遊戯王~(GXの)アカデミアに転生~   作:不可視の人狼

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代表決定戦

「代表戦──?」

 

「そうなのにゃ。十代君、三沢君、そして昴君の3人総当りでデュエルして、勝利数が1番多かった人が代表としてノース校との戦いに出場してもらうにゃ」

 

 某日。授業終わりに大徳寺に呼び止められた昴達は、ノース校との戦いに出場する代表候補に選ばれたことを聞かされた。

 

「俺達3人で……」

 

 十代、三沢の2人と顔を見合わせる。

 

「案外早く戦う時が来たな。三沢、昴」

 

「ああ。俺は日夜、お前達のデッキを研究している。お前達の【E・HERO】と【リチュア】に勝つ為の7番目のデッキをな」

 

 三沢はこの世界では珍しく、複数のデッキを使い分けるタイプの決闘者だ。以前行った万丈目との寮移動を賭けたデュエルでは、全6属性分あるデッキの中から【ウォーター・ドラゴン】をエースに据えた水属性デッキを使用していた。

 

 だが今回の戦いに於いて、彼は昴と十代を倒す為の新たなデッキ制作に着手しているらしい。

 

「もしかして、もうできたのか?」

 

「いや、残念ながら。けど当日には間に合わせるさ」

 

「楽しみにしてるぜ!」

 

 十代と拳をぶつけ合わせた三沢は、教室を出ていく。恐らく自分の部屋で引き続きデッキ構築をするつもりなのだろう。

 

「昴、お前と戦うのも初めてだな。今から楽しみで仕方ないぜ」

 

「そう言えばそうか…確かに、いい機会かもな」

 

「昴君、前は興味ないって言ってた割には楽しそうだね?」

 

「嘘は言ってない。大体誰が好き好んで学校の看板背負うのに手ぇ挙げるんだよ……けど、こうして頼まれた以上は勝つさ。代表だの何だのは置いといてな」

 

「へへっ、そうこなくちゃ!」

 

 そう言って差し出された十代の拳に、昴も自分のそれをコツン、とぶつけ合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は進み、その日の夜──昴は明日香に付き添い、廃寮を訪れていた。

 明日香は以前やっていたように一輪の薔薇の花を門の前に手向ける。

 

「──結局、あの写真は有効な手がかりにならなかったか」

 

「けど、見つけてきてくれたことは感謝してるわ。アレが無かったら、今もこうして兄さんの無事を信じていられたかどうか……」

 

「そうか…そう言ってくれるとありがた──っ……?」

 

 不意に謎の気配を感じた昴は、振り返って背後をジッと見つめる。

 

「そこにいるんだろ。誰だか知らんが出てきたらどうだ」

 

 昴の呼び声で、茂みの中からオシリス・レッドの制服を着た長身の男が姿を現す。

 月明かりを背にしてるせいで昴の位置からは顔がよく見えないが、背格好から見ても中高生には見えない。

 

「やぁ、お2人さん。ここで何人もの生徒が行方不明になってるって話を聞いてね。察するに、君達は消えた生徒の関係者ってところかな?」

 

「……誰かしら、そんなこと聞いてどうするつもり?」

 

「なぁに、ちょいと興味があってね」

 

「何をする気か知らないけど、余計な事はしないで。関係ない人に引っ掻き回されると迷惑なの。さっさと自分の寮へ帰りなさい」

 

 それだけ言って踵を返す明日香。ズンズン進んでいく彼女の後を昴も追おうとすると

 

「君は何か知らないか?さっきのお嬢さん、何か思わせぶりな言い方だったけど?」

 

「……さてね。知っていようがいまいが、人にベラベラと吹聴するような話じゃない。それと、これ以上嗅ぎ回るのは止めといた方がいいぞ?そういうオカルト番組的なノリで幽霊呼ぼうとして、痛い目に遭った連中を知ってる」

 

 以前オベリスク・ブルーの生徒が【サイコ・ショッカー】の精霊を呼び出そうとした時の事を思い出しながら男に忠告した昴は、小走りで明日香について行った。

 

「──おい、さっきのは少し失敗だったんじゃないか?あいつ怪しんでたぞ」

 

「前のあなた達みたいに、面白半分でああいうことをされるのはいい気分じゃないわ」

 

「……あの時は悪かったよ。お前に聞かされるまで知らなかったとはいえ、浅慮だった」

 

 この言葉でピタリと足を止めた明日香は、自らを落ち着かせるように空を仰いで深呼吸する。

 

「はぁ……ごめんなさい、少し頭に血が上っちゃったみたい。あの時のことは気にしないで。お陰で兄さんの写真も見つかったんだし、本気で止めなかった私にも責任はあるわ」

 

「明日香……」

 

「──それより、あなたが気にすべきは代表戦でしょ。十代と三沢君に勝てるの?2人共強いわよ」

 

「知ってる。学園代表に拘る気はないが、やる以上デュエルには勝つつもりだ」

 

 最早チートとすら呼べる驚異的な引きを持つ十代は言わずもがな、それ以上に警戒すべきは三沢だろう。一体どんなデッキを作ってくるのか、【リチュア】で対抗できるのか。全くの未知数だ。

