鎮守府の者ども、みな飢えにけるに、狩りすらものしてけり。わびしければ、きゃふさん主義なるもの唱うある、艦娘みなこれになびきけれど、将軍独りこれにあらざるにあらざるか。長門なる戦艦あり。いまだ染まらずなんありめるに、保つを得んや。
長門は、それは酷い有様だった。
皮膚こそきちんと垂れ下がらずに身体を覆っているとはいえ、艤装を無理やり装備した結果、主砲を取りつけた腰の辺りは衝撃で血まみれとなっていた。長門型の特徴たる屈強で比較的筋肉質な身体は見る影もなく、衰弱で痩せ細り、もはや立っているのがやっとであった。
だが最も痛ましいのは、その肌であった。
全身にびっしりと貼り付く、蚯蚓脹れ。
他の『ながもん』もたまに小さな蚯蚓脹れが主に頬に見られることもあるが、それは専ら駆逐艦に手を出して引っ掻かれた傷である。
だがこの長門の蚯蚓脹れは、引っ掻かれたものより遥かに大きく盛り上がり、それが身体中を這い回っている。
それは、ヒロシマやナガサキのヒバクシャにしばしば見られた、悪魔の閃光の残した傷痕─ケロイドであった。
皮膚が重症の火傷から急速に回復するときに出来る、筋肉の捩れ、だったと思う。
恐らく長門は何らかの方法で、本来3日かかる火傷の治療を僅か一晩で済ませてしまったのだろう。
確かに艦娘は強靭な肉体を持つ。それに加えて、どんな傷も轟沈しない限り入渠すればほぼもと通りになる。
長門にしても同じことで、きちんと3日かけて回復すれば、ケロイドはできなかっただろう。
だがそれをあまりにも早く治そうとすれば、それは人間の大火傷の修復過程と同じ道を辿ることとなる。
そしてケロイドは治療痕だ。入渠で治るとは限らない。入渠はあくまで外傷を直すものだ。
わし「長門・・・こんなになるまで手伝わせてすまない」
長門「私の意思でやったことだ。助けられた恩がある・・・」
わし「そんなこと・・・」
あまりの痛ましさに、何と声をかけたらいいか分からない。
ガ「同志長門よ!同志ちっちゃいのと中くらいのを助けてくれたことに感謝する。まずは傷を治し、身体の静養に努めてくれ。同志のためなら何でも計らおう!」
長門「有難い。そうさせて貰おう。」
ガングートの案内を受け、長門はドックへと戻っていった。
ガングートは妹分達の命の恩人をエスコートしていた。ケロイドだらけの痩せ細った身体で、命を削り敵に乾坤一擲の砲撃を加えた、勇者。
それは戦艦『長門』その人であった。
彼女はガングート達を守ってくれた。彼女は、例え再び前任のような人物が迫って来ようとも、ガングート達を守ってくれるかもしれない。
妹分達を預けるのにこれほど適任な者はそうはいるまい。
もし自分に何かあっても、彼女なら2人を守ってくれるはずだと、ガングートは長門に厚い信頼を寄せるのであった。
長門はドックに浸かりながら、天を仰ぎ見る。
ここに漂着してからというもの、長門はその気味の悪さ故誰にも気にかけても貰えなかった。長門は誰かがそばを通る度に助けを求めようとした。だが、声を上げようにも、傷だらけの体では呻き声を微かに鳴らすのが精一杯だった。すぐ隣を歩くものは誰でも見て見ぬふりをした。生きもせず死にもせず、地獄の痛みに炙られながら、いつ来るか分からない死期をただ待つだけの存在と化していた。
延々と続く苦しみに、長門は疲れ果てていった。もはや誰も助けてくれないと、絶望していた。
だが昨日。将軍は私に気付き、助けてくれた。そのお陰で、こうしてゆっくりとドックに浸かることができる・・・
そう、駆逐艦と一緒に!
