ある転生者のオーバーロード   作:Solo Mon

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2.動き出すNPC達

「良かった。しっかりとナザリックも効果範囲内だ。うっかりモモンガさんに

ナザリックの隠蔽は予めしておいた』キリッ

 って大口叩いちゃったからな〜。全く気が抜けねぇぜ!」

 

 僕は【ナザリック地下大墳墓】入り口を通り抜ける。

 

 そのまま数kmほど先にあった【防壁都市ホーンバーグ】城下町に辿り着き、大通りを颯爽と駆け抜ける。

 

 城下町といっても、配置するNPCが足りなかった為、人は住んでいないが……

 

 やがて、前方に城への唯一の入場門である正門が見えて来る。

 その門前には大勢の人々が集まる。

 群がる竜達を掻い潜りながら、主要メンツが姿を表す。

 

「シャボンヌ様、全NPCの集合を完了しました。しかし、POPモンスターはその数から、城内に待機させざるを得ませんでした。」

 

「良い。ご苦労だったな、ティル。この後はゆっくり休め。では早速だが、説明に移ろう。」

 

ガゥア、ゥヲォォォオオオ! (皆、静粛に!)

 ティルルの咆哮により、全ての竜達が黙る。

 

「聞く用意が整ったようです。シャボンヌ様」

 

「ありがとう、ティル。では、まず最初に……単刀直入に言う。どうやら我等は元の世界とは別の世界に来てしまったようなのだ。」

 

「……別世界、ですか?」

 

「その通りだ、ヴァル。あと予め聞いておきたいことがあってな。この防壁都市の外部周辺を見た者はいるか?」

 

「……それなら、城下街の警備にあたっていた複数の竜から通告がありました。」

 

「ヴァル、そこには何と?」

 

「城外の景色が沼地から草原へと激変したと。」

 

「その通りだ。それに、我々の身体にも異常が見受けられた。そこで、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』と連携を組み、ことの対処にあたるつもりだ」

 

「それで『アインズ・ウール・ゴウン』と合併したのですね。」

 

 ティルルの言葉に無言で首肯する。

「さて、ではこれから指示を出す。それに従って行動を開始せよ。」

 

 ──────

 

 

 ティルルとヴァル以外は拠点の防衛に、2人は共に【ナザリック地下大墳墓】へと足を運ぶ。

 

「ご安心ください。例え御身が万が一襲われたとしても、必ず命をかけて、御身を御守りします。」

 

「私は……足手まとい……」

 

「ティルル、ちょっと重いから。「そんな!」……あと、そんなことないぞ〜ヴァル〜。しっかり気を持て〜。」

 行く先々不安しかない。

 

「全く御身をお手を煩わせるとは……『アインズ・ウール・ゴウン』……やはり

 

「何か言ったか? ティルル?」

 

「いえ、全く。」

 

 大丈夫かな〜? 

 ティルルが若干怪しいけれど……

 とにかく今はこれ以上モモンガさんを待たせる訳にはいかない。

 急いで向かうとしよう。

 


《モモンガサイド》

 

 霊廟前でヘロヘロさんと共にシャボンヌさんを待っていると、ヘロヘロさんが不意にこんなこと言い出してきた。

 

 

「モモンガさん……俺の頬を思いっきり……あっスライムだから頰無いじゃん!」

 いきなり何言ってんだこの人。

 

「ヘロヘロさん。やはり少し休んだ方が……」

 

「大丈夫です! いや、さっきなんてメイドさんとすれ違う度に『ヘロヘロ様!』って言いながら身体を寄せられて……ここってワンチャン天国なのでは……?」

 

「それが異常なんですよ! 今まで喋ることもなかったNPC達が動いている! 気付いたら沼地が消えて草原になっている! これは何か対策しないと……」

 

所謂(いわゆる)ラノベの異世界転生モノっぽいですね。まぁ俺達死んでないけど。」

 

「そういえばリアルの肉体は?」

 

「あっ」

 

「「……」」

 

 ────

 

 

 あれから俺のリアルでの体はどうなってしまったのかと、ヘロヘロさんとあれこれ話し合っていると、いつの間にか階段下にシャボンヌさんが来ていた。

 

「待たせたな。」

 

「大丈夫だ。わざわざこっちまで来て貰ってすまないな。」

 

「なぁにこれぐらいどうと言うことはない。それより、早速我が配下を案内してくれまいか?」

 

「あぁ。確かそこの……『ヴァル』ヴァルと言ったか? ここは初めてだろう。ここを案内する。」

 

「……ありがとうございます。」

 

『いやー演技上手いですねぇ!』

 

『うう、恥ずかしい……』

 

『確か以前は普通に……』

 

わー! わー! 

