クレマンティーヌが目を覚ます前、ニニャが覚えている襲撃犯の情報を探っている所、
ンフィーレアの祖母、リイジー・バレアレが材料の買い出しから帰って来た。
「ンフィーレア? ンフィーレアやーーい! ……あっ、お前さんら、ンフィーレアは何処に」
ンフィーレアが居ないことを怪訝に思ったリイジーは、店内の奥にいたリューシ達に彼の居場所を尋ねる。
(彼女には酷かも知れないが、言わなくては先に進めないな。)
「落ち着いて聞いてください、リイジーさん。貴方のお孫さんであり、私達の依頼主、ンフィーレアさんがフード姿の何者かに攫われました。」
「な、何じゃと!?」
驚愕するリイジー。
「そこで伸びている賊ともう1人、フードを目深に被ったやつれた顔の怪しい男に連れ去られた模様です。目的は恐らくンフィーレアさんの
「な、なんと……ンフィーレアは!? ンフィーレアは無事なのかぇ!!」
「アンデッドにはされていなかったようなのですが、何か悪いことに巻き込まれた可能性があります。」
「ひぃ! ンフィーレア! 一体どうすれば……そうだ、お主ら、ンフィーレアを助けてくれんか? 報酬は何でも出す! だから助けて欲しいのじゃ! ンフィーレアは大切な孫なんじゃ!」
リィジーは必死の形相で私達に懇願する。
「落ち着いてください、リイジーさん。大丈夫です。元々助けに行く予定でしたから。」
「ほ、本当か!」
「ええ、ですが、その代償として、貴女はンフィーレア君と共にカルネ村に行き、そこでポーションの開発をして欲しいということ。受けてくれませんか?」
ここで本題をぶつけてみる。ごねる様だったらンフィーレアの救出は破棄とすれば良い。
「ああ、分かった。分かったから早くンフィーレアを!」
(計画通り……)
「契約成立ですね。実は、犯人の居所の目星は付いています。お任せを。」
「た、頼むぞ……」
「モモン、ナーベ、ニニャ。人助けに行くぞ。」
「了解です!」「分かりました。」「えーとはい!」
「では、リイジーさん、絶対にここから動かないよう。契約主である貴女まで攫われる訳には行きませんから。」
そう言って夜の薬師街を走り去るリューシ。
「殿〜何で置いていったでござるか〜! ちょちょちょ、今度は何処に行くのでござるよ!」
外でお留守番を喰らっていたハムスケが慌ててリューシのすぐ後を尾ける。
後をモモン、クレマンティーヌを担いでいるナーベ、ニニャが追従する。
目指す先はエ・ランテル 共同墓地。
アンデッド襲撃を伝える警鐘に向かい、一行は突き進んでいく。
〜20minutes ago〜
【エ・ランテル 共同墓地 入り口】
王国下等級兵ディアラウス・レオリアン、クレッサー・ドリュシュ両名は共同墓地の警備に当たっていた。
二人共、共同墓地警備担当者の
彼等の仕事は墓地への死体不法投棄を防ぐこと、アンデッド襲撃を未然に伝えること、門の開閉等である。
ぶっちゃけ、街中の警備の方が断然楽だった。
その為、二人は終始上司への恨み言を言うことを片時たりとも絶やさなかった。
あと、5日待てばこの退屈で集中力が削れる職場から元に戻れる。
そう思い、2人はこの仕事を全うすることが出来ていた。
それは、時計の針が9時を回り、人通りも閑散としてきた任期2日目の夜のこと。
ディアラウスが今、少しぐらい居眠りしたってバレないやろ、と門前で仮眠を取ろうとした時のことだった。
「ん? 何か聞こえないか?」
「あぁ、何か呻き声みたいだな。っ! まさか!」
二人は慌てて門越しに共同墓地内部を覗き見る。
いつの間に湧いて出て来ていたのか、共同墓地を封鎖している門の500m先にまで死者の大軍勢が押し寄せていた。
「非常事態だ! 早くパナソレイ都市長にこのことを報告せよ!」
「分かった!」
クレッサーは急いで走り出す。
行き先は都市長の別邸、そして冒険者組合だ。
クレッサーの後ろ姿を見送ったディアラウスは、再び共同墓地内部のアンデッドを一瞥し、門の金具をしっかりと固定する。
そして一人援軍が来るまでアンデッド達と対峙するのだった。
「ハハ、何やってんだろ、俺。クレッサーを身代わりにすることも出来たじゃないか。やっぱ昔っから俺はお人好しなんだなぁ、此処は通さねぇよ。アンデッド共が。」
壁の上からアンデッド達に備え付けの槍で突いたり、習ってもいなかった弓矢で射掛けたりしたものの、やがて
10分も経てば、アンデッドが扉に敷き詰められ、仕切りに扉を叩いて来ていた。
直に扉も突破されてしまうだろう。
金具を押さえ、扉が破られないように抑えていたものの、扉の限界が近づいていることを察知し、扉の前に移動した。
あと三分もしないうちに門が破られ、自分はアンデッド達に食い殺されるだろう。
そう悟り、静かに涙を目尻に浮かばせつつ、ディアラウスは剣を握りしめる。
「来やがれ死人共、1人でも多く成仏させてやる。」
遂に扉が破られ、中からアンデッドが雪崩の如く湧き出てくる。
ディアラウスは目を瞑り、剣を構えて単身、突撃する。
「デリィャァアアアアアアアアアアア!」
ディアラウスに
「勇敢な精兵よ。良くここまで粘った。後は任せよ。」
再びディアラウスが目を開ければ、目の前にあった筈の不死者の群勢が一体残らず消え失せていた。
「……えっ?」
「分かる?
