「テメェ…!!」
俺はその姿を見た瞬間に、怒りをあらわにした。あのクソ親父が…今度はつぐみと日菜を奪おうと俺の前に現れた。
「おーこわっw」
「ふざけるなよ…!」
俺は腰に手をかざさなくても出てきたベルトで赤のクウガへと姿を変えた。
「ねこちゃんはどうだったかな〜」
煽った口調で話す相手に感情が暴走する
「お前がタマを口にするなァァァ!」
俺はありったけの声で叫びながら距離を詰める。相手は剣を持っていないので、肉弾戦がはじまる。
〜日菜、つぐみside〜
2人とも、あんな彼を見るのが初めてだった。普段はとっても優しい彼が、今は氷のように冷たい。2人とも薄々は聞いていた。彼の父親は最低ということを
「大丈夫かな…想さん」
「つぐちゃん…大丈夫だよ」
〜八意想side〜
「ハァッ!」
「うおっ…」
俺は飛び上がり殴り掛かる。だが横に躱され俺の横腹を蹴ろうとするが俺も器用に空中回転して躱す。そして相手と組み合う形で止まる。互いに拳に力を込めて、
「前よりかはましになったかぁ?」
「…。」
「無視はないだろ…」
「うるせぇ…喋るな」
「ひどいなぁ、これでも父親だぞ?」
「お前を父親と扱いたくは無い」
「はぁ…鬱陶しいんだよ!」
「ぐおっ…!」
俺は相手からの飛び蹴りに気づかずモロに腹に食らう。後ろに吹っ飛び、日菜とつぐみの横に置いてあったトライチェイサーに激突する。後ろでガシャーンと音を立てて倒れる。
「大丈夫!?」
「あ、ああ…」
俺はそう言いながらトライチェイサーからハンドルを引っこ抜く。
「ダメ…」
トライアクセラーを握った右手を、日菜が遠慮がちに握る
「戦っちゃ…ダメだよ…!今戦ったら絶対何か嫌な予感がするもん!るんってこない!」
「離してくれ…」
「嫌だ!」
そう言うてる内に、相手はベルトから剣を出し構えこちらに走ってくる。俺は日菜を庇う形になり…
「日菜…!」
「え…?」
日菜は視線を下にやる。制服には血が着いていた。いや、これは自分の血ではない、じゃあ誰の…?
「え…」
原因は、八意想から突き出していた剣にあった。腹を串刺しにされ、貫通しているのだ。その剣先がギリギリ日菜に届かなかっただけだった。
「ぐふっ…うぁ…」
八意の口からそんな声が出る
「んだよ…カッコつけかよ…」
その後ろから呆れたような声がする。
「あ…」
その腹から剣が引き抜かれ、さらに出血する。白くなった彼はその場に倒れビクともしなくなる。
「次はどっちにしようかな〜」
剣先を交互に向けながら物色している。
「決〜め〜た、この茶色い奴でいいか」
「つぐちゃん!」
つぐみに剣を向けて、斬ろうとした時、不意に後ろから銃声がして、動きが止まった。
「…!なんだ…?」
後ろから走ってきた人物は惨状を見て困惑する。
「なんだこれは…!」
その人はライフルを片手にもった警察官だった。
「八意…では無いな…君たち!大丈夫か!」
「刑事さん!」
「しまった…!?」
「死ねやおらァァ!」
まだやつは倒れてなどいなかった。
『皆様!伏せてください!』
突然そんな声がひびき、みんな咄嗟に伏せる。
「なんだ…!?」
周りになにかが落ちてくる。そこから煙がたかれ視界が見えなくなる。
「きゃ…!」
「え…!?」
「うお…!」
それぞれは誰かに俊敏に担ぎあげられた。視界に密かに移る人物をつぐみは捉え、声を出す。
「黒服…さん?」
「話は後で致します」
そう言うと、黒服集団は3人を車に乗せ、自分達も乗り、その場から立ち去った。
「逃げやがったか…チッ」
1人残された想の父はその場で舌打ちをした。
