➖
毎年 王都バーハラでは
夏の終わりに『夏祭り』が行われ ー
王都の観光収入の約3割が
これからの1週間に集中します
また、旅芸人や踊り子、楽団は
大規模な商業旅団『キャラバン』と
同行して大陸を巡業しており ー
ちょうど夏が終わる頃に
この王都バーハラにやってきます
王族や高位の貴族達が避暑などで
王都を離れることを差し引いても
このキャラバンに付随する商人や芸人、
近隣から集まる平民などが
どっとやってきて人口も1割以上ふえます
なかなかお目にかかれない果物のジュースや
蜂蜜酒、果実酒、ワインなどの飲み物
細かい彫刻が刻まれたガラス製のグラス、
絹織物や工芸品、子馬の競売などもあります
もちろん、キャラバンに同行している
旅芸人や踊り子たちによる歌劇や舞台、
大陸最大の規模のサーカスもあります
この短い1週間、王都バーハラには
お楽しみがいっぱいです
そう お楽しみがいっぱい
アーダンにとっても
きっと お楽しみがいっぱい
王都の郊外には旅芸人や踊り子、旅の楽団による
サーカスのテントのような大きな天幕だけではなく
大規模な商業旅団『キャラバン』による露天市場、
通称『バザール』に関連するであろう小屋が
簡易な作りではあるが商店街のように
数十軒ほど建てられていた
➖凄い賑わいだ…フリーマーケットというか
ノリはコミケみたいだけど…規模が大きい
このユグドラル大陸には
大きく分けて2つの交易ルートがある
貿易都市ミレトスを起点として、
大陸南東部のマンスター地方、
海を挟んだ対岸のイザーク王国の3つを結ぶ
海洋貿易ルート、通称『シーロード』と、
大陸南部のミレトスから北上し
シアルフィ公国でドズル産ワインを買い付けた後、
大陸西部アグストリア諸公国連合の
森林部落で生産される絹織物を買い、
フリージ公国、王都バーハラ、ヴェルトマー公国と
グランベル王国を横断し、
ヴェルトマーからさらに
大陸北部のシレジア王国、
大陸東部のイザーク王国への2つに分かれて売り捌く
大陸横断交易路、通称『シルクロード』の2つである。
「ねぇ、旦那!見てってよ!
このマッキリーの森が育てたシルクの手触り!
王都の女もコレでイチコロってもんさね!」
「ベッドでしか見れない絹より実用品が1番!
見てよこのミレトス産のグラスの美しさ!
男も女も関係ない最高の品だよ!」
『シルクロード』のシルクには
2つの意味が込められており、絹を指す シルク と、
アグストリア地方でサーカスの意味がある シルク
の2つを運ぶ道ということをあらわしている。
また、帰りのルートは、
シレジアで毛織物、イザークで工芸品などを買った後
ヴェルトマーに一度集まり、
そこからエッダ城に向け南下しつつ売り捌きながら
起点の貿易都市ミレトスに帰還する。
この交易路沿いに
ユグドラル大陸の多くの騎士団は配置されており
滞在した都市ごとに開かれるバザールによる税収は
騎士団を抱える国の大事な収入源のひとつになっていた
➖酒もいろいろ種類があるんだな…
蜂蜜を使った酒、濃いビールみたいな酒、
おっ、あのドズル産のワインもあるじゃないか
…値段がエグい!先生が買った時の倍やんけ!
同時にこの交易路は
大陸に経済共栄圏のような効果をもたらしていた
国家の枠組みを超えた騎士団による協力関係が
100年にわたる平和を作り出していたと言えるだろう
➖やっぱ凄いな商売人は…
目に力があるというか…
個人事業主みたいな迫力があるわ…
笑顔だけど笑顔じゃないよな…アレ…
原作にて悪の同盟を組んでいた面々、
フリージ公国の レプトール は
大陸西部のシルクの生産地 アグストリア を
ドズル公国の ランゴバルト は
大陸東部の工芸品の名産地 イザーク王国 を
策謀の末に手に入れる事を望んでいた
➖競馬もあるのか!宝くじみたいなヤツもあったし
ホントに経済が動いているって感じがする…
おそらく彼ら2人は、
その領地を通る品物がもたらす富に目が眩んだのだろう
そう考えると、残る
ユングヴィ公子 アンドレイ の目的も見えてくる
彼は南部の大陸最大の商業都市 ミレトス を
その手におさめる事を要求していたに違いない
➖あれが旅の楽団か…
単純に領地だけでは無く、富も求めていた
シレジアとバーハラ、ヴェルトマーを除く
大陸交易路の全てを3人で分け合う形になる
「おや、ペガサスを見るのは初めてかい?」
「ええ、近くで見ても綺麗ですね」
「乗るほうの人間も
シレジアの天馬騎士団並に
綺麗所が揃ってるから、見ていきなよ」
「あちらの天幕ですよね?」
「ああ、ペガサスファンタジーって看板がある所さ」
➖…聖闘士星矢かな?
おそらく、この策謀は
ロプトの暗黒大司教 マンフロイ から
ヴェルトマー公爵 アルヴィス を通じて
彼ら3人にもたらされた
➖観客席の真上を飛び回る演出には驚いた…
前世のサーカスより迫力があるって反則だって…
ファンタジー世界舐めてたわ…それにしても…
30Gはかなり良心的な値段じゃないか?