「成る程……参考になります、ナーベさん。」
「ちぇっ、つまんないの〜」
「や、やっぱコイツらおかしい……」
助けてくれた命の恩人達は皆、何処か変わっていた。
「あ、あなた方は……?」
思わず訊いてしまうディアラウス。
「ん? あぁ、そう言えばチーム名をまだ決めていなかったな。そうだな……『白妙の漆黒』、だ。」
「『白妙の、漆黒』……」
「では、行ってくる。」
恩人達は墓地の中へと足を踏み入れていく。
「な! 墓地の中は危険です! 一旦増援を待ちましょう!」
命を助けてくれた彼等を殺す訳には行かない。必死に止めるディアラウス。
「ご忠告感謝する。しかし、奴等は我々だけで十分だ。行くぞ。」
「はい! (は、はいい!)」
ディアラウスは彼等を見送るしか無かった。
しばらく茫然としていると、帰って来たクレッサーが彼の肩を叩く。
「だ、大丈夫か?!」
「あぁ、大丈夫だ。英雄達が救ってくれたよ……」
「英雄……? 十三英雄か?」からかい調子に言うクレッサー。
コイツはどんな時でも的確にふざける事が出来る。
「十三英雄じゃねぇよ。あんな伝承にしか生きていない輩ではなく、生きる伝説と出会ったんだ。『白妙の漆黒』にな。」
「はっ! 『白妙の漆黒』か。訊いた事ねぇが、良いチーム名だなぁ! 病院行くか?」
「なっ! 俺は正常だ!」
この後、クレッサーとディアラウスは永らくエ・ランテルの共同墓地の警備役として活動する。
様々な動乱を乗り越え、その長い旅の道中、彼等は結婚し、やがて老いて余生をエ・ランテル内の一角にある平凡な家で過ごすこととなる。
そして後に、ディアラウスは孫に、こう語るのであった。
「儂はなぁ、大英雄様に勇敢な精兵と呼んでもらったんじゃよ。あの時は墓地を一人で守っとったなぁ」
────────
「辺りの雑魚はあらかた片付けました。」
「ご苦労だ、ナーベ、ニニャ、ハムスケ。」
「何故か、この姿になってから『
「むむ? 良く見ればお主姿がちょっと違うでござるな。お洒落という物でござるか?」
「いや、これは天使化して……」
「むむ?! お主もしかして、雌であったでござるか?!」
「今頃ですか! 共同墓地入る前に気付いてくださいよ!」
「仕方ないでござろう……だってそれがしは人間とは無縁の生活を送っていたのでござるよ。」
「あ〜そっか、ハムスケさんは魔獣だから、人間の感性みたいなのは知らない方でしたね。」
「何となく雌か雄かは分かる筈だったのでござるが……すまないでござる。」
ニニャとハムスケは仲良くなったようだ。
モモンが少し微笑ましく思ったのか軽く笑みを浮かべている。
しかし、今は戦場。
「モモン、感知魔法を。」
「もう使ってますよ。あっ! あそこら辺に人の密集地が!」
「ほう。今の共同墓地中心部にいるというのはかなり怪しい。冒険者達でさえ共同墓地入り口で禁足を喰らっているようだというのに。やはり、そいつ等は異変の主犯格の可能性が高いな。片付けに行くか。」
(十中八九カジット達だろうけど)
モモンが指差す方向には古びた霊廟があった。霊廟前でフード姿の謎の集団がンフィーレア少年を囲んで良くわからない事を呟き、禍々しい魔法陣を呼び出している。
「こんばんは、今回の騒動の主犯達よ。」
フード姿の集団が一斉に口を閉じ、こちらに顔を向ける。
その中の一人がフードを取り、立派な坊主頭を晒す。
ズーラーノーン十二高弟が一人、カジット・デイル・バダンテールだ。
「ほぅ、良くぞ此処まで辿り着けた物だ。して、貴様等は何者だ?」
紫色の禍々しい水晶を片手に、リューシ達を睨み付けるカジット。
「私はダニヤ・リューシと言う者。貴様等の共犯者は私が倒した。残るは貴様等だけだ。」
そう言い放ちつつ、クレマンティーヌをフード姿の男達に良く見えるように移動するリューシ。
「クレマンティーヌ、こっちへ来い。お前はこっち側だろうに。」
カジットは然程驚かず、逆にクレマンティーヌを引き戻しに掛かる。
