遊戯王~(GXの)アカデミアに転生~   作:不可視の人狼

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伝説のデッキ(前編)

 某日──デュエルアカデミア購買部にて、ある2人組がデュエルをしていた。

 

 片方は十代の弟分である翔、そしてもう片方は……

 

「──神楽坂?何でアイツと翔が戦ってるんだ」

 

 昴がイエローにいた頃、数回だけ話したことがある。確か成績はいい方なのだが、デュエルでの戦績が振るわなかった男子生徒だ。

 

「──アレだよ。カウンターの上を見てみろ」

 

「うぉっ!?驚かすなよ……いたのか三沢」

 

 死角から突然話しかけてきた三沢に言われた通り、購買部の奥の壁に目をやる。購買の従業員であるトメとセイコが立っているカウンターの上には、昴もよく知る人物の姿が描かれたポスターが貼り出されていた。

 

「"デュエルキング・武藤遊戯のデッキ展示"──マジか」

 

「マジだ。で、今はそのデッキを朝一で見るための整理券最後の1枚を賭けて、神楽坂と翔がデュエルをしている。もっとも、その1枚は十代の分なんだがな」

 

 なるほど、と改めてフィールドを見渡してみる。どうやら現状は翔がややリードしているようだ。

 

「俺のターン!…魔法カード【大嵐】!場の全ての魔法・罠カードを破壊するノーネ!」

 

「……ん?」

 

 今、なんだかすごくデジャヴを感じる語尾が聞こえた気がする。しかも肝心の魔法罠は神楽坂の場にふせてある2枚のみ──つまり自分の伏せを破壊するための【大嵐】というわけだ。

 

「この戦い方って……いや、まさかな」

 

「そのまさかさ。神楽坂が使っているのは、クロノス教諭のコピーデッキだ」

 

 三沢の言葉を裏付けるように、神楽坂の場に【大嵐】による破壊をトリガーとして2体の【邪神トークン】が出現する。確か入試で十代とクロノスが戦った際には、あの【邪神トークン】を使って──

 

「2体の【邪神トークン】をリリース!【古代の機械巨人(アンティークギア・ゴーレム)】召喚!」

 

 攻守3000の貫通持ち、更には攻撃時に罠の発動を封じる効果を持った強力モンスターの登場で、翔は一転して追い込まれたように見えた。

 しかし、神楽坂の使用するデッキが分かった時点で十代とクロノスの戦いを参考に対策を打っていた翔の機転によって、何と神楽坂は敗北してしまったのだった。

 

 

 勝敗が決し、最後の整理券が翔の手に渡ったことで、デュエルを見物していた人混みも解消されていく。その誰もが、口々に神楽坂への嘲笑を残していった。

 

 唯一その場に残った昴達2人。三沢は神楽坂の健闘を讃えようとするが……

 

「ドンマイ。まぁツイてない時もあるさ」

 

「三沢…それに加々美……っうるさい!さっさとブルーへ上がった加々美と、いつでもブルーに行けるようなお前に何が分かる──っ!」

 

 そう言って、神楽坂は走り去って行ってしまう。

 

「あいつ……何でまたコピーデッキなんか」

 

「知らなかったのか?神楽坂は記憶力が良過ぎて、自分で作るデッキは無意識に他人のそれに似てしまうんだ」

 

「なんだよそれ……」

 

 そう思いながらも、どうにか昴なりにわかりやすい解釈に落とし込んでみる。

 ……環境デッキの強い要素を自分のデッキに組み込もうとしたら、いつの間にか環境デッキそのものができてしまっていた……とか、そういう感覚に近いのだろうか。だったら昴としても身に覚えがある。

 

「ところで、昴は整理券を手に入れたのか?」

 

「いや、俺は適当に人が減った時間帯を狙うよ。……ってか知らなかったしな、そもそも」

 

 それに武藤遊戯のデッキは、現物ではないにしろ前世でも見たことがある。実際のデッキレシピがどうなっているのかめちゃくちゃ気にはなるが、そこまで執着するほどでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──その日の夜。風呂と夕食を済ませて、1人で初手全ハンデスチャレンジをやっていた昴のPDAに着信が入る。メッセージの送り主は明日香。

 

 

 ──『よかったら今夜、一足先に武藤遊戯のデッキを見に行かない?』──

 

 

