Nordic iron storm 〜陸上の海賊〜 作:COTOKITI JP
陽の差し込む一つの部屋。
しかし我が家のような飾り気は一切無く、無駄を省いて省いて省きまくった末に出来たこの部屋。
部屋の隅には何らかの功績を称える賞状やトロフィー、盾等が並んでいる。
数はやたら少ないが。
まぁ、端的に言ってしまえばこの部屋は我らが生徒会長の住処である生徒会室である。
「ふむ……
執務机に座る彼女は手に持った書類を流し読みしつつ小さく息を吐いた。
そこに可愛げは感じられず、どちらかと言えば映画や漫画に登場する悪役のようなカリスマ性を強く感じる。
元より私はこの学園に来るのが嫌だったが、クラスメイトとも上手く馴染めて、そしてこの人と出会えた事がここに来た事を後悔しなかった最大の理由だろう。
「あぁ、使用戦車の問題なんだが、それも何とか奴らから特例で許可を得ることが出来た」
彼女は次の書類を右手に持ち、見る。
書かれているのは使用を特例で許された車両の一覧だった。
どれも強力で、戦力になりうる車両ばかりだ。
それらのスペックを見ながら彼女は一瞬口角が上がりそうになったが、ある事が気になり、真顔に戻る。
「……資金は、足りるのか」
「そこら辺は安心しろ、この学校にある不用品という不用品の一切合切を売り払って何とか予算は確保出来た。 それに、購入する車両も既に決まっている」
そう、私はこの学校内にある要らなさそうな物を文字通りひとつ残らず売り払ったのだ。
結果、校内は随分と寂しくなったが戦車道をする為の車両を買えるだけの資金は稼いだ。
生徒の一部からは不満の声が上がったが『
それに食料の節約にまで踏み込まなかっただけ有難いと思って欲しい。
とにかく、こうして我々の戦いが始まる……
「……なっ!? APDSってこんなに高いのか……これも節約だな」
……訳ないだろう……。
「オーライ、オーライ!よーし!下ろせ!!」
クレーンで吊り下げられた車両がトラックから地面へと移される。
トラックから降ろされた車両はどれも個性的で面白い見た目をしていた。
これが今日から我々の主力となるのだ。
「ほぅ……これは凄いな」
「スペックは見てみたがどれも強力で性能だけなら強豪校にも勝るやもしれんな」
「だが、悲しい事にこいつらの殆どは
「良く考えれば1950年代でこの性能って結構致命的だな」
「まぁ、戦車道ならば輝く事も出来るだろうよ」
やがて全ての車両が下ろされ、彼女らはその前に集まる。
彼女らの眼前に、私は立った。
「総員傾注!!」
隣にいた副部長の号令と同時に一気に私に視線が集中する。
こういうのはあまり好きではないし、性にもあわないので今すぐ帰りたい所だが今更どうしようもないので話を続ける。
本来ならば生徒会長がこういう事をやるべきなのだろうが、彼女は私に全てを押し付けて脇から眺めているだけだ。
「……諸君、我々はここに来てから一年経った」
「新たに生まれたばかりの我が校は学力でも部活でも大した功績も挙げられず、今日に至るまでずっと罵られてきた」
一言一言を話す度に彼女らはより真剣な表情で私の顔を見る。
「我々は一年間屈辱を味わった……たかが一年、されど一年だ。 早急にこの一年間の喪失を取り戻さなくてはならない」
少しの間を置き、そして続ける。
「我々の矛となる存在、それが戦車道だ!」
最後に締めくくろうと口から思ってもないことを撒き散らす。
自分はカリスマ性などこれっぽっちも無いが、演説の原稿を暗唱する事ぐらいは出来る。
「今までは自称でしかなかったが、戦車に乗ればそれは変わる!! 我々は最早自称ヴァイキングなどではない!!」
「諸君らは真のヴァイキングとなるのだ!!」
7月9日、今日は色々な意味で暑い日となった。
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