あー旦那   作:古い狩人

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第二章 3 金髪美女

 

 

 学校案内では騎兵コースと歩兵コースに別れていたが

 実際にはかなり自由に組み合わせて運用されていた。

 たとえば、歩兵コースから騎兵コースに変更などだ。

 

 シグルドの例をだそう。

 

 彼は2年ほど前に13になり、士官学校へと入学したが

 最初から騎兵コースではなく歩兵コースをまず履修した

 帝王学とでもいうのだろうか、統治や法律、経済に地理

 また、歩兵としての戦闘訓練、基本魔術、軍団指揮技術

 などを身につけてから、騎兵コースに移ることになる。

 

 彼の場合は戦場の最前線にて兵を率いる

 ロード と呼ばれるクラスを名乗り、継承する

 初代国王からの伝統があることが理由だった。

 

 ちなみに初代国王、聖騎士バルド の時代の頃は

 ほかにもロードがいたらしいが、いつしか、

 シアルフィ公国の王族のみが名乗れる呼称になった。

 

 また、盟主であるグランベル王国に遠慮してなのか、

 グランベル王国内では呼称のあとにナイトをつけて

 騎乗すればロードナイト、

 成人前の公子ならジュニアロードと呼ばれている。

 

 

 

 話を戻そう、騎兵コースについて少し補足する。

 

 バーハラ士官学校においては

 歩兵コースは13からだが

 騎兵コースは16〜18歳からしか履修できない。

 

 ひとつめの理由としては身体がある程度成長してないと

 騎乗による激しい運動に耐えられないからだ。

 

 ふたつめの理由は、騎乗する馬自体が

 大変高価であり、葦毛の名馬ともなると

 平民の一生分の稼ぎになることも大きいだろう。

 

 また、履修期間は3年間であり、

 グランベル王国外からの留学生受け入れも

 騎兵コースのみである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ➖思ってたより会わないよな…

 

 アーダンは原作の登場人物に思いをはせていた。

 

 アーダンが士官学校での空き時間でまずやったことは

 原作の登場人物の所在の把握であった。

 

 調べてみると、魔法系の聖戦士の一族は、

 一族内で教育をおこなう事が多く、教育を終えたあと、

 人脈を築くために歩兵コースに入るようだった。

 

 歩兵コースは履修開始年齢が下こそ13歳からだが

 上は18まで受け入れていて、騎兵コースと同じく

 3年間の単位があれば卒業できるらしい。

 これでは会えないのも当然だ。時期が微妙に違う。

 

 原作で仲間になる斧騎士も

 騎士コースの履修開始年齢が16からというのもあり

 こちらも時期がずれている。

 また、嫡男でもなく、聖武器を扱えない傍系のため、

 統治などを学ぶ歩兵コースに来る可能性も低そうだ。

 

 グランベル王国外からの留学生の受け入れも

 ほぼ、聖武器を扱える直系に限られているようで

 こちらも何人か会えそうにない。

 

 ➖そりゃ、外国だし、聖戦士の伝統とはいえ

   国元である程度育ててからおくりだすわな…

 

 原作で仲間になる人物で見かけることができたのは

 主人公であるシグルドをのぞけば

 弓の聖武器をもつ、ユングヴィ公国の子女、

 エッダ教のシスター見習い、エーディンだけだ。

 

 来年からシスターになるべく

 王都教会にて教育を受けるとのことで

 ユングヴィ公リング卿らしき人物につれられ、

 シグルドに挨拶に来た場に立ち会った。

 

 

 

 ➖イメージとは少し違かったけど…

   たしかに美人だったな…

 

 ➖ジルオール思いだしたんだっけ…

   外見は、光の王女ティアナなのに、

   持ってる空気感はアトレイアなんだもんな…

   レックスが手をださないのも

   アゼルが惚れるのも納得だわ…

 

 

 見た目は華やかな金髪の美少女、

 しかしどこか暗い印象を受ける、

 それでいて暗闇にパチパチと音を響かせる

 暖炉のような暖かさを感じさせる女性だった。

 

 

 シアルフィ公邸の一室から窓に腰掛け空を見上げる

 新年を祝う花火のようなものだろうか

 王都の空にいくつかの魔法らしきものが輝いている

 

 

 ➖…いや、それよりもどうなるかだよな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 挨拶ののち、シアルフィ公邸宅を去る

 リング卿とエーディンのあとを追いかけ、

 ユングヴィ公邸宅前のタイミングで話しかけた。

 

 「あの、すみません!

  聞いていただきたい話があります!」

 

 「あなたはたしか…さきほどの…」

 「シグルド付きのものがなんの話かね?」

 

 

 表で話せる内容ではないと説得し、

 少し話の内容をまとめる時間が欲しいと願い、

 邸宅内で話をする許しを得ると

 その応接間に向かう僅かな時間で

 アーダンは必死に話の内容を考えていた

 完全な思いつきだったからだ

 

 

 

 

 

 「私はシアルフィの西の村出身のアーダンと申します」

 

 アーダンはそう話をきりだし、

 軽い自己紹介をすませるとすぐ本題に入った

 

 「海賊にさらわれて

  行方不明になられたという公女様についてです」

 

 空気が変わった

 

 

 ➖…しんどい!しんどい!やっぱりしんどい!

 

 

 「…それでどのような話しなのだね…」

 

 

 ➖…話の内容次第では…とか聞こえる気がする!

   娘もいる場でよくも…とか聞こえる気がする!

 

 

 高位の貴族の目の前でデリケートな話を切り出す

 会社の重役へのプレゼンどころではない

 場合によっては 死 すらありえるのだ

 

 

 「自分はこの冬に王都に来たのですが…

  (…すまない先生、許してくれ…)

  旅連れに司祭様と一緒になりまして…」

 

 

 ブラギの塔へ向かうという司祭と

 一緒に王都に入った際、

 大雨が降り出し、好意で教会に泊まった話をする

 

 その教会内での一夜

 少し前にブラギの塔にいったという別の司祭から

 オーガヒルの海賊たちの話を聞いたと

 でっちあげた。

 

 

 

 「なんでも、その義賊でならす海賊の頭領の娘は

  とんでもない弓の腕の持ち主でそのうえ、

  風にたなびく金髪の美少女だったそうなんです」

 

 

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