ある転生者のオーバーロード   作:Solo Mon

39 / 41
26.蜥蜴人(リザードマン)ザリュースの奮闘

ーーーーーーーー

 

〜一日後〜

 

朱の瞳(レッド・アイ)族 村門前】

 

ロロロから降り、朱の瞳(レッド・アイ)族の象徴たる『大いなる太陽の瞳の紋章』が印された旗が掲げられた村の門の前へと行く。

 

(ここが最初の関門だ。兄者との約束…決して果たさなければ…!)

 

門の真ん前で立ち止まり、こう声を張り上げる。

 

「俺は緑の爪(グリーン・クロー)族のザリュース・シャシャ!朱の瞳(レッド・アイ)族の族長と話がしたい!」

 

その言葉に呼応するかのように、村の扉が静かに開く。

開け放たれた先には、長老らしき1人の者と、若衆達がいた。

 

緑の爪(グリーン・クロー)族のザリュース・シャシャか。部族をまとめ上げる者が合うそうじゃ。」

 

 

(部族をまとめ上げる者?わざわざそう表現するということは、族長が居ないのか?それとも族長という長を作らない部族なのか?または…)「…族長代理?」

 

その言葉が口を突いて出て来る。

その言葉を聞いた若衆の反応からして、自分の今の考察が正しかったことを悟る。

ザリュースは集団に引き連れられながら、族長代理とはどんな者かを想像する。

そうこうしているうちに、如何やら一行は目的地に着いた模様だ。

 

「ここだ。部族をまとめ上げる者は一対一での対話を望まれている。」

 

長老が眼前の赤い建物を指差しながら、そう説明をする。

 

「ほぅ…」

 

説明がおわると、長老達は去り、ザリュース1人だけがその場に取り残される事となった。

ザリュースは覚悟を決め、朱の瞳(レッド・アイ)族族長代理の待つ目の前の建物に向かう。

 

 

「俺は緑の爪(グリーン・クロー)族のザリュース・シャシャ!部屋に入らせていただく。」

 

 

 

「どうぞ。」

赤い建物内から女性の声が聞こえて来た。

 

(…雌?)

 

訝しげに思いつつ、建物の出入り口に張られた覆いを潜る。

 

「ようこそ、おいで下さいました。」

 

その時、ザリュースに電撃、走る!

「っ!!…」

 

「かの有名な四至宝の一つ、《凍牙の苦痛(フロスト・ペイン)》を持つ御方でも、この身が異様に思うようですね。」

 

「ぉ、ぉぉぉ…」

 

「え?あぁ…あの…如何しました…?」

 

ピィッピィィィィイイイイッ

 

 

「!//はぁふ…?」

 

 

「…あっ!い、いや!こ、これは失礼した!!」

 

 

「い、いえ、私は、朱の瞳(レッド・アイ)族の族長代理を務めさせていただいております、クルシュ・ルールという者です。」

 

「くっ…ぅ…」

 

 

「それで、今回こちらに来られた理由をお確認しても…?」

 

「結婚してくれ(キリッ‼︎)」

 

 

「…ぇ?……はぇ?………はぁあぁあああああああああああああああ!!!!?????????????????」

 

 

「け、結婚????」

 

 

「あ、いや!ここに来た目的は他にあるのだがな…本来ならばそちらを先に済ませてからこういうことは言うべきだとは重々承知している…しかし、自分の気持ちに嘘はつけん…!」

 

 

「ぇ?……………え?//」

 

 

「い、あ、すまん!!今の答えは、また後日聞かせてくれれば構わない!」

 

 

「あ、あぁ……わぁああ!」ボンッ

バシッ‼︎

 

 

「こ、この白き身体を恐れないとは…流石というべきですか…?//」

 

 

「我々、朱の瞳(レッド・アイ)は、時折、私のようなアルビノが生まれて来ます。その者は長寿で何らかの才能、私の場合では祭祀の力を発揮します。その為に、族長に次ぐ権力を持つことになるのですが…」

 

「…かの山脈に掛かった、白き雪のようだな…」

 

