カブキャン△   作:塩麹弁当

1 / 4
冬キャンプとは

 冬にキャンプして楽しいの? 

 冬にキャンプして辛くない? 

 冬のさっむい中キャンプするなんて頭おかしいんじゃないの。

 

 上から姉、母、妹に言われた言葉だ。

 

 冬のキャンプの良い所なんて実際にやった奴にしか分からないし、ましてや冬にキャンプをした事が無いのに辛さを語るな! 冬は寒いし鼻水出るしキャンプ道具は必然多くなるし夜〜朝に掛けては凍え死にそうな時もあったし冷たい風が肌に突き刺さって痛いくらいだし焚き火が目に入って痛いしそれに──

 

「あんた今のところ冬キャンプの辛さしか言ってないで」

「楽しさとか良い所は実際にやってみないと分からないんだよ」

「それは難しいんとちゃう? 私とかはともかく、普通の人は真冬にキャンプなんてせえへんし考えもしないやろ」

「まあ別に真冬にキャンプをやれとは言わないが、やっても無いのに否定はしないで欲しい」

「家族にボロクソ言われたからってそんなアツぅならんくてもええやん」

「お前がもう少し話の分かるやつだったらなぁ」

「ウチがアウトドアに興味あるからええけど、無かったら私も普通に引くで」

 

 俺がこんなにも熱く語ってるというのに、目の前の幼馴染はジト目で見てくるだけで共感はあまりしてくれない。まぁ、引いてくれないだけマシだと思うか。

 

 大抵、キャンプの魅力を人に熱く教えようとしてもどこか冷めた目で見られてしまう。だから最近はキャンプの話は人にしないようにしていたのだが、つい昨日家族に理不尽にも言われてしまったのだ。あいつらは多分血が繋がってないんじゃないかと思う。

 

 唯一少しだけわかってくれるのは目の前の幼馴染―犬山あおいただ1人である。

 

 昔から親同士で仲が良く、幼稚園の頃から高校生の現在までずっと一緒に居る。あまりにも一緒に居る時間が長かったせいか、俺もあおいも互いに遠慮がない。

 具体的には、俺が風呂に入ってるとあおいも遠慮なしに入ってくるぐらい。今となっては何とも思わない―なんてのはさすがに嘘だが、中学生の多感な時期に入られた時には思わず叫んでしまった。あおいも恥ずかしかったのか、何でもないふうに装い顔が赤かった。

 それでも幼稚園の頃から一緒に入ってる仲だからか、なし崩し的に小学、中学、そして高校と続いていったのだろう。普通に俺の家の風呂にいまだに入ってくるのは少しは遠慮してほしいが。

 

 うちの風呂事情はどうでもいいんだ。

 とにかく冬にキャンプ、しよう! 

 

 

 △△△△△△

 

 

「いやー、晴れたなぁ」

「晴れたなぁー……やあらへんて」

「どうしたあおい。富士山がこんなにも綺麗なのに、元気がないぞ」

「あんたなぁ……先週あんだけ愚痴聞いてあげたのに……」

 

 先週あおいに愚痴を聞いて貰ったので、お礼にキャンプに誘ってみた。ちなみに今回は土日で1泊キャンプ予定だ。だが、あおいはどこか不満げに俺を睨んでいる。

 

「どうした、そんな可愛い顔してからに」

「睨んでんの! デートの誘いかと思ったのに……

「まあこれも一種のデートでしょ」

「聞こえとんかい! 聞こえてても無視せぇ!」

 

 ちなみに俺とあおいは付き合ってはいない。

 

 それはともかく。

 

 本日キャンプする場所は富士山の麓にある麓キャンプ場という所だ。このキャンプ場の特徴は、とにかく富士山が綺麗に見える!という事だろう。

 今日の天気予報では一日中快晴らしいので、この富士山をずっと見ながらキャンプできるという訳だ。最高かな? 

 

「なぁー、はよテント建てようや。寒いー」

「分かった分かった」

 

 

 感傷に浸っているとあおいがうるさいので、早速場所決めを開始する。

 

「取り敢えず、姉さん。向こうの方へ車移動させてくれる?」

「はいはい。まったく、姉使いが荒い弟だこと。ねぇ? あおいちゃん」

「まったくですよ! 尊さん、今日はありがとうございます」

「いいのよ。可愛いあおいちゃんのためだもの」

 

 なんて話をあおいと俺の姉さんが話している横で、俺はベストプレイスを見極めている。ちなみに、普段一人の時は愛車(クロスカブ)に跨りキャンプに行くのだが、今日はあおいがいるので姉さんに車を出してもらっている。さらに、あおいの分のキャンプ道具や2人用テント等を積むため、今回車は必須となっている。

 

「姉さん! そこだ!」

「りょーかーい」

 

 姉さんは間延びした声を出しながら、俺が指定した場所へ車を停める。そう、ここが本日のベストプレイスとなる。まあ毎回気分によって完璧な場所なんて変わるが、本日はここが最適な場所である。

 

「ここなら富士山が綺麗に見えるし、地面の凸凹も最小限だ。流石俺! 完璧だな」

「富士山はどこでも綺麗に見えるやろけど、まあ地面が凸凹してへんのは良いやん」

 

 あおいも満足そうだ。

 

「ほら、荷物降ろして」

 

 姉さんに言われ俺たちは車から荷物を降ろす。冬キャンは防寒具等で荷物が増えがちだ。俺一人の時は正直最小限の防寒具でも十分だが、今日はあおいがいるので軽めの毛布や携帯ストーブなど持ってきている。そのため、必然的に荷物が多くなってしまう。冬キャンのデメリットとしてはそこがあるな。

 

「じゃ、私は帰るから。明日10時にまた迎えに来るからね。あおいちゃん、楽しんでね」

 

 荷物を全て降ろしたあと、姉さんはそう言い車に乗り込む。姉さんには今回足として車を出してもらったのだ。そのため姉さんは一度家に帰ってしまう。

 

「あいあい。ありがとね」

「ありがとうございます〜。気を付けて下さいね!」

 

 それじゃまた明日ーと言い、姉さんは走り去る。

 

「じゃ、早速拠点作りといきますか!」

 

 

 




ちょっと改行とか見直して編集しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。