しかし、さる方より「ほぼアニメコピーなら要らんくね」とのお言葉を頂いたので、今回、サイコショッカー氏にはちょっと本気出してもらいます。
それを相手する都合、大人の事情が発生するので予めご了承頂きたく思います。
意訳:今後の十代のデュエルで「この時アレ使ってたじゃん。なんで使わんの!?」とか思っても言わないでね……orz
季節は冬──完全寮制のデュエルアカデミア生徒も、年末年始のシーズンには実家へ帰る者が多い。勿論、中には学園に留まる者もおり、この世界に於いて自宅というものが存在するのか分からない昴も、その中の1人だった。
「すいません大徳寺先生。俺までご馳走になっちゃって」
「気にしないでいいのニャ。沢山余っていたお餅を腐らせずに済んで、寧ろありがたいくらいですからねぇ」
「……もうすぐ次のお餅が焼けるんダナ」
そう言って隼人が見下ろす先では、火の灯った七輪の上で白い餅達がぷっくりと膨れている。鍋奉行ならぬ餅奉行よろしく食べ頃を見計らった隼人によって、3つの餅が取り分けられた。
しっかりと火を通しつつ、かと言って柔らか過ぎない絶妙な硬さの餅を、大徳寺は砂糖醤油、昴はきな粉、隼人は海苔を巻いて口へと運んだ。
その名に違わぬもっちりとした食感と、思い思いの味付けを楽しみながら餅を咀嚼する3人の後ろでは、十代と翔がデュエルを行っていた。
普段は手狭になるこのレッド寮食堂も、冬休み期間中は貸切状態。このように、室内でソリッドビジョンを展開したデュエルだって行える。
「行くぜ翔!【E・HERO スパークマン】で【スチームロイド】をこうげ──なんだっ!?」
十代がモンスターに攻撃を指示しようとした瞬間、彼の背後にある食堂の引き戸がけたたましい音を立てて破られた。
「うぅ……っ!」
「お前……確か高寺、だったか?」
引き戸を押し開けて倒れ込むように入ってきたのは、昴と同じオベリスク・ブルーの生徒である高寺という男子生徒だった。
「高寺君、一体どうしたのニャ?」
「だっ…大徳寺先生!先生なら信じて下さいますよね!?」
「ちょ、高寺君落ち着いて!最初からゆっくり話してください」
なんとか混乱を抑えた高寺は、震える声で事の経緯を語り始めた──
元々、高寺は同じブルーの生徒である
その精霊として白羽の矢を立てたのは【人造人間-サイコ・ショッカー】。彼らが文句を唱え【サイコ・ショッカー】の名前を呼びかけると、独りでに動き出したウィジャ盤が文章を紡ぎ始める。
「3体の生贄を捧げろ 然すれば我は蘇る」
この言葉をデュエルにおけるリリースの事と安易に解釈した高寺達は「分かりました」と答えてしまった。
それからだ。彼らの身に不可解な事が起こり始めたのは。まず、儀式を行った翌日に向田が姿を消した。その次の日には井坂が。2人共何の前触れもなく、忽然と消えてしまったのだ。
冬休みが既に始まっていたことから、もしやと思い2人の実家に連絡してみたが、帰ってきていないと言う。脳裏を過ぎった嫌な予感に背筋を凍らせた高寺は、今日出航のフェリーで島を出ようとしたそうなのだが……
「港に着いた僕は、見てしまったんだ……船の上から僕を真っ直ぐ見下ろす【サイコ・ショッカー】の姿を……!」
「うーん……正直、私もにわかには信じられないのニャ」
「そんな!精霊を研究している大徳寺先生なら、どうにか出来ませんか!?こうしている間にも【サイコ・ショッカー】が僕のことを──!」
突如、食堂の中を照らしていた電灯が一斉に消えた。冬の夜の寒風が吹き込む暗闇の中、パニックに陥る翔と隼人。そんな2人のジタバタに巻き込まれないよう少し離れた昴は、外の月明かりを頼りに周囲の状況を確認する。
「──高寺っ!」
