〜circle〜
想「突然でごめん、みんなに話したいことがあるんだ。」
皆はこんな遅くだと言うのに、誰一人欠けることなく集まってくれた。その事に感謝しながら俺は言葉を発する
想「俺は…0号と…戦って、勝たないといけない。だけどその後はどうしようか、迷ってたんだ」
その言葉に息を飲む全員。
想「俺…旅に出ようと思うんだ!この世界に来て、あまり花咲川から出てないからさ、この目で何かを見て、そして触れたりして感じたいんだ」
その言葉に、全員が黙り込む。だが次に起こったのは、クスクスという笑い声だった
リサ「あははっ!想くんらしいね!」
美咲「いや〜…まさかなにかあるんじゃないかって冷や冷やしましたよ…!まったく…」
はぐみ「旅ならコロッケ沢山持ってってね!」
沙綾「そうだ!うちのパンも!」
想「全員一気に喋るなぁ…!」
俺は頭を抱えながら叫ぶ。それに笑いが巻き起こる
日菜「旅する前に!絶対勝ってね!約束!」
想「ああ…!」
俺は日菜と指切りげんまんをした。だが…
____ごめんな
俺は彼女達に嘘をついている。確かに0号と戦い、決着はつけるつもりだ。だが大切なことを伝えていなかった
”凄まじき戦士”となることを、心の闇に飲まれ死ぬかもしれないのに…
だがしかし、俺が生き残れる確率は10も無いだろう。多分リサ達はほとんどのことを黒服から聞いてしまってるはずだ。もし俺が本当の事を言ってしまえばきっと俺を止める。
だが例え、相打ちになったとしても倒す。それで彼女達…いや世界中が笑って過ごせるなら…
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〜次の日・まりな宅〜
まりな「凄まじき戦士…それになるのね…そして戦って勝って旅に出ると」
想「はい、短い間お世話になりました」
俺は頭を下げる。この人には本当にお世話になった。
まりな「死んだら…ダメだよ?」
想「はい、分かってます」
俺は微笑み、まりなさんに答える。俺は他にオーナーや、スタッフさん達に声をかけに行った。もちろん、亡くなった人にも必ず仇はとると伝えた。
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〜弦巻邸・PM11:35〜
俺はバイクで弦巻邸へ、入って行く。しばらく進むと相変わらずでかい玄関が俺を迎えた。そこに立つ女性が1人
想「黒服さん…」
黒服「お待ちしておりました。第0号は未だ行方を眩ませています…」
想「そうですか…」
黒服「なにか憑き物が落ちたような顔ですね…もしかして、なるんですか、凄まじき戦士に…」
想「はい…」
黒服「…もう止められないでしょう…」
想「そうですね、多分俺も聞かないと思います…」
1番お世話になったのはこの人達かもしれない。記憶喪失の俺を何一つ疑うことなく…こころのお陰でもあるだろうが何から何まで用意をしてくれて、未確認生命体関連でも協力してくれて、
想「お世話になりました。これを…」
俺はそう言いながら手紙の入った封筒を黒服に渡す。1度それを見てから目を瞑る
想「もし、俺が死んだら…これを、アイツらに渡してください」
黒服「…わかりました」
そこで、無線が鳴り響く。一条さんからだった。俺は少し離れたビートチェイサーに走り「俺です」と言った
一条『対0号用の特殊レーダーがあともう少しで完成する!目安は…あした午前10時だ』
想「はい、分かりました。一条さんは?」
一条『俺は…また後で連絡する…!』
そう言われ、無線を切られる
想「ちょ…一条さん…!一条さん!」
俺はビートチェイサーに跨り、走り出そうとした時だった。いつの間にか、弦巻邸のメイドや調理師、黒服などが俺の前に立ち、敬礼をしていた
黒服「ご武運を、私達はあなたの無事を祈っています…」
想「ありがとうございます、それともうひとつ…!」
黒服「…?」
俺はとある頼み事をした
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〜とある廃墟・PM11:42〜
一条「すまなかったな…八意…お前にこれ以上負担を背負わせたくなかった。」
一条は、特殊レーダーを伝え少しほっとした。これで後は杉田や桜井あたりがどうにかしてくれる。自分は今この状況に集中出来る。
それは1時間前の事だった。警察に1本の連絡が入ったのだ。
『B1号と思われる人が廃墟に入っていくのを見た』
それは各地の警官に無線で伝えられ、一条もそれを無線越しに聞いて、今ここにいる。
いわゆる独断行動だ
一条「俺も昔なら勝手に行動しなかったからだろうな…」
そう呟く一条の全身は雨に濡れ、右手には神経断裂弾が5発入った拳銃を持っていた
バルバ「人間も…変わったな…」
一条「バラのタトゥーの女…」
バルバ「昔の人間は、我らグロンギ族にただ殺されているだけだった」
一条「また何を言い出す…」
そう言いながら拳銃を構える。
バルバ「これが私の最期になるか…?戦う人間よ」
