遊戯王~(GXの)アカデミアに転生~   作:不可視の人狼

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※今回の話を読む前に※

・長いです、デュエルに至ってはほぼアニメコピーなので退屈かもしれませんごめんなさい

・本作はこれまで、できる限りカード効果や処理をOCG準拠で書いておりました(万丈目の打ち出の小槌など例外有)が、今回一部カードをアニメ通りの効果処理にしています

・ちょっとアニメと展開変わります。その都合、気になる所が出てくるかもですがご了承ください




テスト結果と闇のゲーム

 先日の月一テストから数日後──結果が発表された。

 

 ラー・イエローのトップは、予想通り三沢。順調に行けば、間違いなくブルーへの昇格が約束されている。

 そして昴なのだが……イエローの成績順位には名前が載っていない。

 

 理由は明白、実技テストの相手が相手だったからだ。

 

 昴は終ぞ知ることがなかったが、実は雪乃はこれまで十代を陥れるために策を弄してきたクロノスにその証拠を突きつけることで脅迫。校長に公開しない代わりに、昴とのデュエルを取り付けたのだ。

 

 その結果、昴は万丈目に勝利した十代共々特例で昇格が決定。オベリスク・ブルーの所属となる運びになった。

 ……ただし、レッドを気に入っている十代はイエローへの昇格を蹴ったらしい。

 

 と、まあそういうわけで、1日の授業を終えた昴は自分の部屋の掃除を済ませ、ブルーの男子寮へ引越しをするところだ。

 

「──まさか、入学して早々にブルーへ上がるとはね」

 

「俺だって予想外だ。もしやとは思ったが、9割9分希望的観測だったしな。藤原と戦ってなけりゃこうはならなかったろ」

 

 部屋の中をピッカピカにした昴は、荷物を持って三沢と共に出口へ向かう。

 何とそこでは、イエロー寮の面々が昴の見送りをする為に勢揃いしていた。

 

「お前ら……」

 

「感動的な別れってやつだな」

 

「…なんかそれ俺が退学するみたいだから止めてくれ」

 

 

 ──「じゃあな!」「頑張れよー!」「おめでとう!」──

 

 

 イエローの生徒達からの激励の言葉を浴びながら外に出た昴は、最後に三沢と言葉を交わす。

 

「そんじゃまぁ、先に行ってるぞ」

 

「ああ。俺もすぐに追いつくさ」

 

 そう言って握手を交わした昴は、ブルーの男子寮へと歩を進めた。

 

 

 

 

 

「うわー、すごーい(棒」

 

 夕暮れの中、いざ到着したオベリスク・ブルーの寮はやはりデカイ。

 既に女子寮のスケールを目にしている分受けた衝撃は小さいが、感想が超棒読みになるくらいの効果はあったようだ。

 

 中に入ってみるとその豪勢さは割増しになり、床に敷かれたシミ1つ無い絨毯は土足で踏むのを躊躇ってしまう。

 

「……豪華過ぎるってのも考えものだな」

 

「──待っていましたーノン!」

 

 入口で棒立ち状態になっていた昴の元にやってきたのは、ブルー男子寮の寮長を務めるクロノスだ。

 

「シニョール加々美。改めて、ようこそオベリスク・ブルーへ!まずは、栄えあるデュエルアカデミアのエリートの証である、この制服をお渡しするノーネ。白と青、どちらがお好みデスーノ?」

 

 クロノスが両手に持っているのは、ハンガーに掛けられた新品のブルーの制服だ。

 アカデミアの制服は寮ごとのカラーとは別に2種類のタイプがある。各寮の色をベースにしたものと、白ベースに寮のカラーが差し色で入ったもの。白ベースのタイプは明日香が着ている制服の男Verと言えばわかりやすいだろうか。

 

「こっちで」

 

 昴が選んだのは青ベース──万丈目達が着ているのと同じタイプの制服だ。

 

「それデーワ、部屋に案内するノーネ」

 

 クロノスに連れられ、これから昴が生活する部屋を訪れる。

 

「シニョール加々美の部屋はここなノーネ。基本的なシステムは他の寮と共通してルーノデ、他に分からない事があったら、いつでも聞きに来るノーネ」

 

 最後に部屋の鍵を渡し、クロノスは明日の授業の準備があるとかで去っていった。

 

 

 

 

 

 

「──にしても……落ち着かない」

 

 食事を終え、取り敢えず入浴までは済ませたが、エリート様の為の部屋はやはり1人で使うには広すぎる。実際に利用したことは勿論ないが、高級ホテルのスイートルームも斯やという内装設備だ。イエローやレッドでは共用だった風呂は何と部屋風呂が各部屋に設置。

 部屋はフカフカの絨毯が敷かれており、さぞ座り心地の良さそうなソファーにレトロチックな暖炉まである。天蓋付きのベッドなんか実物を初めて見た。

 

「……………」

 

 ベッドを見て童心が疼いた昴は数歩後ろに下がると──助走をつけて思いっきりベッドにダイブした。

 程良い反発力のマットレスは昴の体を優しく包み込み、こんなソワソワした気持ちでさえなければこのまま眠りにつけそうだ。

 