昴が見たのは、気を失った高寺を小脇に抱える長身の男──コートや帽子、スカーフで全身を覆い隠しているためハッキリとした人相が分からないが──高寺の話を信じるならば【サイコ・ショッカー】の姿だった。
「────。」
サイコ・ショッカーは言葉を発することなく、高寺を連れて森の方へと逃げていく。十代と昴はすぐさま後を追った。
「待て!高寺を返せ!」
「はぁ…はぁ…っ…エリアル、奴がどっちに行ったか分かるか?……って、そういうのは苦手なんだっけか」
『いや、分かるよ。占いとかじゃなく、気配でね──あっちの方』
先を走っていた十代もハネクリボーに導かれたのか、エリアルが指差す方向へ向かった。
鬱蒼と茂る木々の間を走り抜けること数分……たどり着いたのは、周囲を金網に囲まれた場所だった。四隅には鉄塔が屹立し、様々な方向へ電線が伸びている。
翔と隼人と共に少し遅れて追いついてきた大徳寺が言うには、ここは島全体へ電力を供給する送電施設らしい。エリアル達はここへサイコ・ショッカーが逃げ込んだと言っていたが……
「サイコ・ショッカー!高寺を返せ!」
十代の声に応えるように、周囲の発電機から発せられた電気が凝集。半透明の人型を形作った。
「あれがサイコ・ショッカーの精霊……」
「出やがったな!お前が攫った人達を返せ!そんなに蘇りたいなら、俺を生贄にしろ!」
いきなりとんでもない事を言い出した十代だが、その目は本気だった。これまで沈黙を貫いていたサイコ・ショッカーも口を──無論機械の、だが──開いた。
『よかろう……君から感じる力……私が蘇るための最後の生贄には、君の方が相応しい』
「ただし!俺が勝ったら高寺だけじゃなく、お前が攫った他の2人も返して貰う!」
『いいだろう!覚悟するがいい、我が最後の生贄よ。キミはもう逃げられない!』
「生贄じゃねぇ!俺は遊城十代だ──!」
「「
十代:LP4000 手札×5
VS
サイコ・ショッカー:LP4000 手札×5
『先攻は私が貰う、ドロー!…私は【魔鏡導士サイコ・バウンダー】を召喚!』
【魔鏡導士サイコ・バウンダー】
✩4 機械族 ATK1700 DEF1000
「【サイコ・バウンダー】……?何だあのモンスター、見たことも聞いたことも無い」
敵フィールドに召喚されたモンスターを見て眉をひそめる十代だったが、その後ろでデュエルを見守る昴は驚愕に見舞われていた。
「【サイコ・バウンダー】だと……!?」
あのモンスターはこの世界には存在しないはずのカードだ。何故なら、あのカードが生まれたのは昴の前世でも最近のことなのだから。つまりあのサイコ・ショッカーのデッキは、この時代には不釣合いなデッキパワーを秘めている事を意味する。
「気を付けろ十代!アレはお前の知ってる【サイコ・ショッカー】デッキじゃない!油断すると一瞬でやられるぞ!」
『【サイコ・バウンダー】の効果発動!召喚成功時、デッキから【人造人間-サイコ・ショッカー】を手札に加える。更に手札から速攻魔法【サイキック・ウェーブ】発動!今手札に加えた【サイコ・ショッカー】を墓地に送り、相手プレイヤーに600ポイントのダメージを与える!』
サイコ・ショッカーの手から電撃が放たれ、十代のライフを僅かに削る。通常のデュエルならそれだけで済む筈だが、十代は胸を押さえて呻いていた。
十代:LP4000→3400
『私はこれでターンエンドだ』
十代:LP3400 手札×5
VS
サイコ・ショッカー:LP4000 手札×4
【魔鏡導士サイコ・バウンダー】
「クソ…今度はこっちの番だ、ドロー!…手札から【E・HERO エアーマン】を召喚!」
【E・HERO エアーマン】
✩4 戦士族 ATK1800 DEF300
