ある転生者のオーバーロード   作:Solo Mon

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7.襲撃された村

 〜転移4日目〜

 

 今朝、ペロロンチーノさんがシャルティアと腕組んで執務室に入ってきた。

 二人ともめっちゃ艶々している。

 この人達、三日間もなにやってんだ。

 

 

「モモンガさん、俺、やっちゃいましたよ。シャルティアと◯◯◯◯や◯◯◯とか……」

 

 

「生々しい! 止めてください!」

 第一声の酷さに思わず素が出てしまう。

 

 

「シャルティア、覚えて置くんだぞ。モモンガさんはウブ(純情)だ。逆レ対象だな。」

 

 

「くひっ、分かりましたでありんすえ。ペロロンチーノ様ぁ〜ん。」

 

 

『ちょっと! 何教えているんですか! 止めてください!』

 

 シャルティアの獣欲に満ちた目から襲われる自分を幻視してしまい、即座にペロロンチーノに抗議をする。

 

 

『はーい。』

 意外とあっさり引き下がった。

 

 

『素直でよろしい。』

 

 

『あ、後、シャルティアにはリアルの事を……』

 

 

『えっ全部?』

 

 

『断片的に。例えば、俺はエロゲを買ったりしていたこととか……』

 

 

『詳しく言え、今すぐに』

 

 

『モモンガさん……やっと分かってくれ……『分かりたくもないし聞いてるのはリアルの事どれくらい話したかです。』……アフン』

 

 

 ペロロンチーノとモモンガは、『伝言(メッセージ)』での密談を開始する。

 

 一方シャルティアは、ペロロンチーノとの昨日の夜の運動会を思い出しながら、もしもそこにモモンガが入ったらどうなるか連想していた。

 

 脳内完全にピンク一色である。

 

 ────────

 

 

 

 

 ペロロンチーノさんはどうやらリアルの事について、エロゲに関することしか言っていなかったそうだ。

 

 こちらからは今日の昼に執務室集合と周辺調査の旨を伝えた。

 

 

「シャルティアよ。」

 

 

「はい! 何でしょうか? モモンガ様ぁん!」

 

 

「話しておきたい事があってだな……」

 

 

「! もしかして3Pのお誘い!」

 

 

「違う。そう、リアルについてだ。」

 

 

「あぁ、ペロロンチーノ様がエロゲなる所でもご立派なされていたというあのリアルの事でありんしょうか?」

 

 

「ペロロンチーノ!」

 

 

「すんません!」

 

 

「はぁ。ペロロンチーノさんはな、リアルでは『カイシャ・イン』精鋭部隊の隊長だったのだ。」

 

 

「えっ、そうだったのですか?! 隊長! あぁ! 素敵です! ペロロンチーノ様あ!」

 

 

『ええええええええゑゑゑゑゑゑゑゑゑ?!』

 

 

『合わせて下さい! ペロロンチーノさん!』

 

 

「まず、我等はリアルにおいて、『キギョウ』という者達と戦っていた。奴等の目的は、新しい世界軸の構成。その為にはリアルの世界軸が邪魔だったのだ。彼は、その『キギョウ』が生み出した『カイシャ』という化け物を狩るスペシャリストだった。彼は1日にとんでもない量の『カイシャ』を倒していたのだよ。」

 

 

「い、1日200は余裕だったぜー」

『いきなり何言い出すんですか!!』

 

 

『すんません! これシャボンヌさんが考えたシナリオでして……』

 

 

『シャボンヌさん厨二病だった?』

 

 

『ですね。』

 シャボンヌの厨二病が露見してしまった! 

 

 

「そう、ペロさんは強すぎる力が原因で、敵からも味方の筈のカイシャ討伐隊『カイシャ・イン』の仲間からも攻撃された。」

 

 

「なっ! 至高の御方であり私の旦那様! であるペロロンチーノ様に攻撃とは……そいつら絶対に許さない! ブッコロしてやる! 

 

 

「待て、シャルティアよ。」

 

 

「ぺ、ペロロンチーノ様? 何故です?」

 

 

「もう既に俺が消した。そう怒るな。可愛いい顔が台無しだぞ? 