 

『確かその頃の口癖は……』

 

や、やめろォォォオオオ! 

 

Wenn es meines Gottes Wille(我が神のお望みとあらば)! 』

 

「ガハッ」パアアアア

 

「モモンガ様!? だ、大丈夫ですか!? 『伝言(メッセージ)』『全配下に告げる、敵襲……」

 

「落ち着け、デミウルゴス! 私の過去の過ちによるものだ……できればそっとしておいてくれ……(切実)」

 

「は、はぁ……『命令。モモンガ様御身が即座に対応なされた。野生の雑魚の様だ。御身の御手を……』」

 

 ちょっとやり過ぎちゃったかな? 

 ごめんね☆モモンガお兄ちゃん! (ぶくぶく茶釜風)

 

 しばらく待つと、モモンガさんが立ち直った。

 

「では、第六階層へと向かおうか。予め全守護者達を集めてある。」

 

「分かった。では早速、掴まれ、ティルル、ヴァル。」

 

「えっは、はい!」「……了解です」

 まさに両手に花。少し理性がヤバくなるものの、何とか持ち堪える。

 

『貴様……』

 

『何ですか? モモンガさん?』

 

『何でもない……』

 

 モモンガさんが妬ましそうな目線を送る。

 いや、原作でアルベドやアウラ、シャルティアに手を出しているじゃん。

 別次元では、インベルンの嬢ちゃんことキーノと付き合っているやんけ。

 

 そう心の中で突っ込みながら、僕は第六階層へ転移する。

 

 そこにはもう、付き添いのデミウルゴス、

 ペロロンチーノさんを()()()()()シャルティア、

 デカすぎて闘技場に入りきらないガルガンチュア、

 第八階層の番人ヴィクティムを除いた全階層守護者達が集まっていた。

 

「待たせたな。守護者達よ」

 

「いいえ、滅相もありません! モモンガ様。」

 

「では、至高の御方々に忠誠の儀を。」

 

(忠誠の儀? なにそれ?)

 モモンガの疑念そっちのけで忠誠の儀が始まる。

 

「第五階層守護者、コキュートス。御身の前に」

 

「第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ、」

「お、同じく第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ。」

「「御身の前に」」

 

「第七階層守護者、デミウルゴス。御身の前に」

 

「守護者統括、アルベド。御身の前に。」

 

 アルベドを最後に、場にいる守護者達全員が跪く。

 尚もアルベドは言葉を続ける。

 

「第一、第二、第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン及び、第四階層守護者、ガルガンチュア、第八階層守護者ヴィクティムを除き、各階層守護者、御身の前に平伏し奉る。……御命令を、至高なる御方々よ。我等の忠義全てを御身に捧げます。」

 

 ザッという効果音が似合いそうな程カッコいい。マジで。

 

『ど、どうしますか? これ最初から全員忠誠度クライマックスですよ!』

 

『と、取り敢えず「命令を、」って言ってたので、何か命令すれば良いかと……』

 

『そうだ! セバス! セバスの報告を待つように……』

 

『いや、取り敢えずはここが【Yggdrasil】とは全く別の世界の可能性があることを伝えたらどうでしょう?』

 

『オケです! それで行きましょう!』

 

 そうして、モモンガさんが口を開ける。

「では、面を上げよ、守護者達よ。」

 

 次の瞬間、モモンガさんから常時発動型特殊技術(パッシブ・スキル)

『絶望のオーラⅣ』の黒い覇気が辺りへ飛ぶ。

 

(モモンガさん、緊張しているなぁ。ならば僕も……)

 

 聖騎士(パラディン)最終スキルの一つ、『剣聖のオーラⅣ』を発動させる。

 それに乗じてヘロヘロさんまで『漆黒の瘴気Ⅳ』を発動させるものだから、浴びせられた守護者達は堪ったものではない。

 