ヴ「今日は助けてくれて感謝する、同志長門。」
タ「ほんとにあのままじゃ死んでたよ~。ありがとう!」
「いやいやいいのだよお安いご用さハッハッハ!」
が゛わ゛い゛い゛な゛あ゛く゛ち゛く゛は゛
二人の天使の笑顔と純粋なつるぺたボディーを間近に拝めるとは、ましてや密接しているとは、もはや天国ではなかろうか。
いや、死んでないよな?!私?!
つねると痛いので現実。
タ「どうしたの同志?急に頬なんかつねって。」
長「いやあ、気にするなよ、カワイコちゃん~♪」
ヴ「い、いきなり大丈夫か?も、もしや、何処か頭をやってはないか?!」オドオド
タ「よし、同志ヴェールヌイ、同志長門のほっぺつねって大丈夫か確認するよ!」
ヤメロォ!(建前)ナイスゥ!(心の叫び)
「「せーのっ!」」
ふにゅぅぅぅっと言う、一生懸命力む声のASMRとともに、両頬に発生する刺激。
「うっほぉあぁぁあぁぁあぁぁっぁっ!」
快楽!正に快楽!今まで生きてて良かった!
ああ、海岸で呻く日々は無駄ではなかった!
これぞ、生の喜び!
ヴ「同志長門、何か様子がおかしくなかったか?」
タ「急に自分で頬をつねるのはまだしも、私達が頬つねったときの声、絶対痛いから出した声じゃないよね・・・」
ヴ「何だか終始邪な視線を感じたな・・・」
タ「これからちょっと気をつけた方がいいかもね・・・」
―そう、長門、いや、ながもんは、例に漏れず、筋肉モリモリマッチョマンの変態であった。
彼女の頬には、新しい蚯蚓脹れが絶えず補充されるだろう。
「それで、今日襲撃してきた奴らは、どういう集まり何だっけ?」
一応任につく前に都でうわさは聞いていたし、だいたい予想がつくのではあるが、金剛に聞いてみる。
「連中は・・・深海棲艦デス。奴らは私たち艦娘ととても良く似た装備をして度々この一帯を攻撃していマス。」
金剛が俺に説明する。
「ところで、艦、というくらいだから海からくると思ったのだが・・・」
そう。深海棲艦は鎮守府の北の陸地から襲撃してきたのだ。前世の知識を参照すれば、艦娘と深海棲艦は海の上で戦っていた気がするのだが・・・
「Of cause,奴らも私たちも海上を自由に行き来する能力がありマス。デスガ、大昔に深海棲艦に陸奥国に上陸を許して以来、陸地での戦いが増えていきマシタ。
奴らはもうすでに鎮守府からそう離れていないところに巨大な基地を建設していマス。今朝の奇襲もそこから行われたものと思われマス。」
「じゃあ深海棲艦が現れてこの方ずっと押されっぱなし、ということか?ということか?」
「In a sense,そういうことデス。まだ上陸を許していない時期は一時殲滅寸前まで追い込んだこともあったらしいのデスガ・・・何しろかなり昔の事ナノデ・・・
古文書でそうだったらしいとしか聞いたことしかありまセン。少なくとも私が建造されたときにはもう上陸されて敗北続きデシタ。」
「まあ確かに前任があのザマではマトモに戦えまい・・・」
もっと言えばこの国自体が(平安後期の律令制崩壊期と重なるらしいので)没落しつつあるからでもあるが・・・
「で、ショーグン。」
「何でしょう?」
「もし今回と同じように、鎮守府に奴らが攻めてきたら、私たち6人では・・・まあ長門を合わせて7人デスガ・・・とてもじゃないがショーグンを守る余裕はないネ。
ショーグンも深海棲艦と戦えるように、訓練は怠らないで下サイネ。・・・まあ、私たち6人を制圧したyouなら大丈夫でしょうガ。」
「なお残念ながらお前だけは倒せてない模様」
「訓練なら何時でも付き合うネ。ぶっ殺してやるデース☆」
「楽しそうだねぇー!(震え声)」
やはり俺の鎮守府の金剛はバトルジャンキーである。良いこのみんなは、金剛と遊んで肉片にされないようにしようね!
