笑顔をつくる物語   作:エヌラス

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物語はやがて…クライマックスへ!


page103 惨状

リサ「想くん!」

 

リサ達が慌てて駆けつけた時には、もうすでに八意は床に倒れ呻いていた。戦闘というものは終わっていたのだ。その先で不気味に笑う白い化け物を見る。見るだけでもリサ達は足が震えた

 

ダグバ「あはは…どうしたの?ほら、僕はいるよ?」

 

想「リサ達は下がってろ…」

 

八意が立ち上がり、リサ達を後ろに下げ、circleの中へと帰す。リサは八意の腕を掴むが…

 

リサ「でも…」

 

想「いいから!」

 

大きな声でそう言われ、やむを得ず従う。

 

 

 

想「…!」

 

 

 

俺自身、こいつは強すぎると肌で感じていた。実際俺は一撃も与えられずに床に倒れていた

 

 

〜30秒前〜

 

想「おおあああああ!」

俺は黒の金、現時点最高火力を出せる姿で挑んだ。だが次の瞬間、腕を上げた相手に首を捕まれ、腹を膝蹴りされていたのだ。

 

想「おぐっ…!」

 

内蔵が何個か潰れる感触を全身で感じる。だが何とか踏みとどまり、立っていたが、直ぐに蹴られ、さっきのように床に倒れてしまった。

 

想「…ぐぅ…!あぁ…!」

 

途端に腹に激痛が走る。

 

想「…!…っ!」

 

 

その内側から吹き出る異様な痛みに耐えられず、戦いの途中だと分かっていても、ふらつきながら近くの窓ガラスに振り返り、自身を見ると…

 

 

___ベルトに、微かだがヒビが入っていた。

 

 

 

日菜「想くん!」

 

それをcircleの扉を閉め、みんなと隠れていた日菜が、見つけてしまった。咄嗟に名前を叫ぶ。紗夜が「どうしたの!」と言う、日菜はそれに半分泣きながら答えた

 

日菜「ベルトが…!」

 

つぐみ「ほんとだ…ベルトが…」

 

薫「そんな…」

 

こころ「…!」

 

その場にいる全員は、もしベルトが壊れてしまったらどうなるかを、黒服から八意に内緒で知らされていた。

 

ベルトが壊れてしまったら死ぬ。だから無理しないように見守ってやって欲しい。

 

そういった黒服を思い出す。

 

だが次に更なる驚愕が目の前で起こる。

 

 

 

想「くっ…!はぁ…はぁ…」

 

俺はふらつきながらも立ちあがり、何とかしてもここでアイツを倒そうとしていた時だった

 

想「…?」

 

ダグバ「…」

 

相手が不意に、右腕を上げ、こちらに手をかざす。何が来るのかと身構えた時だった。

 

想「ぐっ…!ああああああああぁぁぁ!」

 

身体が炎に包まれ、燃え始めたのだ。雨が降っているのに、その炎は消えない。それはなぜか…

 

 

俺は、体の内側から燃やされているからだ。

 

 

想「…っ!くっ…!」

 

 

呻きながら辺りを見回せば、地獄が広がっていた

 

 

そこら中の道路を走っていた車の中にいる人が燃えていた。

 

 

そこら辺にいた警察官が燃えていた

 

 

燃えた人が乗っている車同士がぶつかり、爆発し、炎上する。それが、そこら中に広がっていた

 

老人も

 

女も

 

男も

 

子供も

 

何一つお構いなく燃えている。俺はその中、どうすることも出来ずに、その炎に身体を炙られていた。アマダムの力で何とか防げてはいるが、これは身体がもたない

 

 

ダグバ「どうしたの?」

 

想「ぐっ…ぐぅ…!」

 

地獄絵図の中、1人笑い声を上げながら俺に言う。

 

ダグバ「もっともっと強くなって…僕を笑顔にしてよ…」

 

それはまるで、待ち望んでいるような声をしていた。”凄まじき戦士”になれと、促しているような

 

想「…うっ…くっ…」

 

俺は身体の限界が訪れ、意識が朦朧とする中、倒れる。次見た時には、奴は消えていた

 

まりな「想くん!」

 

巴「想!」

 

想「…」

 

みんなが呼びかけている中、俺は意識を失った。

 

 

___その時には、火は消えていた。

 

 

巴「何がどうなってんだよ…!」

 

あこ「こんなの…無茶苦茶だよ…」

 

