ガノタ系TS転生Vtuberいきまーす! 作:ゼノアplus+
3話
カッコよくて不思議なお姉さん、霊堂一夜さんに出会った日。私はしっかりと周辺の道を確認してホテルに向かいチェックインした。夜ご飯はすぐ近くのコンビニで買ったお弁当で済ませた。本当はちょっと遊んだりする予定だったけど、霊堂さんにあんな感じで激励されちゃ遊んでなんかいられないってね。
面接でどんな事が聞かれるかわからないけど、お母さんからのアドバイスだけはちゃんと守ろうと思う。それはとてもシンプルで、一番大事な事だ。
『面接官の人の目を見て喋りなさい。難しかったら目と目の中点でもいいから。アンタ、いつも人の機嫌を見て喋ろうとするから口元や眉ばっか見てるのよ。確かに表情から感情を読み取るのも大事だけど、一番大事なのは自分の言いたいことをしっかり伝えること』
お母さんだな〜って思う。でも、言い終わった後にテンション高く、
『アンタがVtuberになって稼いだら焼肉でも奢んなさいよ!!』
って肩を叩いてきたのが一番台無しだったよ……うん、頑張ります。お母さんありがとう。焼肉は◯々苑を奢るね。
ち な み に
もう1日経ってるよ。今は面接会場である本社の前で蹲ってる。今更だけど緊張しちゃってね。ここで落ちても私は本職があるし、生活に困ることはあんまりない。動画制作会社の社長も優しい人で、副業したいって言っても笑ってOKしてくれたし。でも、だからこそ、応援してくれた両親や社長、霊堂さんの期待に応えたい。その責任感でちょっときてるのがたまに傷〜。
「…………よし!!」
覚悟は決めた。いざ行かん決戦の地へ!!
◇
「お座りください」
「あ、ありがとうございます……」
無理無理むりぃ!!思ってたよりずっと緊張してきた!!面接官らしきスーツの男の人は硬い表情をしていない。高校入試の時の面接みたいな厳かな雰囲気も無いしあの時に比べたら全然マシだけど。面接ってだけで緊張する。
「それでは、二次審査の方を始めさせていただきますね」
「は、はい!!よろしくお願いします!!」
やってしまった……テンパリすぎて大声を出してしまった。あぁ……早速失点だぁ……
「そんなに緊張なさらないでください。二次審査って言っても、そんなに堅苦しい物じゃないですから。お見合いみたいな感じで行きましょう」
「お、お見合い……分かりました。がんばります!」
「大丈夫そうですね(……なるほど)」
どうやらこの面接官の人、超優しいっぽい。……いやいや、だからといって気を抜いてはいけない。きっと隙が生まれるのを狙っているはずだ。
「では一つ目の質問です。Vs学園に応募した理由を教えてください」
きた、鉄板中の鉄板。
「はい。私は元々表に出て活動するような性格ではありません。貴社の事を知ったのも、KyoTubeの広告からです。そこで気になって一期生の配信を拝見したのですが、羨ましいと思いました」
「羨ましい……とは?」
私は、今回の面接に臨むに当たって2つ決めている。一つは冒頭で語ったお母さんのアドバイス。もう一つは、本音でぶつかるという事だ。霊堂さんにも言われたからね。
「何千人ものリスナーに見られている中でそのVtuberの方はとても輝いて見えました。好きなゲームを実況して、コメントでリスナーの人と会話するのも、全部が全力で楽しそうで……すごい、羨ましかったです。私もこんな風に好きな事をみんなで共有したいと思いました。これが私の志望動機です」
「…………分かりました。では2つ目の質問です。Vtuberになったらやってみたい事は何ですか?もしくは先程菫さんが仰っていた自分の好きな事でも構いませんよ」
まあ、方向性は大事だよね。それによって会社側も扱いを決めるだろうし。でも、なんか聞き方に違和感があるような……?おっとと、今は集中しないと。
やってみたい事……そんなの決まってる。
「ガンダムです!!」
「……え?」
「私は小学生の頃からガンダム作品が大好きで、プラモデルも作ってますしゲームもほとんど網羅してます。ゲームセンターの台はちょっと行きにくいので出来ていないんですけど、周りにガンダムが好きな同年代の子が居なくていつも1人で楽しんでいました。そんな時に先程申し上げたVtuberの方を見て、バーチャルだったら私の思いをみんなで共有できると思ったんです!!」
嘘偽りない私の気持ち。オタク故にちょっと早口で喋っちゃったけどきっと伝わってくれたはず……だよね?