 コキュートスは下顎から音が出る程全身を震わせている。

 アウラは顔がもう泣きそうになっている。

 マーレは最早気絶しそうになる程まで追い込まれている。

 デミウルゴスは、「これが……! 至高なる御方々の御力……!」っと、両眼を歓喜に満たして、両手を前に差し出している。

 アルベドは、光悦とした顔で両手を前に組み、「この身、全てを捧げます」とか言いながら僕たちに祈り始めた。

 

 ……すまん、またやり過ぎた。

 

『これは……やらかしましたかね?』

 

『アウラとマーレが可哀想なので、そろそろ止めたらどうでしょうか?』

 

『そうですね。茶釜さんが本気で殺しに来るかもしれないですし(汗)』

 

 そうして僕たちはスキルを解除する。

 

 モモンガさんに目で合図を送り、発言を促す。

 

「よく集まってくれた、守護者達よ。お前たちの忠誠に、感謝しよう。お前たちであれば、我らの考えを読み取り、今起こっている問題を十分に対処できると確信した。」

 

 守護者を代表して、アルベドが答える。

 

「非常に勿体なきお言葉。全配下の総力をもって、事の対処に当たります。今起きている問題は、ヘロヘロ様の()()()()と関係性はあるのでしょうか?」

 

 いきなりキツイのきたー

『どどどどうしましょう?!』

 

『そのまま伝えてもきっと理解してくれないし、かと言って少し変えるにしても、きっとバレる。一体、どうすれば……』

 案の定慌てるモモンガさんとヘロヘロさん。

 

『ここは僕に任せてください。』

 

『『シャボンヌさん?!』』

 

『先に言っておきますが、ごめんなさい!』

『待て! 嫌な予感が……』

 

 そう言って『伝言(メッセージ)』を切り、言葉を発す。

 

「その件は私が話そう。まず、リアルという言葉は知っているか?」

 

「はい。確か、至高の御方のみが行ける、別世界のことだと」

 

「その通りだ! アルベドよ。流石は我が盟友、モモンガが居城であるナザリックの守護者統括であり、大賢者タブラ・スマラグディナの娘だ。」

 

「お褒めのお言葉、誠に感謝いたします。」

 

「さて、そのリアルについてだが、単刀直入に言うと、世界軸が瓦解し、崩壊した可能性が高い。」

 

「な!?」

 

「そ、それはつまり、今この場にいない御方々は……」

 

「い、嫌だよぉ〜! お姉ぢゃぁぁん!!」

 

「マ、マーレ! アンタ何泣いてんのよぉ! 茶釜様は、茶釜様はきっと、無事だから! 大丈夫だから!」

 

「ナントイウコトダ……」

 

「そんな……まさか!」

 

「リアルでは我らは強大な敵、『キギョウ』による侵略を受けていた。奴らの目的は新たなる世界軸の形成。その為にリアルの世界軸の破壊を画策した。」

 

「『キギョウ』……」

 

「そいつらが……」

 

「オノレ『キギョウ』! 絶対二許スマジ!」

 

「そのキギョウが使役する魔獣は『カイシャ』と呼ぶ。この『カイシャ』はキギョウが出来ない世界軸の破壊能力を持っている。一体だけでも非常に危険な魔物だった……そこで! 退治する為に、武力を持つ者達だけを集めた仕事人の集団、『カイシャ・イン』が作られた。インは打倒という意味がある。」

 

「成る程! だからあの時武人建御雷様と弍式炎雷様は……」

 

「彼らは、最後の仕事をしに行った。我等にここを託して。しかし、彼等は多分負けてしまったのだろう。」 

 

「最後の仕事……? それにあの御二方が負ける……?」

 

「以前までは『カイシャ』の排除を我等『カイシャ・イン』が食い止め、『キギョウ』はその妨害をするというサイクルで成り立っていた。そんな中、遂に我等の敵、『キギョウ』は『カイシャ』とは別により強力な化け物を誕生させた。サイクルを破壊する程の力が必要だったのだろう。しかし、あまりに凶暴過ぎる()()()は、自らの生みの親である『キギョウ』をも殺し、この世界の破壊を更に進行させたのだ。ック!」

 

「その、()()()とは一体……?」

 

「『テロ』、破壊神『テロ・リストン』だ。奴だけは絶対に、絶対に許さぬ!」

 

「『テロ』……か。」

 

「……ということは、シャボンヌ様。次々とお隠れになられた御方々は、『テロ』を倒しに行っていたということですね? ということは、モモンガ様やヘロヘロ様、ペロロンチーノ様に、シャボンヌ様も『テロ』なる者を倒しに行く筈だったのでは?」

