ある転生者のオーバーロード   作:Solo Mon

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12.立ち込める暗雲

 

「という訳なんです。すいません、モモンガさん。私は関係者の方々まで巻き込んでしまいたくはありません。今日を持って引退します。」

 

 

「そうですか……分かりました。今まで本当にありがとうございました また、気が向いたらでいいので遊びに来て下さいね」

 

 

「分かりました。これが終わったら必ず……」

 

 

 

 

 

 事の発端は何気ない朝に起きた。

 出勤準備を済ませていると、突如何処からか爆発音が上がる。

 慌ててガスマスクを装着して家を出ると、遠くにある高層マンションが燃えていた。

 この事件による死者は130名。いずれも火災による窒息死か焼死、爆死が主な死因であり、その誰もが富裕層の人間だったという。

 というのも、その高層マンションは財閥のお偉いさん達が居を構えていた為、富裕層専用の超高級マンションと化していたからだ。

 

 

 この事件の翌日、テロ組織からの犯行声明が出され、これに対して政府は対テロ組織戦を強行する方針を表明。

 

 警察官を主に徴収した「反テロ組織取締隊」の結成が閣議で採決され、たっちさんもそこに徴収されることが決まったのだ。

 

 警察署長として、部下をテロ集団の危険から守らないといけないとして、自分から立候補した所がたっちさんらしいというかなんて言うか……

 

 

「……たっちさん……」

 

 

 

 

 たっちさんの引退宣言は、他の多くのギルメンに多大な影響を与えた。

 

 たっちさんが居なくなった後、まずウルベルトさんが「この腐った社会の構造を直す。俺のことは探さないでくれ」と言って去っていき、

 その直後からベルリバーさんのinが途絶えた。

 武人建御雷さんは「この最強の一振りを完成させたら、俺は辞める」と宣言し、何度も説得したが、「たっちさんに勝ちたかったが、どうやらもう叶いそうにない」と言って、聞き入れて貰えなかった。

 

 1ヶ月後、遂にテロ組織vs警察隊の戦いが始まり、各地で市街戦が行われるようになった。

 内戦の為、株価が暴落し、

 あまのまひとつさん、ヘロヘロさん、ペロロンチーノさん、ぶくぶく茶釜さんなど、多くのギルメンの生活がどんどんと苦しくなって行っているようだった。

 俺の会社も仕事の量が極端に増え、ユグドラシルにin出来る時間も短くなってしまっていた。

 しかし、一向にこの状態が改善することは無かった。

 その内、リアルの生活苦により、次々とギルメンが引退していった。

 情けなかった。

 そして何より悔しかった。

 ギルド長だというのに、ギルメンがリアルに追われて苦しむ姿をただ見ていることしか出来なかった自分が。

 そして、不幸が立て続けに起こる、世の不条理さに。

 

 

 

 

 

 俺は、愛してたんだ。

 ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』を、ナザリックを、そして皆を。

 

 失ってから初めて気付くとは、このことだなっと今頃になって漸く気付く。

 

 アインズ・ウール・ゴウンが所有していた鉱山が別ギルドに奪われたが、やり返しに行く気力など今の俺にはもう残っていなかった。

 ギルド長がこんな落ち込んでたら駄目だよなぁ。

 たっちさん、ウルベルトさん、ベルリバーさん、あまのまひとつさん、ぶくぶく茶釜さん、餡ころもっちもちさん、ウィッシュⅢさん、ぷにっとさん、スーラータンさん、ばりあぶる・たりすまんさん、テンパランスさん、やまいこさん、るし☆ふぁ〜、獣王メコン川さん、チグリス・ユーフラテスさん、エンシェント・ワンさん、源次郎さん、死獣天朱雀さん、ク・ドゥ・グラースさん、ガーネットさん、フラットフットさん、ホワイトブリムさん、ブループラネットさん……

 

 

 

 いつでも来てください。待っていますから。

 

 

 ────────

 

 

 

 一年後の2134年。

 現在かろうじて残っているメンバーが、ペロロンチーノさん、武人建御雷さん、弍式炎雷さん、タブラさん、ヘロヘロさん、音改(ねあらた)さん、ぬーぼーさん、そして俺の8人。

