大剣を携えたツンツン頭の剣士にしてゲーミング色に光るこの物語の主人公cloudさんと、ハイテンション魔物使いユウリさんと、その他愉快な仲間たちが送る冒険巨編。ちなみに冒険巨編ってのはウソ。
VRゲームやったり異世界に行ったりというか普通に座ってゲームやったりするcloudさんの戦いの記録をライフストリームと共にご提供します。
適当に書いてるSSとも言えない怪文書です。適当に見てください。生暖かい感想も欲しいです。
久しぶりの短編だよ
どうせ投げっぱなしだよ
どうせ更新なんかしないよ
でも楽しんでくれりゃ嬉しいよ
ネトゲ。それは楽しき遊び場でありながらそこでの人間関係、いざこざ。そしてトラブルなどが蔓延り、正直言って精神がストレスでマッハになって頭がおかしくなって死ぬ。しかし、そんな修羅の国にもしっかりとした楽しみ方はあるし、いくら心が砕けそうになっても、それでもと再び駆け出す者も確かに存在する。だからこそネトゲは滅びないのだ。
それはVRMMOにおいても例外ではない。VRMMO。最近小説家になろうや今お前らが見てるサイトでも流行りに流行って一大ムーブメントを引き起こしたそのジャンル。しかしまあVRになったからと言って民度が上がるわけでもなく、よからぬ輩はいつの時代も存在する……
このゲーム『オアシズ』も例外ではない。オアシスではない。このゲームではVR世界で可能なほとんどのことができるまあフィクションではよくある都合の良いゲームだ。たくさんのワールドに分かれておりそれぞれ特色を持ち、様々な会社が参入している。
そして……その中心に聳える都市を見下ろす一人の青年がこの物語の主人公。名前は……
『cloud』
彼の話は一旦置いておこう。こういう作品ではありがちな設定だが、このゲームにはクエストというものが存在する。まあ要するにそういうことだ。分かるね?
そんなクエストを終え、街の中に戻ってくる男女が四人。三人が男、残りの一人は金髪のボブカットを決めた少し荒っぽい少女……プレイヤーネームはユウリ。
「お疲れさーん……」
帰還早々周りに挨拶する少女。それに反応するのはもちろん周りにいる男たちだ。
「おつ〜てか、ユウリってあのユウリ?」「マジかよ、女の子じゃん」「俺たちと遊ばねぇ?」
三人の男どもは帰還早々彼女を囲む。間違いなくナンパ……いや、それ以上にタチが悪いモノのそれだ。
「取り敢えず本体メール送るよ」距離を詰め、ユウリに絡む野郎ども。目に見えて顔をしかめるユウリだが、彼らは全く気にしていない。仕方なく彼女が武器を取り出そうとすると、突然上空から一つの人影が降りてきた。それは、金髪の癖っ毛の酷い髪型をした青年だった。彼は開口一番、
「やめなよ」と、そこにいる男たちに警告とも、諭すとも取れる言葉を発した。
「うるせーよ! ダボ!」もちろんそんな言葉で彼らが止まるはずもなく、彼らの標的はその青年……『cloud』へと向いた。
「ユウリさん、ここから出た方がいいよ」ユウリを庇うように手を伸ばすcloud。穏やかな口調で退避を勧める。しかし、そんな彼をユウリが疑問に思わないはずがない。「お、おい待てよ。あんた誰なんだ? cloudだって?」困惑しクラウドに問いかけるユウリに対して、彼は何も答えないまま男たちに向かって背中に背負った大剣を構えた。
そんな彼に対しユウリは考えた。(cloud……? 今時オンラインゲームでそんな名前使う奴が居るなんてな……それにしてもどういう風の吹き回しだ? 助けてもなんのメリットもない私を庇うなんて……)しかし、いくら頭の中で独り言を重ねても何も起こらなかった。取り敢えず、その言葉に従い逃げることにしたユウリ。もちろん、突然の乱入者によって獲物を奪われた男たちは怒りに震えていた。
「テメエあと少しのところを……うぜーんだよ!」
そう一人の男が叫ぶのと同時にそれぞれ武器を取り出す男たち。ゲームとはいえ、人はここまで愚かになれるものなのか。その中の一人の斧を持った男が襲いかかるも、その攻撃を大剣の刃で防がれ、膝打ちからの斬撃であっさり斬り捨てられる。それにも怯まず槍を突き出す男がもう一人、しかしかわされ頭上からの斬撃で真っ二つにされ倒される。最後に残った剣を持った男もガードごと粉砕され地に沈んだ。
「……お前……何者だ……」「興味ないね。名声、興味ないね」
呻き声を上げながら倒れる男たち。それを見ていたユウリは少しばかりの畏怖を向けながらこう呟いた。
「怖っ……なんだあいつ……」スクショとフォロー登録を行いその場から離れるユウリ。異様な行動をした彼に対し、興味が抑えきれなかったようだ……
後日。もうcloudのことも忘れかけたユウリの前に奴は再び現れた。
「えっ何やってんのあの人」
平然とモンスターバイクを乗り回し街中を高速で突っ走る一人の男。案の定cloudである。見覚えのある影を見てテンションの上がったユウリは彼を尾けることにしたのだが……速い。予想以上に速い。しかもどこに向かっているのかまるで分からない。彼女も体力には自信があったのだが流石に自転車では無理だった。ゲームなのに。ゲームなのに。
ようやくcloudが止まったと思えば、そこはゲーム内の家……cloudの拠点であった。ユウリがバレないうちにこの家から離れようとした次の瞬間
「……ユウリさん。入りなよ」
あちらの方からお呼びがかかった。どうやらとっくに気付かれていたようだ。家に招かれ応接間に座り込むユウリ。
「……なんか言えよ」
しかし目の前にいるクラウドは何も話さない。それどころか無言でゲームソフトらしきものを彼女に渡し……
「やりなよ」などと言った。そのゲームソフトらしきモノは随分と古い名作RPGのギフトデータだ。これで現実世界でゲームができるのだが……もちろんユウリは突然こんなものを渡されて戸惑いを隠せない。
「なんでこんなものを……あんた一体なんなんだよ!?」「キョミナイネー」
あっさり切り捨てられるその言葉。手際良くお茶やお菓子などを用意してくれるcloudだが、それ以上に困惑の方が大きく素直に受け取れるはずがない。まぁ……
「……食っていいのか?」「いいよ」
おもてなしは受けるものだが。
そんなcloudに翻弄されるゲーム世界での日々とは異なり、ユウリの現実世界では比較的平凡とも言える生活が送られていた。
しかしまあ、そんな都合良くは行ったら物語は発展しない。
彼女の日常にすら非日常が迫っていた。彼女が常連として通っているゲームショップ。
「……あのゲームのコントローラー買ってみようかな……」
cloudに渡された例の名作RPGが気になりVRではないゲームのコントローラーを初めて手に取ろうとする彼女の視界の端に見覚えのある影が。しかもこちらに近づいてくるではないか。手に持っているのはコントローラーの箱だ。
「……これ買いなよ」
全く同じ声で、ゲーム内とほとんど変わらない姿のクラウドが、オススメと言わんばかりにコントローラーを見せつけてきた。
「……あんた一体なんなんだ」