 

「我は頼まれたのだ。我が友モモンガを1人残して、生きて帰れるかも分からない戦い《ラグナロク》に身を投じていった残りの同胞達に。『ナザリックを、愛するギルドをよろしく頼みます。』と。」

 

「そうだったのですか……」

「そんな……」

「何ト……」

 

 尚も話を続ける。

「リアルには、我等の本当の故郷であり、同時に約束の地である『アズマノミヤコ』があった。我が友モモンガはここナザリックに隠れ、《ラグナロク》を回避することを提案した。しかし、その矢先、『キギョウ』によって洗脳された3500からなる軍勢が、我のギルド『七つの竜星』とモモンガのギルド『アインズ・ウール・ゴウン』を襲った!」

 

「あの時の……!」

 

「操られていたのですか……普通我等の拠点に足を踏み込むことなど到底考えられないので、もしやとは思っていましたが……」

 

「その一件で、元の世界【Yggdrasil】も危険と判断した仲間が次々と自決し、去っていった。しかし、モモンガもまた、彼等に頼まれてここにいる。」

 

「つまり、世界軸の崩壊は……」

 

「認めたくはない。だが、彼等の死を意味することは明白だ。」

 

「うぁ、ああああああ!!!」

 

 守護者達の嘆きの声が響く。

 その声は、とても痛々しく、悲痛で、悲しみに溢れていた。

 

「しかし、安心して欲しい。彼等はまだ生きている可能性もある。」

 

「えっ?」

 

「破壊神『テロ・リストン』の目的もやはり『キギョウ』と同じくより良い世界軸の作成。世界軸の作成には元の世界の破片も必要なのだ。」

 

「ま、まさか!」

 

「あぁ、もしかしたら、世界の破片に残っていた記憶によって、生き返れる可能性がある。ごく僅かな確率だが、私は叶うと信じている。そして! 生き返った彼等の帰還を待とうではないか。それが託された者の務めだ。」

 

「やったよ〜〜!!! お姉ちゃ〜ん!!!」

 

「こら! 鼻水垂らしながら近づかないの!」

 

「至高なる御方々が、戻ってきてくださる……!!」

 

「だからあのような……申し訳ありません、タブラ様。」

 

「オ迎エニハ是非コノコキュートスメニオマカセヲ。必ズヤ至高ノ御方々ヲ見ツケ出シテ御覧ニイレマショウ!」

 

「あ〜コキュートスずるい〜。私も茶釜様を迎えに行きたい〜!」

 

 守護者達から歓声や嬉々とした声が響く。

 

『何言ってるんですか!!! シャボンヌさん!!!』

 

 案の定モモンガさんから伝言(メッセージ)が飛ぶ。

 

『いや〜我ながら結構上出来だと……』

 

『キギョウやらカイシャやら、絶対企業と会社から取ってますよね! しかもコレどうするんですか! もし帰還した人がいたら、たちまち守護者達発狂しますから!』

 

『いや、別に良いと思いますよ、俺は』とヘロヘロさん。

 

『だって、沢山の美女達から羨望の眼差しを向けられる……それがメイドさん達ならばどれほど最高か……』

 

『そういう問題……そっか、案外喜びそう、あの人達。』

 

『茶釜さんとか戻ってきたら真っ先にアウラとマーレが餌食にされますねw』

 

『そういえばペロロンチーノさんだ。あの人今頃……』

 

『シャルティアという嫁に性的に襲われていますよ。多分(遠い目)』

 

『明日が楽しみだ……』

 

『モモンガさん、絶対ペロさんに『昨日はお楽しみでしたね(ニコニコ)』って言うつもりだ!』

 

『な、何故バレた?! さては、お前超能力者だな!』

 

『あ、ある意味今はそうかも……』

 

『そうだった〜今俺達人間じゃなかったわ〜』

 

『モモンガさん、キャラが崩壊してますよ。』

 

『あぁ、少し気が昂ってしまいましたね。あっ精神抑制働いた』

 モモンガさんの全身が薄く緑色に光る。

 

『貴方のさっきのあまりにもあまりな話の所為です。こういうことは事前に……し忘れていたの俺だわ。』

 

『モモンガさん……自爆しましたねw』

 

