第二章 1 地形効果
結局雨は降りやまず、アーダンはダゴンの好意に甘え、
王都教会の控え室にて一夜を過ごすことになった。
ファルコンの羽根を布で包み込んで裁縫したという
最高級品ではないがかなり上物な羽毛布団の暖かさに
癒されつつも複雑な感情を抱いていた。
➖これは騎士爵もちだからだろうか
貴族扱いなんだろうな
先生の好意だとはおもうけど
王都教会の天井画、礼拝堂正面奥の大彫刻
まるで原作のオープニングを再体験したかのような
強烈なフラッシュバックにアーダンが覚えたものは
感動や驚きではなく、自らの存在への疑問だった
➖人間に神が舞い降りる…
今の自分と何が違うんだ?
アーダンは少し苦笑しながら寝返りを打つと、
自分では自覚できない程の速さで
眠りへと落ちていった
➖アイデンティティだったっけ、懐かしいな…
思春期ってやつだな…心が身体に引っぱ…ら…
その笑いと睡眠に向かうスピードの原因は
無意識に自己を守ろうとする
防衛本能がもたらしたものというのが正解であろう
翌朝、礼をいいつつダゴンに別れの挨拶をして
王都教会を出たアーダンは、
バイロンからの手紙をシグルドに届けるべく、
王都の郊外にあるであろう士官学校を探していた。
誰も皆、当然知っているだろう、と
アーダンに場所を教えていなかったのだ。
➖南の方から入った教会通りには無かったから
とりあえず西に時計周りに散歩がてら探そう
➖西側はザ・城下町って感じだな、映画みたいだ
ほとんどが平民だなこりゃ…東は宮殿だし北側か
➖豪邸ばかりじゃないか…外壁の高さがエグい…
まぁ、自分も身長より高く跳べるし、そのせいか…
…学校は見当たらないな…さすがに人にきこう…
アーダンはひときわ壁の高い邸宅の門番に尋ねた
「すみません、ちょっとききたいのですが」
「あぁ、なんだ?」
「士官学校へはどのようにいけばいいんですかね」
「何言ってんだ?…あぁ、届け物かい?」
「はい、領主様より手紙を預かっています」
「士官学校は王城のなかにあるんだよ、宮殿の手前さ」
「ありがとうございます!助かりました、
…もうひとつ聞きたいのですが…
ここの邸宅は…「ヴェルトマー公だよ」…はぁ…」
「礼はいらんから、主に報告はしないでくれ」
「はい…本当に助かりました…」
アーダンがシアルフィ公の邸宅を
尋ねなかったのには理由がある、
ダゴンの近道のせいだ。
シアルフィとバーハラでは
定期的にやりとりがされているが
馬の使いが主な手段であり、
近道を通ることで、使いより早く
バーハラにつくだろうとダゴンから話があり、
士官学校の寮にいるであろうシグルドに
直接届けるほうがいいと
ダゴンと相談した結果であった。
➖このままじゃダメだな…
アーダンはいちど城下町のほうへもどり、
軽い食事を済ませ、用をたしてから、
東の王城にむけ歩きながら考える。
原作と現実のイメージの違いに
改めて不安を感じていた。
原作において城での戦闘は、
城内外双方からの遠隔攻撃と
謁見の間らしき背景の元での近接戦闘が主である。
士官学校を探すのに時間がかかったことで
近接戦闘に移るまでの過程がないことに気がついた。
1ターンが1日ではないことは旅をすれば嫌でも気づく
また、原作における地形効果が
移動の困難さでもあることは
崖沿いの森を登ることで思いしらされていた。
城には高い地形効果とHP回復があった記憶がある
地形効果は城門、城下町、城内と進む困難さ
描写されないだけでモブが死んでいるのだろう
HP回復は癒し手の存在を感じさせる
城に1人しかいないのはおかしいのだ
戦闘は一対一ではない
➖戦闘で無双するのは
期待して無かったといえばウソになるけどさ…
まだ12だが前世の自分よりはるかに強い。
身の丈よりも高く跳び、
斧をふるえば一撃で腕より太い木を断ち、
弓をひけば猪の眉間に深く矢がささり、
何日も歩き通しでもあまり疲れない身体、
あきらかに体のつくりが違う
バイロンの指導での模擬戦でも
斧を盾がわりに使う、相手の出足を蹴る、
剣を絡めとるように巻きこむなど工夫して戦った。
さすがに目潰しや投げは試さなかったが
賛辞をうけ褒美も貰っている。
だがあくまでも訓練だ
人間を殺したことはない
猪は殺せるが人は殺せない
人を殺すのがこわい
自分から殺したくない
たとえモブだろうとも
自分はかつてそのモブそのものだったのだから
没ネタ
「ばかな…」
バイロンはそう呟くしかなかった。
体調は良好、武器も使い慣れた鉄の剣、
位置どりも太陽を背にし、確実に先手を取ったはず、
それに自らの誇りでもある
トールキンより学んだ対斧戦闘術にも自信があった。
「
バイロンの最初の一撃、まずは小手調べと
アーダンの腕めがけて剣の腹で叩くその斬撃に合わせ
鉄の斧を鉄の剣に見舞って、
バイロンの手元から弾き飛ばしたのだ
バイロンは一瞬固まるも、
すぐに威厳を取り戻そうとするが
その一瞬で喉元に刃を突きつけられた
「くっ…だが「たとえティルファングでも結果は同じだ」…なんだと⁉︎」
「とりあえず大人しく俺の話をきいてくれ、
ニ人で話せる時間を作ってほしい
スサール卿がいるなら三人でもいい」
「くっ…
この命に代えてもその場で貴様を斬る!」
「好きにしろ…」
このコピぺ強すぎ…本家ゼオライマー並みですやん