幻想郷立閻間学園   作:雲の上の声の人

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作「今回から過去編に入るから、暫く本編キャラの出番は無いお。それでも構わぬぇって方は

ゆっくりしていってね!」


第60話兼過去編1 赤霧春の幻想入り

〜外の世界、とある遺跡〜

 

 

「ここか、幻想郷への入り口ってのは…」

 

 

双剣を携えた少年は、遺跡の泉の前で、手帳からある女性の写真を取り出し呟いた

 

 

「師匠、必ず僕が助け出しますから…待っていてください。」

 

 

不安を感じながらも、自信の決意を信じ、少年は泉へと足を踏み出した。その瞬間、彼の視界は強烈な光に支配された

 

 

「ぐっ…なんだこれ!」

 

 

少年は生まれて初めて光に恐怖した。決して途切れることのない眩い光、暗闇が恋しくなるほどののそれは、彼が体感したことのないものだった。そんな恐怖に押し潰されそうな彼を謎の声が導いた

 

 

『ようこそ幻想郷へ』

 

 

「え!?何今の声…」

 

 

光の中から突如声が聞こえた。声は少年に問いかける

 

 

『この先は幻想郷。忘れ去られしもの達が住む世界。もう戻ることは出来ないわ。さぁ、貴方は幻想を信じますか?』

 

 

「幻想だかなんだか知らないが、僕は師匠を助ける!その為なら幻想だろうがなんだろうが、信じてやるよ!」

 

 

彼の心に残っていた最後の勇気を振り絞り、そう答えると彼の視界から光は消えていた

 

 

〜幻想郷、太陽の畑〜

 

 

向日葵が咲き誇る太陽の畑、ここでは四季のフラワーマスターこと風見幽香が1人で住んでいた

 

 

「ふぅ、最近何もなくて平和ね。花の世話は楽しいけど刺激が足りなくて…退屈だわ…」

 

 

幽香は何か暇潰しが無いかと考えながら昼食をとっていた

 

 

「あ、そうだわ!暇潰しに午後から少し出かけてみようかし「ドォォン!!」!?」

 

 

突然太陽の畑の方角から大きな爆発音がした。幽香は畑へと急いだ

 

 

「っ!あれは!?」

 

 

幽香が爆発音がした場所に到着すると、そこには妖怪と、それに囲まれる状態で倒れている少年がいた。

 

 

不運なことに向日葵がいつくか折れてしまっている…

 

 

「あんたら、いい度胸してるじゃないの…弾幕なんて生ぬるいこと言わないわよ…?」

 

 

幽香の殺気に反応した妖怪達は、命の危険を感じ、すぐさまその場を後にした。

 

 

「待て!…チッ!顔覚えたからね!次会ったら命があると思うんじゃないよ!」

 

 

妖怪が去った後には無惨に散った向日葵と、少年が残った…

 

 

「仕方ないわね、とりあえずあなたの命だけでも頂きましょうかね」

 

 

幽香が行き場の無くなった怒りを少年にぶつけようとした瞬間

 

 

「…へへっ、これ以上は食べられないですよぉ、師匠ぉ…」

 

 

少年はそう呟いた

 

 

「なんてベタな寝言を…」

 

 

すっかり興が覚めた幽香は悩んだ末、家に少年を連れ帰り、簡単な処置を施した

 

 

「治癒能力のある植物を育てていてよかったわ…いや、良かったのかしら?」

 

 

若干納得のいかない幽香だったが

 

 

「ぐぅ…へへへ…まだ飲みますよぉ…」

 

 

少年の寝顔を見ているとなんだか気が抜けてしい、変に納得してしまう幽香だった

 

 

「こんな男の子の息の音を止めるのも、なんか、ねぇ?…まぁいいわ、暇潰しよ、暇潰し」

 

 

幽香は少年を部屋で寝かせたままにし、昼食の片付けをすることにした

 

 

〜そして晩〜

 

 

「ま、こんなもんでしょう」

 

 

幽香は珍しく二人分の食事を用意していた。滅多に来客など訪れないので作ることが無いのだ

 

 

「んん…何か美味しそうな匂いが…」

 

 

幽香がテーブルに料理を並べていると、少年が目を覚ました

 

 

「まだ食べるつもりなの!?」

 

 

「えっ!?何の事ですか?ていうかここはどこ!?あなたは誰今は何月何日!?夕飯の献立は何ですかぁ!?」

 

 

「プッ、アハハハハ!」

 

 