『うるしゃい!』

 

 そんなこんな伝言(メッセージ)で会話する姿は、側からみれば居なくなってしまった仲間達へ想いを馳せる頂上者達の姿そのものなので、守護者達からはその玉体に我々が魅入られてしまうかの様な神々しい御姿だったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ここで本題に入るが、その世界軸の崩壊による影響を受けた所為で、我々は他の世界軸に飛ばされた可能性が高い。一先ずはナザリック外の情報の収集を行うつもりだ。」

 

「拠点の隠蔽はどうなされるおつもりなのでしょうか?」

 

「シャボンヌがワールドアイテムによる多重隠蔽を施している為、一先ずは安心だ。」

 

「ワールドアイテムとは、全世界に200程しか無い貴重なアイテムであり、我がギルド『七つの竜星』とモモンガのギルド『アインズ・ウール・ゴウン』をもってしても、26個程しか手に入れることが叶っていない。」

 

『逆にこれだけ集めたウチらが凄いと言えるのか……』

 

「しかし、その効果は一つの世界に相当する程強大な物。生半可な奴らでは決して見つけることなど不可能よ。」

 

「ということだ。後でアウラにこのナザリック地下大墳墓のダミーを作って貰うつもりだ。アウラよ、よろしく頼んだぞ。」

 

「はい! 精一杯やらせていただきます!」

 

「うむ、だが周辺地理が分からない以上、配下1人に未知の危険を背負わせることは危険だと判断した。そこでだ、まずは我等が調査に行く。」

 

「ダメです! 御身に危険が……」

 やはり、全配下が反対してくる。

 

「大丈夫だ、安心しろ。今までの経験こそ我が力なり。不意を突いてくる相手との戦闘には慣れている。」

 

「待ち伏せされている可能性があります!」とデミウルゴス。

 

「待ち伏せなど仲間がやられたことにより、襲う拠点がより強固な警備体制になるリスクを負うことを知っている者はそんなことはしないだろう。」

 

「相手がこちらの戦力の削減を目標にしているかもしれません。」 とアルベド。

 

 少し言葉に詰まるモモンガさん。

 すかさずフォローに回る。

 

「大丈夫だ。いざとなったらティルルやサンズが防衛に回る。サンズは大方自分の店が潰れるのを恐れて、かな?」

 

「……どうしても行くというのですね?」

 

 遂にデミウルゴスとアルベドが折れる。

 

「無論。すまないな、守護者達よ。」

 

「でしたら共をお一人でもお連れして……」

 

「うむ、出来れば配下達にはダミーの建設とナザリックの防衛を任せたい。却下だ。」

 

「そう、ですか……」

 

「その代わり、お前たちには近々別の指令を出す予定だ。忙しくなるぞ〜。」

 

「は! ありがたき幸せ!」

 

「……ゑ? 

 

『流石はモモンガさん! 守護者達の社畜属性凄いですねぇ! 一体どう作ればこう……』

 

『いや、作ったの別の人達だから!』

 

『責任転嫁ですか。最低ですね。ギルド長なのに。』

 

『いや、そういう訳では……でも俺にもさっぱりですよ! 一体どうしてこうなった……』

 

『まぁ、ウチのNPC達も忠誠度ヤバそうでしたから、恐らくはNPCの性何ですかね?』

 

『貴方人のこと言えねーじゃん! (パアアアア)……まぁ多分そういうことでしょうね。』

 

『モモンガさんの切り替えの早さヤバい……』

 

『ヘロヘロさん、それな』

 

『何か直ぐに精神抑制が働くんですよねー。』

 

『便利そう(小並感)』

 

『でも喜びまでも抑制されるから、やってらんなくなりますよ。』

 

『不便そう(小並感)』

 

『掌クルックル過ぎて手が捻じ切れてるやん……』

 

ゴホン! ……最後に、セバスがもうすぐ帰還するであろう。セバスからの情報を確認して解散とする。」

 

『モモンガ様。ただいま調査の方が終了いたしました。』

 

『ご苦労だったな、セバスよ。即時帰還するが良い。』

 

『畏まりました。』

 

 

 

 しばらくすると、セバスが指輪を使って転移してきた。そのまま僕たちの前まで来ると、跪いて臣下の例をする。

 

「お待たせいたしました。モモンガ様。」

 

「セバスよ、よくぞ戻った。して、調査の結果を皆に伝えよ。」

 