「さて、将軍。」
「なんだガングート。」
「突然なんだが、君には人民の食料を確保するという革命上名誉ある任務を実行してもらいたい。」
「ま・・・まさか・・・」
コルホーズですか…ガタガタブルブル
「原始社会では、人間は極めて平等だった。狩猟採集で得た自然の恵みを、獲得者とその家族が独占するのではなく、共同生活を営む社会全体で分け合った…
食料だけではない。労働や家事、子供の世話、果てには異性まで、平等に分配していたのだ…」
「あれ?ソヴィエト=ロシアは原始共産制掲げてたっけ?それポル=ポトとか中国じゃ・・・」
「そうか、君にはシベリアで木を切るだけの簡単な仕事を紹介しよう。」
「いいえ何も言ってませんガングート同志万歳!ソヴィエト万歳!」
「まあいいだろう。要は我々は今、食料を狩猟採集により調達し、全員で平等に分け合う理想の社会主義を実現しているんだ。
君も栄えある共産主義の主体として労働を分担してもらいたい。働かざる者食うべからず、だ。」
「Да! Урааааааа!・・・んで、基本的には何をすれば…」
「簡単じゃないか。食べられるものを採集し、あるいは狩り、皆に持ち帰ることだ。」
「農業はしないのですか・・・?」
「残念ながら陸奥守を兼任していた前任の重税で公領のほとんどが都の権勢門家に寄進され、わずかに残った公領の農民は浮浪・逃亡し、荒廃してしまった。
我々は耕す土地さえまともに持ってないのだ。」
「まぢで・・・馬鹿だわー」
「お前は他人事だからまだいいがそいつの下に置かれる身にでもなってみろ。まあ、革命が大いに進んで私としては良かったが。」
「不満の掃きだめとしての左翼か・・・」
「そういうことだ。そして今、小さいながらに共産社会を建設できたのだから、前任の横暴には感謝せねばな!フハハ!」
「それで、普段何を狩ったり採ったりしてるんで?」
「まあ、実際に見る方が早いさ。こいつの扱いはわかるか?」
「モシン=ナガンだな。」
「ああ。こいつで獲物を狩るぞ。ヴァシリ=ザイツェフ同志に倣ってな。」
「俺的にはディミトリ=ペトリェンコ同志の方がしっくりくるんだが」
「あれのベテランのスナイパーはマジできついな。あのナチに何回頭を抜かれたことか・・・」
「ところで」
「なんだ同志」
「ガングートも米帝のゲームやるんだな」
「さて、シベリア行きの連絡船は今から20分後・・・」
「ごめんなさい何も言ってないです」
艦娘がフツーにCoD:WaWやってる世界とは・・・平安時代設定壊れちゃーう
cf.CoD:WaWがおま国とかもう許さねぇからな?
steamで海外版も買えないとかどうしてくれんのこれ?
CoDがやりたいからインストールしたの!
残虐ゲームは有害?それしか言えんのかこの猿ゥ!
「いいか、あれが今日の夕飯だ。あれが無ければ今日我々はウジ虫入りのスープを堪能することになる。絶対に外すなよ。」
戦艦ポチョムキンかな?第一革命のときだな・・・
「分かってる。一撃で、頭をだな…」
俺達が狙っているのは・・・イ級である。頭が鮫みたいになっているアレである。もはや深海棲艦を食わないと生きてはいけないとか、かなり終わってる感じはする。
まあ、平安後期だし、そんなもんだろ(適当)
「風が出ているな。右に2ミル調整しろ」
「了解」
イ級は足元を一生懸命掘っている。どうやら土のなかに何か食べられるものがないか探しているようである。
食いあぶれているのはあっちも同じらしい。
「奴が餌を漁っているうちだ…殺れ」
「おk」
ドォン!