「【エアーマン】の効果で、デッキから【E・HERO バーストレディ】を手札に加える。続けて魔法カード【融合】!手札の【クレイマン】と【バーストレディ】を融合し、【E・HERO ランパートガンナー】を守備表示で召喚!」
【E・HERO ランパートガンナー】
✩6 戦士族 融合 ATK2000 DEF2500
現れたのは、地と火の力を合わせ持つ重戦士。頑強な鎧に守られた両足を踏みしめ、左腕のシールドを地面に打ち立てる。
「バトルだ!【ランパートガンナー】は与える戦闘ダメージを半分にすることで、守備表示のまま直接攻撃できる!──ランパート・ショット!」
重戦士の右腕から数発のミサイルが発射され、サイコ・ショッカーを爆撃する。本来のよりも与えるダメージ量で劣るものの、守備力を活かした守りを崩さずに攻撃できるというのは、大きなメリットだ。
サイコ・ショッカー:LP4000→3000
「続け!【エアーマン】で【サイコ・バウンダー】を攻撃!」
【エアーマン】は背中の翼に搭載されたローターを高速回転させ、その推進力を利用した強力な一撃を叩き込んだ。
サイコ・ショッカー:LP3000→2900
『ぬう……っ!』
「カードを2枚伏せ、永続魔法【悪夢の蜃気楼】を発動!ターンエンドだ」
十代:LP3400 手札×0
【E・HERO エアーマン】
【E・HERO ランパートガンナー】
魔法罠:【悪夢の蜃気楼】
伏せ×2
VS
サイコ・ショッカー:LP2900 手札×4
「やった!アニキが巻き返した!」
歓喜する翔の隣で、昴は状況を分析にかかる。
まず、十代が【ランパートガンナー】をダメージ優先で攻撃表示にしなかったのはナイス判断だ。
敵のデッキは【サイコ・ショッカー】を出す速度が尋常ではない筈。何なら複数体並ぶことも考えられる。だがその反面、【サイコ・ショッカー】の素の攻撃力は2400──【リミッター解除】でも引かれない限りはこれで耐えることが可能だ。あわよくばこのまま【ランパートガンナー】でビートダウンできれば良いのだが……
『私のターン、ドロー!』
「スタンバイフェイズに【悪夢の蜃気楼】の効果で、手札が4枚になるようドローさせてもらうぜ!」
『フン、無駄な足掻きを……キミは私を追い詰めているつもりかもしれないが、私にとってはこの程度大した事ではないのだよ』
「何だと……!?」
『負け惜しみだとでも思うかね?ならばそれが真実だということを思い知らせてあげよう!私は手札から【名推理】を発動する!』
魔法カード【名推理】は、発動後に相手は1~12のモンスターレベルを宣言。その後自分のデッキを特殊召喚可能なモンスターが捲れるまで墓地に送る。捲れたモンスターが宣言されたレベルだった場合はそのまま墓地に、違った場合は即座に特殊召喚することができる、一種のギャンブルカードだ。
リリースを要求する高レベルモンスターもこれ1枚で出せる為強力なカードではあるのだが、1つ難点がある。
「…へへっ!残念だがサイコ・ショッカー、お前の狙いはお見通しだ!俺はレベル6を宣言するぜ!」
そう……相手のデッキ内容がある程度分かっていれば、結構容易に対策ができてしまうのだ。この場合、十代は敵の狙いが【サイコ・ショッカー】の召喚と予想して、レベル6を指定した。
サイコ・ショッカーのデッキが1枚ずつ捲られ、効果処理が始まる。
1枚目──【聖なるバリア-ミラー・フォース-】、2枚目──【機械複製術】、そして3枚目──
『……フフフフハハハハ──3枚目は【人造人間-サイコ・リターナー】レベル3だ!【名推理】の効果によって特殊召喚!』
【人造人間-サイコ・リターナー】
✩3 機械族 ATK600 DEF1400
