ありふれていない兄は世界最強   作:じっぽるげんがー

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対よろです。


そして兄妹は異世界へ

光から目を守っていた右腕をそっと退ける。するとさっきまでの景色、いつもの教室ではなくなっていた。

周りを見渡すと巨大な広間のような場所だということがわかった。しかしどこか異様なのである。床の素材はおそらく大理石、壁は白い石造りとなっており、巨大な壁画、美しい彫刻などは美術館を思わせるが、そこが美術館などではないことは何故か感覚的に理解した。

 

(ハジメが読んでいる本でもこんなことあったな、異世界転生だっけか?いや死んではないから異世界転移……そうだ、ハジメならなにかわかるか…?)

 

ハジメに声をかけようとするがハジメが1点を見つめていることに気づく。それはさっき自分が一瞬見た巨大な壁画だった。

 

後光を背負って長い金髪を靡かせ、うっすらと微笑む中性的な…神を思わせるような人物。

後ろには草原や湖、山などが丁寧に描かれとても美しいというのが第1印象だった。しかし、なぜであろうか。見れば見るほど嫌な感じが、身体の危険信号が反応しているのがわかる。

隣のハジメも同じことを思ったのか不自然に目を逸らした。

 

「なぁハジメ、これってお前が読んでた本とかでもあった展開じゃないか?ここって異世界なのかよ?」

「うん。魔法陣からの転生…もとい転移。漫画とかの話ではよくある話だけど……。異世界かどうかはわからないね。でも一瞬にして学校の教室からこんな所へ行ける方法は現代では……」

「っ!そうだ玲奈!玲奈は無事か!?」

(身の危険が迫っているというのに妹のこと忘れるとか最低か!?何やってんだ俺の馬鹿!)

 

急いで周りを見渡す悠馬。すると少し離れたところで玲奈と雫が居るのを発見する。

 

「よかった!!お前ら無事か!?」

「うぅ…急に光ったと思ったら……もう私には何がなんやら…」

「ここは…明らかに教室ではないわよね?何が起こったのかしら…」

「俺にもわからないが、ハジメの読んでいる本で出てくる異世界転移というものによく似ている。二人とも、声をあげるなよ…?もしかすると…ここは……異世界かもしれない」

 

あまり大事にならないようにこっそりと二人に言いながら、ちらりとハジメの方を向く悠馬。ハジメは香織と話しており、心の中で香織も無事だったことに安堵する。

 

 

そして次は、恐らくこちら側──異世界側であろう人間たちの方へ目を向ける。彼らは自分たちが乗っている台座の周囲に等間隔で並び、法衣を身にまとい、祈りを捧げるように跪いているのだ。

 

(神への祈り…か。ますます異世界転移の信ぴょう性が上がったな)

 

と思っていると祈っている法衣集団の中から、一人の男が出てくる。

 

その男、一際豪奢な法衣を着ていることから、周りの集団よりも偉い立場の人間なのであろうと考える。

そんな彼は手に持った杖をシャラシャラと鳴らしながら、

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は聖教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

と落ち着いた声音で言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな場所では落ち着かないだろうという教皇──イシュタルの提案で今俺たちはいくつもの長テーブルと椅子が置かれた別の部屋へと誘われた。

ここも先程の部屋と同じように煌びやかな造りとなっており、名画、最後の晩餐のようだなと悠馬は一人で考える。上座に近い方に愛ちゃん先生やクラスのリーダー的存在である光輝をはじめとした幼馴染たちが座っていく。俺は上座から玲奈、俺、ハジメとなるように上座の方へと座った。ちなみにハジメは上座側に座ることを嫌がったが、ハジメは異世界系の漫画などをよく読むし、人一倍悪意に敏感だ。頭も悪くないので俺の気づかなかったことを気づいてくれるかもしれないので無理やり隣に座らせた。

 

全員が着席すると、扉からメイドさん達が入ってきた。

突然の生メイドにクラスの大半の男子(勿論ハジメも含まれる)がメイドさん達を凝視している。クラスの女子たちの冷ややかな視線に気づかずに……ちなみに俺は妹>メイドさんなのであまり興味はなかった。入ってきた時は驚いたが。

なおハジメは自分に紅茶を入れてくれたメイドさんを凝視している時に何かを───香織の視線を感じ取ったのか固まっていた。

 

全員に飲み物が行き渡るのを確認するとイシュタルは

「さて、あなた方におかれましてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますでな、まずは私の話を聞いてくだされ」

 

話を聞いて数十分、まぁ話を簡単に要約するとこの世界はトータスという世界であり、大きく分けて3つの種族…人間族、魔人族、亜人族の3種族おり、人間族と魔人族はここ何百年か戦争をしていて、要因は色々ありつつも魔人族の方が個々の力が強いらしく人間族がピンチ。だから人間族の守護神エヒト様とかいう神が人間族を守るために俺たちを召喚したと。それと俺たちの世界の方が上位の世界なので俺たちはここの世界の人間よりも優れた力を持っているらしい。

