妖「おめでとうございます!」
フ「まぁ良かったんじゃねーの?」
作「じゃあご褒美として咲夜さんとの1日デートを…ぐへへ」
咲「ふふ、じゃあ逝きましょうか」
作「あれちょっと字が違うあにゃぁぁぁぁ!!」
注意…本編はシリアスです
~紅魔館1F~
春が紅魔館に来て丁度一年目の今日、館中ではパーティの準備をしていた。そんな中フランは一人考え事をしながら廊下を歩いていた。春に渡すプレゼントを悩んでいるのだ
「春って何が喜ぶかなあ…んー…」
「妹様~」
フランの元へ妖精メイドが数匹駆け寄ってくる。この妖精メイド達はフランに憧れているのか同じような服装をしている
「どうしたの?」
「妹様は春さんに渡すプレゼント決めたんですか!?やっぱりその美しい身体を」
「な、何言ってるのよ!わわ私がそんなははは春に」
「えー?でも妹様って春さんと付き合ってるってパチュリー様が言ってましたよ?」
「付き合ってないわよ!ほら早く仕事に戻る!」
「「はーい」」
「全く…パチュリーのやつ…」
「あれ?妹様じゃないですか?どうしたんですか?」
手で顔を押さえながら歩くフランの横の廊下からたまたま歩いてきた美鈴がフランに声をかけた。フランは美鈴に先程の話の内容を説明した
「あはは!妖精メイド達も中々際どい質問するなぁ」
「笑い事じゃないよ!おかげで変なこと考えちゃったし…」
「いっそ今日の夜、夜這いしてみたらいいじゃないですか」
「よよよ夜這いにゃんて出来ないわよ!」
フランは顔を真っ赤にして訴えかける。美鈴はそれを見てずっとにやけてるのだった
「もう…ところで美鈴に聞きたいんだけどさ、春へのプレゼントは何がいいと思う?」
「そうですねぇ…春君ならよっぽど変なものじゃない限り喜ぶと思いますが…一番大事なのはやっぱり気持ちじゃないですか?」
「気持ちかぁ…」
「例えば手作りの物とか!今は少し忙しいですけど、後で宜しければ手伝いますよ?」
「わかった!じゃあ何を作るか考えとくね!」
「はい!」
「じゃあまた後で行くね!」
フランは美鈴に手を振ると廊下を歩いていった。美鈴は自分の作業に戻った
「んー…手作りのものかぁ…何を作ろうかなぁ」
フランが悩んでいると、正面から春が歩いてきた
「(もういっそ春に直接聞いてみようかな…さっき美鈴が言ってたけど夜這いなんて出来ないし…抱きつくくらいなら…よし!)ねぇは…る…」
声をかけると同時にフランの身体は春にもたれ掛かる形で抱きついた
「ちょっ?どうしたのフラン!?」
「…」
フランは恥ずかしいのか顔を真っ赤にしながらしがみついている
「春…」ハァハァ
「(うわっ、なんか超色っぽい)ど、どうしましたんですか?」
フランは何も言わず春に抱きついたままだ。一方の春は恥ずかしいやら何やらで立ちすくんでいる。顔が緩んでいるのは…気のせいだろう。動揺して何故か敬語になってしまっているが
「ったく…まだ昼間だよフラン、顔も赤くなってるしこーゆーのは夜に…?」
春はフランを一旦引き剥がそうと腕を掴んだ。すると平常とは思えないほどの熱く、とっさに離してしまった
「もしかして走ってきたのか…って凄い熱じゃないか!?」
「はぁ…はぁ…」
「やばいとりあえず皆に…すぐ助けるからフラン!」
春はたまたま近くを通りかかった妖精メイドに声をかけ、館の皆に知らせてもらった。そして春はフランを抱き上げるとそのまま部屋に連れていった
~フランの部屋~
意識を失ったフランのそばでは、レミリアとパチュリーと小悪魔が看病していた。パチュリーはフランの回りに結界を張り、出来るだけの手を尽くしていた。だが、それでもフランの体調は悪化する一方だった
「フラン…」
「もしかして…ちょっと表に出てくるわね」
何かに気づいた幽香は三人にフランを任せて、表で警備をしている春達の元へ向かった
~紅魔館門前~
門の前では、この緊急事態に侵入者がこないよう春達が待機していた
「フラン…大丈夫かな…」
「多分大事にはならないと思うけど…何があるかわからない以上、人間の私達が近づくわけにもいかないわね」
「皆いる?」
フランのことを心配する三人の元へ幽香がやってきた
「幽香さん?どうしたんですか?」
「あの子を…フランちゃんを助ける術があるかもしれないわ」
「本当ですか!?」