 

 

 

 

 一方その頃──三沢も十代と昴に対抗する為の手段を考えているところだった。

 

「難しいな……十代の融合HEROは多種多様だし、昴の儀式モンスターも1度や2度破壊する程度じゃすぐに再召喚されてしまう。そもそも個々のモンスターに対処していたんじゃ、肝心の俺のデッキが回らなくなる。もっと根本から奴らの戦術を封じ込めないと……」

 

 暫し考えた三沢は、とあるカードの存在を思い出す。すぐさま目の前のキーボードに指を走らせると、画面に表示された1枚のカードを見て勝利を確信した。

 

「コレだ……!これなら十代だけでなく、昴相手にも優位に戦える!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日後──デュエルフィールドには多くの生徒達が詰め掛け、熱気に溢れていた。

 理由は明白。間違いなく1年生最強と名高い2人+1人が一堂に会するからだ。

 

 

『シニョール&シニョーラ!お待たせしましたーノン!只今より、学園代表決定戦を始めるノーネ!まずはラー・イエローから三沢大地!…そしてオシリス・レッドから遊城十代のデュエルなノーネ』

 

 

 クロノスの進行で最初に壇上へ上がったのは、三沢と十代。

 

「その顔じゃ、できたんだな?」

 

「ああ。お前と昴を倒す7番目のデッキの力、楽しみにしていてくれ」

 

「へっ!俺だって負けないぜ──!」

 

 

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

 

 

 

 

 

 ──もう十代と三沢の戦いが始まったのだろうか。会場から一際大きな歓声が聞こえてくる。

 

 控え室で1人デッキを握り締める昴は、ボーッと虚空を眺めていた。

 

『もしかして緊張してる?マスター』

 

「かもな……正直よく分からん」

 

 意識も呼吸もスッキリ落ち着いているが、デッキを握る手がさっきから小刻みに震えている。これは武者震いというやつなのか、それとも無意識に緊張してきているのだろうか。

 

「思えば、こんな大勢に注目されながらデュエルするの初めてだしなぁ……」

 

『それじゃ、同じ陰の者の(よしみ)でちょっとしたおまじないをしてあげよう──』

 

 ふわりと目の前に移動したエリアルは、今までのミニマムサイズから元の人間大に姿を戻し、文字通り透き通った手を昴の頭に添える。

 一体何をする気かとドギマギする昴を他所にそっと瞳を伏せると、エリアルの手から青白い光が発せられた。

 

 涼しげでありながらどこか暖かい……そんなエリアルの光を浴びた昴は、気付けば手の震えが嘘のように治まっていた。

 

「すごいな……何したんだ?」

 

『言ったでしょ、ちょっとしたおまじないだよ。高度なのは無理だけど、緊張を和らげる程度なら出来るからね』

 

「そうか……ありがとう」

 

 昴が礼を言うと、帽子を深く被り直したエリアルはまた掌サイズに戻って姿を消す。彼女が最後に残した「頑張ってね」という言葉を胸に刻むと、フィールドの方からまたも大きな歓声が聞こえてきた。

 

 どうやら初戦が決着したようだ。

 

「……っし、行くか」

 

 デュエルディスクを左腕に装着し、デッキをセットする。最後にひとつ深呼吸をした昴は、確かな足取りで会場へと踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 十代と三沢の戦いを制したのは、やはりというべきか十代だった。歓声に見送られながらステージを下りる彼と、通路ですれ違う。

 

「勝ったみたいだな」

 

「おう!次は昴だろ?熱いデュエル、期待してるぜ!」

 

 肩を叩いて控え室へ向かう十代を見送った昴は、入れ替わる形でフィールドに足を踏み入れる。

 

 

『ではデーワ!続けて2戦目を開始するノーネ!引き続きシニョール三沢と戦うのは…我らがオベリスク・ブルーより加々美昴!』

 

 

 クロノスによる選手紹介を経て、壇上で睨み合う昴と三沢。

 

「連戦で疲れてようがお構いなしで行くぞ。悪く思うなよ?」

 

「まさか。寧ろこっちは元気が有り余ってるさ。十代には不覚を取ったが、今度こそ勝たせてもらう!」

 

 双方闘志は十分。デュエルディスクが展開され、戦いの幕が上がる。

 

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

 

 昴 :LP4000 手札×5

 VS

 三沢:LP4000 手札×5

 

 

「先攻は俺だ!ドロー!…俺は【マスマティシャン】を召喚!その効果で、デッキからレベル4以下のモンスター1体を墓地に送る」

 

 

【マスマティシャン】

 ✩3 魔法使い族 ATK1500 DEF500

 

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

 

 昴 :LP4000 手札×5

 VS

 三沢:LP4000 手札×4

【マスマティシャン】

 伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!…【リチュア・アビス】を守備表示で召喚!」

 

 

【リチュア・アビス】

 ✩2 魚族 ATK800 DEF500

 

 

「召喚成功時、【アビス】の効果でデッキから守備力1000以下の【リチュア】モンスターを手札に加える」

 

 昴はこの効果でデッキから【シャドウ・リチュア】を手札に加え、元々いた【ヴィジョン・リチュア】共々効果を発動。儀式召喚に必要な【儀水鏡】と【ガストクラーケ】を手札に加えた。

