本格的な冬の到来を告げる少し乾燥した北風が吹き下ろすなか、シアルフィ公国騎士団に属する騎士爵を持つ祖父の家の部屋のひとつ、南からの暖かい日差しを最も浴びる中広間にて赤子が産声をあげた。
赤子には祖父によりアーダンという名がつけられた。古い言葉で『強い男』との意味を持つらしい。娘しか持てなかった祖父の意思表示ともいえるだろう。入婿である父親は体こそ大きいが武の才能*1は乏しく村の門番として禄をはんでいた。
➖この子には騎士爵を継いでもらいたい➖
その言葉の意味に母親は難色を示したが父親は結婚の条件だった騎士団に入れなかった引け目もあり、次子の妊娠の兆候があらわれる頃、妻と話し合いアーダンを祖父の家にて育てることを了承させた。次子は女だった。
幾分かの年月がたち、次妹、弟ができた頃、ふとアーダンは祖父の家を囲む石垣を100周走ることを思いつき、昼食にて父ともいえる祖父に宣言し軽い昼寝をしたあと実行した。祖父がアーダンが産声をあげた部屋から見守るなか空が赤らむ時分には片足をひきずり*2疲労困憊になりながらもやりとげた。
その夜のことだった
あまりの疲れに夕食を食べきれず祖父に小さい雷*3を落とされたアーダンは半ば意識朦朧となりつつ寝所に倒れこんだ。夕食時に雷を落とされたはしたが確かな達成感がその心に満たされていた。疲れもあり意識が眠りへとお湯に溶けゆく穀物の粉のように崩れてゆくなか、溶けない固まりのような自分を感じた。
身体は眠ろうとして意識もあやふやだが自分を確かに感じる。これじゃあ眠れないとまばたきをしたときアーダンは前世の記憶を思い出した。
➖俺は死んだはずだ…➖あぁ…あ?えっ…➖
➖どういうことだ?君は誰なんだ?➖僕の名前?➖ いや、今はいい。それよりも…➖アーダンだよ…ん?➖今はいつだっけ?➖グランベル暦…➖俺?いや僕は…➖おじいちゃん…かあさま…➖俺はアーダン…アーダン…アーダン⁈➖ファイアーエンブレム!*4➖あっ…➖
思い出すというとやや語弊があろうか、金縛りにかかったように寝台に伏せて指すら動かさず、意識だけが活発かつ過去と現在が混ざり合いながら自問自答を繰り返し自己を確立してゆくが1つの確信を得たのだろう、やがてまばたきをやめ目を閉じ、疲れて石のような身体にひきづられまるで鬱蒼とした森の端、積み重ねた時間を感じる美しい湖に沈んでゆく鉄の斧のように意識を落としていった。
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機種やPCで違ってたらごめん、
気にせずに書くのが正解とは思うけど