 逆に朝起きるのが大変になりそうな魔力を秘めたベッドから抜け出した昴は、窓の外を覗いてみる。

 ブルー男子寮は校舎のすぐ隣に位置しており、ここから湖畔を挟んだ先に女子寮が、逆に校舎の向こう側にはイエロー寮とレッド寮が建っている。

 

 窓からは海と港が一望でき、クルクルと回る灯台の光をボーっと眺めていると、小さな3つの明かりが目に入った。レッド寮の方からこちらに向かってくる。

 

 このままここにいても眠れそうにない。ブルーの制服に初めて袖を通した昴は、夜の島に繰り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 寮を出て、明かりがあった方を見てみると………

 

「──お?なんで昴がこんなとこにいるんだよ?イエロー寮はあっちだぜ?」

 

「アニキアニキ!昴君はテストの結果が認められて、ブルーに昇格したんスよ!制服もほら!」

 

「寧ろ折角のチャンスを棒に振ってレッドに残る十代の方がおかしいんダナ」

 

 明かりの正体は十代と翔、そして彼らと同室だという大柄な男子生徒──前田隼人だった。

 

「俺はその辺をぶらつきにな。お前らこそ、こっちに何の用だ?」

 

「俺たちさ、この島にあるっていう廃寮に行くんだ!良かったらお前もどうだ?」

 

 聞けば、昔使われていた廃寮では"闇のゲーム"の研究が行われていたと言う。

 3人でやっていた怪談話から広がったその噂を確かめるべく、こうして寮を抜け出してきたのだそうだ。

 

「闇のゲームねぇ……」

 

「つ、作り話っすよねぇ?」

 

「どうだかな。行ってみればわかるだろ」

 

「流石昴!話がわかるぜ!」

 

 軽い気持ちで十代達に同行することになった昴だが、この後あんな事になるとは思ってもいなかった……。

 

 

「──にしても、隼人が付いてくるなんて意外だったな。いつもは授業に出るのもめんどくさがるじゃんか」

 

「そうなのか?」

 

「う、うん。俺、1度留年してるから……でも、別に出不精でも勉強が嫌いでもないヨ?ただ……」

 

「…ただ?」

 

「嫌なんダ……デュエルで勝つことだけの授業が」

 

「勝つ方法以外でデュエルで勉強することなんてあるの?」

 

「当然ある。俺がいたトコじゃ"不動性ソリティア理論"とか"満足学"とかあったぞ」

 

「えぇ……何それ。"満足学"ってデュエルに関係あるの?」

 

「あるに決まってるだろ。カードという無数の道がある中で、自分だけの満足を見出す…それを永久に追い求める学問だ。──お前らも、満足してみないか?」

 

「なんか怪しい宗教勧誘みたいだよ!」

 

 かつて一端の"満足民"であった昴が翔たちを勧誘していると、目的の廃寮が見えてきた。

 

「ここが廃寮……立派な建物だったんだな」

 

 苔生した門の前には一輪の赤い薔薇が手向けるように置かれており、古びた廃寮の雰囲気と噛み合って不気味さを放っている。

 

「ね、ねえアニキ。やっぱり止めましょうよぉ……」

 

「ここまで来て何言ってんだよ──」

 

 不意に、パキッ!という何かが折れる音が耳に入る。

 

 

「「でっ、出たああああああああぁ──ッ!!」」

 

 

 突然のことで隼人と翔が恐怖の叫びを上げる中、十代と昴はすぐさま音のした方へ懐中電灯を差し向ける。

 

 そこにいたのは──

 

「──明日香?お前何でこんなところに」

 

「こっちの台詞よ。貴方たちこそ、何してるの!?」

 

「ちょいと夜の探検にね」

 

「俺はなりゆきで……」

 

 呆れたように溜息をつく明日香は、優等生らしく昴たちを嗜める。

 

「貴方達知らないの?ここでは何人もの生徒が行方不明になってるって」

 

「そんなの迷信だろ?俺は信じないね」

 

「ここの噂は本当よ、遊び半分で来るところじゃないわ。それにここは立ち入り禁止になってるし、学校にバレたら騒ぎになるわよ」

 

「バレるのを怖がってちゃ探検なんてできないぜ」

 

「真剣に聞きなさい!」

 

「なんだよ?やけに絡んでくるじゃんか」

 

「明日香。そこまで言うってことは、ここについて何か知ってるのか?それにお前が何でここにいるのかも、まだ答えを聞いてない」

 

 いつも以上に厳しい明日香の様子を訝しんだ昴は、自然な流れで探りを入れてみる。

 正直に話すべきか逡巡する明日香だったが、考えた末に、ポツリポツリと語り始めた。

 

「……ここで消えた生徒の中には、私の兄もいるの。1年前、突然行方不明になって以来見つかってない……貴方達のことを心配して警告したけど、それでも行くって言うなら勝手にすればいいわ」

 

 明日香はそう言い残して立ち去る。

 今の話から察するに、門の前の薔薇は、未だ行方知れずの兄を思って明日香が手向けたものなのだろう。

 

「……どうする?今の明日香の話、作り話って雰囲気じゃなかったが」

 

「行こうぜ。噂のこともそうだけど、もしかしたら明日香の兄さんの手掛かりが見つかるかもしれない」

 

