ゆっくりしていってね」
旅館本館の屋根の上、そこには既に巫女服に着替えた霊夢と、黒髪を靡かせた輝夜が座っていた。二人ともずっと気配を消して見張っていたのだ
「何かあると思って見てたら、やっぱりこうなったか…面倒になる前にっ…!」
霊夢が戦闘態勢の四人を止めに行こうとした時、輝夜が霊夢の肩を掴んで静止した
「少し座って待ってろ。あいつらに任せるんだ」
「でも!?」
霊夢は輝夜の手を振り払い行こうとしたが、輝夜の真剣な眼差しを見て座り込んだ
その頃、フランと妖夢、そしてレミリアと幽香が戦争の火蓋を切って落とさんとしていた
「私達を殺す?いつからそんな生意気な口を聞けるほど強くなったのかしら、フラン?」
「私はてめぇらを殺すために鍛えてきたんだよ。それを今ここで叶えられるとはな!夢にも思っても無かったぜ!」
「フラン落ち着いて、向こうもやる気みたいだしフランが暴走したら誰も止めれないよ」
「あぁ、援護頼むぜ妖夢」
フランは既に狂気に取り囲まれている気配だった。それでも理性を保っているのは、隣に妖夢がいるからだ。妖夢の存在がかろうじて、フランの理性を繋ぎとめていた
「ふふふ、じゃあ始めましょう。楽しい楽しいお祭りをね!」
幽香が弾幕を放ち、レミリアが追い打ちをかけてくる。しかし二人ともそれらを平然とかわしていく
「たぁぁぁぁ!」
妖夢が幽香に斬りかかる、しかし幽香も日傘でそれを受け流していく。一見互角に渡り合っているように見えたが、先に限界が来たのは妖夢の方だった
「ぐっ…くそっ!」
「あらどうしたの?動きが鈍っているわよ!」ガキィン!
「なっ!?まだまだぁ!」
幽香に白楼剣を弾き飛ばされた妖夢だが、諦めず立ち向かっていた。しかしここでようやく体に起きた異変に気づいた
「っ?手が痺れ…」
「ふふふ、麻痺成分を含んだ花粉を蒔いたの。半分人間の貴方には耐えられなかったようね」
「くそっ…まだまだいける!」
妖夢はありったけの力で幽香に斬りかかるが、楼観剣ごと弾き飛ばされてしまう。そして無防備のまま地面に落下していく
「妖夢!「行かせないわよ」どけっ!」
「ごめん…フラン」
「貴方の太刀筋は中々綺麗だったわ。でも私達の計画の邪魔をするんだもの。消すしかないわよねぇ?」
「妖夢ぅぅぅ!!」
「フラン…私の分まで…」
「儚く舞う桜の如く…散りなさい」ゴォォッ
幽香の放った極太レーザーは妖夢を呑み込み、地面に巨大なクレーターを作り出した
「妖夢…?」
フランの視線の先には地面に横たわり、ボロボロになって動かない妖夢の姿があった
「あはははは!私達の邪魔をするからこうなるのよっ!」
「幽香、てめぇ!!」
「甘いわよ幽香、あの子まだ意識があるわ。トドメを刺さなきゃ…ねっ!」
レミリアは手にグングニルを出すとそれを妖夢目掛けて投げつけた
「これで死になさ…!?」
レミリアは驚愕する。先程まで目の前にいたフランが妖夢のそばで槍を握りつぶしていたからだ
「……さねぇ…」
「え?」
「許さねぇ…殺してやる!!」ドォ!