 

「あなた方には是非その力を発揮し、″エヒト様″の御意思の下、魔人族を打倒し我らが人間族を救って頂きたい」

 

イシュタルは恍惚とした表情で述べる。あらかた神託を聞いた時を思い出しているのだろう。正直言ってかなり気持ち悪い表情だ。若い女性の恍惚とした表情ならば非常に需要が高そうであるがおじいちゃんと言っても差し支えない男が恍惚としているのだ。もう1回言おう。シンプルにキモイ。

それにいくら自分の世界の人間達が滅びそうだからといって無許可で他の世界の人間を呼び出すのはどうなんだろうか。かなり自己中だなここの神様は…とエヒトとやらを崇め奉っている人々に聞かれたらキレ散らかしそうなことを思いつつ、隣のハジメに話しかける。

 

「おいハジメ、この教皇…イシュタルとか、世界だとか、神だとか。お前はどう思う」

「うん…なんかわからないけど、怪しすぎるよね。教皇は神託であんなに恍惚とした表情するやばそうな人だし、世界については…そうだな、魔人族のことをもっと知っておいた方がいいと思う。魔物じゃなくて魔人…人って書いてあるしね、もし戦争に参加するなら最悪人型を殺すことも視野に入れた方がいいと思う。神は……自己中?」

「ぶっ!俺と同じこと考えてるなお前、教皇がヤバそうなのと神が自己中っていうのは俺も感じた。そうか、魔人族は人型だと考えた方がいいかもしれないな。さすがハジメ、俺が気づかないことにも気づくしやっぱり隣に置いておいて正解だったぜ」

「そりゃどうも。畑山先生が頑張って異議を申し立ててるけど…」

「まぁ自己中神様がせっかく召喚したんだ。簡単に帰してはもらえないだろうな。そんな簡単に召喚できるならもっと多くの人を召喚しているはずだ」

 

そんな悠馬とハジメの予想は当たってしまい、現状帰れないことが確定。それを聞いた生徒たちは騒ぎ始める。

そんな生徒たちを見ながら侮蔑した表情をするイシュタル。きっと「なぜエヒト様に選ばれたのに喜ばないのネー?」とか思ってんだろうなあ。

 

しばらくこれからどうするかと考えているとバンッ!と机を叩く音がした。光輝だ。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん?どうですか?」

 

そう言って、どんどんと勝手に話が進んでいく。

 

イシュタルとからの解を得て、力が宿っていると確信したであろう光輝は

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!」

 

おいおい、お前が単騎で挑むならまだしもそんなことをここで公言したら……

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

「龍太郎……」

(ほらなぁああああ!?努力!熱血!友情で優勝する龍太郎くんは乗るよね知ってたああああ!)

 

「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

「雫……」

(うんうんそうだよね!グループのバカ2人がやるって言ったらオカン立場の雫さんも乗っちゃいますよね!わかるわかる!!!)

 

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

「香織……」

(あー。もう、はい。わかりました。こいつら全員やるってんならわかりましたよって……)

 

「しゃーなし……お前らやるならほっとけないしな、やるよ、俺も。」

「悠馬……」

 

「私も!」

「俺も!!」

 

どんどんと増えていく参加者たち。

 

隣の玲奈は……震えていた。

 

「どうした玲奈?怖いんだったら行かなくてもいいんだぞ?クラスメイトの中にも流れで参加するやつも多いはずだ。そんな人たちのために俺が後で光輝に言っとくかr「違うの……」……なにが、怖いんだ?」

「さっきお兄ちゃんとハジメくん、話してたでしょ?魔人族は人型かもしれないって…」

「っ!…聞こえてたか……」

「私はまた、あんなことを起きてほしくない…!お兄ちゃんに戦争なんか参加してほしくない!失う……それが、怖いの…」

「……玲奈。あれは俺の実力がなかったから起こってしまったんだ。あれから俺は強くなった。雫の家で鍛えてもらったり、俺なりに訓練して強くなったはずだ。もうあんなこと、起こらせないよ。」

「……………」

「だから…な?お兄ちゃんのこと信じて、いつもみたいに笑ってくれないか?……お兄ちゃんシスコンだからさ。玲奈が悲しんでると力出ないよ…」

「………うん…わかった。お兄ちゃんを……信じる」

「ありがとう、玲奈。良い妹を持って、お兄ちゃん幸せだよ」

 

クラスメイト達が盛り上がっている喧騒の中、俺はそう言って玲奈の頭を撫でるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、対ありでした。
次回はステータスプレート書きたいと思います。
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