 十代を先頭に立ち入り禁止の鎖を跨いだ一行は、慎重な足取りで廃寮の中に足を踏みれる。

 

 その様子を少し離れた木の陰から心配そうに見ていた明日香の姿が突如掻き消えたことに、昴たちが気付くはずもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──へぇ…埃は被ってるけど、オシリス・レッドの寮とは大違いだな。いっそこっちに引っ越さねぇか?」

 

「嫌だよ!僕は絶対行かないからね!?」

 

 軽口を叩く十代たちを他所に、昴は懐中電灯で寮の壁を照らしていく。

 その一部分に、奇妙な模様の描かれた場所があった。近づいてよく見ると、解読不能の古代文字のようだ。その周囲には、見覚えのあるアイテムのイラストが彫られていた。

 

「千年アイテム……まさか本当に闇のゲームを?」

 

 千年アイテムというのは──

 

 ──人の心を操る千年錫杖(ロッド)、邪悪な魂を封じ込めた千年リング、人の心を見通す千年眼(ミレニアムアイ)、未来を予知する千年タウク、人の心の中に入ることができる千年錠、人の罪の重さを測る千年秤、そして古代エジプトの王の魂を内包した千年(パズル)──

 

 ──以上の古代エジプトを起源とする7つのアイテムの総称だ。

 

 このアイテムに選ばれた者は"闇のゲーム"を仕掛けることができ、敗者には"罰ゲーム"として魂を抜き取られたり、精神を崩壊させられると言われている。

 

「……ん?これは──」

 

 灯りを横にスライドさせていくと、壁に立てかけられた1枚の写真が。

 フレームに入れられたその写真にはオベリスク・ブルーの制服を着た男子生徒が写っており、その顔立ちはどこか明日香の面影があった。また、写真右下にはサインと思しき文字が書かれており……

 

「『FUBUKI 10 JOIN』……おい、これ──」

 

 手に持った写真を十代たちにも見せようとした瞬間だった。

 

 

 ──キャアアアアアアァッ!!──

 

 

「「「「!!!!」」」」

 

 突如、甲高い悲鳴が響き渡る。顔を見合わせた一行は、すぐさま声のした方へと走った。

 

「確か、こっちの方から──!」

 

 廊下を渡って広間に出た十代たちは、階段の上から懐中電灯で部屋の中を照らす。

 外の光も殆ど入らず薄暗い中で、昴は1枚のカードが落ちているのを発見した。

 

「こいつは………」

 

「【エトワール・サイバー】──明日香のカードだ!」

 

 つまり、さっきの悲鳴は明日香のものだということだ。寮に戻る途中で何者かに連れ去られでもしたのか、今はこの廃寮の中にいるらしい。

 

「何かを引き摺った跡があっちに続いてる!」

 

 そう言って隼人が指差す先には、壁をぶち抜いて作られた道──というより穴がある。

 どこかの炭鉱を思わせる洞穴の地面には、確かに何か大きな重い物を引き摺った跡がくっきり残っていた。

 

「急ぐぞっ──!」

 

 長い洞穴を走り抜けると、広い部屋に出た。

 岩山をくり抜いたような円形の部屋の床には幾何学模様が描かれており、部屋の奥には、無骨な棺桶に納められた明日香の姿が。

 

「明日香っ!」

 

 昴達が彼女の元へ駆け寄ろうとした時──

 

 

「ッハハハハ……この者の魂は、最早深き闇に没んでいる……」

 

 

 どこからか湧き出した白い靄と共に、何者かの声が反響した。声の主は、靄の中からユラリとした動きで姿を現す。

 

「ようこそ、遊城十代」

 

「誰だ貴様は!?明日香に何をした!?」

 

「我が名はタイタン──闇のゲームを操る、闇の決闘者」

 

 タイタンと名乗った大柄の男は顔の上半分を帽子と仮面で隠しており、人相は伺えない。

 黒ずくめの服装に──デュエルディスクの機能を持っているのであろう──物々しい機械を胴体と腕に装着している。

 

「ふざけるな!闇のゲームなんてある訳無いだろ!」

 

「ふふん…試してみれば分かるだろうよ小僧。ここは何人も踏み入ってはならん禁断の領域。我はその誓いを破る者に、制裁を下す」

 

「……十代、ここは俺が──」

 

「いいや、奴は俺をご指名だ。相手が誰だろうとデュエルを申し込まれた以上、俺は受けて立つ!逃げ出すような真似はしないぜ」

 

 闇のゲーム──あのタイタンという男がもし本物だった場合を考えて、実戦経験こそ無いものの多少の事前知識がある昴が戦おうとしたが、十代も譲らない。

 明日香も早く救い出さなければいけない以上、あまり時間をかけてもいられないだろう。

 

「……分かった。勝てよ十代」

 

「任せとけ。……万が一俺がやられちまった時は頼んだぞ」

 

「任された。行ってこい」

 

 隼人からデュエルディスクを受け取った十代は、デッキをセットしてディスクを展開する。

 

「ここでいなくなったっていう人たちも、全て貴様のせいだな!明日香を返してもらうぜ!」

 

「私に闇のデュエルで勝てたら、な。後悔するなよ小僧?もう後戻りはできんぞ」

 

 タイタンも左腕の機械からディスクを展開し、スタンバイ状態に移行した。

 