「くっ……確かに推理は外したが、そいつじゃ俺のモンスター達には敵わないぜ」
『ククク…それが浅はかだというのだ。私が【名推理】を発動したのはこの為だ!──私の墓地に罠カードが存在することで、手札から【脅威の人造人間-サイコ・ショッカー】をレベル6として特殊召喚!』
【脅威の人造人間-サイコ・ショッカー】
✩7→6 機械族 ATK2400 DEF1500
「で、出やがった……!」
目の前に仁王立ちする人造人間を見上げ、ゴクリと生唾を飲み込む十代。しかしサイコ・ショッカーの展開はまだ終わらない。
『まだだ!これは所詮仮初の姿……【脅威の人造人間-サイコ・ショッカー】の効果発動!自身をリリースし、墓地に存在する【人造人間-サイコ・ショッカー】を特殊召喚──っ!』
脅威の人造人間が全身から激しい電撃を発し、その眩しさに全員目を覆う。瞼を焚いた電撃が止むと、そこには先程とは違う……正真正銘の【サイコ・ショッカー】が高らかな笑い声を上げて十代達を見下ろしていた。
【人造人間-サイコ・ショッカー】
✩6 機械族 ATK2400 DEF1500
「あ、アレ…まさか復活しちゃったの!?」
「いや、十代はまだ生贄にされてない。あの姿はデュエル中でしか維持できないはずだが……十代が負ければ、その限りじゃない」
『リリースされた【脅威の人造人間】の効果により、キミの伏せカードを確認して罠カードを全て破壊する!』
露わになった十代の伏せカードは【非常食】と【ヒーロー見参】。罠カードである後者はメインフェイズの今では発動することができない。
「なら──速攻魔法【非常食】発動!【悪夢の蜃気楼】と【ヒーロー見参】を墓地に送って、ライフを2000回復する!」
十代:LP3400→5400
何とかライフ回復でアドバンテージを得られた十代。
【脅威のサイコショッカー】が登場したことで【サイコ・ショッカー】デッキはエースである【人造人間-サイコ・ショッカー】を早い段階で出せるようになった。何より墓地からも蘇生出来るというのが本当に厄介だ。しかもここまで、奴は召喚権を使っていない。
『更に【サイコ・リターナー】をリリースし、もう1体の【サイコ・ショッカー】をアドバンス召喚!』
「マジかよ!?」
場に並び立つ2体の人造人間。これだけならまだ【ランパートガンナー】で止めることができたのだが……
『食らうがいい!速攻魔法【
【サイコ・ショッカー】の両手から電撃が放たれ、重戦士を跡形もなく消し去る。十代の守りが崩されてしまった。
『バトルだ!【サイコ・ショッカー】で【エアーマン】を攻撃!──
「うぅ──っ!」
十代:LP5400→4800
『もう1体の【サイコ・ショッカー】でダイレクトアタック!』
「ぐあああああああぁぁぁ───っ!」
十代:LP4800→2400
ライフを大幅に削られ、全身に走る衝撃と苦痛に顔を顰める十代。【非常食】で回復していたお陰でライフ差こそ僅差になっているものの、次のターンでどうにか対策を打つなりしなければ十代の敗北が決定──サイコ・ショッカーの生贄にされてしまう。
『カードを伏せ、ターンエンド……次がキミのラストターンだ、精々足掻くがいい』
十代:LP2400 手札×4
VS
サイコ・ショッカー:LP2900 手札×0
【人造人間-サイコ・ショッカー】
【人造人間-サイコ・ショッカー】
伏せ×1
「っへへ……ゾクゾクするぜ。おもしれぇ!」
『そんなことを言ってる場合かな?自分の体を見てみるがいい』
「は…?一体何を──って、何だこれ!?」
「アニキの身体が…消えてる!」
十代の体の腰から下は、ノイズが走ったように霞掛かっている。これはまるで、フィールドに召喚される前のサイコ・ショッカーと同じ状態……
