ある転生者のオーバーロード   作:Solo Mon

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5.階層守護者達の思惑

 至高の御方々が去り、円形闘技場(アンフィテアトルム)には階層守護者達とティルル&ヴァルが残される。

 

 ティルル:(アインズ・ウール・ゴウン……シャボンヌ様に楯突くようなら、この場でブッツブシテヤル。)

 

 

《〜教えて!デミえもん!〜》

 

 

 アウラ:「ねぇデミウルゴスー、至高の御方々は何故私達をリアルへ連れて行かなかったのかな?」

 

 

 デミえもん:「ふむ、じゃあ逆にアウラに問うが、大切な人、例えばマーレやぶくぶく茶釜様に、死ぬ危険性の高い任務をする上で一緒に付いて来るように言うかね?」

 

 

 アウラ:「……成る程、そういうことだったのね! ありがとうデミウルゴス!」

 

 

 デミえもん:「ふふ、お安い御用さ。それよりも今は、至高なる御方々のお考えに従うべき。先ずは部下への聞き取りを行うべきだと愚考するよ。」

 

 

 アウラ:「どうして?」

 

 

 デミえもん:「恐らく至高なる御方々は、我々下僕達の働きを見ているのだよ。我々が信頼に値する部下か、はたまた有能な僕であるのか、十分に見分けたいのだ。あくまでも私如きの推論に過ぎないが。」

 

 

 アルベド:「つまり、自力で私達がどのような行動を起こせるかについて、自分達なりに考えてみよ、というモモンガ様からの試練なの。同時に、そうでなければいつまでも重要な任務は任せられない、とも暗に示されていると思うの。」

 

 

 コキュートス:「我等ハ試サレテイルノカ……」

 

 

 マーレ:「も、もしかして初めから御方々はそれを計画されてたのかなぁ……?」

 

 

 デミえもん:「そう! 良く思い返してみて欲しい。最初に御方々は、自らの力の片鱗をお見せになられた。これはズバリ! 我々下僕が、御身の力に畏怖し、同時に羨望を掻き立てる為の至高の御方々の計略! それはまだ序の口でしかないと言うところが、御方々の偉大さの現れですね。」

 

 

 アウラ:「つまり、私達に素直に従うのだ! ってことを暗喩に表そうと……」

 

 

 ヴァル:「……それだけではないと思う。」

 

 

 アウラ:「! じゃあ他にどんな意味が?」

 

 

 ヴァル:「御方々から感じられた気は、それぞれ3種類。一つは瘴気・相手に複数のバッドステータスを与える。一つは絶望・相手への即死効果と恐慌のバッドステータスを与える。一つは剣聖・味方の闘志を高め、相手の能力値の強制ダウン……何か気づかない?」

 

 

 アウラ:「え〜分かんないよ〜」

 

 

 デミえもん:「ふむ、剣聖以外天使系やゴーレム系の種族の者達にレジストされてしまう……か。」

 

 

 ヴァル:「そう。さらに、ティルの神龍のような、神を持つ者に苦戦する可能性が……」

 

 

 デミえもん:「成る程、つまりは、至高なる御方々は、我等の成長を望んでおられる、と言うことですね?」

 

 

 ヴァル:「……そう。」

 

 

 アウラ:「それで他にはどのようなことを?」

 

 

 デミえもん:「次に、シャボンヌ様からのお話にあった、カイシャや、破壊神テロだが、御身が何故それを敢えて我等に伝えられたと思うかい?」

 

 

 ティルル:「言いたくないし、認めたくないけど、御方々にとって強敵となりうる存在の指摘ね。」

 

 

 デミえもん:「その通りです! 此処でも暗に強くなって欲しいと言う御方からのメッセージが秘められている!」

 

 

 アルベド:「そして、プロパガンダ。」

 

 

 アウラ:「ぷろぱがんだ?」

 

 

 アルベド:「ある仮想敵を作り、それに対する特定の行動を促すことで、民衆を特定の思想に収める行為のことよ。」

 

 

 アウラ:「え、ということはあの話は全てフィクション?」

 

 

 アルベド:「恐らくは。それか本当のことをお伝えしておられるのかもしれないけど、どちらにせよ守護者の団結を促す行為である事に間違いはないかと」

 

 

 アウラ:「へ〜。やっぱ凄いや! 至高なる御方々は!」

 

 

 デミえもん:「我等に危険な行動を慎むようにという建前で、下僕の自主性を促し、かつ、下僕の身の危険を未然に防ぐ……流石です。モモンガ様、シャボンヌ様、ヘロヘロ様!」

 

 

 アルベド:「すべては最初からとは……」

 

 

 アウラ:「どういうこと? アルベド」

 

 

 アルベド:「私はモモンガ様の言った、ヘロヘロ様の()()()()が無ければ、疑問を提示し、シャボンヌ様が答えると言った一連の動作は無かったわ。」

 