 

「え!?//」

 

 

「…綺麗な色だ…」

 

 

「ぅ…何を!//」

 

 

「触っても良いか…?」

 

 

ガゥッ‼︎

 

「うおわっっ!」

 

「とと、突然、な、何するんですか!!」

 

 

「っ!!」

 

ザッ

 

(な、何をしているんだ!俺!お、落ち着こう、冷静になれ、ザリュース、兄者との約束が…)

「すまなかった。一目惚れという奴だ。それに、今回の戦いで死ぬやもしれぬから、後悔の無いようにな。」

 

 

「かの宝剣…《凍牙の苦痛(フロスト・ペイン)》を持つ御方が死ぬ覚悟を…?」

 

 

「メッセージを持ってきたモンスターを見たか?」

 

 

「はい。」

 

 

「アイツは、精神を掻き乱す絶叫を放ち、大抵の者達の物理攻撃を全て無効化する。以前遭遇した時には、自分は逃げるしか方法が無かった。」

 

 

「私達ドルイドは、一時的に剣に魔法を付与することが出来ますが…」

 

 

「!精神への攻撃を防げるのか…?」

 

 

「抵抗力の強化であれば殆どの祭祀が、ですが、混乱から精神を守ることが出来るのは、この部族の中では私だけです。」

 

(…凄い…)

 

「…朱の瞳(レッド・アイ)は何番目と?」

 

 

「四番目と言われました。」

 

 

「そうか…それで、そちらは一体如何するつもりだ?」

 

 

「…それは…」

 

 

 

「…本音で話させて貰おう。仮に朱の瞳(レッド・アイ)族がこのまま避難し、遠い地に行ったとして、その地で再び以前のような生活が送れると思うか?」

 

 

「…難しいでしょうね。」

 

 

「…では、周辺五部族も同時に避難をして来た場合、如何なると思う?…食糧も満足に取れず、種族間の対立が一気に深まり、五部族同士で殺し合う。」

 

「!ま、まさか、勝てるかも分からない戦いを始めるというのね!」

 

 

「その通りだ。他部族も含めた、口減らしも考えに入れている。クルシュルール、緑の爪(グリーン・クロー)は、朱の瞳(レッド・アイ)に同盟を申し込む。」

 

 

「!」

 

 

「同盟を拒否した部族は、先に攻める事となっている。これは、新天地での餌の奪い合いを未然に防ぐという意味でもある。それに、例え負けたとしても、新天地では、同盟を結んでいる部族同士であれば、仲間意識により、無闇矢鱈な対立が無くなると考えている。」

 

 

「成る程…」

 

 

「…ところで、先の戦いに中立を保った朱の瞳(レッド・アイ)は、どうやってあの時期を乗り越えたのだ?」

 

 

「……それを言う必要があるのですかっ。」

 

 

「聞かせて欲しい…!祭祀の力、それか別の方法があったのか?それが、もしかしたら救いになるのかもしれ…」

「ありませんよ!」

「!…」

「…私達が行ったのは同族の…それも死んだ仲間を喰らったのです…」

 

 

「っ……」

 

 

「…あの頃の私達も、食糧難でとてもまずい状態に陥っていました。

…しかし、ある日、族長は持って来たのです、食糧を。いえ、

 

真っ赤な肉を。

 

…その肉が何なのか、私達は簡単に予想が付きました。

だって…族長が肉を持って来る時は、いつも決まって村の掟に背いた者を追放する時でしたから…

 

……私達は目を瞑って、その肉を食べていたのです。

…生き残るために。

……しかし、そんな事が長く続く筈がありません。

皆の中に、溜まりに溜まった不満が遂に反乱という形で爆発しました。

村は二分化され、族長に次ぐ権力を持つ私を旗印として、反乱派が族長に反旗を翻しました。

壮絶な戦いの末、数が勝る私達が勝利を収めました。

……族長は、最後まで降伏することなく、体に無数の数(傷?)を受けて死んで行きました……

……そして、最後に止めの一撃を喰らった時、

私に笑いかけたのです…!