あっちこっちで救急車の音が鳴り響く夜。想のために救急車を1台手配し、それを待っていた。circleの中は、酷く暗かった

 

運が良かったのか否か、この中に燃やされた者はいなかった。だがしかし、あの惨状を見てしまったのだ、誰もどうすることも出来ない。

 

燐子「少し…トイレに行ってきます…」

 

青い顔をした燐子が、ふらつきながらもトイレへ向かう

 

有咲「ああなるのも仕方ないよ…あんなもん見ちまったら…」

 

テレビをつけたまりな、どのチャンネルでも、今日のことを速報で告げていた。避難勧告や、外出自粛などを促している

 

千聖「都内だけで確認出来てるだけで…3万人の死者…」

 

イヴ「確認出来てるだけということは…もっと他にもたくさんの人が…」

 

彩「…ネットも混雑してる…」

 

何か情報を見ようとした彩も、肩を落とす

 

老人『4号は一体何をしとるんじゃ!!早く倒しておけば…!うちの孫は…うぁぁ!』

 

ニュース越しに老人が泣き崩れる。それを見た全員は、ただ何も言えなかった。だがしかし…4号を、想だけを責めるのは間違っている

 

紗夜「…そんなの…想さんだって頑張ったはずです…!

こんなになるまで傷ついて…!」

 

人間に戻った八意には、火傷で皮膚が爛れていたり、普通なら死んでいる。今も稀に呻きながら冷や汗を流している。すでに頭に敷いているタオルは2枚目だ

 

紗夜「なのになんで…彼だけが責められないと行けないんですか…!」

 

リサ「紗夜…」

 

涙を零し始める紗夜。1連を見た自分達は悔しくなった。

 

母『4号の役立たず!!うちの娘を…夫を返してよ!』

 

悲痛な声で叫ぶ母。もう見てはいられなかった。リサがリモコンを持ち画面を切る

 

リサ「世間って…酷いね…」

 

美咲「彼を責めるのは…なんとなく違うって私は思いますけどね」

 

花音「美咲ちゃん、大丈夫だよ。多分ここにいるみんながそう思ってると思うよ…」

 

それに全員が頷く。

 

一条「八意!」

 

そこに男性が1人、息を切らしながら走ってきた

 

リサ「一条さん…!」

 

一条「はぁ…はぁ、ようやく着いた…いま大混乱しててな…中々救急車も回らない…だから俺たちもこうやって手伝ってる…」

 

蘭「そうなんですね、でも…」

 

一条「ああ…大体の人達が亡くなってる…八意は…た戦ったんだな…」

 

後ろに寝かされる八意を見て、目を伏せる

 

つぐみ「戦いっていうよりは…一方的でしたけどね…」

 

思い出すだけでも背筋が凍りそうになるあの光景

 

一条「そうか…下手に聞いてすまなかった…。1度病院へ連れていく」

 

そう言いながらもう1人の警官がやって来て、担架を持ち、運んでいく

 

ひまり「大変そうですね…」

 

一条「ああ、君達も早く帰った方がいい。分かったか?」

 

香澄「分かりました」

 

香澄達は大人しく従いそれぞれの家に帰っていく。一応警察官を1人つけ、一条はその場を後にした

 

_________________________

 

〜次の日・PM6:00弦巻邸〜

 

こころ「…」

 

こころは眠る八意の顔をじっと見ていた。

 

あの惨劇から1日、もちろん学校はしばらく休校になったし自粛が広まっており外も人気がない

 

だがまだあちこちに消防車や救急車が走り、事後処理を行っている

 

未確認生命体0号も姿を消し、警察もレーダーで追っているようだ。1部ネット記事では新型レーダーを開発中と書いてあるが真偽は不明だ。

 

想「…ん、」

 

目を覚まし、起き上がる八意

 

こころ「想!おはよう!」

 

想「こころ…ということはここはこころの家なんだな…」

 

こころ「ええ!それより傷は大丈夫かしら?」

 

想「ああ、大体は治った」

 

俺の無事にこころはぱぁっと笑顔になる。そんな笑顔を見て、俺は微笑む。

 

今からこの笑顔が、悲しみに塗り替えられるかもしれない

 

想「なぁこころ、みんなをcircleに集めたいんだが…」

 

こころ「ええ!でもどうして?」

 

想「話が…あるんだ。重要な、話が」

 

 

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