いきなりだが俺は飛行機の中にいる。しかも家で寝てたのに目覚めたらいきなり飛行機の中に居たのである。
辺りを見回すと、呑気に寝ているオレンジ髪の少女の姿が見えた。その傍らには古めかしいローブを纏った人物やらコスプレっぽい制服を来ている男性やら怪しい人達がいる。ここで俺は思い出した。
(そういえばFGOの主人公って拉致されてカルデアに来たんだよな……と)
つまり拉致に巻き込まれている訳なのだが、何故自分までここに居るのだろうか?誰かに話を聞きたいが全員が何やら不機嫌そうな顔なので非常に言い出しずらい空気が生まれている。まあ俺には関係ないがな。
「へい、そこのローブの白髭のおっさん」
「何だ、馴れ馴れしいぞ人形が」
人形……確かに俺はイケメンだねーとか美形だねーとか中性的だねーとか良く言われる。だがなあ、毎日言われると飽きるわあっ!?特に姉ぇ!顔整ってんだから女装しても似合うでしょ?って強引に制服(女性用)着せるの止めろぉ!あと笑いながら写真撮るなよっ!魔術師なのに何故普通にカメラの連写機能使いこなしてんだよ!
「ああ、至急準備してくれたまえ……どうした?まさか人に話しかけておいて何も言うことはないとは言うまいな?」
誰かと話していたおっさんがこちらに向き直った。
「ああ悪いな。考え事してた。おっさん誰なんだ?この飛行機何処行き?」
おっさんはやれやれと言いたげに肩を竦めると、
「君に教える義理は無いのだが、まあ、凡人では無いようだし教えても構わないだろう」
気を取り直すようにコホン、と咳払いをした。
「これから向かう場所は『人理継続保障機関フィニス・カルデア』という所だ」
「ああ、あのカルデアか」
液晶画面越しにお世話になってました。
「おや、君のような辺境の民でも知っているのか?なら話は早いな」
いちいちこっちを貶してくるおっさん。日本に恨みでもあるのかと言いたくなる。
「君とあっちの彼女にはマスター適正とレイシフト適正が有ったのでな、どうしても連れて行かねばならなくなったのだ。納得してくれたかね?」
なるほど、俺にも適正有っただけの話か……マジで?あのシリアスありカオスありなカルデアに連れてかれるの?どうにかして逃げれないかな……。
「まあ到着まではまだまだ時間がかかる。どうだ?飲み物くらいなら奢ってあげよう」
おっさんがスチュワーデスからコーラを受け取り俺に渡してくる。
「おっさん気前いいねー!では遠慮なく!」
ちょうど乾いていた喉を良く冷やされた炭酸が口の中をさながら侵略者のように一気に雪崩込み濃厚な甘みで舌を包み込んだ。美味でした。
「ふう、美味かった。んでおっさん結局誰なんだ?こんな所にいる時点で一般人じゃねえのは確定だけどな?最後までおっさんって呼ばれるの嫌だろ?」
「君のような田舎者魔術師に名乗っても仕方がないだろう?」
「はっはっは、そりゃそうだな。こちとら特に魔術師らしい活動してない魔術師(笑)だからな」
「寧ろ私の方が聴きたいね。何故君のような輩が適正を持っているんだ?とね」
「さあなー、俺も知らーん」
暫くその調子で話していると、くらっ、と意識が飛びかけた。疲れたかな?
「どうした?急に眠くなりましたと言わんばかりの顔だぞ?」
「よく分かるなおっさん。エスパーだったりしちゃう?」
「伊達に人の顔を見てないからな。眠いのなら寝たらどうなんだ?」
「そうするわ……眠っ」
あ〜意識が遠くなっていく〜……。
「ふむ、この睡眠剤というのは結構効く物なのだな。もう少し買い足しておけば良かったな」
おい今なんて……すやぁ。
☆強制睡眠中☆
目覚めたら雪山だった件。どれだけ寝付きが良かろうと流石に雪山に入れば起きる。
「あのおっさんコーラに何か盛ったな?」
あの状況じゃ状態異常回復万能アイテム牛乳様も飲めやしない。あのおっさん策士だな。
一人愚痴りながらアイテムを四つ出現させる。地図、方位磁針、革のチェストプレート、ダイヤモンドの剣(エンチャント・火属性Ⅰ)だ。
地図でカルデアの場所を確認し、方位磁針で方角を確認。革のチェストプレートの内側にダイヤモンドの剣を仕込んで今来ている服の上から着る。
火属性のエンチャントが着いた物は触ると暖かい事は昔実験で知った。使い捨てカイロ(永久稼働)って所だな。
「歩くのダルイ……助けて主人公ちゃん」
カルデアまでの道のりはかなり長そうだ。
☆登山中☆
カルデアまでもう少しの所でダイヤ剣型カイロではどうにもならないくらいに体が冷えてしまった。そもそも雪山というのは完全防寒装備で来るようなところだ。カイロを身につけたところで根本的な装備が足りていなかったのだ。
「寒い、ヤバい、死ぬ、寒い」
あまりの寒さに語彙力が下がりまくった状態の俺にアイデアが降りてきた。
『そうだ、家作ろう』と。一度行動を開始すれば作業が終わるまでとても速かった。
右手にオークの木材ブロックを出現させると目にも止まらぬ速さで右手を振り続けた。するとどういうことか右手の延長線上にあった地面の上に一辺一メートルの立方体がどこからとも無く現れたのだ。右手を振る事にブロックが現れ、あっという間に簡素な小屋が出来ていた。窓も無く、飾りもなく、木材を豆腐の形に積みましたと言わんばかりの小屋だった。
さっさとドアを開けて中に入ると、風が当たらないだけでとても暖かく感じる。
もう少し体が暖まるまで動かない事にした。
カルデアまでの道のりは(気分的に)遠い……。
二話なのにまだカルデアに着かない主人公……。
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