「間違いない……十代君!これは正真正銘、魂を賭けた闇のデュエルだ!負ければ君は本当に生贄として魂を抜き取られてしまう!」
大徳寺の言葉を聞いた翔と隼人は息を呑んだ。十代もまた額を汗が伝う。
本物の闇のデュエル──先の痛みやこの不可解な現象、以前闇の決闘者を自称するタイタンと行ったインチキ闇のゲームとは大違いだ。
「心配すんなって大徳寺先生。俺が勝てば済む話だ──ドロー!……行くぜサイコ・ショッカー!俺は手札から魔法カード【死者転生】を発動!手札の【ワイルドマン】を墓地に送り、墓地から【バーストレディ】を手札に加える!」
『それがどうした。融合召喚は手札枚数が少なければ力を発揮できない……その5枚の手札では融合を行えるのも1度が限界だ。私の布陣を突破できるわけがない!』
「それはどうかな?俺のHERO達はこんなところで止まりはしないぜ!──【融合】発動!手札にいる属性が異なる2体の【HERO】──【エッジマン】と【バーストレディ】を融合する!」
地属性を司る黄金の戦士と炎を操る女戦士がその力を重ね合わせ、新たな戦士として再誕する。
「来い!──【E・HERO サンライザー】!!」
フィールドに降り立った新たな【HERO】は、素材となった【エッジマン】の面影を残しながらも、黄金の体を赤く染め、溢れ出る力の奔流に濃紺のマントを靡かせた。
【E・HERO サンライザー】
✩7 戦士族 融合 ATK2500 DEF1200
「【サンライザー】は特殊召喚時、デッキから新たな融合カードを手札に加える事ができる──【ミラクル・フュージョン】を手札に加え、これを発動!墓地の【HERO】達を除外することで、融合召喚を行う!」
十代はこの効果で【死者転生】のコストとなった【ワイルドマン】と【エッジマン】を除外する。
「現れろ!──【E・HERO ワイルドジャギーマン】!!」
【E・HERO ワイルドジャギーマン】
✩8 戦士族 融合 ATK2600 DEF2300
人造人間と相対する2人の融合HERO達。そのどちらもが【サイコ・ショッカー】を凌駕する力を秘めていた。
「バトルだ!【ワイルドジャギーマン】で【サイコ・ショッカー】を攻撃!──そしてこの瞬間、【サンライザー】の効果が発動する!」
【サンライザー】は自分以外の【HERO】が攻撃宣言を行った際、場のカードを1枚無条件に破壊できる効果を持っているのだ。
十代が指定したのは、サイコ・ショッカーの伏せカード──万が一突破された時の為に保険としてセットされていた【和睦の使者】だった。
「いけぇ!──インフィニティ・エッジ・スライサー!」
【ワイルドジャギーマン】の左腕に装備された黄金の籠手──そこから伸びる鋭い刃が、魂を求める人造人間を一刃の下に斬り伏せる。
サイコ・ショッカー:LP2900→2700
「更に【ワイルドジャギーマン】は相手モンスター全てと戦闘を行える!もう1体の【サイコ・ショッカー】も破壊だ!」
背中から引き抜かれた大剣が、場に残っていたもう1体の【サイコ・ショッカー】を叩き斬る。これでもう奴のフィールドはガラ空きだ。
サイコ・ショッカー:LP2700→2500
『ぐぅぅぅ!こんな筈では……!私は何としてでも復活を──!』
元の半透明な姿に戻ったサイコ・ショッカーは十代を諦めたらしく、手近な場所に倒れる高寺へ手を伸ばす。既に2人の生贄を得ている以上、高寺を渡してしまえば完全復活を許してしまうことになる。
当然、それを許す十代ではない。
「【サンライザー】でダイレクトアタック!──シャイニング・バーン!」
【サンライザー】は自らが持つ光の力を両腕のブレードに纏わせ、実体無き精霊を一刀両断する。