 

 

「か、かわっ……ペロロンチーノ様ぁ〜ん!!!」

 

 

 そう言ってペロロンチーノにルパンダイブするシャルティア。

 相手が峰不◯子だったら避けられていただろう。しかし、仕掛けるお相手はロリコンエロゲバードマンだ。

 そのまま二人は「もつれ愛」、「抱き愛」、イチャイチャし合う。

 

 

 それを横目で少し羨ましげに見やる骨。

 リア充と非リアの対立は深まる……

 

 

ゴッホン! さて、話の続きをしようか?」

 

 

「「すみません。」」

 

 

「今、ペロロンチーノさんは力を自ら封印しているのだよ。何故か? それはぺロさんの持つ力への嫉妬に悩まされてしまったからだ。」

 

 

「嫉妬とは見苦しい。そんな奴等、お望みとあらば妾が消すでありんすえ。」

 

 

「いや、それは無駄だ。シャルティアよ。」

 

 

「何故でありんしょうか?」

 

 

「もうその時間軸が消滅してしまったからな。」

 

 

「い、一体どういう……」

 

 

「正確に言えば破壊されたというのが正解だろう。」

 

 

「「破壊?!?!」」

 

『ちょっと、何でペロさんも叫んでるんですか……』

 

 

『いやいやいや待って待って、いきなりそんな事言われても……』

 

 

「ペロさん、やはり知らなかったですか。ペロさんは封印によって、元の世界、ユグドラシルの最奥に幽閉されていたのだ。」

 

 

「い、一体何がリアルで起こったのでありんすえ?」

 

 

「『キギョウ』は『カイシャ』だけでは戦力が足りないと判断し、今度は新たなるモンスター『テロ』を生み出そうとした。しかし、奴は余りにも凶暴すぎた。奴は自身の親である『キギョウ』を喰らい、更なる進化を遂げる。それが、破壊神『テロ・リストン』。不倶戴天の敵で、最強。だが、ペロさんが封印を解くタイミングがもっと早かったら、そいつは倒せていただろう。」

 

 

「破壊神『テロ・リストン』……何という禍々しい名前……」

 

 

「『テロ・リストン』は我等へ宣戦布告し、たちまち全てを破壊し尽くして行った。奴との戦いを終末戦争ラグナロクという。今いない38人は『カイシャ・イン』として最後まで戦った。しかし、私は此処を守る為、ペロさんは最後の希望として、ヘロヘロは負傷したために此処に来た。武人建御雷、弍式炎雷両名も負傷を癒す為。直に我等も終末戦争ラグナロクへと行がなくてはならなかった。……筈だった。」

 

 

「……」

 シャルティアは食い入るようにその話を熱心に聞いていた。

 ペロロンチーノさんは半ば吹き出しかけているのが見えたが無視だ無視! 

 

 

「『テロ・リストン』は全てを破壊した。リアルが崩壊したのだよ。その時に時空に大規模な歪みが発生したらしく、我等が未知なる世界に飛ばされた……という訳だ。シャルティアよ、分かったか?」

 

 

「……」

 

 

「シャルティア?」

「あっパンクしている。」

 

 

 見ると、シャルティアは何処か虚空を見つめ、腕をだらしなく伸ばしてポケーッとしていた。

 

 

『いやー流石だわーモモンガさんマジ厨二』

 

 

『その呼び方止めろ! 第一厨二はシャボンヌさんでしょうが!』(シャボン「えっ?」)

 

 

『いやーノリノリで解説しちゃってさー』

 

 

『ノリノリな訳がない!』

 

 

『自己暗示乙』

 

 

『ペロロンチーノォ、この後【黒棺(ブラックカプセル)】な。』

 

 

『あ、遠慮しときます。』

 

 

『ギルド長権限、拒否権はない。』

 

 

『ほんっっっと勘弁してください!』

 

 

『勘弁ではなく、観念してください。』

 

 

『上手い! 座布団一枚! じゃねーよ! お願いです! ()()()は行きたくない行きたくない行きたくないGイヤ──!』

 

 

 この後、ペロロンチーノさんは無事【黒棺(ブラックカプセル)】に叩き込まれたようです。

 

 

 


《シャボンヌサイド》

 

 

「腹減った。」

 

 

【防壁都市ホーンバーグ】城内シャボンヌの自室。

 

 

 旧王朝時代のフランス王の寝室をモデルに作られた部屋であるが故に、とても豪華な家具やアクセサリー、衣類などが収まっている。

 部屋の中心部にはキングベッドサイズをゆうに越す、巨大な寝台が置かれている。

 

 その上で起床したシャボンヌは、第一声にこう言葉を零した。

 

 

「転移4日目でこれか……お腹が4日経っても空かない方が異常だろ……とにかく何か作って貰わないと……【スノーフル】は金取るからダメだな。」

 

 

【スノーフル・ホットドッグ】は完全飲食店経営している。

 料理の価格はユグドラシル金貨数枚の出費だが、ユグドラシル金貨が満足に手に入らない今では買うことが出来なくなっている。

 

 

(《エクスチェンジボックス》でこの世界の物もユグドラシル金貨に換えられるかまだ調査させて無いからなぁ。これは早急に検討すべき案件だ。)