「そんなことするかよ──!」

 

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

 

 十代 :LP4000 手札×5

 VS

 タイタン:LP4000 手札×5

 

 

「先手は私が頂く──ドロー。…私は【インフェルノクインデーモン】を攻撃表示で召喚!」

 

 

【インフェルノクインデーモン】

 ✩4 悪魔族 ATK900 DEF1500

 

 

 

「奴が使うのは【デーモン】デッキか……」

 

「【デーモン】デッキは確かに強力だ。けどオッサン、そいつは場のモンスターを維持する為に、毎ターンライフを払い続けるっていうデッカイ代償がつくぜ!」

 

 十代の言う通り、タイタンが使う【チェスデーモン】達はその大部分がスタンバイフェイズ毎にライフを払わなければならないという共通効果を持っている。

 ライフ8000で戦っていた前世ならまだしも、その半分のライフで戦うこの世界では、ライフを払い続けるのは痛いデメリットだ。

 

「ほう…落ちこぼれにしてはよく勉強している。ではこのようなカードがあることも知っているかな…?フィールド魔法、発動──!」

 

 タイタンがディスクにカードを挿入すると、突如フィールドが光に包まれる。

 眩しさに目を瞑った十代達が次に目にしたのは、醜悪な魔物の石像がこちらを見下ろす悪魔の空間だった。

 

「なんだこれは……!?」

 

「さしずめ、地獄の一丁目とでも言っておこうか。──私はフィールド魔法【万魔殿(パンディモニウム)-悪魔の巣窟-】を発動した」

 

 このフィールド魔法は【デーモン】モンスターのライフコストを帳消しにする効果の他に、戦闘以外で破壊され墓地に行った【デーモン】のレベル未満の【デーモン】をサーチする効果を持っている。

 

 

 十代 :LP4000 手札×5

 VS

 タイタン:LP4000 手札×4

【インフェルノクインデーモン】

 フィールド魔法:【万魔殿-悪魔の巣窟-】

 

 

「さあ、お前のターンだ──おおっと、この娘が気になるなら、お前の目に入らないようにしてやろう」

 

 タイタンが左腕をサッと振ると、明日香の眠る柩が重い音を立てて閉ざされ、【万魔殿】の奥へと呑み込まれていく。

 

「明日香!」

 

「フハハハ…後ろの青い小僧、あの娘を助けようとしているのがバレていないとでも思ったか?残念だったな」

 

「ちっ……!」

 

「卑怯とでも何とでも言うがいい。これが闇のゲームだ──何なら後ろのお前らも消してやろうかぁ!」

 

「今の相手は俺だぜオッサン!要は俺が勝てばいいんだ…!ドロー!」

 

「スタンバイフェイズ時、【インフェルノクインデーモン】の効果発動!このモンスターがフィールドに存在する限り、場の【デーモン】モンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップする!」

 

「何っ!?」

 

 チェスに於ける最強の駒"クイーン"の名を冠する悪魔が、その力で自身の攻撃力を大幅に引き上げる。

 

「(くそっ…攻撃力1900になっちまったら、もう【フェザーマン】で戦闘破壊できねぇ……だったら──!)俺は【フェザーマン】を攻撃表示で召喚!」

 

 

【E・HERO フェザーマン】

 ✩3 戦士族 ATK1000 DEF1000

 

 

 堂々とした出で立ちで十代の元へ降り立つ風の戦士だが、その攻撃力ではもう悪魔の女王には届かない。

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンドだ!」

 

 

 十代 :LP4000 手札×3

【E・HERO フェザーマン】

 伏せ×2

 VS

 タイタン:LP4000 手札×4

【インフェルノクインデーモン】

 フィールド魔法:【万魔殿-悪魔の巣窟-】

 

 

「私のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【インフェルノクインデーモン】の効果が発動。攻撃力が更に1000ポイントアップ!」

 

「そいつ毎ターン攻撃力が上がるのかよっ!」

 

 今や【クインデーモン】の攻撃力は2900。最上級モンスターにも匹敵する値だ。

 

「更に【ジェノサイドキングデーモン】を召喚!」

 

 

【ジェノサイドキングデーモン】

 ✩4 悪魔族 ATK2000 DEF1500

 

 

 獰猛な唸り声と共に現れたのは、女王と対を成す"王"のデーモン。場に自分以外の【デーモン】がいなければ召喚できない制約を持つ反面、そのスペックはレベル4とは思えない程高い。

 

「食らうがいい、我が【デーモン】達の怒りを【インフェルノクインデーモン】で攻撃!」

 

「その瞬間を待ってたぜ!罠カード【異次元トンネル-ミラーゲート-】!」

 

【ミラーゲート】の効果により、戦闘を行う【フェザーマン】と【インフェルノクインデーモン】のコントロールが入れ替わり、【フェザーマン】が自爆特攻する形になる。そうすればタイタンに1900の反射ダメージが入るのだ。

 

「上手いぞ十代!」

 

「やっちゃえー!」

 

「いや、まだだ──!」

 

 これから起こる展開に意気込む翔と隼人だったが、昴だけは気が抜けない表情をしている。

 