 

「行くぞ!儀式魔法【リチュアの儀水鏡】発動!手札の同名モンスターを素材に、儀式召喚──」

 

 いつも通り、儀式召喚を行おうとした昴。その瞬間、三沢の口元が不敵に歪んだ。

 

「この瞬間を待っていた!──カウンター罠【封魔の呪印】発動!手札の魔法カード1枚をコストに、相手の魔法カードを無効にし破壊する!」

 

「魔法の無効化……要は【マジック・ジャマー】か?」

 

 確かに昴の儀式魔法を無効化するには有効な手段だが、豊富なサーチ手段を持つ【リチュア】からしてみれば然したる痛手ではない。

 

 だが三沢の狙いはその先にあった。

 

「それだけじゃない──【封魔の呪印】は、自身の効果で無効にした魔法カードだけでなく、その同名カード全てをこのデュエル中使用不能にする!」

 

「なっ……!?」

 

 これこそ三沢が見つけ出した秘策。

 封印されてしまった【リチュアの儀水鏡】は、昴のデッキの中枢を担う重要なカードだ。これを失っては【リチュア】お得意の連続儀式召喚どころか、そもそも儀式モンスターの召喚ができなくなってしまう。

 

「お前のデッキは儀式モンスターを召喚できて初めて力を発揮する。ならばそのキーとなる【リチュアの儀水鏡】を封じてしまえば、後は俺の独壇場というわけだ!」

 

「……やってくれたな三沢。カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

 

 昴 :LP4000 手札×3

【リチュア・アビス】

 伏せ×2

 VS

 三沢:LP4000 手札×3

【マスマティシャン】

 

 

「例え優勢になっても油断はしない。一気に畳み掛けさせてもらう!俺のターン!【ハイドロゲドン】を召喚!」

 

 

【ハイドロゲドン】

 ✩4 恐竜族 ATK1600 DEF1000

 

 

「バトルだ!【ハイドロゲドン】で【リチュア・アビス】を攻撃!──ハイドロ・ブレス!」

 

 水素を司る元素の竜が放つブレスが【アビス】を飲みこもうとした瞬間、【アビス】の姿が掻き消えた。

 

「罠発動【フィッシャー・チャージ】!魚族の【アビス】をリリースすることで、【ハイドロゲドン】を破壊する!」

 

【アビス】の体が沈み込んだ水面から、数匹のコバンザメがミサイルの如き勢いで飛来する。着弾と共に大爆発を起こしたことで、【ハイドロゲドン】は破壊されてしまった。昴はその後、【フィッシャー・チャージ】の効果で1枚ドローする。

 

「ならば、【マスマティシャン】でダイレクトアタック!──バトル・カリキュラム!」

 

 

 昴:LP4000→2500

 

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

「っ……エンドフェイズに永続罠【神の恵み】を発動する!」

 

 

 昴 :LP2500 手札×4

 永続罠:【神の恵み】

 VS

 三沢:LP4000 手札×3

【マスマティシャン】

 

 

「俺のターン!【神の恵み】の効果で、俺がデッキからドローする度にライフを500回復する」

 

 

 昴:LP2500→3000

 

 

「【リチュア・ビースト】を守備表示で召喚!その効果で、墓地から【リチュア・アビス】を守備表示で特殊召喚!」

 

 

【リチュア・ビースト】

 ✩4 獣族 ATK1500 DEF1300

 

 

 海獣の咆哮に応じ、再び姿を現した鮫の魚人。その効果によって、昴の手札に【シャドウ・リチュア】が加わる。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

 

 昴 :LP3000 手札×4

【リチュア・ビースト】

【リチュア・アビス】

 永続罠:【神の恵み】

 伏せ×1

 VS

 三沢:LP4000 手札×3

【マスマティシャン】

 

 

「俺のターン!手札から【オキシゲドン】を召喚!更に装備魔法【リビング・フォッシル】で墓地の【ハイドロゲドン】を復活させ、このカードを装備する!」

 

 

【オキシゲドン】

 ✩4 恐竜族 ATK1800 DEF800

 

 

 三沢の場に2体の元素竜が並び立つ。いずれも攻撃力は必要十分──昴のモンスターを上回っている。

 

「やれ!【オキシゲドン】で【リチュア・ビースト】を攻撃!──オキシ・ストリーム!」

 

 放たれた風のブレスが海獣を吹き飛ばし、残された魚人にも追撃が襲いかかる。

 

「更に【マスマティシャン】で【リチュア・アビス】を攻撃!──バトル・カリキュラム!」

 

 連続攻撃で壁モンスターがいなくなった昴。対する三沢はまだ【ハイドロゲドン】での攻撃が控えている。

 

「【ハイドロゲドン】でダイレクト・アタック!──ハイドロ・ブレス!」

 

「罠発動【ガード・ブロック】!──戦闘ダメージを0にして、1枚ドローだ!」

 

 戦闘ダメージが消えただけでなく、ドローしたことで【神の恵み】の効果により昴のライフが回復した。

 

 

 昴:LP3000→3500

 

 