「む……無理……勝てっこない……勝算など微塵もない……」
しかし、リューシの圧倒的な力を目にしたクレマンティーヌに、もう彼等への反抗の意思は無かった。
「骨抜きにされたか、まぁ良い。当初の予定通りだ。お前達5人と1匹、儂等だけで十分だ。数の差を分らせてやろう。」
そして、カジットは不気味な笑い声を上げる。
他の者達もカジットに次いでせせら笑いを始める。
「大口叩いといて、大丈夫かな?」
カジット達に警告しつつ、剣を構えるリューシ。
彼に合わせて他のメンバーも戦闘態勢に入る。
「ふん! 儂が積み上げて来た物をここでお前達に壊される訳には行かんからなぁ!
カジットがアンデッド召喚魔法を放つ。
たちまち、地面から4体の
「カカカッ! 素晴らしきかな! ッグッ、反動はちと痛いが、魔法への完全耐性を持つ
死の宝珠の色が少し霞み、カジットが吐血する。
しかし、召喚した戦力は王国兵を一部除いて皆殺しに出来得る物。
「哀れ、ナーベ、モモン。
しかし、リューシ達にとってはザコモン。
全く臆する事なく召喚されたモンスターの排除を指示する。
「はい。」「はーい。」
「ニニャと私であの
「や、ヤバいですよね? あのアンデッド。」
合計レベルの低いニニャにとっては強敵。
ニニャは少し萎縮している。
「大丈夫だ。彼奴は雑魚だ。行くぞ! 援護を頼む!」
「は、はいぃ!」
そう言って走り出すリューシ。
真っ直ぐ死の騎士に向かい、スキルを発動する。
「『
刹那、空間が二つに割れ、
「ば、馬鹿な! ……い、一撃だと!!」
残る
モモンことアインズは
『ナーベラル・ガンマ、第七位階の使用を許可する。』
手加減モード序盤から終了のお知らせ。
最初から全力とは、カジッちゃんドンマイ!
「畏まりました。速時、眼前の敵を排除致します。」
瞬時に天高く舞い上がり、構えのポーズを取るナーベ。
「最後に一つ、
ナーベが手を打ち合わせ、魔法を詠唱する。ナーベの両手の間から眩い白い雷撃が発生し、弧を描きながら雷撃が
「ば、バカな……あ、ありえん……」
「『
HP1の
「ご苦労。さて、次はお前たちだが……」
「ふ、ふざけるな! 儂の5年間が……儂が5年掛けて作り上げた努力の結晶を、こんなところで失う訳には……ぅっくぅうううう!」
世にも恐ろしい般若の如く形相を見せるカジット。
しきりに頭皮を掻きむしり、頭から血が滲み出ている。
「カ、カジット様……」
その様子を見て恐怖で体が震える他の弟子達。
「こうなったら……《死の宝珠》よ! こやつ等の生命を取り込むのだ!」
《死の宝珠》から紫色のエナジーが湧き出る。
次の瞬間には、周囲の者達へ紫の怪光線が襲い掛かっていた。
「な、や、やめゥアアアァァァァ」
次々に弟子達が干からび、灰となって消える。弟子達の青白い霊魂が《死の宝珠》の中に消え、後には着用者が消え、力無く落ちるローブの山のみ。
《死の宝珠》を更に高く掲げるカジット。
周囲にいたフード姿の者達は全員《死の宝珠》に吸収されてしまったようだ。
「さぁ、これで滅びるが良い! 『
次の瞬間、墓地の地中から、
リューシは合計レベルが低いニニャを咄嗟に庇うが、オーラは物体ではない為にニニャへと漆黒のオーラが迫る。
しかし、ニニャの種族は天使。
アンデッドの即死スキルを無効化する『即死耐性Ⅱ』がそもそも備わっていた為、ニニャに即死効果は反映されなかった。
「ふ、フフフ、フハハハハ! どうだ! 今度こそ貴様等も終わりだ! ビーストマンの都市をたった三体で壊滅に追いやったアンデッドだ! 到底お前たちが敵う相手では無かろう! 死ねぇい!」
カジットが高笑いする。
だが、リューシは
「『竜爪』」
一撃。
カジットが命懸けで召喚したアンデッド、
「これで最後か?」
剣を鞘に収めつつ、リューシはカジットへと問い掛ける。
「ぁ、ぁぇ? ……う、嘘だ……ありえん……伝説が……伝説上の魔物を召喚出来たというのに……一……撃……だと? ……」
