と乗り越え、そして向こう岸につくや否や凍った床で足を滑らせずっこけた
「いててて…ん?」
「ななな…何やってるんだ竜斗…?」
本能が直感した時にはもう遅かった。助けを求めるにも萃香とチルノはフランを連れて出て行ったし蛍は妖夢に刻まれている。無論霖之助は助けに来る気配すらない。というか今壁の隙間からこっちを覗いている。殴りたいあの笑顔
「竜斗…お前ってやつは…」
「いやあの魔理沙さんこれはですねアハハ…」
「何だ言ってみろ」
「いやそんなに怒らないで下さいよ、ほらとりあえず服きましょうあ、ここ浴場でしたねアハハハ魔理沙さん随分大きくなられてねぇ!ほら、女性らしい美しいボディラインじゃないですか!ね?だからとりあえずその八卦炉下ろして下さい何で光ってるのかなぁそれ」
「竜斗の…」
「…ゴメンナサイ」
「馬鹿野郎ぉぉぉぉぉ!!!」
「ヒギャァァァァァァ!!」
その後一週間程魔理沙に口を聞いてもらえないどころか毎日ジュース奢らされたが、それ相応の物を拝めたしフランにはバレてないからよしとする
〜次回予告〜
霊「思うんだけどさ私達って前後しか出番無くなってない?」
ア「本当にね、一応自機経験組なのにね」
霊「私なんか主人公よ?ったくボイコット起こそうかしら」
作「いつか出番あげるから仕事して下さい」
原「なんかこの役がしっくりくるんだよ、すまねぇ」
霊「あ?」
作、原「ヒィィ…」