「フン…貴様が雑魚モンスターを餌に罠を張っていることなどお見通しだ。この瞬間、【インフェルノクインデーモン】の効果発動──!」

 

 タイタンの言葉で、【万魔殿】の中心で煮え滾る溶岩の中から6つのボールが飛び出してくる。

 色とりどりのボールにはビリヤードの玉のように1~6までの番号が振られており、タイタンの右手の上で円の形を取る。

 

「【インフェルノクインデーモン】は相手の効果対象になったとき、サイコロを振って2か5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。このデュエルでは、サイコロの代わりにこのルーレットを使用する──さあ地獄のルーレットよ、奴の運命を乗せ回り始めよ!」

 

 ルーレットの目の1つに炎が灯り、それが時計回りに巡回していく。

【クインデーモン】の効果が成功する確率は1/3。逆に言えば、2/3の確率で十代の罠の効果が通る。普通ならタイタン側が不利なこのダイスロールだが……

 

「……フッ、ルーレットの目は2だ。よって【インフェルノクインデーモン】の効果!【異次元トンネル】は無効だ!」

 

【クインデーモン】の口元から無数の百足が現れ、わらわらと【フェザーマン】に群がる。

 数匹がその体に取り付いたかと思うと、次の瞬間、百足達は自らの体を爆弾に変え、風の戦士諸共塵になった。

 

「くぅ……っ!」

 

 

 十代:LP4000→2100

 

 

「この瞬間、罠発動!【ヒーロー・シグナル】!自分のモンスターが戦闘で破壊された時、手札かデッキからレベル4以下の【E・HERO】を特殊召喚できる──来い、【クレイマン】!守備表示でデッキから特殊召喚だ!」

 

 

【E・HERO クレイマン】

 ✩4 戦士族 ATK800 DEF2000

 

 

【クレイマン】と【キングデーモン】の攻守は同じ2000。戦闘を行っても、ダメージも破壊も起こらない。

 

「フフフ…凌いだとでも思ったか?闇のゲームの恐ろしさ、とくと味わうがいい……」

 

 不気味に笑うタイタンがポケットから取り出したのは、金色の正四面体──正面には瞳のような模様が造形されている。

 すると、その四面体が突然眩い光を発した。眩しさに目を細める十代と翔、隼人。昴はあまりの眩しさに目元を腕で覆い隠した。

 

「消えていく…お前の身体が…ライフポイントに従い、徐々に消えていく……」

 

 謎の光が収まると……

 

「あっ──アニキっ!」

 

 翔の悲鳴で自分の身体を見下ろした十代は、驚愕に見舞われる。

 

「お、俺の身体が……っ!?」

 

「何?…どういうことだ」

 

 昴は意味が分からず、困惑する。あの光と何か関係があるのだろうか?

 

 

 十代 :LP2100 手札×3

【E・HERO クレイマン】

 VS

 タイタン:LP4000 手札×4

【インフェルノクインデーモン】

【ジェノサイドキングデーモン】

 フィールド魔法:【万魔殿-悪魔の巣窟-】

 

 

「言ったはずだ小僧。既に闇のゲームは始まっているとなァ……」

 

 いつの間にか、昴達の周囲には黒い霧が立ち込めている。

 

「立ち込めてきた…黒い霧が。重く黒い霧が貴様達を包む…苦しいだろう──」

 

 タイタンの言葉に従うかのように、翔と隼人は首元を抑えて苦しそうに息をしている。

 だが昴は何ともない。この霧で煙たくはあるが、普通に呼吸もできている。

 

「これが闇のゲームのプレッシャーだ。貴様達の足はもう動かず、誰もここから逃げ出すことはできない」

 

「ホントだ…足も動かないよ……!」

 

「おい、一体何が起こってる?俺は何ともないぞ」

 

「えっ?どういうこと?」

 

「……貴様は遊城十代の後に私と戦い、永遠の闇に飲まれる運命……その為に生かしてやっているに過ぎん。どの道、もう誰1人闇のゲームから逃れることは出来んのだ」

 

 本来、闇のゲームを行う為には千年アイテムが必要だ。それを持っていなければタイタンの闇のゲームはハッタリだと断言できるのだが、彼が手にしていた四面体──遠目でしか見えないが、あれは千年パズルに酷似している。

 

 どんな経緯か知らないが、あの男の手に本物のパズルが渡ったのであれば、これは正真正銘闇のゲーム。負ければその魂が永遠に闇に飲み込まれてしまう。

 

「これが闇のゲーム…確かにヤバそうだ。けど、こんなにゾクゾクするデュエルは初めてだぜ!俺のターン!」

 

 このような状況でも笑って見せる十代は持ち前のドロー力で引いた【強欲な壺】で2枚ドローする。

 

「行くぜ!魔法カード【融合】!手札の【スパークマン】と【クレイマン】を手札融合して、【E・HERO サンダー・ジャイアント】を召喚!」

 

 

【E・HERO サンダー・ジャイアント】

 ✩6 戦士族 融合 ATK2400 DEF1500

 

 

「【サンダー・ジャイアント】の効果!自身より攻撃力が低いモンスターを破壊する!──ヴェイパー・スパーク!」

 

「【ジェノサイドキングデーモン】の効果!再び回れ、運命のルーレット──!」

 

 ルーレットの火が止まったのは……5。

 