3人が策謀に乗った結果、
のちに 第二次聖戦 と呼ばれる
大陸全土を巻きこむ大きな戦いが始まった
原作の主人公であるシグルドは
多くの若者達を率いて
3人の策謀を破る為に戦った
結果、3人は主人公勢力に討たれ
その野望はたたれることになる
だが、それもまた
アルヴィスとマンフロイの計画の一端だった
歌い手が大地の恵みを歌いあげ
弾き手が場の雰囲気を演出して
踊り子が舞い踊っている
➖健康美は感じるけれど…
直接的なエロは感じないなぁ…
しかし何処にでも危ない人間はいるもので
➖あの酔っぱらい…
ズボンに手突っ込んでナニしてんだ…
それも込みで興行なのだろう
観客席からおひねりを投げ込まれ
受けとった出演者たちが舞台から下がったあと
酔っぱらいの男はイカツイ男達に連れられて
外へ叩き出されていった
若者達は、理想を求めて戦った
しかし、そのゆめもかなわぬまま
戦場に散った
彼らの戦いが
いったい何であったのか
踊り子の出し物の天幕から出たアーダンは
裏手にある木陰で1人、昼食を食べる事にしたようだ
➖桃のジュースは予想外だったな…
高かったけど思わず買ってしまった…
この硬いパンと相性が良い事を祈ろう…
先程から、踊り子が目当てなのだろう
通気の為に開かれている天幕の隙間から
中を見ようと爪先立ちで覗いている子供が何人かいる
➖村下孝蔵だっけ…すげー懐かしいなぁ…
戦場に散った若者達だけではなく
残された家族も多くが悲惨な結末を迎えた
軍人だけではなく平民も煽りを受けた
シグルドの母国であるシアルフィの平民達が
どうなったかは原作では語られる事は無かった
ただ、最終章のシアルフィ近辺の村での会話には
男性の老人しかいない事がわかるだけだ
村の老人は語る
「勇者の末裔達よ、
そなた達に聖戦士の詩をきかせよう」
食事を終えて、メロディーを口ずさみながら
帰り支度を始めていたアーダンに
突然フードをかぶった子供がぶつかってきて転んだ
「おにいさん、ゴメンなさい!」
「すまない、見てなかった。大丈夫かい?」
手を差し伸べて助け起こしはしたが
どうやら足をくじいてしまったようだ
「痛ッ⁉︎あぁ…捕まっちゃう!」
「誰かに追われているのかい?
悪い事をしていたなら逃がす訳にはいかない」
助け起こしたまま手首を強めに掴む
「違うの!悪い人から逃げてきたの!はなして!」
天幕の向こう側から大声で人を探す声が聞こえてくる
「手をはなしてよ…お願いします…
鞭で叩かれるのはもうイヤなの…」
「黒騎士ヘズル、
魔剣ミストルティンをもって闇を裂き
聖剣士オード、
神剣バルムンクをもって闇を打ち払い
聖騎士バルド、
聖剣ティルフィングをもって闇を照らす
そして最後に聖者ヘイム
ナーガの聖書をもって天にいのる」
「なぁ、ニーチャンよぉ
ここに若い女の子が来なかったかい?」
「若い女の子かは知らねえが
フード被ったガキならペガサスのほうに
走っていったぞ」
「あのクソガキ、手間かけさせやがる…
あんがとな、ニーチャン、
これで一杯やってくれや」
アーダンに5Gを投げ渡し、
鞭を腰に備えつけた壮年の男は去っていった
「祈りは光、光は白い竜となり
暗黒の竜に戦いを挑む
白き竜と黒き竜 光と闇の、
いつ果てるともしれぬ長い戦い
いきつくところは勝利か それとも死か」
「…もう、出てきていいぞ」
アーダンが斜め後ろに振り返り声をかけると
隠れていた子供が木の幹を伝いゆっくり降りてくる
「いきなり木の上に放り投げるなんて
ビックリしちゃうよ…」
アーダンは ああするしか思いつかなかった と
軽い謝罪をしたあと、これからの事を問いかけた
「とりあえず、少し前に踊り子を覗いていた
子供達の方向に誘導したから暫くは大丈夫だろう」
「とっさにすっごいね〜、ありがとね」
「で、これからどうする?
何処に逃げるつもりなんだ?
これも縁だ、そこまではついてくよ」
子供はフードをめくり顔を見せながら答えを返す
「あはは…どこかイイとこないかなぁ…」
➖…マジか…
驚いたのは目的地もなく逃げていた事ではなかった
「だが私は恐れはしない
たとえ我らの戦いが敗北に終わろうとも
我らが求めた光は決して失われはしない
私は信じる 我らの心を受け継ぐ者を
私は信じる 我らの光をうけつぐものを
どうじゃな、心地よいひびきじゃろ?」
顔立ちは原作よりも幼いがハッキリ分かる
緑髪のツインテールの少女
シルヴィア がそこにいた
冒頭のヤツは ジョジョ40巻 から微アレンジ、
聖戦士の詩の後半部分は、おじいさんの創作やね