そう言っている時には既に一条はハンマーを引き起こしていた
一条「終わりだ…0号もすぐに倒される。」
バルバ「そうだといいな…」
一条「何故戦おうとしない…?」
バルバ「私は戦うグロンギでは無い。だがしかし…!」
相手は予備動作無しに薔薇の刃を打ち出す。数発放たれたそれを、一条は長年の感で躱し、神経断裂弾を打ち込む
バルバ「!?」
一条「うぐっ…!」
足に数発刺さってしまった。そこから血が吹き出し、口から血を吐き出す。寒気が全身を襲う
バルバ「耐えるか…だがその薔薇には毒が入っている。クウガなら耐えられるかもしれないが…人間はもって1分だな…」
そこまで言いかけた所でバルバの腹から何かが突き出す。見慣れた金色の刃
一条「…!」
バルバ「クウガ…!ダグバは…そう簡単には死なないぞ…」
そこで尽きたのか、がくっと倒れ、動かなくなった。その奥から走ってくる影が1つあった
一条「あのバカ…」
俺は無線が途切れた場所を、黒服に頼み込んで調べてもらった。その通りに行ったら、今、一条さんが刺されていて、俺は咄嗟に紫の金のクウガになり、後ろから突き刺した。
想「一条さん!一条さん!」
抱き抱えられ、馬鹿の一つ覚えのように自分の名前を呼ぶ。続いて自分の頬に彼から流れた涙が落ちる
一条「八意…」
想「一条さん!いま救急車を…!」
救急車を呼ぶ手を掴み、止める
想「なんで…!」
一条「もう俺は無理だ…助からない…貴重な救急車を使いたくはない…」
想「そんな…」
話せるうちに、話しておきたい。
一条「今まで…様々なことに君を巻き込んですまなかった…君には、普通の青春を、送って…欲しかった…」
八意は目を見開き、さらに涙を流す。
想「…っ!一条さん…!でも俺…良かったって思ってますよ…?一条さんと…沢山の人と出会えましたから…!」
一条「…!」
気づけば、一条自身も涙を流していた。
一条「…0号を…頼んだ…」
そろそろ、潮時のようだ。体の痛みが遠ざかり、視界が白く、染まっていく
一条「…君…と…もっ…と、話を……した…かった…」
一条悠介は、心優しい少年に看取られ、短い人生を終えた
想「ううっ…うううぅっ…!」
俺は一条さんの骸を抱き抱え、ただ泣いた。あともう少し早ければ、助かっていたかもしれない。
想「うううぅっああああああああぁぁぁ!」
夜中の廃墟に、1人の少年泣く声が、響き渡った。
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〜次の日・廃墟・AM7:00〜
想「…」
いつまでボーッとそこにいたのだろうか、朝日が顔を照らしても、俺は何も感じなかった。ただ、自分が抱いている、大切な人の体の温度が下がっていくのを感じていた
杉田「おい、2人とも…一条!」
一条さんの同僚の杉田さんが現場に来た。俺は虚ろな目を杉田さんに向ける
杉田「一条は…そうか…」
俺はポツポツと、昨日のことを話した。杉田さんは黙って聞いて、聞き終わった後、俺の肩を叩き、言った
杉田「ならそこでボーッとしてるな、一条が託してくれたんだ。その分まで俺たちが頑張らないでどうする。前を向いて、歩き出さなければ…」
想「…!」
杉田「きっと…一条も見守ってくれてるさ、不器用で生真面目なあいつだからな…」
想「杉田さん…」
俺は涙を零しかけるが、何とか止める。それに満足したように頷く。杉田さん
特殊レーダーが作動するまであと3時間。
つまり、八意の自由時間はあと3時間という意味でもある
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〜羽沢珈琲店・AM7:30〜
想「…」
味のしなくなったブラックコーヒー、味のしなくなったケーキ、だが今は、無性に食べたくなったのだ。無理矢理訪問してしまったことは申し訳なく思っている。だがつぐみも母も父もこころよく出迎えてくれた
つぐみ「…」
遠くからつぐみが心配そうな顔で八意を見る
想「つぐみ…?」
つぐみ「いや…!」
想「…ちょっと話、しないか?」
つぐみ「…、うん」
つぐみはエプロンをしまいながらこちらへ歩いてきて、俺の前に座る。
つぐみ「…」
想「…」
しばらくの静寂、先に口を開いたのはつぐみだった
つぐみ「…やっぱり、戦うの?」
想「うん、そのつもりでいるよ。あと2時間もすれば、多分この街にいない」
つぐみ「そっか…リサさんには、ちゃんと言った?」
想「言ってないなぁ…あいつ絶対止めるだろうし…」
つぐみ「あはは…確かに」
2人で苦笑する。
つぐみ「私は…止めたいけど…止めないよ?だって…止めても聞いてくれなさそうだもん」
どこか拗ねたように聞こえたその声、俺は苦笑いをする。
想「おっと…」
俺はそろそろ行かなければと思い、立ち上がろうとするが、何故かふらついてしまった。
そういえば、2日くらい寝ていなかったし食事もロクにしていなかった気がした。それを今思い出し、一気に体を疲労が襲う
つぐみ「大丈夫…?」
つぐみもあとから立ち、俺の近くによる。
想「ああ…大丈夫だ…つぐみ…」