「ハハッ!運命のルーレットは、再び私に味方した!」

 

【キングデーモン】に向けて放たれた雷は180度反転し、雷の巨人の体を打ち砕いた。

 

「クソ…っ!永続魔法【悪夢の蜃気楼】を発動。カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 十代 :LP2100 手札×0

 魔法罠:【悪夢の蜃気楼】

 伏せ×2

 VS

 タイタン:LP4000 手札×4

【インフェルノクインデーモン】

【ジェノサイドキングデーモン】

 フィールド魔法:【万魔殿-悪魔の巣窟-】

 

 

「結局、お前がこの2ターンで私に与えたダメージはゼロ……そろそろデュエルを終わらせる準備と行こうか──私のターン!」

 

「スタンバイフェイズに【悪夢の蜃気楼】の効果が発動!手札が4枚になるようドローする!」

 

「好きにするがいい。どの道お前は敗北することに変わりはないがなァ……やれ!【ジェノサイドキングデーモン】!──炸裂!五臓六腑ゥ!」

 

【キングデーモン】の胴体が裂け、その中から無数の羽虫がわらわらと十代に襲いかかる──!

【キングデーモン】の攻撃力はスタンバイフェイズに【クインデーモン】の効果で1000ポイント上がっている。この攻撃が通れば十代の敗北だ。

 

「攻撃宣言時、罠発動!【聖なるバリア-ミラーフォース-】!」

 

「よし!これなら!」

 

【ミラーフォース】は対象を取らない全体破壊効果──つまり【デーモン】達のダイスロール効果を踏むことなく破壊することができる。

 

 羽虫たちは鏡の障壁に行く手を阻まれる。その後、自分たちの体を破裂させて起こした爆風がタイタンのフィールドへと跳ね返された。

 

 炎の奔流は王と女王を巻き込み、フィールドを一掃する。

 

「ぬぅ…っ!しぶとい奴め──しかし、手札の【デスルークデーモン】の効果発動。【ジェノサイドキングデーモン】が破壊された時にこのカードを捨てることで、復活させることができるのだ!」

 

 加えて【万魔殿】の効果により、デッキから新たな【デーモン】2枚がタイタンの手札に加わる。

 

「まだバトルフェイズは続行中だ。復活した【ジェノサイドキングデーモン】でダイレクトアタック!」

 

「速攻魔法【非常食】!このカード以外の自分の魔法罠を破壊することで、その枚数×1000ポイントのライフを回復する!」

 

 十代が破壊したのは【悪夢の蜃気楼】──これによりライフは3100に回復した。しかし攻撃そのものは止められず、増やしたライフも大きく削られてしまった。

 

 

 十代:LP3100→1100

 

 

「私はこれでターンエンド……フッ、しかし貴様のライフが減ったことで、その体も消えていくのを忘れてわけではあるまい……」

 

 

 十代 :LP1100 手札×4

 VS

 タイタン:LP4000 手札×6

【ジェノサイドキングデーモン】

 フィールド魔法:【万魔殿-悪魔の巣窟-】

 

 

 タイタンが再び取り出した四面体が光を発し、またも昴以外の全員が悲鳴を上げる。

 翔達が言うには、十代の体がダメージを受ける度に消えているそうなのだが、昴には何も起こっているように見えない。

 

 その上翔は右腕が、隼人は右足が消えた、と意見が一致しないことで、一層訳が分からなくなる。

 

「──俺のターン!魔法カード【戦士の生還】で墓地の【フェザーマン】を手札に加え、【融合】を発動するぜ!──現れろ【E・HERO フレイム・ウィングマン】!」

 

 

【E・HERO フレイム・ウィングマン】

 ✩6 戦士族 融合 ATK2100 DEF1200

 

 

「効果で破壊できないなら直接バトルで破壊してやる!【フレイム・ウィングマン】!──フレイム・シュート!」

 

【フレイム・ウィングマン】の右腕から放たれた炎がデーモンの王を焼き尽くす。戦闘ダメージは僅か100だが、十代の狙いはそこではない。

 

「戦闘ダメージに加えて、【フレイム・ウィングマン】の効果ダメージも食らってもらうぜ!」

 

「ぬあああああぁ──っ!」

 

 

 タイタン:LP4000→1900

 

 

 ここで初めてタイタンのライフが減少する。そしてどうやら闇のゲームのルールはタイタン自身にも影響するらしく、翔達の目にはタイタンの手足が消えたように見えているらしい。

 

「ぬぅ……見事と言ってやろう。しかし私は再び【デスルークデーモン】を捨て、【ジェノサイドキングデーモン】を復活させる!」

 

 三度蘇った王のデーモン。小さく舌打ちした十代は、新たなモンスターを呼び出す。

 

「【ダーク・カタパルター】を守備表示で召喚して、ターンエンドだ」

 

 

【ダーク・カタパルター】

 ✩4 機械族 ATK1000 DEF1500

 

 

 十代 :LP1100 手札×1

【E・HERO フレイム・ウィングマン】

【ダーク・カタパルター】

 VS

 タイタン:LP1900 手札×5

【ジェノサイドキングデーモン】

 フィールド魔法:【万魔殿-悪魔の巣窟-】

 

 