「カハッ!?」
怒りに満ちたフランはレミリアの目の前に瞬間的に移動、そのままの勢いで蹴り飛ばし身体から大量の魔力を放出した
「ぐっ…なっ!消えたっ?」
「どこに「死ねっ!」がはっ!」
フランは視認できないスピードで蹴りを叩き込み、二人を地面に叩きつけ、大量の魔法陣を展開した
「お前らなんか…死ねぇぇぇ!!」
フランはただひたすら、親友をやられた怒りに任せてただひたすらに撃ち続けた
「うぉぉぉぉ!!ゲホッ!ぐっ…!」
身体中の魔力を使い果たし、血反吐を吐きながらもフランはトドメを刺すべく、レーヴァテインに力を込めていた。一方の幽香とレミリアは既にボロボロになっている
「…まさか負けるなんてね」
「何言ってるのよ。想定通りでしょ」
「ふふっ…そうね」
「これで全部終わりだ!あいつの分も…妖夢の分も…うおらぁぁぁぁ!!」
フランがレーヴァテインを振りかざし、そして力いっぱい振り下ろした
そしてそれは二人に届くことなく、突如現れた一人の手によっていともたやすく止められた
〜??side〜
「何で止めるんだよ…邪魔すんじゃねぇ!」
「止めなきゃどうするつもりだった」
「決まってんだろ!こいつらは妖夢のことも…だからまとめて消してやる!」
「お前自身もう限界来てんだろ。いいから話を…」
言い終わらないうちにフランはレミリア達に斬りかかろうとする。だが弱っているのか動きが鈍かったのですぐに制止することが出来た
「やめろフラン、剣を降ろせ」
間一髪で間に合った俺はフランの振り下ろした剣を受け止めた。フランが弱ってなければ止めるのは至難の技だったろう
「竜斗!どけ!こいつらを殺すんだ!」
「だからやめとけって」
「いいからどけっ…!?」
今にも暴れ出しそうなフランに俺はある手帳を見せた。フランは驚いた顔をして佇む
「そ、その手帳をどこで…」
「間一髪ってところだったよ。ったくお前って奴は」
フランの魔力を見てみると、既に底を尽きていた。血を吐くくらい必死だったんだろう、もう少しで取り返しのつかないところだった
「何で竜斗がそれを持ってるんだよ!」
「詳しいことは俺じゃなくてこの人に。じゃあお願いしますよ
咲夜さん」
「「「なっ!?」」」
突然の咲夜さんの登場に三人とも動揺を隠せないでいた
「咲夜!どうしてここに!?」
咲夜は無言でフランとレミリアの間に立ち、そして口を開いた
「お嬢様。私はお嬢様に忠誠を誓った身…身勝手な真似は絶対に出来ませんし、お嬢様の命令に背くなど万死に値する。しかし!今からこの咲夜の人生でたった一つだけ…命令違反をさせて下さい、いやさせてもらいます!そのせいで私がクビになっても構いません!でも!お嬢様が死ぬことでこと事を終わらしてあの子が喜ぶわけがないです!」
「お姉様が死ぬ?何よそれ!まるで私に殺されることが計画だったみたいな言い方して!」
「えぇ、そうです。妹様に殺される計画だっんですよ」
「!!」
「咲夜!口を慎みなさい!」
レミリアは咲夜を止めるべく動き出そうとしたが、目の前に立ち塞がった人に遮られた
「…輝夜先生?」
「担任からの命令だ。座ってろ」
レミリアの前にはボロボロになった妖夢を抱えた輝夜さんがいた
「ぐっ、こんなところで邪魔を「座ってろって言ってんだよ」」
「もし暴れ足りないならかかってこい。私が相手してやる、だからてめぇらで傷つけあってんじゃねぇよ馬鹿どもが」
「幽香、あんたもよ」
「霊夢!?」
「私はあんたとやりたくないからね。結界を張らせて貰ったわ。それでも暴れるなら…大人しくするけどね」
幽香とレミリアはそれぞれ霊夢、輝夜さんに止められてしまった。二人とも最初は抵抗したが、流石に二人とも満身創痍なだけあって、すぐに大人しくさせられてしまった
「お嬢様。もう理解してるでしょうが私はここにあの事件の真実を語りに来ました。なので今ここで全てを話します。あの日、あの子が幻想郷に来て、そしてあの事件の真実も」
「咲夜…どういうこと…」
「妹様…よく聞いてください。今から話すことが真実です。
そう、あれは10年も前のことでした。一人の少年が幻想郷にやってきたんです。彼の名は赤霧 春(アカキリ ハル)。元紅魔館妹様専属執事でした。彼のことは一生忘れることはないでしょう」
〜次回予告〜
10年前、外の世界から一人の少年が幻想入りをする
彼が歩んだ軌跡は、何を残したのだろう。そして彼の周りではどのような出来事が起きたのだろう