「な、なるほど。分かりました……」
あ、あれ?……なんか反応が悪い?もしかして私、やっちゃった?
「質問は次で最後です」
「ッ、はい!」
一瞬戸惑いの様子を見せた面接官さんだけど、やはりそこはプロ。すぐにキリッとして質問を再開した。もう最後か、なんかまだ10分も話してないんだけど……いいのかな?
「貴方は、貴方自身にどんなバーチャルを思い浮かべていますか?」
「ッ」
……ん?私が、私自身に……どんなバーチャルを?……待て、焦るな私。バーチャル、とはまずどんな単語だったっけ。電脳、ちょっと曲解すれば非現実、妄想。他にもいろいろと意味はあるだろうけど……そこから私が思い浮かべるバーチャル……いや、ビジョン。
「私は……楽しく生きたいです。1人でも、他人がいても、いつでもどこでも楽しい人生。どんな事でも全力で楽しむ。たまに空回りして諌められて、それでもめげずにもっと楽しくなれるような自分を夢見て……なりたいです」
「ふむ……もしVtuberになったら、謂れのない誹謗中傷や無意識の内に起こる炎上などが貴方を襲うかもしれませんよ?」
むむ……痛いところを突いてくる。そうだね、確かにリスナーみんなが私を好きでいてくれるわけじゃない。私が見てた一期生の人の配信の中でも確かに、これ違うな、って言う部分もあった。でも……
「だったら!!」
「ッ!」
「ねじ伏せれるくらいの勢いと元気さでさらに楽しめばいいんです!!」
フンス、とでも言えそうなレベルで捲し立ててしまった。もしや気分を害したかも……と思って、冷静になってから恐る恐る表情を見ると……
「なるほどなるほど。分かりました」
少し笑顔だ。どうやら悪い評価にはなっていなさそうで良かった。さて、質問
「では質問はこれで終わります。最後に、相談があるのですが……」
「……なんでしょうか?」
面接で面接官さんから相談?一体なんだろうか?
「枠が始まった時の挨拶って何がいいと思います?」
「いや急すぎでしょう!?……あっ、すいません!」
「いえいえ」
思わず素が出てしまった。許してくれたからよかったけど、これが普通の面接だったら終わってた……
「一番大事、と言っても過言ではありません。人間第一印象が大事とはよく言いますけど、実際その通りです。自分が思い描くバーチャル、もちろん設定はこれから固めていきますけど、全ての人には聞くようにしてるんです」
「そ、そうなんですねー」
Vtuberに関してのことで設定とかちょっと聞きたくなかったけどまあそこがリアルって感じでいいよね。
「なんでも構いませんよ。多少マニアックでも、人気が出て少し長く配信活動をしてたら定着しますし。意味が通じなくても「ああ、そう言うノリなんだ」って思ってもらえるだけで効果はあるんです」
本職の人が言うと説得力がすごいなー。確かに、そこそこVtuberさんの配信見てたけどVの人が言った瞬間にコメント欄がその挨拶で埋め尽くされてたからね。馴染んでくると意味とかあんまり気にならないんだろう。
「うーん……少し時間を貰えますか?」
「構いませんよ。幸い時間は30分と大きく取っていますので」
わーまだ3分の1しか過ぎてなかったー
「自分が考えたキャラっぽくした方がいいですかね?」
「参考までに聞かせてもらっても?」
「言葉の所々に一々軍用語っぽいのが入る……みたいな?」
バトオペとかガンオンとかエクバ(家庭用)とかやってるとCPUのセリフに憧れるんだよね。なるならああ言う言葉を言えるようになりたいし。
「……面白そうですね。ではそれでお願いします」
「はい、分かりました!」
面接の質問って偶におかしな内容が出るけど、コレはとびきりかもしれない。まあジャンルがジャンルだし。よし、じゃあいっちょやっちゃいますか。相手はたかが1人、Vtuberともなれば5桁以上の人が見ることだってあるんだから!!
私は感情を込めるためパイプ椅子から立ち上がり左手を腰に当て、右手を広げて前に突き出しながら言った。
「総員第一種戦闘配備!!
面接官の人の顔がこれまでになく笑顔だったのは言うまでもないだろう。ていうか、アレが噂に聞く『腹黒メガネ』っていうジャンルじゃないの?絶対変なこと考えてるよ。
【期限は1日程度】ガンダムコラボあったしバトルスピリッツ(カードゲーム)の話しても大丈夫?
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大丈夫
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ダメ
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バトスピ知らない
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カードゲームやってない
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ガンオンから逃げるな(大丈夫、と判断)