「私のターン!貴様はこのターンで、更なる地獄を見る──【ジェノサイドキングデーモン】をリリースし、【迅雷の魔王-スカル・デーモン】をアドバンス召喚!」

 

 王の魂を礎に現れた魔王は、肉体に雷を纏わせ、産声というには猛々しい唸り声を上げた。

 

 

【迅雷の魔王-スカル・デーモン】

 ✩6 悪魔族 ATK2500 DEF1200

 

 

「目障りなモンスターを八つ裂きにしろ!──怒髪天昇撃!」

 

 頭部の角に雷を収束させた魔王は、その矛先を【フレイム・ウィングマン】に向ける。

 間髪入れず放たれた雷撃により、十代のエースは成す術なく破壊されてしまった。

 

 

 十代:LP1100→700

 

 

「最早お前のライフは風前の灯。さあ、お前の体も同じようになっていくぞ…全身の力が抜け、立つこともできない……」

 

 十代の体から力が抜け、次第に意識までもが霞んでいく。

 項垂れた身体がいよいよ倒れそうになった瞬間、十代の胸ぐらを掴み上げる者がいた。

 

「す、昴君!?」

 

「十代っ──!」

 

 突然のことに目を剥く翔の前で、昴は十代の頬に平手を叩きつけた。

 パンッ…!という乾いた音が響き渡り、十代の身体が力なく倒れる──が、寸でのところで意識を覚醒させた十代は両足で踏ん張り、踏みとどまる。

 

「痛ってて…サンキュー昴。いい一発だったぜ…もうちょい加減してくれても良かったけどな」

 

「アニキ!」

 

「グーパンチじゃなかっただけ有り難く思え。とっとと勝って明日香を連れて帰るぞ」

 

「ああ!──待たせたなタイタン、俺のターンだ!ドロー!」

 

 

 十代 :LP700 手札×2

【ダーク・カタパルター】

 VS

 タイタン:LP1900 手札×5

【迅雷の魔王-スカル・デーモン】

 フィールド魔法:【万魔殿-悪魔の巣窟-】

 

 

「【ダーク・カタパルター】の効果発動──!」

 

【ダーク・カタパルター】はスタンバイフェイズ時に守備表示だった場合、自身にカウンターを1つ乗せる。

 そしてそのカウンターの数と同じ枚数のカードを墓地から除外することで、除外した枚数分フィールドの魔法罠を破壊できるのだ。

 

「俺は墓地の【フェザーマン】を除外して、フィールド魔法【万魔殿(パンディモニウム)-悪魔の巣窟-】を破壊っ!」

 

【ダーク・カタパルター】の背中の双角からエネルギーが放出され、フィールドを塗り替えていた悪魔の住処を引き剥がす。

 

「更に魔法カード【死者転生】を発動。手札を1枚をコストに墓地の【スパークマン】を手札に加えて、これを守備表示で召喚!ターンエンドだ」

 

 

【E・HERO スパークマン】

 ✩4 戦士族 ATK1600 DEF1400

 

 

「フン!威勢はいいが、お前に出来る事などその程度だ小僧っ……!」

 

 

 十代 :LP700 手札×0

【ダーク・カタパルター】

【E・HERO スパークマン】

 VS

 タイタン:LP1900 手札×5

【迅雷の魔王-スカル・デーモン】

 

 

「私のターン…【万魔殿】が破壊されたことで、【スカル・デーモン】の維持コストとしてライフを500払う」

 

 

 タイタン:LP1900→1400

 

 

「更に【デーモンの騎兵】を召喚し、バトルフェイズに入る」

 

 

【デーモンの騎兵】

 ✩4 悪魔族 ATK1900 DEF0

 

 

「【スカル・デーモン】で【ダーク・カタパルター】を攻撃!──怒髪天昇撃!」

 

 魔王の雷により双角の機械獣は爆散。しかし主の身を守るという最後の役目は果たした。

 

「続けて【デーモンの騎兵】で【スパークマン】を攻撃!」

 

 馬に跨った悪魔の騎兵は、手にした突撃槍で【スパークマン】を貫く。これで十代のフィールドは再びガラ空きとなってしまった。

 

 

 十代 :LP700 手札×0

 VS

 タイタン:LP1400 手札×6

【迅雷の魔王-スカル・デーモン】

 

 

「俺のターン!…俺は【E・HERO バブルマン】を特殊召喚!」

 

 

【E・HERO バブルマン】

 ✩4 戦士族 ATK800 DEF1200

 

 

 十代がトップで引いたのは、背中にタンクを背負った水を操る【E・HERO】だ。ステータスこそ心許ないが、このモンスターの真価は効果にある。

 

「──【バブルマン】は手札が自身だけの時に特殊召喚でき、そして召喚時に自分のフィールドに他のカードが無ければ、デッキから2枚ドローできる!」

 

 昴の前世では"強欲なバブルマン"の愛称で親しまれていた効果により、十代は新たに2枚のカードを引き込む。その中に逆転のカードがあるかどうか…勝負の分け目だ。

 

「──俺は魔法カード【バブル・シャッフル】を発動!」

 

「ぬぅ…っ!?何をする気だ!?」

 

「【バブル・シャッフル】は、自分フィールドの【バブルマン】と相手モンスター1体を守備表示に変更するカード──俺が選ぶのは【デーモンの騎兵】だ!」

 

