白い天幕の下
酔っぱらい達が帰った舞台に
1人の青年が腰掛けていた
黒の長髪、
どこかアラブ風のオレンジの衣装を身に纏い
琵琶のような弦楽器を弾きながら
ここにはいない誰かに向けて歌っていた
今はもう会えない恋人だった誰かに
手紙を書いたが出せずじまいでいる
どうか私の事を忘れないでください
私もあなたのことを忘れることができないのだから
といった内容だった
黒髪の青年が歌い終わったところで
天幕のすぐ外で歌い終わるのを待っていたであろう
厳つい顔の男が申し訳なさそうな表情をして
天幕をくぐり黒髪の青年に向かい歩いてくる
「お代は
「素晴らしい歌でした…ですが多分、
個人的な歌ですよね?聞いてしまい申し訳ない…」
確かに黒髪の青年にとっては自身の経験を元にした
商売では歌わない歌ではあるが所詮、ただの歌である
「それで、何の御用ですか?
ご覧の通り、今は私しかいませんが?」
「あぁ、その…お手持ちの弦楽器について
教えて欲しいのですが…
「これも楽器なんですか?」
旅の楽団に付随する、
モンゴルの遊牧民の家のような
小さな天幕(以降ゲル)の屋内で
アーダンは楽器職人に話しかけた
ゲルの中には様々な楽器がたてかけてあり
大きな太鼓のようなものもあれば
アーダンが今触っているような
動物の骨のようなものも多数あった。
「…それはペガサスの下顎の骨さ
叩くといい音がでるんだよ」
「こっちのはもしかして…」
「あぁ、ドラゴンの頭蓋骨さ、
欲しいなら売るが、そこそこするぞ」
「あ、大丈夫です」
それから軽い雑談のあと
アーダンは職人に弦楽器を見せて欲しいと交渉し
いくつか見せてもらうことになった
「値段はそんなにしないんですね」
「本体はな、だが弦と調律が少し高いぞ
弦の寿命も2、3月だから
6組×6セットでこれぐらいだな」
「これは…絹じゃないですか!」
大陸横断交易路は同時に楽器の交易路でもあった
たとえば黒髪の青年が持っていた弦楽器ならば
アグストリア産の絹糸で弦を作り
イザーク南部産の紫檀を胴体にして
ミレトス近海産の真珠貝を用いて
螺鈿細工を施した見事な琵琶である。
アーダンの資金ではとても手が届かないだろう。
「ウチは最高級品しか扱わないのさ
麻の弦がほしけりゃヨソにいきな」
「はぁ…試しに鳴らしてみても?」
「女の髪を撫でるように優しく…そう、
初めてにしては上手いじゃないか」
「………」
「どうした?その年で童貞なのか?」
「いえ…何か違うんですよ…何か…」
「別のヤツも試してみな、コレなんかどうだ?」
「…アレは…確か…」
「おっ、コレを知っているのか?トラキア出身かい?」
「…すみません、金属製の弦のはありませんか?」
「手元には無いな、イザークの方にはあるが
すぐ錆びちまうしな、音は良いモノなんだが…」
「鉄や鋼が錆びるなら、銀の弦はないんですか?」
「…は?銀の弦だって?」
聖戦の系譜の武器の素材について説明する必要があろう
聖武器など特殊な武器をのぞいて3種類に分かれている
鉄、はがね、銀 である 簡易的に図で説明する
| 素材 | 鉄 | はがね | 銀 |
|---|---|---|---|
| 攻撃力 | 低 | 中 | 高 |
| おもさ | 軽い | 重い | 普通 |
| 値段 | 安い | 普通 | 高い |
はがね より 銀 のほうが
軽くて攻撃力も高いのがおわかりいただけると思う。
銀 がどうして 鋼 より上位にランクされているか
疑問に思った方もいるのではないだろうか?
これには当時のゲーム業界事情が関係している
いわゆる 著作権 である
詳しく説明するのはここではやめよう
Wikipediaの乱用は避けたい 簡単にいうと
銀 = ミスリル とだけわかっていただけたらいい
「…お前さん、銀の弦を見たことがあるのか?」
「
細かい銀の糸でできてましたし、
ミスリルの特性を簡潔に説明する
銀のような輝きをもち、鋼より硬く、軽い
錆びることもなく、希少な金属でもあり価格も高い
が、聖戦の系譜の銀はそれほど希少でも高価でもない
鉄の5倍、鋼の1.66倍程度の価格である
ただ、平民にはとても買えないだろう
たとえば 銀の剣 は
1つの村の生活に困らない額をのぞいた
残りの有り金全部とほぼ等価なのだから
「…いけるのか?材料さえ…いや、イザークなら…」
「…王都の修理屋は、大陸イチの腕前だそうですよ
銀のインゴットも常備していると聞いてます
銀糸程度なら予算も「本当か⁉︎」大丈夫だと…」
「本当にもし出来るのならばいくつか分けてくれ!
そのへんの楽器と交換でもいいぞ!」
「…いえ、交換は結構です、というより
『出来るのならば』作って頂きたい楽器があります
こんな形をした楽器なんですが…」
「6弦だな、この形はどういう意味だ?
大きさがわからん!コレぐらいか?」
「確か…持ちやすさと、音が大きく響きやすいとか
だったと…あ、大きさはそれより少し大きめですね」
そののちアーダンは銀糸を
王都の修理屋で買い求めたあと
(楽器制作の話をすると親方に呆れられたが購入できた)
楽器職人のゲルで銀糸を巻いて弦を作り
簡易ではあるが作られた筐体に職人がとりつけ
一つの楽器がユグドラルの音楽史に誕生した
おそらく原作の歴史より1000年早い
ミスリル弦のアコースティックギターである
AG2020年度 ショップ店員オススメ
アコースティックギター弦 ベスト3
1位 D'Addalion/EJ16 Light Gauge
価格 10G 分類 P. BRONZE
交換の目安 2〜3ヶ月
音質、値段、寿命、すべてが高水準の
ザ・スタンダード 老舗メーカーならでは
初心者からプロのミュージシャンまで
すべての範囲の要求にある程度こたえます
2位 Elixya/NANOWEB Custom Light
価格 15G 分類 80/20 BRONZE
交換の目安 3〜4ヶ月
Elixya社らしい、耐久性に優れた一品
コーティング品ですがブロンズの響き
価格も良心的で、初心者にもオススメ
同社の製品は種類も多く、熟練者も○
3位 Adanna/Demi Mithril
価格 500G 分類 Demi Mithril
交換の目安 2年
ミスリル銀パウダーコーティングした弦
一般向けとしてはかなり強気の値段だが
伝説の音色を聞いてみたいならこの一品
太さはLight相当のコレしかないのが残念
番外 Adanna/Mithril
価格 50000G 分類 Mithril
交換の目安 10年以上
ミスリル銀100%の最高級品、殿堂入り
演奏しなければ50年は品質を保つなど
もはや別世界の金属といっても過言にあらず
金のように資産として運用されることも
太さはLightしかないが誰も文句は言わない
聞けばその音がベストだと誰もが魂で理解する
小説家になろうみたいな開発話に挑戦しましたが、
物語に影響しない範囲でやるとこの辺が限界でした
開発チートって書くの難しいんやね…暫く更新無し