 

 アウラ:「つまり……」

 

 

 デミえもん:「そう、全ては最初から至高なる御方々の計略の内に。至高なる御方々は最初から分かっていらしたのだよ! 我等がどう行動するかなど!」

 

 

 アルベド:「全て至高なる御方々の掌の上、盤上のコマだった……あぁ! そこに痺れる、憧れるゥ!!!」

 

 

 デミえもん:「さて、そろそろ私は失礼させて貰うよ。守護者統括殿からは何かあるかい?」

 

 

 アルベド:「そうね、各自、自身の守護階域の下僕達への聞き取り調査と、自身の鍛錬に励みなさい! 至高なる御方々からの失望は絶対に赦しません。」

 

 

 ティルル:「さて、私達はシャボンヌ様からの指示があるまで待機させて貰うよ。ごめんね、アウラちゃん。」

 

 

 アウラ:「うん、別にいいよ〜! なんなら私の魔獣を見てくる? 見てみる?」

 

 

 ヴァル:「……お馬さん」

 

 

 アウラ:「うん? 馬みたいな魔獣……確かユニコーンがいたような……」

 

 

 ヴァル:「……可愛いな」

 

 

 アウラ:「……ヴァルちゃ〜ん?」

 

 

 ティルル:「あー今完全に自分の世界に入っているわー。」

 

 

 アウラ:「戻って来ない……」

 

 

 ティルル:「しばらくはそっとしておいてあげて。」

 

 

 アウラ:「分かった! じゃあアタシはそろそろ行くね!」

 

 

 ティルル:「あ、うん。またね!」

(何だ、優しそうな方ばかりで良かった!)

 

 最初の殺気は何処へやら、いつの間にか雲散してしまったティルルちゃん。

 鼻歌を吹き、とてもご機嫌のようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《*注意……以下、鬱展開です。それが嫌だという方はプラウザバックを推奨します。》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《アルベド視点》

 

 

 

 

 

 

 

 私は、憎んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない、アルベドよ。もう会うことはないだろう。最後に、これを。」

 

 あぁ、何故行ってしまわれるのですか? 

 何故会えないのですか? 

 教えて下さい! タブラ様……

 

 何故、去っていくのですか? 

 私達が何か失態を犯したのなら、この場で命も捨てます! 

 戻ってくださるのであれば、私は何でもします! 

 

 

 だから……だから! 

 お願い……捨てないで……下さい……

 

 

 ────────

 

 

 

 

 とうとう残られた御方は片手で数えられる程になってしまった。

 その中でも、モモンガ様だけが毎日来てくださる。

 モモンガ様お一人で、毎日此処を管理なされている。

 モモンガ様は、悲しんでいた。

 至高の御方々が次々と去っていくのを。

 私は思った。不敬を承知でこう思ってしまった。

 

 

 モモンガ様は私と似ている、と。

 

 

 

 ────────

 

 

 

 

 とうとう他の御方々が来なくなり、

 1人残されたモモンガ様。

 何故だろうか。私は憤った。

 

 モモンガ様をお一人で残して去っていった他の御方々に、

 そして、何の前触れも無しに去っていった創造主に。

 

 同時に思った。

 モモンガ様を慰労できるのは私だけではないかと。

 あぁ、モモンガ様。お一人で残られ、苦悩されている。

 お辛いでしょう。

 

 

 私だけは、ずっと貴方の味方です。

 

 

 ────────

 

 

 

 

 モモンガ様は最近出張で玉座の間にいらっしゃらないことが多くなった。

 モモンガ様の独語に耳を傾けていると、ギルド維持費がどうたらと聞こえた。

 

 ふと、こう妄想した。モモンガ様は旦那様で、私がお嫁さんとなることを……

 キャー!! 恥ずかしい! 

 ダメよアルベド! 

 こんなのふ、不敬以外の……

 

 

 でも、もしもそうならどれほど良いのだろう? 

 

 

 ────────

 

 

 

 モモンガ様が何やら他の者とギルド維持費を稼いでいるそうだ。

 モモンガ様の独語からシャボンヌという、何処かで聞いたような名前が……

 確か、三千五百人の人間を我等と手を組み撃退した者だったか……

 誰にせよ、モモンガ様までも我等から奪おうとするとは……

 

 

 不快ですね。

 

 

 ────────

 

 

 

 モモンガ様より私もお供として付き添う事ができるようになった。

 不覚にも、それはシャボンヌの提案だったそうだが、モモンガ様にお呼ばれして嬉しかった。

 その時はまだ、精一杯頑張ります! と張り切っていた。

 

 道中、モモンガ様はシャボンヌと合流するやいなや、楽しげに話を始めた。

 悔しかった。

 敵は一つ目の巨人だった。

 シャボンヌが斬り込み、

 モモンガ様が魔法で攻撃する。只それだけなのに、何年も積み重ねて来たかのような巧みな連携術で、終始私は圧倒された。

 恨めしかった。

 

 しかし、同時にこの方には勝てないと本能で分かってしまった。

 彼と会話するモモンガ様は、とても楽しそうで……悲しげな表情など何処にも見られない。

 

 私など、眼中にもないだろう。

 そう卑屈な考えに囚われる。

 

 私なんて、どうせ、どうせ……

 教えて下さい、いや、教えなさい、タブラ。

 

 

 何故私をこんな風に作ったの? 