 先日のテニス部での一件以降、心なしか明日香の物腰が柔らかくなった気がする。別にそれ以前がキツイ態度だったわけではないのだが、少なくともこのような誘いをしてくることは無かった。

 

 短く『行く』とだけ返すと、ものの数十秒で返信が来た。文面には、待ち合わせ場所が記載されている。

 昴は広げていたデッキを腰のホルダーにしまうと、ハンガーにかけてあった制服をとって待ち合わせ場所に向かった。

 

 件のデッキの展示会場が開くのは明日の9時。つまりデッキそのものは今夜の内に展示されているということだ。人のいない今の時間帯ならば、思う存分伝説のデッキを拝むことが出来る。

 

 当然バレたら大目玉を食らうこと間違いなしだろうが、そんなスリルもまた一興だろう。

 

 やがて明日香が待っているはずのアカデミア正門前に到着すると、そこには彼女の他に亮の姿もあった。

 

「カイザー……明日香もそうだが、こういうことをするとは意外だな」

 

「そうさせるだけの魅力が武藤遊戯のデッキにはあるということだ。──さあ行くぞ。あまり時間はかけられない」

 

 そう言って先頭を歩く亮の足取りはどこか楽しげで、彼もまた1人の決闘者なのだと改めて感じた。

 

 

 

 静まり返った廊下に、3人の足音だけが響く。やがて会場前に到着すると

 

 

 ──「マンマミーアーーー!?」──

 

 

 という甲高い悲鳴が扉を突き抜けて聴こえてきた。顔を見合わせた昴達は、会場へと走る。

 観音開きになっている扉を押し開けると、そこには武藤遊戯のデッキが──

 

「───無い!?」

 

 本来デッキが展示されているはずのガラスケースは派手に壊され、中にあったはずのデッキが持ち出されていた。そしてケースの傍には──

 

「クロノス教諭!?」

 

「これは一体どういうことですか!?」

 

 目の前の状況がすぐに飲み込めず困惑する亮と明日香。その後ろから、昴達と同じくフライング目的でここに来たらしい十代達と三沢が合流する。

 

「これは……!?」

 

「一体どうしたってんだよクロノス先生!」

 

「ノンノンノン!私じゃないノーネ!」

 

「とにかく、皆に知らせようぜ!」

 

「まままま待つノーネ!事が公になったら私が責任取らされるノーネ!」

 

「だったら早く犯人を見つけないと!」

 

「んぇっ……?」

 

 他の皆はどうだったか分からないが、少なくとも十代と昴はクロノスが犯人だとは思っていなかった。何故なら、ガラスケースが開けられていたのではなく、破壊されていたからだ。警備員からケースの鍵を受け取っていたクロノスが犯人ならば、音で誰かに気づかれるリスクを冒してまでケースを破壊する必要性が無い。

 

「まだ時間は経っていないはずだ。とにかく、全員で手分けして探すぞ!」

 

 頷きあった一同は、散り散りになって遊戯のデッキの搜索を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 探し続けること十数分……未だに誰からも連絡は無い。昴も校舎周辺を探し回ったが、犯人らしい姿は確認できなかった。小さく舌打ちした昴は、捜索ポイントをレッド寮のある島の西側へと移すことに。

 

「──十代!隼人!」

 

「昴!何か見つかったか?」

 

「いや、成果ゼロだ。そっちは?」

 

「全然なんダナ。怪しい奴はいなかったゾ」

 

 港に降りる桟橋前で十代達と合流を果たした昴。そこへ三沢もやってくるが、同じく手がかりは見つからなかったそうだ。どうしたものかと嘆息したところで、この場に居て然るべき人物がいないことに気づく。

 

「そういえば、翔はどうした?」

 

「翔?あいつなら確か岸壁の方を探してたはずだけど──」

 

 その瞬間───

 

 

 ──うわあああああああああああっ!──

 

 

 どこからか苦悶に満ちた叫び──翔の声が聞こえた。すぐさま声の聞こえた岸壁へ向かった昴達は、そこで倒れている翔の姿を見つける。

 

「翔!」

 

「ううっ…アニキ、皆……」

 

 起き上がった翔は、背後で海を背にし立っている人物を見やる。昴たちもその視線を追うと、その先にいたのは、制服を着崩した神楽坂だった。

 

「デッキを持ち出したのはお前か……そいつを返すんだ!今ならクロノス先生も大事にはしない」

 

「ふん……嫌だと言ったら?」

 

「……何だと?」

 