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「あなた達は…一体?」
警戒する一条に向かって黒服が言う
「ただの黒服です。八意想さんの関係者…ですかね」
「は、はぁ…」
「想さん!」「想くん!」
半泣きになりながら叫ぶ日菜とつぐみに黒服が落ち着いた口調で話す
「2人とも、落ち着いてください」
「落ち着けるわけないじゃないですか!」
つぐみが叫ぶ。
「八意様の傷はもう塞がってます。恐らくは大量失血による貧血か疲労かです、しばらくすれば目覚めるでしょう。」
日菜もつぐみも肩を下ろす
「よかった…つぐちゃん…私どうしよう…また彼に迷惑掛けちゃった…怒られるかな」
「大丈夫ですよ、想さんはそのくらいでは怒りませんよ。」
「うん!」
「でも…凄い回復速度ですね…何かあるんですか?」
「……いえ、何も」
「「?」」
(言えるはずがない…人間をやめ始めようとしているなんて…絶対に)
ハンドルを握る手を強くする黒服を疑問に思うが追求を諦める。
「リムジン…すごいですね」
沈黙を破る為なのか一条さんが声を出す。他愛のない話だが
「はい、耐久性もあり、座り心地も極めております」
「へ、へぇ〜…そうなんですか」
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『おきろっての…』
「…んあ?」
妙な感覚と共に目を開けると…白い世界にいた
『な〜にがんあ?だよ。寝ぼけてんのか?』
「いや…って!日菜とつぐみが!」
『大丈夫だ…2人とも無事』
「そうか…よかった…」
『忙しい奴だな、お前』
「んで?ここにお呼ばれしたってことは何かあったのか?」
『飲み込みが早くて助かる。が、何かあったでは無くこれから起きるかもしれない、そう伝える。お前、あのもう1人のクウガ…お前の父親だったな。アイツとは闘うな』
突如として言われたことに理解ができない。辛うじて言えたのは、怒りを込めた
「は…?」
『はっきり言って今のお前じゃ勝てない、あいつは凄まじき戦士。それと同等になりつつある。お前に対する憎しみや殺意で操ってる。ありゃあ俺もびっくりだよ』
「ちょっとまて…!アイツにもあるなら俺にも使えるんじゃないのか!その凄まじき戦士ってやつ!」
『ああ、使える』
「なら…!」
『だが、使わせない。今のお前には、心の闇が深すぎる。励まされようとも消えないあいつへの憎悪や殺意、それが凄まじき戦士を…暴走させてしまうかもしれない』
「でもそれがなきゃ…」
『いいのか?周りのヤツを皆、殺す羽目になる』
「っ…!?」
俺は言われたことを即座に理解出来た。だが…あいつを倒すには…でも…
「くそっ…!決断すらできないのか俺は…」
俺は地面を叩いた。拳に涙が滴る
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リムジンは病院に向かい続けていた。その時、車の天井からパシン!と音が響いた。
「「!?」」
また1発。また1発。
その度に天井がビシン!バシン!となり、日菜とつぐみが
「なになに!?」
「どうしたんですか!?」
「まさか…奴は倒せてなかったのか…!不味いことになりました黒服さん!飛ばしてください!」
「分かりました…つかまっていてください!」
「うおっ…!?」
リムジンの割には意外と出た速度に驚きながら後ろを見る。日菜とつぐみが恐怖で怯えていた。刑事である自分がどうにかしなければ…
(だが…どうやって…ライフルさえ届かないぞ…)
もう一度後ろを見る。まだ眠ったままの彼を見てしまう
(情けない…彼は高校生だ…守らなければ…!)