眼前で起きたことを俄かに受け止めることが出来ず、茫然自失となるカジット。
「
魔法位階を上げた捕縛呪文でカジットを拘束する。
しかし、カジットは呪文が無くとも立つ気力すら無い状態にまで陥っていた。
「念の為モモンはこの男の監視をしていてくれ。」
「りょーかい。」
「さて、ンフィーレアさんだが……」
フードの山の中央にほぼ全裸の状態で立たされているンフィーレア。
ニニャは少し顔を赤らめてそっぽを向く。
ンフィーレアの両眼は潰されており、血がまだ乾き切っていなかった。
額には大きな黒い宝石が嵌め込まれ、蜘蛛糸のような細長い金属糸に小さな宝石が規則的に付いている美しいサークレットが装備されている。
「『
《
それを右腕で受け止めつつ、リューシは低位の回復魔法をンフィーレアにかける。
「これでンフィーレアさんは無事に救出出来た。後はこの異変の主犯を冒険者組合まで連行するのみ。」
「何かあっけなく終わっちゃいましたね……」
ニニャがそう呟く。
「まだ終わりではない。まだ発生したアンデッドの討伐が残っている。」
「残党狩りも大切よ。」
「あ、分かりました。」
ナーベがニニャに優しく教える。
人間では無くなった為か、ナーベのニニャへの扱いが軟化したような気がする。
「リューシさん。」
「何だ? モモン。」
「此処に変なアイテムが。」
いつの間にか、カジットが持っていた《死の宝珠》を片手に持つモモン。
『これは……もしかしてインテリジェンスアイテムですかね。』
『良く分かりましたね。これは紛れもなくインテリジェンスアイテムです。さっきから脳内にこの水晶が話しかけてきて煩いんですが。』
『何と言っているんですか?』
『偉大なる死の王よ、貴方に生涯の忠誠と敬意を誓います、って言って止まないんですよ。』
『テキトーにハムスケ辺りに与えたら?』
『そうしますか。』
「ハムスケ〜」
「何でござるか? 若殿?」
「これ上げる!」
無造作にハムスケに《死の宝珠》を投げ与えるモモン。
「わわ! パシッと」
それを素早くキャッチするハムスケ。
「若殿〜コヤツ若殿の元に戻せって言って煩いのでござるよー。」
と言いつつ、ハムスケは自分の頬袋に《死の宝珠》を仕舞い込む。《死の宝珠》はハムスケの頬袋の右と左をゴロゴロ行ったり来たりした後、右の頬袋に収まったようだ。
「あ、声がしなくなったでござる。」
「モモン、他に目ぼしい物はあったか?」
「この男からは他には何も見つけられませんでした。」
「ふむ、取り敢えず回収作業は終了か。それでは、残っているアンデッドの駆除の後、リイジーさんの元に向かうぞ。」
「はい! あっでも戦闘痕は消しておいた方が……」
「私達の戦闘の裏付けになるから残しておくのだ。」
遺跡から離れ、街の方向に戻る一行。
途中でベロテ率いる冒険者チーム『天狼』を
墓地の入り口に『
直に全てのアンデッドが主にリューシによって狩り尽くされ、アンデッド騒動は幕を閉じる。
その後、薬師街に戻り、リイジー・バレアレにンフィーレアを引き渡すと、彼女は泣き叫びながら喜んだ。
リイジーは何度も何度も頭を下げながら対価はちゃんと返すと約束してくれた。
その後、冒険者組合へ首謀者カジットの身柄を引き渡し、一件落着、と、行けば良かったのだが……
【冒険者組合 三番会議室】
主にミスリル級以上の実力を持つ者達が招集されるこの会議室内で、冒険者組合組合長プルトン・アインザックと、『天狼』リーダー ベロテ、『虹』リーダー モックナック、そしてリューシ達『白妙の漆黒』が集合していた。
招集を掛けたプルトン・アインザックが先に口を開く。
「今回のアンデッド騒動、誠に大義であった。冒険者諸君。さて、報告によれば君達の活躍により、此度の騒動が収束に向かったと聞いている。場合によっては、昇格も検討する次第だ。さて、まず初めに『白妙の漆黒』のリーダー、リューシ君に聞きたいことがある。」