「凌いだか……先程から手札補充を行っているということは、何かを狙っているのか……?」

 

 場のモンスターの数で優っているとはいえ、万が一昴が逆転の一手を待っているのだとしたら……

 

「……俺としたことが、熱くなり過ぎたな。ターンエンドだ」

 

 

 昴 :LP3500 手札×5

 永続罠:【神の恵み】

 VS

 三沢:LP4000 手札×2

【オキシゲドン】

【ハイドロゲドン】+【リビング・フォッシル】

【マスマティシャン】

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 

 昴:LP3500→4000

 

 

 何とかライフを互角に持ち込んだ昴は、手元にある6枚の手札を見て思考を巡らせる。

 

「(まだだ……まだアレは使えない……三沢はどこまで勘付いてる?)」

 

 さっきの戦闘で【ハイドロゲドン】をモンスター攻撃に使用しなかったのは、ターン終了時の一言を聞くに恐らくプレイミスだ。だがそれを自覚した以上、もう同じミスはしないだろう。

 

 事実、三沢の予想通り昴はこの状況をひっくり返す──とまでは行かずとも、対抗する為の望みはある。

 が、重要なのは動くタイミング。事を急いてしまえば、更に思考を巡らせた三沢がオーバーキル火力で一気に擦り潰しに来る危険性があるからだ。

 

 今必要なのは三沢に思考をさせないようとにかく耐えること。耐えて耐えて、逆転の機を逃さないことだ。

 

「……モンスターをセット。永続魔法【水舞台(アクアリウム・ステージ)】を発動してターンエンドだ」

 

 

 昴 :LP4000 手札×4

 セットモンスター×1

 魔法・罠:【神の恵み】

      【水舞台】

 VS

 三沢:LP4000 手札×2

【オキシゲドン】

【ハイドロゲドン】+【リビング・フォッシル】

【マスマティシャン】

 

 

「俺のターン!魔法カード【強欲な壺】!デッキから2枚ドローし、バトルだ!──【ハイドロ・ゲドン】でセットモンスターを攻撃!」

 

【水舞台】は、自分の水属性モンスターが同じ水属性以外との戦闘で破壊されなくなる効果を持っている。それを見越した三沢は、同じく水属性である【ハイドロゲドン】で攻撃を試みたが……

 

「俺がセットしていたのは【リチュア・エリアル】──守備力は1800だ」

 

「……なるほど上手いな。【ハイドロゲドン】は水属性だが【エリアル】の守備力を越えられず、かといって【オキシゲドン】では攻撃力と守備力が互角──仮に超えたとしても、風属性だから戦闘破壊できない」

 

「そういうことだ──【エリアル】のリバース効果で、デッキから【リチュア】モンスターを手札に加える」

 

「ならばメインフェイズ2──もう1体の【ハイドロゲドン】を通常召喚し、魔法カード【ボンディング-H2O(エイチツーオー)】発動!」

 

 三沢のフィールドにいる2つの【ハイドロゲドン(水素分子)】と1つの【オキシゲドン(酸素分子)】が化合し、H2o()が生成される。

 

 

「いでよ!──【ウォーター・ドラゴン】!!」

 

 

 三沢の呼び声に応じデッキから現れたのは、激しく渦巻く水の体を持つ竜。現状三沢が召喚したモンスターの中では最大の攻撃力を持つ水竜は、猛々しく咆吼した。

 

 

【ウォーター・ドラゴン】

 ✩8 海竜族 特殊召喚 ATK2800 DEF2600

 

 

「如何にお前でも、儀式召喚を封じられた状態で【ウォーター・ドラゴン】の攻撃力を超えることはできまい!これでターンエンドだ」

 

 

 昴 :LP4000 手札×5

【リチュア・エリアル】

 魔法・罠:【神の恵み】

      【水舞台】

 VS

 三沢:LP4000 手札×2

【ウォーター・ドラゴン】

【マスマティシャン】

 

 

「俺のターン、ドロー!…魔法カード【強欲なウツボ】発動!手札の水属性モンスター2体をデッキに戻しシャッフル、その後3枚ドローする」

 

 昴が戻したのは2体の【ガストクラーケ】。その後、カットしたデッキから3枚のカードをドローした。これでドローフェイズと合わせて2回のドローが行われ、昴のライフも合計1000ポイント回復したことになる。

 

 

 昴:LP4000→5000

 

 

「魔法カード【海竜神(リバイアサン)の激昂】を発動。デッキから【激流葬】を手札に加える。カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

 

 昴 :LP5000 手札×5

【リチュア・エリアル】

 魔法・罠:【神の恵み】

      【水舞台】

 伏せ×1

 VS

 三沢:LP4000 手札×2

【ウォーター・ドラゴン】

【マスマティシャン】

 

 

「俺のターン!手札から【オキシゲドン】を召喚!」

 

「召喚時、罠発動──【激流葬】!互いの場のモンスターを全て破壊する!」

 

 虚空から凄まじい勢いの激流が押し寄せ、昴と三沢の場のモンスターを全て流し去る。水の引いたフィールドには何も残らないはずだったが、昴の【エリアル】だけが生存していた。

 