「えぇ…幻想郷の北の果てにある秘境。そこに咲いている深紅の花には妖怪にだけ効く成分が含まれているわ。それを用いればフランちゃんを治せるかもしれない」
「じゃあ僕が「ダメよ」え?」
「その秘境は彼岸の近く、もし死神がフランちゃんを狙いに来ていたら出会う確率は高い。そうなったら人間の貴方には「そんなの関係ないです!」」
「確かに危険かも知れません…でも!僕はフラン専属の執事なんです!フランのこと守るって約束したんです!だから僕に行かせてください」
春は決意のこもった声ではっきりといい放った
「はぁ…わかったわ。貴方に託すわ」
「幽香さん…」
「そのかわり、しっかり帰ってくるのよ」
「はい!!じゃあ剣を取ってきます!」
春は自室へ双剣をとりにいった。そしてそれを見た咲夜は時間を止めてある行動にうつった
「えっと…確かにここに…」
「探してるのはこれでしょ」
「咲夜姉ちゃんいつの間に…ってそれは…」
咲夜は剣と一緒に一着の服を持っていた
「こっちの服の方が動きやすいでしょう」バサッ
「咲夜姉ちゃん…」
咲夜が春に渡したのは、かつて吸血鬼狩りだったころに春が着ていた服だった
「咲夜姉ちゃん時間止めたでしょ。身体に悪いよ」
「そうね、じゃあ時間止めなくてすむように早く帰ってきて手伝って頂戴」
「うん!」
「じゃあ私は警備に戻るから、さっさと着替えて行ってきなさい」
咲夜が部屋から出ていくと、春は昔のハンター服に着替えた。そして服の間に何か挟まってることに気づいた
「これは…ブレスレット?手紙もある。『春君が無事でいられるように御守りを渡しておくね。門番としてちゃんと起きて帰りを待ってるから。美鈴』美鈴さん…ありがとうございます!」
ブレスレットを腕につけた春は北の秘境へと向かった
~北の秘境~
「ここが幻想郷か…辺鄙なところだ」
彼岸の近くである秘境には、死神長が部下を連れて幻想郷にやって来ていた
「しかしリーダー、たかだか一匹の吸血鬼を連れていくのにわざわざ大群で出向かなくても良かったのでは?」
「並みの吸血鬼相手ならそれでよかっただろう。しかしあの一族は少々危険なのだ。かつてスカーレットの血族を迎えに行ったときにな、連れていかれるのが嫌だったのか一族総出で戦争をふっかけられたのさ」
「そんな無茶苦茶な…」
「確かに無茶苦茶だが、一族を思うその精神には意地さえ感じる。だから私はスカーレットの血族を迎えに行くときには死神の意地をもち、死神長として大群を引き連れるようにしてるのさ。結果それで戦争が起きようとも関係ない。だから全力を持って迎え撃つ」
「流石吸血鬼の王家…スケールが違い過ぎる」
「あぁ、特に今回、現スカーレット家当主のレミリア・スカーレットは相当の力だ。今宵は満月、さらに気を引き締めなければな…ん?」
死神長は何かを見つけるとそこへ向かっていき、花を持つ少年に声をかけた
「こんなところで何をしているんだい?」
~紅魔館~
看病に疲れたレミリアは、フランのそばで仮眠をとっていた
「うーん…」
ーーーーーーーーーーーーーー
「お嬢様…フランを、フランのことを助けてやってください」
「あはは、もうちょっと皆と居たかったなぁ…」
「今まで、お世話になりました…」
ーーーーーーーーーーーーーー
「っ!?」ガバッ
レミリアは驚いて飛び起き、額の汗を拭いながら回りを見渡した
「…夢か…」
「どうしたのよレミィ」
「あぁ、パチェか、大丈夫何でもないよ。それよりも丁度良かった。少しフランのことを見ててくれない?」
「大丈夫ならいいけど…何処か行くつもりなら気を付けてねレミィ」
「ありがとう。すぐに戻ってくるわ」
フランのことをパチュリーに一旦任せてレミリアは咲夜達の元へ向かった。外は既に日がくれている
「咲夜、変わった様子はない?」
「はい、妹様は?」
「パチェのお陰で今はまだ落ち着いてるわ。あれ?春は?」
「春は…」
咲夜は春が北の秘境へ向かったことをレミリアに伝えた
「春が秘境に…咲夜、少し館をお願い」
「どうなさったんですか?」
「嫌な予感がする」
レミリアが飛び立とうとしたとき、幽香が腕を掴んで引き留めた
「待って私も行くわ」
「幽香…」
「元々あの子を一人でいかせたのは私だもの。ついていくわ」
「ありがとう、道案内をお願い!」
二人は地を蹴り、満月の夜空へ飛び立った。その日の満月は黄色く、嫌になるほど輝いていた
(無事でいて…春!)
