笑顔をつくる物語   作:エヌラス

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剣道の小川の存在を忘れてた…



頑張ろ(なにを)


page57 お泊まり会は邪魔しない

何か、とても熱い夢を見ていたはず…誰かを庇い…

 

『…さん…!』

 

誰かに…呼ばれてる…?

 

『しっかりして…さん』

 

複数人の声がする。思い出せない…曖昧だ…

 

誰かが俺を揺らしてる、ほっといてくれ…俺は今のまま楽になりたい…もう疲れた…

 

『逃げるのか…』

 

遠い、誰かの声…俺を…俺は…

 

 

逃げては行けない。

 

 

 

俺がまいた種を、消してからだ、消えるのはそれからだ

 

「うぁ…」

 

目を開く、消毒の匂い。右眼が見えない…手を動かす、右眼が見えない原因を探る。

 

「包…帯…?」

 

「よかった!」

 

「…?」

 

誰かが俺の手を掴んだ。

 

「想さん!大丈夫ですか!」

 

「その声…美咲?」

 

「よかった…」

 

美咲のようだ。意識が覚醒していく過程で記憶が戻っていく。

 

「そうだこころは!?」

 

確かだいぶ大きな爆発だったはずだ。俺はどうしても心配になって聞く、

 

「それよりも自分の心配!と言いたいけど想さんらしいですね、みんな無事ですよ」

 

「よかった…ぎぁ…!?」

 

「大丈夫ですか!?」

 

全身に激痛が走り、悶える。天井を見ればシャンデリアがあった

 

「あまり無理しないでください…」

 

美咲が落ち着かせるために背中を撫でる。

 

「今の俺の状態は…?」

 

恐る恐る聞いてみる。すると美咲は少ししてから答える

 

「一言で表せば…」

 

「表せば…?」

 

何だか不穏だ…俺は唾を飲み込み言葉を待つ

 

「全身包帯…でしょうか、火傷がひどいので…てかまずあの爆発は普通の人じゃ生き残れないらしいですけどね…」

 

「まぁ、普通じゃないからな…」

 

「お前がいるって事は無事お泊まり会できるんだな」

 

よかったと思う。こころに何一つ怪我なくこうしてみんなとお泊まり会を出来て

 

「にしても…腹減ったな…あはは」

 

俺は腹を抑える、当初コロッケやパンを買いに行こうとしてたことをすっかり忘れていた。外は真っ暗、そういえば美咲もパジャマであることに気づく

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「いや、美咲のパジャマ可愛いなって…」

 

「そ、そうですか…?///」

 

「うん、女の子らしくていいんじゃないか?」

 

「ありがとうございます…///」

 

控えめに扉がノックされる。

 

「どうぞー!」

 

「こ、こんばんは」

 

「花音さん?」

 

「花音だ、久しぶり?」

 

扉向こうから来た人物は、おかゆがある器をトレーに置き、持った花音だった

 

「そうだね…最近話してなかった気がする」

 

そう笑顔で言いながら美咲の隣に座り、机におかゆを置く。俺はとりあえず食べようとするが…

 

「っ…」

 

腕が動かない、俺は仕方なく二人を見て言う。

 

「すまない…2人のどっちかでもいい、俺に食わせてくれ」

 

「「ええっ!?」」

 

「なんだ?素っ頓狂な声上げて」

 

(それって…あーん、てやつだよね…ふぇぇ…)

 

(気づいてください…想さん、今自分が女子にやらせようとしてることを…!)

 

そんな美咲の願いが通じる訳もなく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美味かった〜」

 

俺はとりあえず満腹になり再びベッドに横になる。その横では、何故か顔を真っ赤にした2人がぜぇぜぇとくたびれていた

 

「なんだか疲れましたね…花音さん…」

 

「そうだね美咲ちゃん…」

 

「なんかめっちゃ疲れてるが…どうした?」

 

(いや大半あなたのせいですよね!?)

 

美咲は心中で叫ぶ。そこに3人がノックもせずに突撃する

 

「美咲ー!花音ー!あら?想!起きてたのね!」

 

言うや否や俺に突撃して抱きつく。痛い

 

「こころ…あとはぐみと薫か」

 

「想くん起きてる!いつの間に!?」

 

はぐみが目を丸くして驚いている、いやエスパーやないんやから分かるわけなかろう…

 

「お姫様を守った勇者…儚い…」

 

いや薫さん?貴方何言ってますのん?