 その内の半数が引退宣言を出している。

 武人建御雷さん、ペロロンチーノさんの二人に関しては引退を宣言しつつもまだログインしてくれている。

 その理由は()()()がいるからである。

 

 

『ヤッホー元気? モモンガさん!』

 

 

『はいはい、元気ですよー。今日もまた悪魔像製作ですか?』

 

 

『はい! そうです。あと、やっとオリュンポス13柱の像が完成しました!』

 

 

『おお! すごいじゃないですか! 起動したらlv100の軍団3つを条件次第では倒せるとか、やっぱヤバすぎ』

 

 

『あと、今日は最高のお土産持ってきたので楽しみにしといて下さい!』

 

 

 そう、シャボンヌさんだ。

 武人建御雷さんとペロロンチーノさんは、彼との約束を果たす為にも今この地に残っている。

 

 

「お久しぶり〜モモンガさん! やっと会社から解放されましたよ」

 噂をすればペロロンチーノさんが来てくれた。

 

 

「お久しぶりです、ペロロンチーノさん。丁度今日シャボンヌさんが来るみたいですよ」

 

 

「おっやったー! シャルティアとの結婚式、ちゃんと形だけでもあげたいからな」

 NPCと結婚しようとしているこの犯罪者、誰か止めてくれ! 

 

 

「お久しぶり〜元気してましたか? モモンガさん」「お久しぶりですモモンガさん」

 

 

「弐式さんに建御雷さんもいらっしゃったようですね。お久しぶりです」

 

 

「今日シャボンさん来るらしいぞ」

 

 

「本当か! ペロさん!」

 

 

「建やん昨日武器がやっと完成した! 完成したよ! ってはしゃいでいたかんな」

 

 

「建御雷さん……」

 

 

「大丈夫です、モモンガさん。ここまできたら最後までここに居ますよ。ただ、やる事なくなったんで、inの回数がたまに寄るくらいになると思うけれど」

 

 

「俺は建やんがプレイし続けるみたいやから、同調するで」

 

 

「ありがとうございます。建御雷さん、弐式さん。それじゃあ、私はシャボンさん迎えに行きますね」

 

 

 そう言って、俺は第一階層入り口へと転移する。

 しばらく霊廟前で待機していたら、向こうからツヴェーク達を切り裂きながら走ってくる白い人影が見えた。

 

 

「モモンガさ〜ん」

 

 

「シャボンさん! 伏せて! 朱の新星(ヴァーミリオン・ノヴァ)

 モモンガさんから高威力の炎攻撃系第九位階魔法が飛んでくる。

 放たれた紅蓮の炎は、瞬く間に標的だったツヴェーク達を蹴散らした。

 

 

「ありがとうございますモモンガさん。あとこれ、お土産です」

 

 

「わっちょっといきなり投げて寄越さないで下さいよー……ってこれ《熱素石(カロリック・ストーン)》じゃないですか! 一体何処で?」

 

 

「倒した上位ギルドが所有していた鉱山の所有権を、そのギルド潰して奪った」

 

 

「また飛んでもない事を! 全く貴方という人は……」

 

 

「ちなみに、その石二個あったので、それはその内の一つです」

 

 

「……」

 

 

「さ〜て、お土産もあげたし、今度は僕をモモンガさんのホームにあげてくれないですか?」

 

 

「上手いこと言わないでください。あと熱素石ありがとうございます。建御雷さんとペロさんが今来ていて、貴方に会いたいみたいですが……」

 

 

「お、分かりました。では勝手に……」

 

 

「おっと、少し待っていてください……っとあったあった。はい、これ」

 

 

「えっこれってまさか……《リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン》!?」

 

 

「貴方を信頼しているのであげますが、悪用しないでくださいね」

 

 

「僕なんかがもらって大丈夫なんですか?」

 

 

「もう一度言いますが、私は貴方を信頼しています。その信頼を決して裏切らないように。それが条件です」

 

 

「裏切る訳ないじゃないですか〜」

 あんたの所の第八階層のあれらが潰しに来そうだし

 

 

「建御雷さんは【円卓の間】に居ますよ。貴方に最強の一振りを見せたいそうです」

 

 

「おっ早速向かうか」

 

 

 そう言って僕は【円卓の間】へと転移する。

 


 いよいよ次回が最終日です。

 

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