「何でしょうか、組合長殿。」
「うむ、報告によれば、君達は5人と1匹で伝説級アンデッド、
「はい。私達がやりました。」
「そのことは『天狼』のベロテ君の
そう言ってミスリル級を示す冒険者プレートを人数分配布するアインザック。
「一先ずはこれで我慢してくれ。これからの活躍に期待する。」
「特例の昇格をお認め頂いただけで満足です。」
「では、すまんな、ベロテ君、モックナック君、引き止めてしまって。リューシ君達も今回の件で疲れているだろう。君達はゆっくり休んで欲しい。そして、この街の平和を守ってくれたことに感謝する。」
アインザックとベロテ、モックナック、リューシは其々固い握手を交わし、リューシ達は冒険者組合を後にするのであった。
『いや〜疲れましたね、アインズさん。』
『シャボンヌさん、貴方、漆黒の剣とンフィーレア君が襲われること知ってたんですか?』
『ん? あぁ実はな、あの男、カジット・デイル・バダンテールと弟子の話を小耳に挟んでな。この街の薬師の息子を探せ、って命令を出していたので、もしかしたらンフィーレア君が攫われるかも、て直感が囁いたんです。結果的に良い方に転んでよかったですが。』
本当ははいと答えたいところだが、面倒なことになるので咄嗟に誤魔化す。
『あ、あれ直感だったのか。てゆうかそういう事は前もって言って欲しかったですよ!』
『ハムスターの背中に乗せるとかいう罰が無ければ話せていたかもしれません。』
『いや、あれは無断でカルネ村改造したアンタの自業自得だろ!』
(ん? 何のことかな? w)
「そうだ。ニニャ、ハムスケ、我々の居城に案内したいと思う。」
『あっ! ちょっと! 逃げたな!』プツッ
強制的に会話を終わらせるリューシ。
「えっ、居城、ですか?!」
「何と! 殿の御殿がやはりあるのでござるか?!」
ニニャとハムスケが驚いた顔をする。
「拠点にしている所だ。まぁ、人間が1人も居ないがな。住んでいるのは竜達だ。」
「えっ! 竜が!」「竜とは……流石は殿。」
「まぁ、難度は百を越すだろうが、安心して欲しい。私が使役している竜達だ。竜達は案外、人懐っこい生き物でな。帰ったことが分かれば直ぐに私に寄ってくるんだ。この世界の竜はどうか知らんが。」
「ま、魔境……?」「やはり殿は凄いでござるなぁ。」
(ニニャ、そう言いたくなる気持ちは分かる。)
「確かに、人間からしたら魔境と思われるだろうな。あ、あと墳墓があるんだが、そこには死の神が住んでいるから近付かない方が良いぞ。」
「「死の神?!?!?! (でござるか!?!?!?!)」」
「そうだ。彼はアンデッドでな、見た目は怖いがとても仲間を大切にするという奴だ。アイツとは一応互いに不干渉という条約を結んでいるんだが……侵入でもしたら間違いなく殺される。止めた方が良い。」
「ま、まさか法国の祭るスルシャーナ神のことですか?」
「スルシャーナ神の更に上だ。まぁ、神の世界にようこそ、ニニャ。」
「……」
「あ、気絶した。」
余りの情報の大きさに驚き、失神するニニャ。
そりゃそうだ。
今まで行動していた人物が突然私は神だとか言い出して、更にそれがマジモンの神だと知れば。
「流石は殿〜感服したでござるよ。より一層の忠義を捧げるでござる!」
そんなハムスケにニニャを背負うよう命じ、宿屋への道を歩く一行。
不意に、モモンの脳内に声が響く。
アルベドだ。
『アインズ様。至急ナザリックにご帰還願います。』
『アルベドか。何事だ?』
『第一から第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールンが反旗を翻しました。』
hehe、おまえさんら、なかみからっぽだろ。
なにもつまってないのによくうごけるな。
それとも、だれかさんのあやつりにんぎょうか?
hehe、まぁそれはいいとして、おまえさんにひとつききたい。