 

「…」

 

確かに美咲が疲れるのも分からなくはない、こんなの毎日相手してたら疲れるな、俺は心の中で美咲に敬礼しておいた

 

 

_________________________

 

 

「さてさて…」

 

改めて1人になった部屋を片目で見渡す。あの5人組はこころの部屋に遊びに行った。こころは

 

「みんなで想を看病しましょう!」

 

と言っていたが折角のお泊まり会。こんな事に時間を潰すのは可哀想だ。そう考えてる時、部屋がノックされ開く。黒服がいた、しかも3人

 

「こんばんは」

 

「お目覚めになられましたか、八意様」

 

そう言うと3人組黒服は深く頭を下げ

 

「こころ様を救っていただき、ありがとうございました。」

 

と揃って言った。

 

「いやいや、大丈夫ですよ。無事だったんですから」

 

「ですが…」

 

「いいんですよ」

 

「……わかりました」

 

その後、とにかく謝罪やのお礼やのを言う黒服をどうにかしてその日は寝た。

 

〜夜中の1時〜

 

「ぐっ…あぁ!はぁ…はぁ…」

 

俺は全身の激痛に耐えれず飛び起きた。なんなんだ、痛い、とにかく痛い、痛い以外何も考えられない。唯一痛くない顔を触り、包帯を取る。

 

久しぶりに両眼を開けて周りを見回す。違和感があるがすぐ治るだろう

 

 

『着々と、人間を辞め始めてるな、お前』

 

頭の中に言葉が響く

 

「アマダムか…」

 

「ああ、着々と人間じゃなくなっていってるのは何となく分かる」

 

『怖くはないのか?』

 

「いや、全然、アイツらを守れればいい」

 

『死ぬかもしれないんだぞ?』

 

「それは勘弁、俺にはまだやるべきことがある」

 

『父親か…』

 

「ああ、アイツらはリサ達を狙ってた。前みたいに…だから俺は阻止しなきゃならないんだ。もう…二度とあんなことにならないように」

 

俺は唇を強く噛み締める。

 

(それ程の覚悟か…俺には止められないな)

 

ため息をひとつ

 

『わかったよ、あまりに酷すぎたら警告を送る』

 

「警告?」

 

『多分ないだろうが一応のためだ』

 

そういいアマダムは消えた

 

「なんだよ…教えてくれりゃあいいのに」

 

俺はベッドから立ち上がり、全身の包帯を取る、近くに置いてある服1式を取りだし着る。その時そっと扉が開き、人が歩いてきた

 

「おじゃましま〜す…起きてますか?」

 

「美咲か、夜更かしは良くないぞ」

 

「わかってますって…なかなか寝付けなくて…ははは、すごい汗ですけど大丈夫ですか?」

 

「ああ…俺も似たようなもんだ」

 

「てかなんで立ってるんです!?あれ!?あれ程あった怪我は!?」

 

「しー…!」

 

驚きのあまり叫ぶ美咲の口を抑える。美咲も分かってくれたようか静かになる

 

「治った」

 

「な、治った…?」

 

「ほら、身体もちゃんと動く」

 

肩を回して美咲に見せる。実際のところ肩が少し重いが美咲には見せない

 

「すごいですね…人間じゃないみたい…」

 

「…」

 

美咲も鋭いところをつく、この世界の女子はみんな勘が鋭いのだろうか…

 

「あともう少しで夏休みが終わるが美咲は宿題終わってるか?」

 

俺は話題を逸らすために美咲に問いかける。

 

「はい、もう終わってますよ。想さんは?」

 

「俺も終わってる、美咲は真面目だからなぁ…」

 

俺は頭を掻きながら答える。美咲は苦笑しながら

 

「全然真面目じゃないですよ、燐子先輩や紗夜先輩には負けます」

 

「比べる対象がおかしくない?あの二人めちゃくちゃ真面目だし勝てないよ」

 

「想さんいっつも紗夜先輩に怒られてますよね…」

 

「紗夜がケチすぎるんだよ…いっつもあんなツンケンしなくてもいいのに…」

 

「あはは…、でもツンケンしてない紗夜先輩も想像出来ないですね」

 

「まぁ…確かに…」

 

いや、ポテトを出せばツンケンしなくなる、あと犬。それは紗夜の名誉の為に伏せておくが…

 

「お泊まりはいつまでやるんだ?」

 

「2泊3日です、なんか今日の夜ご飯は凄く豪華でした…あまり見ない食材ばかりで…」

 

満腹そうにお腹を摩る美咲

 

「はは…頑張ってくれ…」

 

俺は苦笑いするしかなかった。ご飯の話をしていたせいだろうか

 

「グゥ〜…」

 

「やっべ…腹減った…」

 

「やっぱりおかゆじゃあれですか?」

 

「あのおかゆは美味かった、だけど腹は満たせないな〜…胃には優しいし助かるが」

 

俺は部屋の窓を開ける。

 

「何するんですか?」

 

「抜け出してなんか買ってくる」

 

そうと決まれば青のクウガになって…

 

「白いですね…」

 

「白いな…」

 

俺がなれたのは青のクウガでは無く白いクウガだった。まだ本調子じゃないからだろう。

 

「諦めるか…」

 

トライチェイサーは…多分どっかにあるが見つける前に見つかってあれだろう。

 

「美咲…?」

 

そういえば美咲の反応が無いなと思い後ろを見ると、立ちながら寝ていた

 

「どうゆう体勢だよ…」

 

俺はとりあえず美咲を自分のベッドに寝かせ、部屋を出る

 

「良いリハビリにはなるか…?」

 

夜中だからか廊下の明かりは着いていないので月の明かりを頼りに歩く。

 

「あといつまでこの世界に俺はいられるのかな…」

 

俺は窓から見た月を眺めながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公が回復する際には自然の摂理に逆らって回復しているので凄まじい激痛が襲います。

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