「墓地の【海竜神の激昂】は、自分の水属性モンスターが効果破壊される際に除外することで、身代わりとなる。これで俺のモンスターは破壊されない」

 

「こちらとてただでは終わらない!破壊された【ウォーター・ドラゴン】の効果発動!墓地から化合元となった2体の【ハイドロゲドン】と【オキシゲドン】を復活させる!」

 

 三沢の場にも3体のモンスターが蘇り、戦況は先程と同じ膠着状態に戻る。三沢はわざと【激流葬】を踏み抜くことで昴の場を片付け、復活させた3体で総攻撃を仕掛けるつもりだったのだが、【エリアル】が生き残ったことでそれも叶わなくなってしまった。

 

「……ターンエンドだ」

 

 

 昴 :LP5000 手札×5

【リチュア・エリアル】

 魔法・罠:【神の恵み】

      【水舞台】

 VS

 三沢:LP4000 手札×2

【ハイドロゲドン】

【ハイドロゲドン】

【オキシゲドン】

 

 

 大きな動きを見せないまま渡った昴のターン。ドロー時に【神の恵み】でライフが回復する。

 

 

 昴:LP5000→5500

 

 

「(耐えるのはもう限界…【ボンディング】を引かれる可能性を考えれば、動くなら今!)──俺は手札の【ヴィジョン・リチュア】と【シャドウ・リチュア】の効果発動!この2枚を手札から捨てることで、デッキから【リチュア】の儀式モンスターと儀式魔法を手札に加える!」

 

「無駄だ!【リチュアの儀水鏡】は【封魔の呪印】によってこのデュエル中発動できない!」

 

「【リチュア】に伝わる魔導具は【儀水鏡】だけじゃない──俺は儀式魔法【リチュアの写魂鏡】を発動!」

 

「何っ!?」

 

 昴の目の前に出現したのは、【儀水鏡】とは似て非なる魔導鏡──丸みを帯びていた【儀水鏡】と対照的に、牙のような刺々しい装飾がなされている。

 

「【写魂鏡】は儀式召喚の際に必要なモンスターのリリースを行わない代わりに、召喚する儀式モンスターのレベル×500のライフを払う必要がある。俺が召喚するモンスターはレベル8──」

 

 よって昴が払う代償は4000ポイントもの大量のライフだ。

 前世ならいざ知らず、ライフが4000スタートのこの世界ではまず発動すら難しいこの儀式魔法を発動する為に、昴は【神の恵み】でじわじわとライフを回復させていたのだ。

 

 

 昴:LP5500→1500

 

 

「俺のライフを生贄に、儀式召喚!──降臨せよ【イビリチュア・ソウルオーガ】!!」

 

 

【イビリチュア・ソウルオーガ】

 ✩8 水族 儀式 ATK2800 DEF2800

 

 

「まさかこんな手を隠していたとはな……!」

 

「【ソウルオーガ】の効果発動!手札の【リチュア・アビス】をコストに、【オキシゲドン】をデッキに戻す!──ハウリング・ソウル!」

 

 昴の生命力(ライフ)を取り込んだ【写魂鏡】を内側から割り砕いて現れた【ソウルオーガ】は、溜め込んだ鬱屈を晴らすように咆哮した。

 

「バトル!【ソウルオーガ】で【ハイドロゲドン】を攻撃!──リチュアル・ブラスト!」

 

 水の波動が【ハイドロゲドン】を直撃し、爆風が三沢を襲う。

 

 

 三沢:LP4000→2800

 

 

「くっ……!」

 

「これでターンエンドだ」

 

 

 昴 :LP1500 手札×3

【リチュア・エリアル】

【イビリチュア・ソウルオーガ】

 魔法・罠:【神の恵み】

      【水舞台】

 VS

 三沢:LP2800 手札×2

【ハイドロゲドン】

 

 

「俺のターン、ドロー!……やるな昴。しかしまだお前を倒すための計算式は残っているぞ──魔法カード【トレード・イン】発動!手札のレベル8モンスターをコストに、デッキから2枚ドローする!」

 

 昴も愛用しているドローソースで引き当てたカード──それを見た三沢は、勝利を確信した。

 

「俺は手札から【儀式の下準備】を発動!デッキから儀式魔法を手札に加え、更にその儀式魔法に名前が記されている儀式モンスターをデッキか墓地より手札に加える。俺が手札に加えるのは【リトマスの死儀式】──そしてそのテキストに名が記されている儀式モンスター──【トレード・イン】で墓地に送った【リトマスの死の剣士】を手札に加える!」

 

【儀式の下準備】──儀式召喚を大幅にサポートしてくれる心強いカードだが、昴の【リチュア】では使えないカードだ。その恩恵を受けた三沢は、ここで王手をかけに来た。

 

「行くぞ昴──!儀式魔法【リトマスの死儀式】発動!」

 

 フィールドの中央から祭壇がせり出し、怪しげな光を放つ。三沢はそこへ儀式の生贄を投入した。

 

「俺が召喚するのはレベル8の闇属性儀式モンスター──よって、手札の【儀式の供物】の効果が発動できる」

 

【儀式の供物】は【シャドウ・リチュア】らと同じく、闇属性儀式モンスターの素材になる場合、1体で必要レベルを満たすことができる効果を持っている。

 