 

 

 ────────

 

 

 

 3ヶ月間、モモンガ様はずっと私を側に置いてくれた。

 同時に、シャボンヌ様もまた、モモンガ様と同じ境地にあったみたいだった。

 

「シャボンヌさん一人でこれ倒していたんですか?! それも毎日?!」

 

「えぇ。というか一緒に行ける仲間など居なかったもので……」

 

「シャボンヌさん、もし良かったらこっちに移りますか? 枠まだ空いてますから」

 

「いや〜でもな〜、ソロを貫く! って宣言しちゃったから最終日までずっとソロですよ、僕」

 

「気が変わったら教えて下さい。いつでも待ってますから!」

 

「ハハ、考えておきますよ。今はまだその時ではないだけですから

 

「ん? 何か言いましたか?」

 

「いんや〜何にも〜?」

 

 お一人でずっと……そうか、最初から誰もいない方が良かったのか。

 それなら悲しむことはなくなる。

 

 

 

 でも、それなら何故、モモンガ様は他の者と交流しているのだろう? 

 

 

 

 ────────

 

 

 

 

 この日はいつもとは全く違った。

 

 今まで来る回数が疎らだった御方々も、この日は集結した。

 ヘロヘロ様、ペロロンチーノ様、武人建御雷様、弍式炎雷様……たった4人だけでも、この日は以前のように活気に満ち溢れた。

 そして何より、モモンガ様がすごく嬉しそうだった。

 

 そうか、やっと分かった。

 

 

 

 楽しさを感じることが出来るから、他者と仲良くなるんだ。

 

 

 

 だからモモンガ様は待ち続けた。

 そして漸く仲間と再会することが出来た。

 

 それに比べて、私は……

 

 本来ならば、タブラ様の帰りを待たなくてはならなかったのに、一人で勝手に憎悪を抱き、不敬な念まで持った。

 

 あぁ、タブラ様、申し訳ありません。

 私は、間違っていました。

 

 

 同時に悟る。時は逸した、と。

 それに気付くのが余りにも遅すぎた、と。

 

(不出来な娘で申し訳ありません。タブラ様。)

 

 

「それにしてもどうしてシャボンさん来ないんでしょうか?」

 

 シャボンヌ様がいらっしゃらないのはどういうことなのか? 

 まさかあの御身も私達に愛想を……? 

 

「そろそろ頃合いですかね。私はお暇します。」

 

 あ、待って下さい! 

 

「また、いつかお会いしましょう。」

 

 その言葉はもう聞き飽きました! 

 もう、私達を悲しませ……

 

「私が来た!」

 

 ……シャボンヌ様! 

 

「シャボンさん! 遅かったですね。何かあったんですか?」

 

「カイシャが今日に限って無理難題吹っかけてきやがったんですよ!」

 

 カイシャ? どういう存在何ですか? 

 

「我ら『七つの竜星』は、これまで『アインズ・ウール・ゴウン』とあくまで同盟関係だった。しかし、この時を持って、私は『アインズ・ウール・ゴウン』に忠誠を誓う!」

 

 え!? ま、まさか! この言葉の為に……

 何と素晴らしい御方なのでしょう。

 

「我が世界、ヘルヘイムとは別の世界の長であり、我が盟友よ。相も変わらず面白い冗談を言うな。其方は我等が仲間として、同じ円卓を囲もうではないか!」

 

「つまりは、我らは対等な立場と?」

 

「その通り! 皆に告げる、我が盟友シャボンヌは我等と同格の存在。敬い、讃えるのだ!」

 

 モモンガ様! 私は感動です! 

 シャボンヌ様、これからは忠実な僕として、貴方様にお仕えします。

 もう貴方様を裏切るような行為は絶対にしません。

 モモンガ様、ナザリックを纒める偉大なる御方への感謝も込めて、

 此処に誓います。

 

 ────────

 

 

 

 シャルティアとペロロンチーノ様の……

 恥ずかしいので言いません。

 それから私は動けるようになった。

 

 モモンガ様が何やら高等な舞踊を披露していらっしゃる。

 

 私は敬意を持って、こう言葉を告げる。

 

「如何なさいましたでしょうか? モモンガ様、シャボンヌ様。」

 

 

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