~北の秘境~
「何ですか貴方たちは?あ、噂の死神さんですね!生で初めて見ました!(死神は危険だって言われてたからな、興味はあるけど警戒心は解かないようにしないと)」ピリリッ
「そうかそれは良かった(まだ子供なのに凄まじい殺気だ。そしてそれをほぼ完璧に隠しきってるのがさらに驚かせるな)」
表面上では笑っている二人も内心では腹を探りあっていた。流石に両者とも易々と隙を見せたりはしない
「ところでその花はどうしたんだい?」
「これは僕の主人に持っていくんです。主人が急病で」
「ふむ…」
「じゃあ僕は急いでいるので!」
「ちょっと待ってくれ」
春が死神長に背を向けて立ち去ろうとしたとき、死神長は春を引き留めた
「どうしたんですか?」
「フランドール・スカーレットを知ってるか?」
「…」ピクッ
春の眉が一瞬つり上がるが振り返らない。対する死神長は話をやめない
「私はこれからフランドール・スカーレットの命を狩りにいくところなんだが」
「なっ!?」
死神長の一言で驚きを隠せなかった春は死神長に向かってゆっくりと振り向いた
「今…なんて?」
「彼女は今日死ぬ運命なんだよ。だから私達死神が迎えに行くのさ」
「は!?フランは今から助けにいくんだ!」
「助ける?生あるものには必ず死がおとずれる。生命の倫理を曲げられては困るな」
「そんなもん知らないよ。フランは僕が助けるんだ!」
「ならば仕方あるまい。やれ」
春の周りを死神達が取り囲む。流石の春もその数に押されそうだった
(ふざけるな、フランが今日死ぬ?そんなこと許せるわけないだろ。確かにわがままで自由奔放でキレっぽいけど…それでも…フランは大事な友達なんだ!僕が守るって決めたんだ!だから…)
「だからフランは絶対に殺させないぞ!」
春はポケットから小さな銀時計を取り出した。それは自分の師匠の魔力が込められた物だ。これに気づいたのは道中にポケットを探ったときだった
ーーーーーーーーーーーーーー
「あれ?ポケットになにか入ってる」
秘境へ向かう途中、春はポケットから何かを取り出した。それは小さな銀時計と手紙だった
「この字は咲夜姉ちゃんか…えっと『もしもの時のために、私の能力を少しだけ込めた銀時計を渡しておくわ。これを使えば一度だけ、本のわずかだけれど時を停めることが出来る。無事を祈ってるわ』…ありがとう、咲夜姉ちゃん!」
ーーーーーーーーーーーーーー
「なっ!?」
死神長が気づいた時には、周りの死神は全員倒れていた。春は既に抜刀して死神長へと向き合っている
「何をしたかはわからないが…そこそこやるようだ」
「(少しだけなのに凄い疲れる。咲夜姉ちゃんは普段こんなの使って仕事してたのか…帰ったら休んでもらおう)ふぅ…後はお前だけだな」
秘境の地に二人、互いに武器を構えて向かい合う
「一つ聞いていいか?」
「何だ?」
「何故真っ先に私を殺さなかった?あれだけの時間と君の実力があれば私を殺すことくらい容易かったはずだ」
「確かに殺せたかもしれないけど、これだけの人数に囲まれて逃げ切るのもしんどいしね。それに、そっちこそ僕のことをいつでも殺せたのに殺さなかった。つまるところ、受けてたつってことさ」
「ふっ…考えることはお互い様か、面白い」
両者は地に足をしっかりとつけ、そして思い切り踏ん張り地を蹴った
「行くぞっ!!」
「挑むところだ!!」
ーーーーーーーーーーーーーー
「何でここに死神が…!?」
「死神長様の命令で邪魔物が近づかないようにと言われている。特にレミリア・スカーレット、貴様は絶対通さん」
春の元へ急ぐレミリアと幽香の前に死神の集団が立ち塞がる
「邪魔よ!そこを「ここは任せてレミリア」幽香!?」
「悪いけど先を急いでいるのよ。そこを…退きなさい!」
幽香は日傘の先端を死神達に向け、全力のレーザーを放った。レーザーが突き抜けたあとには死神の影すら残ってはいない
「やったわね…さっきの話から推測するに死神のボスは春と一緒にいるみたいね」
「あぁ…とにかく急ぎましょう!」
二人は再び全速力で秘境を目指した。そのスピードは天狗をも凌駕するかもしれない
(私が着くまで無事で居て…春!!)
~次回予告~
衝突する春と死神長、互いに交差する剣は命を刈り取らんと鋭く、そして無惨にも突き刺さる
次回、さよなら そしてありがとう
次回で過去編は終わりです。次回もゆっくりしていってね