つぐみ「わっ…!」
ラッキースケベというものなのだろうか、体が限界を迎え一気に眠る八意は、頭をつぐみの胸に乗せていた。
つぐみ「…やっぱり…無理してるじゃん…」
つぐみは胸の中で眠る彼を見ながら
つぐみ「好きだよ…」
と呟いた。だがきっと、この恋は叶わない。だって彼には沢山の恋敵がいる。自分より魅力的な女の子は沢山いるからだ、自分じゃそこには到底並べない
だからせめて、戦いに勝って、いい彼女さんを見つけて幸せに、普通の生活を送って欲しい
つぐみ「…」
___そして、自分という存在が、記憶の片隅にありますように。
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〜羽沢珈琲店、つぐみの部屋・AM9:00〜
想「…ん、」
俺はやけにいい匂いがする部屋で目覚めた。いつの間にか布団が被せられ、その近くで頭を置いて眠ってしまっている1人の少女。
その姿を見るだけで、誰が俺をここまで運んでくれたのかを知れた。
想「ありがとな…」
静かに起き上がり、俺に変わってつぐみを布団に入れる。すやすやと寝息を立てているので、多分バレていないはずだ。
想「…」
黙って出ていく事には少し申し訳なくなりながら、歩みを進める
つぐみ「…想さん…」
想「…!」
呼ばれたことに驚いて振り返るが、寝言だった。涙を流しながら寝ているつぐみ。
想「……行ってくる」
つぐみの頭を少しだけ撫でて俺は窓から飛び降りる。受身をとりながらビートチェイサーの横に着地、すぐに跨り羽沢珈琲店から走り出した
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〜とある道路・AM9:30〜
想「…雨がすごいな」
俺はバイクで道路を走り抜けていた。対向車線にも、自分がいる車線にも、何一つ車は通らなかった。歩いてる人もいない。まるで花咲川はゴーストタウンのようだった
俺はあと一人に、別れの言葉を告げたかった。何より俺を心配してくれた人物に
残りの自由時間も少ない中、自分は早く会いたいと一心でバイクを飛ばした
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〜リサ宅・玄関、AM9:45〜
リサ「それで私の家に来たと?」
想「あはは…まぁそうだね…」
俺は微笑みながら言う。リサは「ふーん」と言ってから俺に近寄って来た
リサ「黒服さんから電話で聞いたよ?…凄まじき戦士になるんだってね…」
想「…そうだな」
リサ「正直アタシにはわかんないけど…凄まじき戦士がなんかやばそうに聞こえるのは分かるの…」
想「うん…」
リサ「死なない…よね?」
想「…どうだろうな」
リサ「…じゃあ、目、瞑って」
想「…え?」
俺は瞬きをしながらリサを見る。その顔は赤く、何かをしやろうとしているようで…
リサ「いいから…!」
想「お、おう…____!?」
俺が目を閉じた瞬間、俺の唇にリサの唇が重なる。いわゆるキスをリサはしてきたのだ。
しばらくした後、息が続かなくなったのか「ぷはっ」と互いに唇を離す
想「はぁ…何すんだよ…びっくりした…」
リサ「これで出来たでしょ…?」
想「…?」
リサ「帰る理由…!ちゃんと倒して帰ってきて!女の子の初めてのキスとっておいて死んだら許さないよ…!」
とった…?俺はとってない…リサからやってきたんだよ…
というのを俺は我慢する。その代わり、サムズアップをひとつ
想「分かった、必ず勝つ。勝ったらさ…みんなでパーティだな!」
リサ「うん!約束!」
俺とリサは指切りげんまんをした。
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〜埼玉県〜
ダグバ「…」
相変わらずの不気味な笑顔で街の道路に佇むダグバ、だがその周りには、花咲川のように、車や、人の遺体があり、地獄絵図となっていた。駆けつけた警官も瞬殺され、埼玉の警官は全滅寸前となっていた。
警官「現場に到着!でも…0号がいません…!」
あとから駆けつけた警官は、地獄絵図を見回し0号を探す、だがいなかった。
その後0号は驚異的な移動スピード…いや、殆ど瞬間移動というものに近い…そして、あちこちで目撃され、殺戮という”遊び”をしていた。
______茨城で
______青森で
______京都で
死者は6万人を上回る…
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〜とある道路・AM10:00〜
想「…」
俺は次々と来る0号の出現と、殺戮を無線越しに聞き、戦慄していた。叩きつける雨が体を冷やしていく
杉田『聞こえるか?』
想「…!_はい!」
無線から杉田さんの声が聞こえる
杉田『対0号の特殊レーダーが今作動し始めた!0号はまだ観測できてはいないが…発見次第すぐに連絡する!』
想「分かりました!」
俺はさらに速度を上げ、行くあてもない道路をただひたすら走る。
ただ、ひたすら…