 

 

 グゥ~~~

 腹が鳴った。腹が減った。

 今はこの空腹をなんとかしなくてはならない。

 

 

『ティル、いるか?』

 

 

『はい! お呼びでしょうか、シャボンヌ様。』

 

 

 試しにティルルへと伝言(メッセージ)を飛ばす。

 瞬間的に反応が返ってくる。

 

 

『腹が減った。何か朝食を作ってくれ。ただし、ケーキがつく物で手頃な物だぞ!』

 

 

『畏まりました。パン()()()にいたしましょう。』

 

 

『あぁ、パンケーキなら良いか。早速作ってくれ。』

 

 

『承りました。速攻でご用意いたします────────!』

 

 

(はぁ、料理系専属のNPC作るべきだったわ。)

 

 

 ナザリックとは違い、こっちは『ガチ要塞』であり、戦闘時は街の隅々まで大量の罠が起動し、防衛用NPCも高レベルの竜や竜人ばっか。

 そしてティルル&サンズであらかたの敵は瞬殺出来てしまうことが恐ろしい。

 

 その為、エンタメ施設など微塵もない。

 あるのは最初からあった厨房室みたいなところ位。

 はっきり言って終わってる。

 

 

 しばらくすると、ティルルが部屋に入って来た。

 

「シャボンヌ様、即席ですが、アルフヘイム森妖精産小麦パンケーキをメインとした朝食をお持ちしました。」

 

 

「ありがとう。感謝するよ、ティル。」

 

 

「左から順に……」

「あ〜料理名は省略してくれないか? 楽しみが薄れる。」

 

「!! も、申し訳ありませんでした!」

 

 

「大丈夫だ。伝えなかった()が悪い。しかし今からはそれでお願いするよ。」

 

 

「か、畏まりました。それではどうぞごゆっくりお召し上がりください。」

 

 

 そう言ってティルルが退室していく。

 プレートに乗っている料理はどれも美味しそうに見える。

 

(一つだけスクランブルエッグあるけど、これ設定だとクソまずいんだったっけ? うわ〜もったいない……ごめんよティル!)

 

 今思えば、ティルルの設定をケーキ以外料理苦手にしてしまった自分の馬鹿さを呪う。

 呪いながらも、パンケーキをナイフで切り、そっと口に運ぶ。

 

(パンケーキうんま! なんだこれ?! 美味し過ぎるだろ!)

 

 頬張るごとに口内をパンの柔らかな舌触りとメープルシロップの主張控えめな甘味が浸透する。

 まさに至福の時。

 

(さて、モモンガさんの所へ行くとするか。)

 

「ニャハハ! ホットドッグのほーもんはんばい? にきたぞ! オレさまががんばってつくったりきさくをとくとみよ!」

 

 

                                       ガシャーン!                               

 

 

 窓から凸する押し売り業者もいたものだ。

 

「ファ!?」

 

 シャボンヌが驚きの声を上げる。

 

 

「この偉大なるパピルス様が、直々にスパゲティを届けに来てやったぞ!」

 

「窓弁償しろ──!」

 

 

 如何やら今日も、騒がしい1日がやってきそうです。

 

 

 

 

 


 

 

 

《シャボンヌ・モモンガサイド》

 

 

【ナザリック地下大墳墓】執務室。

 

 その詳細は、モモンガが急遽自室を改造させて作った、ナザリック最高支配者に相応しい豪華な部屋である。

 

 数々の精細な装飾が施された調度品、レッドカーペットの比じゃない程に良く織り込まれた緋色の絨毯。

 

 部屋の最奥部の壁面には、モモンガ個人のロゴマークも含めた、ギルド紋章の数々が交差するように掛けられている。

 

 そんな室内にあるは、黒壇のどっしりとした執務机と黒革の椅子。

 

 腰掛けるは『死の魔王』と呼びたるに相応しい容貌をしたモモンガさん。

 

 そんな彼は、僕が入室した際、奇妙な踊り『モモンガ・ダンス』を鏡に向かって披露している真っ最中だった。

 

 

 色々台無しである。

 

 

 踊りを披露していたモモンガさんに冷めた目を送りつつ、この光景に既視感を感じた。

 

 

(あれ? この光景、何処かで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 これアニメ版オーバーロードで最初の村発見する時のやつじゃん!)と。

 

 

 書籍を見るならアニメもと、アニメ版オーバーロードも見ていた『木下透』。その頃の記憶が鮮明に蘇ってくる。

 

 

(確かモモンガさんが『あ〜もう駄目〜』ってなってお手上げポーズ取ったら起動したんだったっけ?)