「は! ナザリック地下大墳墓より半径1kmの土地の全てが広大な草原でした。しかし、北部に広大な森林が広がっており、そこにはよく踏み込んでいませんが、見たところ強者の気配は感じられませんでした。南部にはシャボンヌ様の居城と思しき城とその城下町がありました。他には人工的に作られた建造物や主だった地理的特徴は見受けられませんでした。」

 

「ご苦労、セバス。ゆっくりと休むが良い。ということだ、理解したかな? 守護者達よ。我々は未開の地に降り立った。まずはこの世界のことを知らなければならない。随時、こちらから指示を送るから、それに従って動いて貰いたい。」

 

「了解致しました!」

 

「では、解さ……」

 

一つ、あなた方に聞きそびれた事がありましたね。……モモンガ、すまない、少々気になる事が。」

 

 モモンガさんが解散しようとしたその時、ヘロヘロさんが待ったを掛ける。

 

『ヘロヘロさん、何を聞くつもりですか?』

 

『念の為守護者達から俺らがどう思われているか知りたいのです。長らく此処に来れなかったですから。』

 

『確かに、僕がナザリックの者にどう思われているか気になりますね〜。』

 

「守護者達に問おう。何せ長らく此処を留守にしてしまった身だ。改めて聞きたい。我やモモンガ、シャボンヌは、お前たちの中ではどういう存在なのだ? 正直に答えてくれ。」

 

 彼等はこの後、後悔することになる。

 何故か? 

 それは……

 

「ヘロヘロ様ハ武器破壊ト相手ノ行動阻害二秀デタ御方デアリ、至高ノ御方々ヲ裏カラ支エル大黒柱トイウベキ御方デアラレマス。モモンガ様ハ至高ノ御方々ノ頂点デアラセラレ、ナザリック地下大墳墓ノ絶対的ナ支配者デアラセラレマス。シャボンヌ様ハ、武、技、知、全テニオイテ完璧タル御方デアリ、我ニ目指ス目標ヲ与エテクダサッタ心優シキ御方デアラレマス。」

 

「ヘロヘロ様はいつも『ブラックキギョウ』なるキギョウと戦っておられた勇敢な方です! モモンガ様は少し怖いですが、本心は慈悲深く、また配慮に優れた御方だと思います! シャボンヌ様はとてもカッコいい御方です!」

 

「へ、ヘロヘロ様はメイドの方々にす、すごく優しい方です、モッモモンガ様は怖いけど、優しい方だと思います……シ、シャボンヌ様は、と、とってもカッコいいです!」

 

「ヘロヘロ様は御身の身体特性における有用性を全て熟知した上で、敵の翻弄への有効的かつ最善の方法・タイミングでの敵への妨害工作を図られる、ナザリックきっての智謀の将であられる御方です。モモンガ様は賢明な判断力と、それを瞬時に実行される行動力を兼ね備えた方。まさに、端倪すべからず、という言葉が相応しい御方です。シャボンヌ様は数多の竜を従える卓越した統率力と、超常的なバイタリティを巧みに駆使する、御身は言わば迅速果断、という言葉に相応しい御方です。」

 

「ヘロヘロ様は戦争の前にナザリックに再び戻ってこられた慈悲深き御方であられます。モモンガ様はナザリックを外敵から守るために1人孤独な戦いにみを投じた勇敢な方です。シャボンヌ様はそんなモモンガ様を支えるべく此処に残った優良な御方であらせられます。」

 

 WOW〜とんでもねぇ高評価だ! 

 

『『『……ファ?!』』』

 

 

「各員の考えは十分に伝わった。では、解散とする!」『円卓の間です!』

 

 その言葉を合図にモモンガさんは転移する。

 続けてヘロヘロさんと僕が転移する。

 闘技場には、階層守護者達と連れてきたヴァル、ティルルだけが残された。

 

 ────────

 

 第九階層【円卓の間】。

 

『『『あいつら……マジか……!』』』

 

 三人の異形達が円卓を囲む……其々この高い評価をどうすべきか考えながら……

 

 

 

 

 

 

 彼等は知らない。あの場に守護者と従者以外の者が隠れ、一部始終を全て聞いていたことを。

 彼等が知ることは無い。この日に侵入した者のことを。

 

 

 

 

 その侵入者の名は……

 

 

 

 

 

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