壮絶な断末魔を残して消えていくサイコ・ショッカーに自分の名を告げるかの如く、夜明けを告げる太陽がフィールドを照らした。
『こんな筈ではあああああああぁぁぁ───っ!!!』
サイコ・ショッカー:LP2500→0
デュエルに決着が着いた瞬間、辺りを眩い光が包み込む。何が起こっているのか確認する間もなく、十代達は気を失ってしまった。
「──んんっ……一体、何がどうなったんだ?」
「さぁな……さっぱりだ」
次に十代達が目を覚ますと、まだ薄暗かった空にすっかり日が昇っており、森に住む小鳥達の囀りが聞こえていた。
翔達も続々と目を覚ます中、昴は鉄塔の足元で倒れている高寺達を発見する。駆け寄って安否を確認したところ、命に別状はないようだ。無事にサイコ・ショッカーの精霊を撃退することに成功したらしい。
「あれ、夢じゃないんだよね……?」
「少なくとも俺ははっきりと覚えてる。1から10まで全部な」
それは昴だけでなく隼人や大徳寺も同様らしく、今回経験したことが夢幻の類でないことを裏付けている。
何より実際にデュエルした十代は、記憶だけでなく体で覚えていた。
「(あの痛み…間違いない、精霊も闇のゲームも実在する…)──ま、俺は楽しかったぜ。あんなすげぇデュエルできて!」
そう言って、十代は不穏な空気を払い除けるように笑い飛ばした。
これは後に昴がエリアルに聞いた話だが、デュエルの精霊は本来、あのように人の魂を欲するような存在ではないらしい。この世界とは別の──分りやすく精霊界とでも言うべき世界に住まうデュエルの精霊達は、デュエルを介さない限り、自分達のように実体無き思念体としてしかこの世界に現出できない。
しかし、サイコ・ショッカーが行おうとした方法ではこの世界に実体化できないのかと言うと、そうとも言い切れない。何せ前例が無い事だ。だからもしあそこで十代が負けていた場合、本当にサイコ・ショッカーがこの世界に復活し、人知を超えた力で暴れまわっていた可能性も大いにあるという。
どちらにしても、精霊を幽霊と同じ扱いで強引に呼び出そうとした高寺達に、エリアルは同じ儀式を執り行う者として多少なりともご立腹のようだ。
曰く『彼らは精霊のことをカードの付録か何かとでも思っていたんだろうね。生贄のことを安直にリリースと捉えたのがその証拠だよ。そんな軽い気持ちで強引に呼び出された挙句、一度は承諾された筈の要求まで反故にされたんだから、僕はちょっとだけ同情するよ』
最後に『せめて【サイコ・ショッカー】じゃなくて【白魔導士ピケル】辺りにしておけば、怖い思いはしなくて済んだかもね』と付け加えたエリアルは、すうっと姿を消す。
「要するに軽い気持ちで幽霊だの精霊に手を出すと、痛過ぎるしっぺ返しを食らうってことか……覚えておこう」
それから数日の間、ちょっとした物音に敏感に反応してしまうようになったのは、昴とエリアルだけの秘密だ。
サイコ・ショッカーデッキって調整ムズ……
はい、少し久しぶりです。外界は夏らしくクソ暑くなってきましたね、皆さん如何お過ごしでしょうか?
今回のデュエルはカットすることもできたんですが、今後の展開でこのデュエルに触れるので、流石にバッサリカットしたデュエルを回想で引き合いに出すのはなぁと思い、このような形に仕上げました。
十代も十代でできる限り未来カードに頼らないようにしましたが、どうでしたかね?
多分、当分はエアーマンとか出さないです……嘘かもしれません。
次回はテニス回です。未来の私、楽しんでそうだなー。
そしてそして、なんと本作のお気に入り件数500&UA3万を達成いたしました。
ありがとうございます。ありがとうございます。
この間にもお気に入り・感想・評価等頂いた方々、ありがとうございます。