そういいライフルを構え直す一条だった
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『なぁ、八意想。』
「…?」
『お前はどうしたいんだ。守るために力を使うんじゃないのか?笑顔を守り、無ければ作る。それは嘘だったのか…!はっきり言って今のお前は殺意しか無い。奴を殺す。それだけだ!それでいいのか!』
「違う…」
違う。俺には守らねばならぬものがある。教えてもらったはずだ。タマに
「だけど…」
奴の前に立つと自分を制御出来なくなる。どうしようも無い怒りが、俺を支配する
『笑ってる君が1番素敵だけどなぁ…私は、怒ってる君はこう…もやもやって…わかる!?』
「!?」
不意に耳に聞こえた声。花とパイがまざったいい匂いが鼻をくすぐる。鈴を転がしたように笑う声が響く。懐かしい光景、もう二度と戻れないあの世界の光景。死ぬほど望んでも戻れない光景。
「笑った…俺」
俺のはずなのに、自然とアイツらの笑顔が浮かび上がる。リサ、紗夜、つぐみ、こころ、日菜、そして俺が関わってきたたくさんの人達。
「ああ…また俺はイカれちまってた…」
『まずいな…!』
「…!?どうした」
『やつが…お前らを狙ってる…!』
「…!?」
動き出した俺をアマダムが止める。
『まて…!今のお前はまだダメだ…!金の力を使う気だろう!今使えば命に関わるぞ!』
「ああ、構わない。俺はそうは簡単に死なないからな」
『…。』
アマダムは何も言わなかった、その代わりに何かを、何かを信じるようにうなずいた。そして
『そうか…どうなっても知らないぞ?』
「ああ…」
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「頼む…起きてくれ…!」
ライフルの弾が尽き、なすすべがなくなる一条をよそに空からは嵐のように矢が降り注いでいた。さすがの一条もこれには諦めざるおえなかった
「きゃあ!?」
「つぐちゃん!」
「まずいことになりました…タイヤが…パンクしました…!」
「まずいな…」
その時、一条の手を冷たい何かが握りしめた。
「…!?」
「一条…さん…!」
「想さん!」「想くん!」
日菜とつぐみも名前を呼ぶ
「八意…大丈夫なのか…!?」
いや…見たらわかる。冷や汗をかいて、握りしめた手は震えていた
「拳銃を…俺に…!」
「何を言ってるんだ…!それ以上無茶はさせられない!」
「いいから…早く…お願いします…!」
「…」
もうここまで来たら止められない事を悟ったのか一条は無言で拳銃を渡す。
「変身…!」
緑のクウガへと姿を変える。
「黒服さん…このリムジン上開きます?」
「開けれますが…?」
「開けてください、相手が撃ち抜く前に狙撃します」
「「!?」」
一同は驚愕したできるわけが無い。これだけの速度を出し、しかも車という不安定な場所で撃ち抜くなど
「しかし…」
「やらせてください…」
「……分かりました」
黒服は腹を括ったのか俺にそう伝える。続いてゆっくりと上の扉が開く。
その間に俺は緑の金のクウガへと姿を変え、ボウガンを引いて待機する。
完全に開いた。凄まじい突風が体に叩きつけてくる。だが俺の耳は奴の羽ばたく音を聴いていた
「死ね…クウガ」
相手も吹き矢を口に当てる
「そこだ…!」
俺はボウガンを相手に放つ。今度は6発連射。
「ぐあっ…!」
俺が放った矢は6発中約3発が体にヒットした。相手は落下していく。そして………
夕方の町の空中で爆発した。
「お〜!」「すごい…」
日菜とつぐみが感嘆の声を漏らす。だが…
「「!?」」
八意想は事切れたかのようにその場で意識を失った。相当無茶をしていたのだろう
「大丈夫だ、息はしている。疲れているのだろう」
「よかったぁ〜」
「なんか…大変でしたね」
「そうだね〜、疲れたよぉ〜」
つぐみが苦笑しながら言うと日菜も苦笑する。
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「ありがとうございました!」
「妹が…すみません」
日菜と紗夜がが頭を下げ、例をする。
「いえいえ、お気になさらず」
黒服はそれに答え車で走り出す。つぐみも家に送り、後は自分達が帰るだけ…まだあと仕事がある
八意想の治療である
その本人は、だいぶ無茶をして意識を失っていたから
なんかむちゃくちゃな出来だなぁ…