 

「現れるがいい!【リトマスの死の剣士】!」

 

 

【リトマスの死の剣士】

 ✩8 戦士族 儀式 ATK0→3000 DEF0→3000

 

 

「攻撃力0なら恐れることはない……なんて思っているわけじゃないだろう、昴?」

 

「……当然。だがどの道、【水舞台(アクアリウム・ステージ)】がある限り俺のモンスターは水属性以外との戦闘じゃ破壊されない」

 

「ああ、その通りだ……だが、これならどうかな?速攻魔法【サイクロン】で【水舞台】を破壊だ!」

 

 これで【リトマスの死の剣士】は【水舞台】の影響から解放され戦闘破壊が可能となる。加えて、場に表側表示の罠カード──【神の恵み】が存在することで、【死の剣士】は自身の効果で攻守共に3000アップするのだ。

 

「バトルだ!【リトマスの死の剣士】で【イビリチュア・ソウルオーガ】を攻撃!──死剣一閃(しけんいっせん)!」

 

 ギラリと光る二刀を構え飛び出した【死の剣士】は、【ソウルオーガ】を一刀両断した。

 

 

 昴:LP1500→1300

 

 

「ターンエンド──これがお前の最後のターンだ。さぁどうする昴──!」

 

 

 昴 :LP1300 手札×3

【リチュア・エリアル】

 永続罠:【神の恵み】

 VS

 三沢:LP2800 手札×0

【ハイドロゲドン】

【リトマスの死の剣士】

 

 

 小さく深呼吸した昴は、緊張の面持ちでデッキに手をかける。

 

「俺のターン──!」

 

 

 昴:LP1300→1800

 

 

【神の恵み】でライフを回復させた昴。引いたカードを一瞥するも、その表情は険しい。

 

「この状況を逆転する為のカードは……引けなかったようだな」

 

「ああ……残念ながらこのターンでお前を倒すことはできない──倒すことは、な」

 

 含みのある言葉に、三沢の表情が引き締まる。

 

「墓地に存在する【リチュアの儀水鏡】の効果発動。自身をデッキに戻し、墓地の【ソウルオーガ】を回収」

 

【封魔の呪印】は発動した魔法の効果と同名カードの発動を封じるが、幸い予め墓地に存在し、墓地で発動する効果は問題なく使用できる。

 

 

「続けて儀式魔法発動──【リチュアに伝わりし禁断の秘術】」

 

 

「まだ儀式魔法があったのか……っ!」

 

 フィールドの床にリチュアの紋章が浮かび上がり、邪悪なオーラが溢れ出る。

 

「この儀式魔法は発動ターンのバトルフェイズを放棄することで、自分だけではなく、相手フィールドのモンスターも素材として儀式召喚を行える──俺は【リトマスの死の剣士】を素材として墓地に送り、【ソウルオーガ】を攻撃力を半分にして守備表示で儀式召喚!」

 

 

【イビリチュア・ソウルオーガ】

 ✩8 水族 儀式 ATK2800→1400 DEF2800

 

 

「手札の【ヴィジョン・リチュア】を捨てて【ソウルオーガ】の効果発動!【ハイドロゲドン】をデッキに戻す!」

 

 三沢のフィールドを更地にできたものの、昴はこれ以上できることがない。そのままターンエンドを宣言した。

 

 

 昴 :LP1800 手札×2

【リチュア・エリアル】

【イビリチュア・ソウルオーガ】

 永続罠:【神の恵み】

 VS

 三沢:LP2800 手札×0

 

 

「そうか……追い詰められた時というのはこういう気持ちになるんだな。確かにこれは──燃えるぜ!」

 

 優等生の三沢らしからぬ言葉遣いでデッキからカードをドローする。ここで何を引いたかによって、このデュエルの勝敗が決まる可能性が高い。

 

「……なる程、本当にデュエルというのは面白い──!俺は墓地に存在する【リトマスの死儀式】のもう1つの効果を発動!このカードと墓地の【リトマスの死の剣士】をデッキに戻すことで、1枚ドローできる!」

 

 墓地のカード2枚がデッキに戻り、シャッフルされたデッキから新たにカードが引かれる。

 

「更に【トレード・イン】を発動!今引いた【リトマスの死の剣士】をコストに、2枚ドロー!」

 

「おいおい……お前も大概引きが良すぎやしないか」

 

「俺もこんなことは初めてでな、敢えて十代風に言うなら──俺は今、猛烈にワクワクしている!俺は墓地に存在する2枚目の【リトマスの死儀式】の効果で、再びデッキから1枚ドロー!」

 

 2枚目の【死儀式】は恐らく【封魔の呪印】のコストとして墓地に眠っていたのだろう──ここに来ての連続ドローで引き込んだ3枚の手札。その中身は果たして……

 

「魔法カード【クロス・ソウル】!俺がこのターンリリースを行う時、相手モンスターを使用できる──俺が対象に選ぶのは【ソウルオーガ】だ」

 

 守りの姿勢を取る【ソウルオーガ】の体から魂のような靄が抜き取られ、宙を漂う。

 

「そして昴!これが俺の最後の一手だ!【リトマスの死儀式】発動──っ!」

 