7.62×54R弾はイ級の側頭部を貫通し、イ級は銃創からホースから水を撒くように鮮血を吹き出しつつ向こうへと倒れていき、しばらく身じろぎをしたのち、完全に動かなくなった。
「目標沈黙、いい腕だ、新兵。」
ガングートは山刀を取り出し、獲物へと接近。
俺は念のため仲間の深海棲艦がいないか、辺りをクリアリングして確認しつつ前進する。
地味にガングートを盾にすることにはなるが・・・まあ戦艦だし、多少はね?
「いい素材だこれは・・・ちょっと切っただけでナイフに油がこびりついている・・・ジューシーな肉だろうなぁ」
ガングートがイ級の血抜きをしながらぼやく。
「あいつらまず食えたんだな・・・」
「ああ、普段は主砲で木端微塵にするから食えそうな肉片も残らんのだがな・・・こうしてライフルでヘッショすれば貴重なタンパク質だ。」
そういえばAKくれたあんちゃんもAKで深海棲艦から身を守ってる、て言ってたな
あっ、これかぁ!(理解)
「では、将軍にはこいつを死後硬直が始まる前に川で洗ってもらおう。そこに川があるだろ?」
イ級の血抜きを済ませ、腹を開きながらガングートは言った。
「了解だガングート。取り敢えず血やら汚れやらを落とせばいいんだな?」
「そういうことだ。本来内臓は土に埋めてしまうのだが・・・あいにく食糧難だ。内臓も洗って持ってきてくれ。」
「それじゃあ獲物を洗いに行きますよ~イクイク」
俺はイ級の亡骸を抱えて川へ。
・・・ちべたい。旧暦で春になったばかりである。正直きつい。
※朝廷の県召除目は正月にある=将軍の着任は今の季節感覚では冬
冬の川でざばざばとイ級の汚れをとりながら、みじめな気分になるのであった。
夕刻・将軍執務室
「この鎮守府の基本方針が定まりまシタ。ショーグンには以下の文章にサインしてもらいマス。」
1.鎮守府基本式目
鎮守府全体の運用方針を定めた、言わば「憲法」。
これに反する命令や規律は一切排除される
艦娘の人権や将軍の権限とその限界についても定められている
2.権利御誓文
将軍自身が艦娘の権利を侵害しないことを誓う。
3.今月分の資材発注書など、朝廷に提出する書類
資材などの申請内容はすべて艦娘の間で決定された
「は・・・い・・・了解しまシッ・・・た・・・」ガチガチブルブル
「将軍、あなた様子がおかしいわよ。さすがイエローモンキーだけあって規律ある行動が取れないのね(納得)」
ヴ「それを言うならイエローケーキДа、放射能でやられてしまったのだろう、かわいそうに(棒)」
わし「うわはっぁいおもひろおぉぉぉひぃぃぃ」
(寒さに震えながらも部下のユーモアを称える精神を忘れない将軍の鑑)
かじかんだ指でサイン描いた(『イキ〇〇ィ!ががり』のエー●並感)
最近人権について考えが変わったことについて、お話しします。(隙自語)
みんな、人権って、知ってるかな?
今まで、艦娘にも、完全な、人権が、あると、思っていたんだ。
でもね、そもそも、任務中の軍人には、完全にそれがまかり通る訳がないんだ。
(特殊)公務員だから、あくまで全体の奉仕者だって、日本国憲法にも、書いてあるよね?
人権を盾に、国民の人権を、守る任務に、行くのを、拒否するとね、
下の世界(営倉)に、生まれ変わるんだって!
いやだねぇ。
しかも、今、人権を唱える、欧米のリベラルのお父さん・お母さんは、
それを盾に、他者の表現の自由や、経済活動の自由を、蹂躙しているよね?
やめようね!
そして、自分を含めた、みんなの、人権を、大事にして、
生きようね!
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ここにあがっていた艦これのssに結構凄いこと書いてるものがあって、『かなり衝撃を感じた』
これ以上書くと作品推薦になるので、URLを貼るので読んで、どうぞ(唐突なリダイレクトはハーメルンの特権)
https://syosetu.org/novel/221463/