 不敵に笑う神楽坂は、昴の説得にも応じる様子がない。

 

「これこそ俺が求めていた最強のデッキだ……!俺なら──武藤遊戯のデュエルを徹底的に研究している俺なら、彼のデュエルを100%再現できる!もう俺は誰にも負けない!クロノスにも、カイザーにも、誰にもな!」

 

「あいつ……翔、デュエルディスクを貸せ!ここは俺が──!」

 

「いや、俺がやる」

 

 そう言って十代を手で制したのは昴だった。

 

「昴……分かった。遊戯さんのデッキと戦えないのは残念だけど、お前に任せるぜ。頑張れよ!」

 

 十代から翔が使っていたデュエルディスクを受け取り、起動する。

 

「悪いな──神楽坂、俺が勝ったらデッキは潔く返せ。それでいいな?」

 

「……お前、本気で俺に勝つ気でいるのか?」

 

「少なくとも負けてやるつもりはないさ。例えデュエルキングのデッキが相手だろうと、自分からやると言った以上は勝つ」

 

「いいだろう。相手をしてやる」

 

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

 

  昴 :LP4000 手札×5

 VS

 神楽坂:LP4000 手札×5

 

 

「先攻は俺だ、ドロー!…モンスターをセット。カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

  昴 :LP4000 手札×3

 セットモンスター×1

 伏せ×2

 VS

 神楽坂:LP4000 手札×5

 

 

「俺のターン!魔法カード【融合】!手札の【幻獣王ガゼル】と【バフォメット】を融合させ、【有翼幻獣キマイラ】を融合召喚!」

 

 

【有翼幻獣キマイラ】

 ✩6 獣族 融合 ATK2100 DEF1800

 

 

「行け!──幻獣衝撃粉砕(キマイラ・インパクト・ダッシュ)!」

 

 3つの種族を併せ持つ合成獣は、獰猛な唸り声を上げながら昴のモンスターに突撃する。強靭な前足で踏みつけられて姿を現したのは、とんがり帽子の少女だった。

 

「セットしていた【リチュア・エリアル】のリバース効果!デッキから【リチュア】モンスターを1体手札に加える」

 

「フン!やはりか。お前の手の内は最初から気づいていたぜ!同級生の中で一番最初にブルーへの昇格を果たしたお前のデッキは、既に研究済みだ!」

 

 神楽坂はこれでターン終了。昴のターンとなる。

 

 

  昴 :LP4000 手札×4

 伏せ×2

 VS

 神楽坂:LP4000 手札×3

【有翼幻獣キマイラ】

 

 

「俺のターン!手札から【シャドウ・リチュア】を墓地に送って、効果発動。デッキから【リチュアの儀水鏡】を手札に加える。続けて【リチュア・アビス】を通常召喚。その効果でデッキから【ヴィジョン・リチュア】を手札に加え、効果発動。墓地に送ってデッキから【マインドオーガス】を手札に──」

 

【リチュア】お得意のサーチ効果で素早く儀式召喚の準備を終えた昴は、反撃に移る。

 

「【リチュアの儀水鏡】発動!手札の【ガストクラーケ】を素材に儀式召喚──降臨せよ【イビリチュア・マインドオーガス】!」

 

 下半身に魚の体を融合させた異形の少女が合成獣を真っ直ぐに見据える。儀式と融合というカテゴリの違いこそあれど、同じ異形の存在として何か思うところがあったらしい。

 

 

【イビリチュア・マインドオーガス】

 ✩6 水族 儀式 ATK2500 DEF2000

 

 

「【マインドオーガス】の効果で、お前の墓地から【ガゼル】と【バフォメット】をデッキに戻す!──マインド・リサイクル!」

 

【マインドオーガス】の力によって神楽坂の墓地に眠る2体のモンスターがデッキへと還される。

 神楽坂はその光景を見て、小さく舌打ちした。

 

「バトルだ!【マインドオーガス】で【キマイラ】を攻撃!──ハイドロ・ガイスト!」

 

 杖の先端に据えられた儀水鏡から夥しい数の霊魂が解き放たれ、異形の幻獣を飲み込む。抵抗空しく合成獣は力尽き、その身を爆散させた。

 

 

 神楽坂:LP4000→3600

 

 

「くっ……!」

 

「続けて【リチュア・アビス】でダイレクトアタック!」

 

 

 神楽坂:LP3600→2800

 

 

