地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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艦隊再編は進む

 

 

「ふむ。艦隊再編は順調か」

 

 ボラー連邦軍宇宙司令部の長官室でガルゴフ宇宙艦隊司令は副官のミロノフ大佐が持ってきた資料を見ながら呟いた。

 

「はい。艦隊の再編作業は多少の遅延はありますがほぼ許容範囲のペースで進んでおります」

 

 ミロノフほそう返した。

 

 現在、ボラー連邦軍宇宙艦隊ではガルゴフが仕切りながら大規模な艦隊再編が実施されていた。

 再編内容は多岐にわたるが大きな点は各艦隊の定数削減であった。主力艦隊や打撃艦隊、軍や総軍と呼ばれる大規模艦隊で定数削減を行い、余った艦艇でこれまでに損失した艦隊を再編。また手薄だった船団護衛部隊や通商破壊部隊の創設も同時に行っていた。そして艦隊再編の中での目玉は続々と就役しつつあるボラー版アンドロメダ級であるソユーズ級大型戦艦とボラー版ドレッドノート級であるクロンタット級戦艦それらを守るタルタ型フリゲートである。これらの艦艇はボラー連邦軍宇宙艦隊にとっては期待の新星であった。またこれらの戦力と空母からなる機動艦隊も新設されていた。

 この機動艦隊はガルマン・ガミラス帝国や地球連邦の空母艦隊に対抗する目的で創設されており今後の活躍が期待されている艦隊である。

 その他、多数の艦隊が再編で創設されており、ガルゴフ司令が求める宇宙艦隊の姿にボラー連邦軍宇宙軍は変貌しつつあった。

 

「艦隊再編後の体制が整うまでは今しばらく時間が掛かりそうだが取り敢えずは一歩前進だな」

「はい。色々と手間はかかりましたがこの再編が良き戦果に繋がる事を期待しています」

「そうだな。まぁ戦果は前線次第だがな」

 

 ガルゴフはそう言うと少し肩をすくめたのであった。

 

 その時だった、ゴルサコフ総参謀長との直接回線の着信音が鳴ったのだ。

 滅多に鳴らない回線が鳴った事に驚きつつもガルゴフは応答しモニターにはゴルサコフ総参謀長が映った。

 

「急に呼び出してすまない」

 

 開口一番ゴルサコフはそう言った。

 

「いえ。お気になさらず。それより何か問題がありましたでしょうか」

「いや。問題事は何も起きていない。それよりも重要な話だ」

 

 ゴルサコフはそこで一間置くと言葉を続けた。

 

「ベムラーゼ首相から赤衛艦隊を派遣するという話が出た」

 

 その言葉を聞きガルゴフは驚いた。ベムラーゼ首相直属の赤衛艦隊という親衛艦隊の中にある一つの艦隊。そこの艦隊が出てくるというのだから驚きは隠せなかった。

 親衛艦隊はベムラーゼ首相の直轄艦隊であり、その任務は首相の護衛であり、基本は前線には出てこない。それが出てくるというのは異例であった。

 

「わかりました。しかしなぜ親衛艦隊の一部が出てくるのでしょうか」

 

 ガルゴフは恐れながらも尋ねたがゴルサコフは表情一つ変えずに答えた。

 

「赤衛艦隊の司令が戦闘参加をわざわざベムラーゼ首相に上申してきたのだ。ベムラーゼ首相も昨今の戦闘状況見て親衛艦隊の戦闘参加を考えていたようなので出撃許可が出た。だから赤衛艦隊が出てくるのだ。その内赤衛艦隊の司令がそちらに出向くだろう。指揮系統は別だが上手くやってくれ」

「かしこまりました。赤衛艦隊の司令とは面識がありますので上手くやって見せましょう」

「うむ。頼むぞ」

 

 ゴルサコフはそう言うと回線を切ったのであった。

 

「赤衛艦隊が出て来るか」

 

 ガルゴフはそう呟くとミロノフに頼み事をした。

 

「聞いたなミロノフ。赤衛艦隊が出てくる。私からも追って伝えるが、先に司令部各位に伝えてきてくれ」

「かしこまりました」

 

 ガルゴフからの頼みにミロノフはそう言うと敬礼し部屋を後にしたのであった。

 

 

地球、統括司令部情報作戦参謀長室

 

 統括司令部の情報作戦参謀長室では部屋の主であるジャミトフ大将はスパイ組織コントロールが入手した情報とそのレポートに目を通していた。

 

 その書類には『ボラー連邦における艦隊再編とそれに付随する情報について』と書かれていた。

 

「ふむ。あちらの艦隊再編はかなり進んでいるか。そしてここが問題か」

 

 レポートを読みつつ気になる点を探していたジャミトフは一つに項に目を付けた。そこには『親衛艦隊の現状とその動き』と書かれていた。

 

「何か気になる点でも」

 

 そう声を掛けたのはコーヒーを持ってきた副官であった。

 この副官はジャミトフにとって頼れる人材であり優秀な人物であった。

 

「うむ。この項目貴官はどう思うか」

「そうですね。ボラー連邦の親衛艦隊は複数ありますが基本的にベムラーゼ首相の護衛目的以外で動くことはまずありません。ですが今回その中でも約1個艦隊が行動を起こしそうということはベムラーゼ首相が動くというより親衛艦隊側からの要望かベムラーゼ首相の采配による前線の士気鼓舞という流れかと」

「なるほど。私も同意見だが、この艦隊は前線に出てくると思うかね」

「十中八九出て来るでしょう。ボラー連邦軍は軟弱で数に頼るだけの軍隊ではありません。それは今までの戦闘は勿論、先のアスターテ戦線での戦闘が物語っています」

「そうだな。やはり貴官は冷静に分析してくれるから助かる。私もほぼ同意見だ。親衛艦隊は前線に出てくる。恐らく北部戦線にな」

ジャミトフの「北部戦線」という言葉に副官は少し沈黙した後、口を開いた。

 

「ボラー連邦は北部戦線で動くとお考えですか」

「その可能性は否定できんだろう。敵も味方も北部戦線を最重要視している。この戦争の勝敗は北部戦線が決めると言っても過言ではないからな」

 

 ジャミトフはそう言うと副官に情報と推測を艦隊司令部と参謀本部に報告するように伝えたのであった。

 

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