 三沢が取ったのは、先ほどの昴と同じ行動──相手モンスターを素材とした儀式召喚だ。

 

 

「レベル8の【ソウルオーガ】を素材に、今一度降臨せよ!──【リトマスの死の剣士】!」

 

 

 宙を漂っていた【ソウルオーガ】の魂が祭壇に取り込まれ、再び死の剣士がフィールドに降り立つ。昴の場に【神の恵み】が健在なことで、その攻撃力は3000となった。

 

「【クロス・ソウル】を発動したターンはバトルフェイズを行えない。これでターン終了だ」

 

 

 昴 :LP1800 手札×2

【リチュア・エリアル】

 永続罠:【神の恵み】

 VS

 三沢:LP2800 手札×0

【リトマスの死の剣士】

 

 

「くっ…俺のターン!」

 

 

 昴:LP1800→2300

 

 

「っ……モンスターをセットしてターンエンド」

 

 悔しいがデッキのメインエンジンである【儀水鏡】を封じられ、残る2枚の儀式魔法も使い切った昴にはこれくらいしかできない。

 

 

 昴 :LP2300 手札×2

【リチュア・エリアル】

 セットモンスター×1

 永続罠:【神の恵み】

 VS

 三沢:LP2800 手札×0

【リトマスの死の剣士】

 

 

「俺のターン!【オキシゲドン】を召喚し、バトルだ!【リトマスの死の剣士】で【リチュア・エリアル】を攻撃!──死剣一閃!」

 

 剣士の二刀が青髪の少女に襲いかかる──初撃を杖で受け止め一時は抵抗した少女だったが、死の剣士は目にも止まらぬ速さで背後に回り込む。そして峰に返した剣で【エリアル】を気絶させ、無力化(破壊)する。

 

「続けて【オキシゲドン】でセットモンスターを攻撃!──オキシ・ストリーム!」

 

 セットされていたのは【シャドウ・リチュア】──僅か1000の守備力では太刀打ちできず、破壊されてしまった。

 

 三沢も手札0枚ではこれ以上の行動を起こせず、ターンは昴に渡る。

 

 

 昴 :LP2300 手札×2

 永続罠:【神の恵み】

 VS

 三沢:LP2800 手札×0

【リトマスの死の剣士】

【オキシゲドン】

 

「俺のターン──」

 

 

 昴:LP2300→2800

 

 

「【リチュア・ビースト】を守備表示で召喚!効果で墓地の【リチュア・アビス】を守備表示で特殊召喚!」

 

【アビス】の効果で後続の【リチュア】を手札に呼び寄せるが、この苦し紛れの防戦も保ってあと1ターンだろう。

 

 

 昴 :LP2800 手札×3

【リチュア・ビースト】

【リチュア・アビス】

 永続罠:【神の恵み】

 VS

 三沢:LP2800 手札×0

【リトマスの死の剣士】

【オキシゲドン】

 

 

「俺のターン。…【ハイドロゲドン】を召喚──これがラストターンだ!【オキシゲドン】で【リチュア・ビースト】を攻撃!──オキシ・ストリーム!」

 

 強力な風のブレスが海獣を吹き飛ばす。

 

「【ハイドロゲドン】!──ハイドロ・ブレス!」

 

 続いて放たれた水のブレスが差し向けられたのは、サメの頭を持つ魚人。こちらも成す術なく破壊されてしまった。

 

 

「最後の一撃を受け取れ、昴!──死剣一閃!」

 

 

 自身を守るモンスターのいなくなった昴へ、二刀が振り下ろされる。深々と袈裟斬りにされた昴はがくりと膝を突き、ライフが減少していく。

 

 

 昴:LP2800→0

 

 

 暫しの沈黙の後、会場が割れるような歓声に包まれる。

 何せ今まで負け無しだった昴に初めて土を付けたのだ。しかもそれが今さっき十代に敗北を喫した三沢なのだから、こんなに熱い展開はない。

 

 

「──楽しいデュエルだったぜ。昴」

 

「ああ……負けたよ。見事にやられちまったな」

 

 差し伸べられた三沢の手を取り、立ち上がる。

 

「とはいえ、お前も予想以上だったさ。正直、最後は俺も運任せだった。十代は計算で測れない奇跡を起こすが、お前はその計算を乗り越えて俺に抗った。素直に脱帽する──次の戦い、頑張れよ」

 

「ふっ……そう言ってもらえるとありがたい限りだ」

 

 改めてガッチリと握手を交わした両者に、惜しみない拍手が送られる。そこへ、クロノスのアナウンスが割って入ってきた。

 

 

『えー、それデーワ……次が最後のデュエルですーノ──』

 

 

 呼び出しを待ちきれなかったのか、アナウンスに先んじてフィールドを駆け上がってきたのは十代だ。

 

「すっげぇデュエルだったな!俺も早くお前と戦いたくてウズウズしてるぜ!」

 

「生憎、このデュエルはくれてやらないぞ。こっちも流石に2連敗は堪えるからな」

 

「やる気だな昴……!早速始めようぜ!」

 

 司会進行完全無視で始まった昴VS十代のデュエルだったのだが……

 