「メインフェイズ2で墓地の【儀水鏡】の効果発動。このカードをデッキに戻し、墓地の【ガストクラーケ】を手札に回収する。これでターンエンドだ」

 

 

  昴 :LP4000 手札×3

【イビリチュア・マインドオーガス】

【リチュア・アビス】

 伏せ×2

 VS

 神楽坂:LP2800 手札×3

 

 

「……ふん、やるな昴。俺の【キマイラ】の効果を発動させない為に、墓地のモンスターをデッキに戻すとはな」

 

「お前は俺の戦い方を知っている風だったが、それはこっちも似たようなもんだ。武藤遊戯のデッキにどんなカードが入っていたかくらい、完璧とはいかないまでも頭に入ってる」

 

 遊戯が使っていた代表的なカードとしては彼の【ブラック・マジシャン】を始めとした魔法使いに【バスター・ブレイダー】、そして今の【キマイラ】に【デーモンの召喚】と【カタパルト・タートル】辺りだろうか。

 

 魔法使い族の各種モンスター以外はどれも1体以上のリリースを要求する上級モンスターばかり。場にモンスターを残さなければ、基本的にこれらは出てこないと思っていいだろう。

 

 逆に言えば、警戒すべきは豊富なサポートカードを持つ魔法使い達だ。

 

「俺のターン!手札から【天使の施し】を発動!デッキから3枚ドローし、2枚を捨てる。そして【マジシャンズ・ヴァルキリア】を召喚!」

 

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】

 ✩4 魔法使い族 ATK1600 DEF1800

 

 

「更に魔法カード【光の護封剣】発動!これでお前のモンスターは3ターンの間攻撃が封じられる!」

 

 上級から降り注ぐ9本の光の剣が昴のフィールドを囲むように突き立ち、モンスターの動きを封じる。

 

「バトルだ!【マジシャンズ・ヴァルキリア】で【リチュア・アビス】を攻撃!──マジック・イリュージョン!」

 

 女魔法使いの杖から光弾が放たれ、【リチュア・アビス】に迫る──!

 

「この瞬間、罠発動【フィッシャーチャージ】!【アビス】をリリースして【光の護封剣】を破壊する!」

 

「なにっ!?」

 

【アビス】の体が水面に沈み、代わりに大量のコバンザメ達が飛び出してくる。コバンザメ達は周囲を囲んでいた光剣に体当りすると、昴のモンスター達を封印していた光の檻が砕け散る。

 その後、【フィッシャーチャージ】の効果でデッキから1枚ドローした。

 

「くっ、あんなカードがあったとは……!カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

 

  昴 :LP4000 手札×4

【イビリチュア・マインドオーガス】

 伏せ×1

 VS

 神楽坂:LP2800 手札×1

【マジシャンズ・ヴァルキリア】

 伏せ×2

 

 

「俺のターン!【リチュア・ビースト】を召喚し、効果発動!墓地の【リチュア・アビス】を守備表示で特殊召喚!」

 

 

【リチュア・ビースト】

 ✩4 獣族 ATK1500 DEF1300

 

 

「特殊召喚された【アビス】の効果で【シャドウ・リチュア】を手札に加え、効果発動。墓地に送ってデッキから【リチュアの儀水鏡】を手札に加える」

 

「お前が新たなモンスターを召喚するときを待っていたぜ!罠カード【黒魔族復活の柩】!──相手がモンスターを召喚した時、自分の魔法使い族モンスターと相手のモンスター1体を墓地に送ることで、墓地から闇属性の魔法使い族モンスターを復活させる!」

 

「墓地の魔法使い……【天使の施し】で捨てたカードか!」

 

「その通り!俺は【マジシャンズ・ヴァルキリア】と【リチュア・ビースト】を墓地に送り──いでよ、我が最強の下僕【ブラック・マジシャン】!!」

 

 

【ブラック・マジシャン】

 ✩7 魔法使い族 ATK2500 DEF2100

 

 

「【ブラック・マジシャン】……まさかこうして会える時が来るなんてな」

 

 目の前に現れた黒衣の魔法使いに、昴は感動を禁じ得ない。何せあの武藤遊戯の象徴とも言えるモンスターなのだ。例え敵としてだろうと、直接目にするだけで熱くなってしまうのが決闘者の性というものだ。

 

「俺は罠カード【儀水鏡の瞑想術】を発動。手札の儀式魔法を公開することで、墓地の【シャドウ・リチュア】と【ヴィジョン・リチュア】手札に戻す」

 