幽香は思わず吹き出した。それを混乱した表情で少年が見つめる

 

 

「いやいや!笑ってないで答えて下さいよ!なんなんですか!?」

 

 

「いやー、ごめんなさいね、ププッ、ちょっと…面白くって…アハハ!」

 

 

困惑する少年と、発作が収まらない幽香という不思議な空間が出来上がっていた

 

 

~数分後~

 

 

幽香の発作がやっと止まり、お互いの話は食事を取りながらということに話がまとまって、幽香の向かいに少年が座り、幽香が席に着いたところで二人は食事を取り始めた

 

 

「まずは自己紹介ね、私は風見幽香。あなた、名前は?」

 

 

「僕は赤霧春です…春でいいですよ…」

 

 

「よろしくね、春」

 

 

「…よろしくお願いいたします。幽香さん」

 

 

「何よ、拗ねてるの?突然笑ったことは謝るわ、ごめんなさいね」

 

 

「いいですよ…空から落ちてきて気絶してたのに、ご飯の匂いで起きたなんて聞いたら誰でも笑いますって…」

 

 

「まぁ、そうよねぇ、ん?空?なんとなく予感はしてたけど、あなたって幻想郷の人間じゃないの?」

 

 

「はい。僕の師匠を探してここに来たんです。幻想郷にいるって金髪のお姉さんが教えてくれて…」

 

 

(紫か…)

 

 

幽香は落ち込みながらも、手を休めることなくちゃっかり料理を口に運んでいく春を物珍しそうに見ていた。本来幽香は人間と関わることが極端になく、妖怪でも一部の妖怪しか付き合うことはないのだ

 

 

「で、幻想郷のことはどれくらい知ってるの?」

 

 

「ほとんど知らないですねぇ、師匠がいる。と、だけ聞いてきたので…」

 

 

「はぁ…明日は安静。その後修行ね、ここでのルールと生き残り方を教えてあげるわ」

 

 

「え?」

 

 

「稽古つけてやるって言ってんのよ。一週間はもらうわよ」

 

 

「はい!ありがとうございます!…でもいいんですか?」

 

 

「ええ、暇潰しになるし、それに…

 

 

向日葵畑の修復もしてもらうわよ」

 

 

「あ、それはもちろん!やらせてもらいますよ!明後日からよろしくお願いします!」

 

 

春は笑顔でお辞儀した。幽香は春を空いている部屋に連れて行くと、そこで寝泊まりするように言った

 

 

「明日起きたら幻想郷の説明してあげるから、今日はもう寝なさい」

 

 

「わかりました。おやすみなさい、幽香さん!」

 

 

そう言うと春は、布団に潜るとすぐに眠ってしまった。流石に疲れが溜まっていたのだろう

 

 

「さて、今日から食事の片付けが大変だわ…家事もやらせようかしら?」

 

 

幽香は二人分の食器を洗いながら、これからのことを考えていた

 

 

〜次の日〜

 

 

「さて、じゃあ幻想郷について説明していくわよ」

 

 

「はい!」

 

 

幽香は春に幻想郷のことを説明した。博麗大結界とそれを管理する巫女や妖怪、人里のこと。幽香が知っている限りのことは教えた

 

 

「なるほど…これだけ広いと師匠を探すのも一苦労しそうですね」

 

 

「そうね、それにここで生き抜くにはそれなりの実力が無きゃダメよ。貴方武器とかは?」

 

 

「あ、一応双剣使いです」

 

 

「へぇ…実力のほどを見たいところだけど、傷が治るまではダメね。早く治しなさい」

 

 

「はい!あ、そうだ!これ幽香さんに」

 

 

春は自分のリュックから皮袋を出し、中から花の種を取り出した

 

 

「?見たことない種ね」

 

 

「外の世界の金盞花(キンセンカ)っていう花で、花言葉は確か平和の意味があったはずです!幽香さん家の中にも沢山お花飾ってるからきっとお花好きなんじゃないかと思って…」

 

 

「…ふーん、気が利くじゃない。ありがとう。このお花が咲いたら皆平和に育ちそうだわ」ニコッ

 

 

幽香は微笑みながらお礼を言った。春はそれを見て途端に笑顔になる

 

 

「あ、食器僕が片付けて来ますね!」

 

 

「えぇ、お願い」

 

 

春はテーブルの食器を持って台所へと入って行った。幽香は椅子に腰掛けたままグラスを傾ける

 

 

「金盞花ねぇ…咲くのが楽しみだわ」

 