 

 

『モモンガさん、試しに両手を頭の上に上げてみましょう。ハンズアップ! ハンズアップ!』

 

 

『え、え〜っと、これで何が……』

 

 

『おや、モモンガさんもうお手上げですか? (ニタァ)』

 

 

『こ、こいつ……』

 

 ブォン

 

『おっ?』『あっ!』

 

 

 はい、遠隔視の鏡を使えるようになりました。おめでとうございます、モモンガ様ww

 

 

「おめでとうございます。モモンガ様。」

 

 

 丁度後ろにいた竜人執事『セバス』が、僕の心中を真面目な方向で代弁してくれました。

 ニュアンスが全く違うけど。

 

「ありがとう! セバス。」

 

 

「おめでとう! 我が友よ!」

 

 

「……」

 

 

『おい、スルーすんなや』

 

 

『最初にからかってきたのはどこの誰でしょうね????』

 

 

『モモンガさん性格悪〜見損ないましたよ。』

『貴方にその言葉そっくりそのままお返しします。』

 

Ich habe es vermisst(見損ないましたよ)

 

『だから其れ止めろ────────!!!!』パァァァァ

 

 そう言いながらもしっかりと《遠隔視の鏡》を駆使しているモモンガさんパネェっす。

 

 

 

「……ん? これは……祭りか?」

 

 

 モモンガさんが《遠隔視の鏡》としばらく向き合っていたが、何かを発見した模様だ。

 

 十中八九()()だろうけど。

 

 

「いえ、これは違います。」

 

 

 後ろに控えていたセバスが訂正する。

 セバスの言葉に何か鋭い物を感じ、咄嗟にセバスを見やる。

 セバスは《遠隔視の鏡》に写る光景を鋭い眼で凝視していた。

 

 怖いよセバス。

 

 モモンガさんにアイコンタクトを取り、ズームを更に拡大させてもらう。

 

 

「……人間同士の争い? いや違う、そんな生温い物じゃない。これは虐殺だ!」

 

 

 完全武装をした兵士の集団が、見窄らしい姿をした村人達を一方的に斬りつけ、馬で追い立てる。

 村人達はなす術もなく、斬られた者・馬に蹴られた者から順々に絶命していく。

 

 吐き気がした。

 

 こいつらは前世で自然を意味もなく破壊していった奴等と同じ。

 只無意味に奪う者達。

 前世ではそいつらを止めることが出来なかったが……

 

 

「モモンガ、此奴らは不愉快だ。即刻抹殺しに行く。」

 

 

「待て、シャボンヌよ。我等にメリットが感じられない。」

 

 

「なら、あの騎士と村人達を情報源にするのは?」

 

 

「……しかし、貴方を危険に晒す訳に……」

 

 

 そう言って後ろを見やったモモンガさんは、セバスの方を見て止まった。

 

 

「……そうか、『困っている人を助けるのは当たり前』、か。」

 

 

 その言葉にシャボンヌも気付く。

 セバスに『創造主(たっち・みー)』の面影を感じることを。

 彼の意思は、そのまま『子供(セバス)』に受け継がれていることを。

 

 

「……たっちさん。貴方の息子さんに受けた恩を返します。……即時『転移門(ゲート)』の用意をする。シャボンヌよ。手伝ってくれ。」

 

 

「元よりそのつもりだ。あっ!」

重要なことを思い出した。

 

 

「どうした?」

 

 

「モモンガ、君は骸骨だろう?」

 

 

「そうだが、それがどうした?」

 

 

「このまま人間の村へと直行する。さてどうなる?」

 

 

「……あ〜容貌を怖がられるかも。」

例えるなら、序盤の村に大魔王様が来訪するのと同じである。

 

 

「取り敢えずこれを」

 そう言って懐中から一つの指輪をモモンガに向かって放り投げる。

 

 

「おっと、これは《人間化の指輪(リング・オブ・ヒューマン)》か。使用中、能力値が下がるが、今は構わない。」

 

 

『あり! *1

 

『オケ!』

 

 

「このローブも渡しておこう。容姿で我等と判断されかねない。」

 今度は装備品の只のローブを放る。

 

 

「それもそうだな。」

 装備の着脱に入るので、瞬時に着替え終わる。

 

 

「それでは早速助けに行くか。セバス!アルベドとティル…ルに応援要請を頼む!」

 

「よし、まずこいつらを助けに行くか。『転移門(ゲート)』!」

 

 そう言ってモモンガさんはギルド武器、《スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン》で『転移門(ゲート)』を開く。

 

 

 鏡には、2人の姉妹が騎士達に追われる姿があった。

 

 

 

 

 

 

*1
ありがとうの略

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