 

 

 

「バトルだ!【イビリチュア・マインドオーガス】でダイレクトアタック!──ハイドロ・ガイスト!」

 

「うああああああ──っ!」

 

 

 昴 :LP3500 手札×0

【イビリチュア・マインドオーガス】

【イビリチュア・ガストクラーケ】

 VS

 十代:LP0 手札×0

 

 

 

『やったノーネ!勝者は栄えあるオベリスク・ブルーのエリート、加々美昴!ドロップアウトボーイを見事コテンパンにしてくれたノーネ~!』

 

 

「痛ってて……ぐぁ~っ!負けちまった!」

 

「派手に吹っ飛んだな……大丈夫か?」

 

「サンキュー……前にも見たけど、流石に開幕1ターン目で手札1枚だけはキツ過ぎるって!」

 

「ハハッ……ま、今回ばかりは運がなかったな」

 

 そう……熱狂の中幕を開けたこの2人の戦いは、先攻を取った昴の1ターン目で既に勝敗が決していたと言っても過言では無かった。

 

 蹂躙された手札に対し、十代は持ち前のドロー力を発揮して抵抗を見せるも、補充した傍からどんどんデッキに返されていく手札。苦労して肥やした墓地も片っ端からデッキに返されていく。

 

 結局、展開らしい展開もできずに十代のライフは削られてしまったのだ。

 

 

 その結果、何が起こるかというと……

 

 遊城十代:1勝1敗

 三沢大地:1勝1敗

 加々美昴:1勝1敗

 

 と、見事に3人の戦績が並んでしまった。

 

 

「おやおや。これは困った事になってしまいましたねぇ、校長?」

 

「こうなる事を予測してなかったわけではありませんが……うーむ」

 

 困った顔をする大徳寺と鮫島。そこへ

 

「でしたーラ。ここは成績優秀なシニョール加々美とシニョール三沢の2人を改めて戦わせては如何でスーノ?」

 

 と、悪い顔をしたクロノスが入れ知恵をするも、大徳寺が抱えていた猫のファラオによって妨害される。

 

 そんなクロノスに代わって──というわけではないが、新たな提案をしたのは昴だった。

 

「じゃあドローで決めましょう。自分のデッキを上からモンスターが2枚出るまで捲って、その合計レベルが一番大きい奴が代表ってことで」

 

「それは名案だ!3人共実力は十分。それはこの戦績と、彼らのデュエルを見た皆が証明しています。ならば、最後にモノを言うのは勝利を引き込むドローです──っと、すみません。どうやら電話のようです──」

 

 そう言って鮫島は端末片手にそそくさと会場を出ていく。

 何はともあれ無事に了承も得られたことで、昴達3人は早速ステージ上に置いたデッキを上から捲っていく。

 

 結果はこうだ──

 

 十代:✩7【エッジマン】+✩5【ネクロダークマン】=合計レベル12

 三沢:✩3【カーボネドン】+✩8【ウォーター・ドラゴン】=合計レベル11

 昴 :✩6【マインドオーガス】+✩6【ガストクラーケ】=合計レベル12

 

 ……またも昴と十代で並んでしまった。

 

 もうこの際じゃんけんにでもするかと悩んでいた所へ、電話を終えたらしい鮫島が戻ってくる。

 

 そして……

 

「たった今、連絡がありました。どうやらノース校の代表は2人だそうです。従って、こちらからも代表をもう1人選出することとなりました」

 

「って事は……」

 

 このドロー勝負で数値が並んだ十代と昴の2人が本校代表としてノース校との戦いに挑むこととなる。

 

「やったな昴!一緒に頑張ろうぜ!」

 

「あ、ああ……」

 

 戸惑う昴は思っていた。

 

 ──自分で言い出した方法とはいえ、こんな安易に2人目の代表を決めてしまっていいのだろうか──と。

 

 実はこのドロー勝負、これならばほぼ100%十代が持ち前の引きで勝つだろうと思い提案したのだ。だが蓋を開けてみれば何ということか、三沢を差し置いて昴がツートップになってしまったではないか。

 

「十代君、昴君。2人共、当日はよろしく頼みましたよ」

 

 だがここまで来てしまっては「嫌です」とも言えず……

 

「はい……」

 

 と答えるしかできない昴なのであった。

 




優秀過ぎるが故に空気にされた男、三沢大地ッ!デッデデー♪

はい。今回は代表決定戦をお送りしました。
昴を最初に負かすのは誰にしようか考えていたんですが、三沢にその役目を任せました。彼普通に強いですからね。

いやぁ、【封魔の呪印】は儀式(リチュア)の天敵ってはっきり分かんだね。
ワンサイドゲームにならないように書いてたんですが「あるぇ~?コレどーすんの?」と何度も頭を悩ませました……。

それと「十代戦カットしちゃうの?」と思った人もいるかもですが、今回書きたかったのはあくまでもVS三沢なので、ご了承頂きたく。つまりそういうことです。


さて私ぃ。まーた勢いで代表戦2対2とか馬鹿なことやったぞお前ぇ。震えて眠れぇ?

あと本作のUAが5万人突破したり、お気に入りが800超えたり、色々ありました。


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