 

こうして春は幻想郷での生活を始めることとなった。そしてこれが全ての始まりだった

 

 

〜次の日〜

 

 

「さて、まずは貴方にこの世界での闘い方を教えてあげるわ」

 

 

「お願いします!」

 

 

春の傷も癒えたところで、幽香は春と一緒に近くの草原に来ていた

 

 

「まずはこれを見なさい」

 

 

幽香はふわっと浮き上がると、大量の弾幕を出した

 

 

「この世界では基本はこの弾幕を使って勝負するわ。これが実力差がある妖怪や、人間同士で対等に勝負する為のシステムになっているの、まぁたまに肉弾戦になるけど弾幕での戦い方は必須ね」

 

 

「幽香さんの弾幕って綺麗ですね。まるで幽香さんみたいです!」

 

 

「おだてても何も出ないわよ。ほら、まずは簡単なのにしてあげるから避けてみなさい」

 

 

幽香は軽く俯きながら弾幕をばらまく。きっと恥ずかしかったのだろう

 

 

「ほっ…こんな感じですかっ!」

 

 

春は見事に弾幕を交わして行く。双剣使いとだけあって身軽だ

 

 

「やるわね。じゃあ次はこれよ!」

 

 

「ちょ、いきなり多い!」

 

 

幽香はさらに多くの弾幕をばら撒く。流石にこれには当たると幽香が思った矢先だった

 

 

「え?」

 

 

「ふぃ〜。危なかったです」

 

 

絶対に当たると思っていた弾幕に春は擦りもせず見事に避けてみせたのだ。幽香もこれには驚く

 

 

「春。あなた今何かした?」

 

 

「フッフッフ、危なかったんで力を使わせてもらいました!」

 

 

「力ですって?」

 

 

「はい。僕の能力は幻想郷的に言えば『未来の過程と結果を見る程度の能力』ってとこですね」

 

 

「へぇ、少し説明してもらってもいいかしら?」

 

 

「ええ、もちろんですよ!僕の能力の要点は

①見える最大時間は一時間

②見る選択肢を増やすとその数に応じて見える最大時間が半減していく

③自分で思い付かない選択肢の未来は見えない

④連続で仕様も出来るが、やり過ぎると酔う

こんな感じです!」

 

 

「…なんだかややこしいわね」

 

 

「ですよね…大体みなさんそんな反応ですよ」

 

 

「うーん、じゃあねぇ、これはどう?」

 

 

幽香は再び飛び上がり、そして春の周りを隙間のない弾幕で覆い尽くした

 

 

「これなら逃げられないでしょう?」ニヤッ

 

 

「ちょ、これは…ダメだ。どの未来も同じ結末になってる!やめtあばばばば!」

 

 

春の体は弾幕に包まれ、ぴちゅーんという音と共に勝敗が決した

 

 

「あら、やり過ぎちゃったかも。ごめんね春、大丈夫?」

 

 

「いててて…へ、へーきです。伊達に頑丈じゃないですよ。でも、やりすぎですよ…」

 

 

「ちょっと試したくなってね、はい、これ」

 

 

幽香は春に回復用のドリンクを渡し、一先ず休憩を入れた。そして暫くして再び練習を再開。幽香の特訓のお陰で一週間経つ頃には春は幻想郷で生き抜く力を身につけていた

 

 

〜そして一週間後〜

 

 

春は身支度をすませ、幽香と別れの挨拶を交わしていた

 

 

「この方角を真っ直ぐ行けば人里に着くわ。そこで必要なものがあれば買いなさい。これお金ね、人里なら師匠さんの情報が何かあるはずよ」

 

 

「ありがとうございます。お金まで借りちゃって、本当に幽香さんには色々お世話になりました」

 

 

「いいのよ、暇潰しにもなったし、これも貰っちゃったもの」

 

 

そう言うと幽香は金盞花の種を出して見せた

 

 

「大切に育てるわ、これ」

 

 

「はい!今度会うときに見させてもらいますよ、それではまた!」

 

 

別れの挨拶を済ませ、春は幽香の家を後にし、広大な幻想郷の地を一人で歩み始めた。目指すは師匠の救出。春は今一度心に誓って駆け出した




〜次回予告〜

霊「幻想郷の地へと足を踏み出した春。通りかかった人里で彼が目にしたものとは!?」

ア「次回!運命を手にするものと操られるもの」

天「おぉ!何か次回予告っぽい!じゃあ次回もゆっくりしていってね!」
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