遊牧少年、シャンバラを征く   作:土ノ子

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 このページは後書きとなります。
 同時刻に本作の最終話を投稿しております。
 最終話を読了していない方は、まずそちらをお読みください。


後書き

『英雄ってなんだろう?』

 

 この疑問が拙作のテーマを決めるにあたっての出発点となりました。

 

 英雄(ヒーロー)

 昨今、ラノベ界隈で非常によく出会う単語です。

 厨二心をくすぐるパワーワード筆頭ですね。魔王とか最強とかハーレムも強い。最近は追放やらザマァに押され気味なようですが、今後もタイトルで見かけなくなるということは無さそう。

 

 私も英雄という心惹かれるテーマを扱ってみたいと前々から思っていました。

 でも作者として小説の中で英雄を取り扱うなら、それがどういうものかを真面目に考えねばなりません。

 

 Q.英雄ってなんだろう?

 A.少なくとも前世の記憶や転生チートを持っているだけの主人公じゃないだろうなぁ。

 

 真っ先にこんな自問自答が出た辺り、我ながら捻くれてますね。

 

 なのでもう少し踏み込んで、英雄をどんな風に書きたいかと自問した結果、『普通の人でもキッカケがあればきっと英雄になれる』ことを書きたいと自答しました。

 使い古され、手垢のついたテーマですが、やはり自分はこういう主人公が泥臭く頑張って一皮剥けるタイプの小説が好きなんだと改めて自覚出来ました。

 

 本作の主人公、ジュチは遊牧生活に生きる普通の少年です。後天的に色々と特殊な体質や能力を獲得しますが、根っこはあくまで凡人です。

 身の丈に合わない大望も無いし、前世知識があっても生かしきれないし、良くも悪くも子どもっぽい性格です。

 凡人 (ガチ)。ヒロインと出会わなければ、世界の片隅で大人しく生きて死んでいくタイプです。

 あんまり英雄らしくないキャラですね。だからこそ彼を主人公に据えたんですが。

 

 そんな平凡な主人公があるキッカケを受けて英雄/大馬鹿へ一歩を踏み出す旅路を描いたのが本作です。

 

 そして凡人が英雄となるための条件を二つほど考えました。

 

『普通では無いこと』

『偉業を成し遂げたこと』

 

 腕っぷしや精神性は重要視しませんでした。

 むしろ読者の皆さんに共感してもらえるよう、出来るだけ普通の人柄に寄せることを考えていました。

 

 かくして本作のテーマである『普通の人でもキッカケがあればきっとヒーローになれる』ことを示すためにジュチは追い詰められます。

 

 愛する義妹が病に倒れます。放っておいたら死にます。でも病を治す薬草を採ろうとすれば十中八九自分が死にます。

 八方ふさがりですね。作者とかいう神様に悪態の一つや二つ吐いても許されるでしょう。

 

 それでもジュチは『だからどうした!』と叫び、英雄への一歩を踏み出します。

 普通だった少年が、普通であることを投げ捨てた瞬間です。

 

 でも普通であることを投げ捨てられたのは、ジュチが特別な人間だからではありません。彼に一歩を踏み出させたのは勇気ではなく、家族を失うことへの恐怖です。そしてこの恐怖もまた誰もが持っているのではないでしょうか。

 

 キッカケは何でもいい。でも一歩を踏み出すことだけは自分自身にしか出来ない。

 幸運や縁に助けられながらだとしても、外からの圧力に背を押された結果だったとしても、選んだのはジュチ自身です。それだけは他の誰のお陰でもない、ジュチだけの功績です。

 逆説的に一歩踏み出すことを選べれば、きっと誰でもヒーローになれるんじゃないでしょうか。なれるといいなぁ…(自分の体たらくを見ながら)。

 

 なので個人的な考えとして、拙作のハイライトはジュチ最大のチートである精霊獣ホムラ覚醒の場面ではなく、フィーネと相対して現実に打ちのめされながらも『だからどうした!』と叫ぶあのシーンだと思っています。

 正直あの場面が書いていて一番楽しかったですし。

 

 そうして一歩を踏み出し、普通という道を踏み外したジュチは、人や精霊との縁や幸運に助けられ、ガルダの撃退と霊草を採取することで部族を救うという偉業を成し遂げます。

 

 小さな英雄の誕生です。

 カザル族とヒロイン限定のローカルヒーローですが、きっとここまで読み進めた読者の皆様なら彼を英雄と認めてくれると勝手ながら期待しております。

 

 個人的には書きたいものを書き切ったので割と満足出来ました。これが初のオリジナル小説への挑戦でしたが、世界観やストーリーラインは苦労した分のクオリティにはなったかなと思っています。

 

 

 

 最後にこの物語を此処まで読み進めてくださった読者の皆様、そしてネットの片隅で埋もれていた拙作を拾い上げ、紹介して下さった方々へ最大の感謝を述べさせてください。

 

 皆様からの感想、ポイント評価、ブックマーク登録など諸々の応援が無ければ、この物語は終わりを迎えることが出来ず、どこかで筆を折っていたと思います。

 

 そうしたエタ―(半永久的な更新停止)を迎えることなく、ひとまず完結まで辿り着くことが出来ていまはホッとしています。

 

 ジュチとフィーネの紡ぐ旅路はここで一区切りです。

 

 続編も一応構想していますが、執筆するかは完全に未定となります。完結直後からの《天樹の国》でのゴタゴタを描くか、あるいは一気に時間を飛ばして青年編まで行ってしまうか。後者の場合は、恐らく舞台はもっと広がるのでしょうが、設定の整備が間に合っていないという現実が…。

 

 さておき、ここまで長々と繰り言に付き合って頂き、ありがとうございました。

 

 これからの執筆活動予定は未定です。

 ハーメルンでの連載中のSSを完結させるか、次回作に取り掛かるか。

 

 次回作はいくつか構想中ですが、案の一つとして昨今流行りの追放ものを書いてみたいという願望があったり。

 ストーリーラインはまだまだ全然ですが、タイトルだけは考え済みです。

 

 

 

 【どうして】幼馴染の美少女勇者を孕ませた農民はパーティーを追放され、後悔しているけどもう遅い【こうなった】

 

 

 

 『追放』も『もう遅い』もしっかりタイトルに入ってますから流行りの要素はバッチリ取り込めていますね!

 

 ……まあ、タイトル通りの一発ネタです。短編で一本上げるかもしれないくらいで認識頂ければ。

 

 読者の皆様におかれましては、またご縁がありましたらどうか一読しに立ち寄って頂ければ幸いです。

 改めて拙作をすべて読み切ってくださり、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 恥ずかしながら、最後のお願いです。

 拙作を読んで感じたままの感想・評価を最後にいただけますと、物書きとしてこれ以上の幸せはありません。

 作者だって多くの読者に読まれたいし! 評価されたいし! 称賛されたいのです!!!

 というわけで、どうかよろしくお願いいたします!

 


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