…あれは本当に綺麗な笑顔でした。

……族長の死により、部族は再び一つにまとまる事が出来ました。

しかも、数が減った事で、食糧事情の回復という大きな影響をもたらして……。

私達は本当に正しかったのか、本当は間違っていたのでは無いか、最初から現実を見据えて行動をしていたのは族長だったのでは無いか…!!

 

 

……その思いが、消えないのです……」

 

最後の言葉を言い切った直後、嗚咽し、むせび泣くクルシュ。

建物の中を彼女の泣き声が木霊する。

 

 

そんな彼女を、優しく抱き寄せ、ザリュースは彼女にこう言った。

 

俺達は、全知でも全能でもない。

俺だって、同じ状況に置かれていたのならばそうしたかも知れん。

だが、慰めの言葉は言いたくない。

 

この世に正しい答えなどあるものか。ただ、俺達は歩むしかない、足の裏を傷だらけにしながらな…

 

お前も歩くしかない、俺はそう思う。」

 

 

「…グスッ……無様な姿をお見せしてしまいました。」

 

「何処が無様だというのか…っ!

…苦悩しながら、傷付きながらも、道を切り開き、先の見えぬ道を歩んでいく者を無様だと思う程、無様な雄に俺が見えたか。そして何より……

 

 

      お前は美しい。

 

「〜〜〜〜〜!!!!!////////」

 

バンバンバンバンッ‼︎

 

 

「…や、ヤバいなぁ…」

 

 

「…改めて聞こう、朱の瞳(レッド・アイ)はどのような方針を取る?」

 

 

「…昨日の会議では、この部族の避難が決まっています。」

 

 

「では、朱の瞳(レッド・アイ)族長代理のクルシュ・ルールに問う。 今も同じ考えか?」

 

 

「…」

 

 

「…お前が決める事だ。かつての族長が、最後にお前に笑いかけたのは、この部族の未来をお前に託したからだろう。ならば、今こそ、その使命を果たすべきだ。」

 

 

「…それでは一つ伺います。どの程度、避難民として逃すおつもりですか?」

 

 

「戦士階級10、狩猟20、祭祀3、雄70、雌100、子供多少。」

 

 

「それ以外は?」

 

 

「場合によっては、死んでもらう…」

 

 

「…そうですか…」

 

 

「一つだけ言わせて欲しい、俺達は死ぬ為に戦うつもりではない。

     勝つ為に戦うんだ!

 

 

「…ならば、我々朱の瞳(レッド・アイ)も、あなた方と協力しましょう。族長の笑顔を無駄にしない為にも、そして、最も多くの朱の瞳(レッド・アイ)族の者達が生き残れるように。」

 

 

ザッ

「…感謝するっ…!」

 

ここに、朱の瞳(レッド・アイ)緑の爪(グリーン・クロー)という、二つの蜥蜴人(リザードマン)達の部族が、手を結ぶこととなる…

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

〜翌朝〜

 

「フワァぁぁああ…」

 

ザリュースは盛大な欠伸をかます。

 

(とても良い朝だ…)

 

ギイッ

 

ふと、背後で扉が開く音がする。

その方向を向けば、昨日面を向かい合って話し合った彼女がいた。

 

「おはよ。」

 

「あぁ、おはよう。問題無く部族は纏め上げられたみたいだな。」

 

 

「昨日は遅くまで会議に参加してくれて感謝するわ。今日中に戦える者達は全員出立出来る筈よ。それと避難する者達も…ザリュース、あなたはこれからどうするの?」

 

「これから竜爪(ドラゴン・タスク)族の所へ行くつもりだ。…なのだが、一つ質問良いか?その格好は…?」

 

 

「ん?似合わないかしら?」

 

 

「似合うと、言った方が、良い、のか?」

 

 

「フフッ、ま〜さか。出歩くには太陽の光がとても辛いのよ。」

 

 

「同行してくれるのか?」

 

 