 互いのモンスターが守りの姿勢を取ったのを見て、タイタンは口元を歪める。

 

「しかし、守備表示にしたところで【スカル・デーモン】は破壊できん!所詮無駄な行為だ!」

 

 

「まだ【バブル・シャッフル】の効果は終わってないぜ!俺は【バブルマン】をリリース──来い!【E・HERO エッジマン】!!」

 

 

【バブルマン】に代わって十代の元へ駆けつけたのは、闘牛を思わせる角を生やした黄金の戦士。

 十代のメインデッキにいるHERO達の中では最強の攻撃力を持つモンスターだ。

 

 

【E・HERO エッジマン】

 ✩7 ATK2600 DEF1800

 

 

「それがどうしたぁっ!その程度で私を倒すことなど──!」

 

「いいや、このターンで終わりだぜ!【エッジマン】は守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える!」

 

「なぁんだとおおぉ!?」

 

「行け!【エッジマン】!【デーモンの騎兵】を攻撃!──パワー・エッジ・アタック!」

 

 大きく跳躍した【エッジマン】は、両腕のブレードで敵を一刀両断する!

 

 戦闘相手の【騎兵】の守備力は0──【エッジマン】の効果で、攻撃力が全てタイタンへと貫通し……

 

 

「ぬおおおおぁぁぁ──っ!!!」

 

 

 タイタン:1400→0

 

 

「っしゃあ!」

 

「すごいよアニキ!闇の決闘者に勝っちゃった!」

 

「……いや、違う。こいつは闇のゲームなんかやっちゃいない」

 

「…どういうことダ?」

 

 倒れ伏すタイタンの手からこぼれ落ちた四面体を拾い上げた昴は、それを十代達に向かって放り投げる。

 闇のゲームのトリガーとなる曰くつきアイテムを渡され慌てふためく3人だったが、最初に違和感を覚えたのは十代だった。

 

「なんか、闇のゲームを発動させるアイテムにしちゃあ……ちゃちくないか?」

 

「当然だ。それは外見だけ似せたパチモンだからな」

 

 そもそも千年アイテムは全て貴金属で出来ている。本物の千年パズルは完成形が中身空洞とはいえピース1つ1つは密度の高い純金なのだから、それなりの重さになるはずだ。

 

 だが十代が持っているパチモン千年パズルは異様に軽い。片手で弄べるくらいだ。

 

「でも、その千年アイテムが偽物なら何でアニキの体が消えてたの?」

 

「それなんだが……本当に消えてたのか?俺には普通にデュエルしてるようにしか見えなかったんだが」

 

「間違いないよ!隼人君だって見たでしょ?」

 

「うん……」

 

 十代達3人だけに見えて、昴には見えなかった理由……考えられるものとしては1つある──"光"だ。

 先のデュエルで度々偽パズルから発せられていた怪しげな光……あれは催眠術などでよく用いられる手法でもある。

 

 あの光と、タイタンの妙に芝居がかった説明調の言葉──相手を催眠術に陥れる為だと考えれば、全て合点がいく。昴はあの光を浴びせられる度に腕でシャットアウトしていた為、催眠術にかからなかったのだろう。

 

「なぁんだ…じゃあアイツ、闇の決闘者って嘘ついてたんスね」

 

「そういうことだ。さっき偽パズル(コレ)拾った時にうめき声も聞こえたから、あの男も普通に生きてる」

 

 言った傍から、タイタンが目を覚ましたようだ。

 

「──さぁて。何でこんな事をしたのか、洗いざらい吐いてもらおうか」

 

「むぅ…私はプロだ。無意味なことはしない──そう、私の仕掛けが通用しないのならば、最早戦う意味はない。そして、キサマらに付き合う必要もな──」

 

 突如、視界が煙に覆い尽くされる。どうやら煙玉を隠し持っていたようだ。

 

「待て───!」

 

 十代と昴が逃げるタイタンを追う中で、部屋を囲むように配置されていた石像の口に光が灯る……

 全部で8つ灯された光は部屋の中央に集まり、床に不気味な瞳のマークを浮かび上がらせた。

 

 すると、突如昴達の周囲で瘴気が渦を巻き始める。どんどん大きくなっていく瘴気の渦は昴と十代、タイタンを飲み込み、黒い謎の球体となって3人を閉じ込めてしまう。

 

 残された翔と隼人は、ひたすら十代と昴の名前を呼び続けるしかなかった。

 




1万5千文字超えそうなんで流石にカット……

いや、配分下手くそか私。

このタイタン戦、最初から昴に戦ってもらうか迷った末にこのような形にしました。
自分でも今更何をと思いますが、オリ主と本来の主人公を上手く共存させるのってやっぱり難しいんですねぇ。

(AVのようにデュエル中断連発できたらなぁ)←おい

ともあれ、一旦ここで区切ります。次回は皆さん予想がついてるかと思いますが、タイタンVS昴です。
過去にコメントでも頂いた"アレ"をやろうと思います。
というか寧ろ"アレ"をやるから十代に戦って貰ったんですが…そのことに関してはまた次回。

お気に入りや評価、感想くださった皆さん、ありがとうございます。
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