 その後昴は【ヴィジョン・リチュア】の効果でデッキから【リヴァイアニマ】をサーチし、それをコストに【トレード・イン】を発動。2枚ドローした後、更に【強欲なウツボ】で手札の【鰤っ子姫(ブリンセス)】と【ガストクラーケ】をデッキに戻し、3枚ドローした。

 

「【リチュアの儀水鏡】発動!場の【マインドオーガス】と【リチュア・アビス】を墓地に送り、【イビリチュア・ソウルオーガ】を儀式召喚!」

 

 

【イビリチュア・ソウルオーガ】

 ✩8 水族 儀式 ATK2800 DEF2800

 

 

「手札の【リチュア・チェイン】を墓地に送り【ソウルオーガ】の効果発動!【ブラック・マジシャン】をデッキに戻す!──ハウリング・ソウル!」

 

 この効果が通れば昴の勝利は目前。【ソウルオーガ】の咆哮が黒衣の魔法使いを吹き飛ばす──ことはなかった。

 

「速攻魔法【ディメンション・マジック】!俺の【ブラック・マジシャン】をリリースし、手札から【ブラック・マジシャン・ガール】を特殊召喚!更に貴様の【ソウルオーガ】を破壊する!」

 

 突如出現した人型の棺桶が開かれ、その中から伸びる鎖に縛られた【ソウルオーガ】は棺桶に取り込まれてしまう。そして棺桶が反転し、裏面から現れたのは、黒衣の魔法使いの意志を継ぐ魔法少女だった。

 

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

 ✩6 魔法使い族 ATK2000 DEF1700

 

 

「【ブラック・マジシャン・ガール】は、墓地に【ブラック・マジシャン】が存在することで攻撃力が300ポイントアップする」

 

「くっ……墓地の【儀水鏡】をデッキに戻して【マインドオーガス】を回収。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

  昴 :LP4000 手札×2

 伏せ×1

 VS

 神楽坂:LP2800 手札×0

【ブラック・マジシャン・ガール】

 

 

「行くぞ、俺のターン!…魔法カード【天よりの宝札】を発動!お互いに手札が6枚になるようドローする」

 

【強欲な壺】・【天使の施し】と並ぶ強力ドローソースであるこのカードは、昴の前世──OCGでは大幅に弱体化されて汎用性も何もあったものではない性能なのだが、これは所謂アニメ効果というやつだ。以前万丈目が使用していた【打ち出の小槌】と同じ、アニメだから許されるレベルのトンデモパワーカード。

 

 だがこの局面に於いて手札の補充ができるのは昴としてもありがたい。神楽坂に続き、デッキからカードを4枚引いた。

 

「そして【エルフの剣士】を召喚!」

 

 

【エルフの剣士】

 ✩4 戦士族 ATK1400 DEF1200

 

 

「更に装備魔法【魔術の呪文書】を【ブラック・マジシャン・ガール】に装備!これによって攻撃力が700ポイントアップする!」

 

 これで【ブラマジガール】の攻撃力は3000──【エルフの剣士】と合わせて、モンスターのいない昴のライフを削りきることが可能だ。

 

「貴様程度の決闘者が俺に勝とうなんて、1000年早いぜ!行け!【ブラック・マジシャン・ガール】!──黒・魔・導・爆・裂・波(ブラック・バーニング)!!」

 

 クルクルとステッキを回転させた【ブラック・マジシャン・ガール】は、蓄積させた魔力を一気に解放する。一気にライフの半分以上を奪い去るこの攻撃を、昴とて食らってやるつもりはない。

 

「罠カード【ガード・ブロック】!戦闘ダメージを0にして、1枚ドロー!」

 

「ちぃ…っならば!【エルフの剣士】でダイレクトアタック!──精・剣・斬!」

 

 強力な一撃を防いだ昴の元へ、素早い身のこなしで接近した【エルフの剣士】は、諸刃の剣で昴を斬り裂いた。

 

 

 昴:LP4000→2600

 

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

 

  昴 :LP2600 手札×7

 VS

 神楽坂:LP2800 手札×3

【ブラック・マジシャン・ガール】+【魔術の呪文書】

【エルフの剣士】

 伏せ×1

 

 

 一気に戦況をひっくり返された昴は手札をジッと見つめ、小さく息をつく。

 

 

「俺のターン───ッ!」

 




後編に続く!



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