竜爪(ドラゴン・タスク)って、全部族の中で最大の武力を持っているそうじゃない?」

 

 

「あぁ、だが…交流の無い部族だから、あまり詳しくは…」

 

 

「だったら私も一緒に行った方が良いわ。」

 

「危険だぞ。」

 

「危険じゃ無い所が今あるの?」

 

 

「……フッ、冷静では無いな、俺は…分かった、力を貸してもらうぞ、クルシュ。」

 

 

「了解したわ、ザリュース。任せて頂戴⭐︎」

 

 

 

ーーーーーーーー

《コキュートス目線》

 

【トブの大森林 自然研究所 参謀司令部】

 

 

「これがぁ転移系のスクロールでぇ、こちらがぁ伝言(メッセージ)のスクロールです〜、アインズ様からぁ、何かあったら報告するように〜っと、仰せつかっております〜。」

 

 

「了解シタ。トコロデ、何故アインズ様ハ貴重ナスクロールヲ私ニ…」

 

 

「それはぁ〜、デミウルゴス様の御功績から得られたぁ、羊の皮から作られた物だ〜って、ヘロヘロ様が仰られていましたよ〜。」

 

 

「成ル程…デミウルゴスニ先ヲコサレタカ……私モ負ケテイラレン!後ニ続カナケレバ!…至高ナル御方々、見テイテクダサイ、必ズヤ、我等ガナザリックニ勝利ヲ収メテミセマス…!」

 

 

 

ーーーーーーーー

《シャボンヌ視点》

 

【防壁都市ホーンバーグ 大通り】

 

ども、シャボンヌです…

 

いつも喧しいのに何でそんな元気無いかって?

イヤ〜、実は昨日徹夜したんスよ。

え? 徹夜したってどういうことぉ?why? だって?

そりゃ秘密だぉ〜(死にかけ)

 

「んもー!!!何処行ってたんですか!私心配してたんですよ!」

 

そんなぐったりしている僕を男を辞めたニニャちゃんが呼び止める…

今はちょっと勘弁して欲しかった…

 

「す、すまない…少し吸血鬼退治を…」

 

「ふぇっ!?吸血鬼ィイッ!!」

 

あっ……

 

しぃまったァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!

 

そういやまだニニャにシャルティアの一件伝え忘れてタァ!!⤴︎

えっ?どうしよ?どう弁明すれば良い?

 

「口が滑っ………!!!…………い、今のは忘れてくれ…」

頼む…!

 

「吸血鬼なんて伝説上の怪物をたった3日程度で!?……ハハッ…私…物語の世界に巻き込まれチャッタノカナァ………」

 

アー駄目だ、ニニャちゃん完全に錯乱状態じゃんか…

 

「ニニャ、すまなかった。今、君の種族は天使とはいえ、まだ取得したばかり…吸血鬼との戦闘は無理だと判断した私が全て悪い……」

 

 

「うっ…………」

 

 

「この通りだ。本当にすまないと思っている!」

 

 

「……えっ!ちょちょ、流石に……貴方は私の命の恩人ですから死なないで欲しいというのが私の願いなんですが…生きて帰って来てくれただけ良かったです…」

 

何とかなりそうで良かった〜

 

「許してくれるか?」

 

 

「…貴方にそこまでされては、私も許すしか有りませんね。でも、何様のつもりなんだと言わないで下さいね、本当に心配したんですから(プクッ)」

 

 

「ありがとう。」

 

 

「…お礼を言われるようなこと何もしてないです。」

 

 

「まぁ気分だ。さて、ニニャ、新たなる冒険に出掛けようか。」

 

 

「ふへぇ?い、良いんですか?!私は弱くて皆さんの足で纏いにしかならないですけど…」

 

 

「その為に今から稽古をある人につけてもらう。私の友人だ。彼は君を悪い様にはしないぞ。」

 

やったね!ブレイン君、修行仲間が増えるよ!

 

「今からですか?」

 

 

「そう!今から!」

 

そう言って僕は転移門(ゲート)のスクロールを作動させた…

 

 




伏線張っときます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。