「やあ、アーダン。ちょっと寄り道しないか?」
「ええ、構いませんよ、……どこに寄るんですか?」
「……それなんだが……誘った側としてはなんだが
……アーダンが決めてくれないだろうか?」
拝啓、ご覧の皆様なお前ら。約2年サボって寄り道、楽しかったよ。アーダンの顔グラ元ネタ特定作業が終了いたしましたので、ご一緒にもう少し寄り道といきましょうや
アーダンの顔グラは、一冊の雑誌の見開き2ページ分にある3枚の元ネタ画像を組み合わせて作成したものである
1 まずはその一冊の雑誌を紹介
書名 別冊宝島EX デザインの読み方
初版1992.12.7発行 発売日1992.11.7
ISBN:4-7966-0863-X
雑誌:65986-60
別冊宝島シリーズはムックと呼ばれる、生活実用書とトリセツ本の中間、NHK教育テレビの趣味本をもう少し詳しく専門の分野について紹介しているような雑誌です
80年代後半から2000年代初頭までの聖戦直撃世代のサブカルに興味ある人なら1、2冊は手にしたことでしょう。
ちな、この本、BOOKOFFにて110円で売ってましたよ
メルカリ、アマゾンなら20円からあるようです
主に広告、商業ポスター、建築物、生活雑貨などのデザイン写真に、簡単な歴史とその背景を短い文章で添えて解説した内容となり〼
「え?……すみませんが、
鍛冶屋か雑貨店ぐらいしか…」
「それでも構わないよ、街に出る格好に着替えてこ…
「ちょっと待ってください!……もう少し時間を!」
……ああ、ふふふ、待たせてもらうとするよ」
──流石に、あの処刑まがいの魔法授業の後だしな
……鍛冶屋は避けたほうがいいだろう、
占い師は不定期だし……王都教会……アレだ!
2 なぜこの一冊が元ネタなのか
当時の顔グラ担当の人達が若く収入が高くなかった
ネットが発達する前の時代。それに加えて何千、何万もする画集や資料集を揃えるのは現代でも予算カツカツだと無理ゲーですね。違h
また別冊宝島シリーズは当時のサブカル好き、または駆け出しのクリエイターにとって、安くお手頃に解説つきでその分野のイロハを知れる必携の書と言ってもいいほど広く普及していたようです
なんせ定価で1200円弱、画集資料集代わりにゲーム製作現場にも気軽にもっていけた事でしょう。
入手も容易かつ値段だけに
「あの〜シグルド様、ならアソコはどうでしょうか?」
「行き先は決まったみたいだな、アソコって何処かな」
「王宮の一角、南東城壁にある、
夏祭りでシグルド様たちが集まっていた、あの高台」
「あ〜、そういえばアーダンは来ていなかったな」
「前々から気にはなっていたんですが
爵位はあるとはいえ高位な貴族か関係者以外だと
門番というか詰めてる方々に追い返されそうで」
「夏祭りも終わって今の時期なら大丈夫だろう
私も初めてバーハラに来たときに屋上まで
父上に連れていってもらったな」
3 アーダン顔グラフィックの元ネタ
任天堂二次利用ガイドラインに抵触はしていないハズ
アーダンの顔グラ以外はパブリックドメインとなります
それでは改めてアーダンの顔グラを振り返ってみましょう
原作アーダンの顔グラ
いかがですか?イケメンでしょう?*1
次に『デザインの読み方』の166〜167p、
その見開き、章題も『軍神の大首絵』から3つ
掲載されていた物の元絵、いっしょに見てみませんか?
他にも元ネタらしきモノはあるけれど、
アーダンの『顔』にとって大部分を占める
3点の画像の要素、アーダンを形作るモノたち、
順番に一つずつ、一つずつ、そう、一つずつ、
アーダンの少し見下ろす角度と画面構成の元ネタ
UND DU? LudwigHohlwein-1932
ルートヴィヒ・ホルヴァイン-1874.7.27〜1949.9.15
ドイツで最も有名なグラフィックデザイナー
良くも悪くも。*2
この徴兵ポスターは当時ナチス政権に依頼され製作された
徴兵広告の歴史上でも重要な1枚として評価されている
彼はあなたにも問いかける「そして君はどうするんだ?」
アーダンのケツアゴ、肌と同色の目の元ネタ
コンスタンティウス1世 270年代前半の2.27-337.5.22
ローマ帝国皇帝(在位:306-337)当時分裂していた帝国を再統一、元老院からマクシムス(Maximus、偉大な/大帝)の名を贈られた。現在のイスタンブールの元となった首都を築いた。キリスト教に改宗した初の皇帝。
軍人であり将軍であり皇帝であり聖人であり神であった
アーダンのほっぺた、まゆナシ、
物理的にありえない唇の下の謎の影の元ネタ
日本の戦時対外宣伝雑誌『FRONT』表紙より
撮影者は定かでは無いが編集責任者は原弘1903.6.22 - 1986.3.26 原弘は戦後を代表する昭和のデザイナー
写真の男性は戦艦「伊勢」の乗組員のようである
戦艦伊勢は1945年のレイテ海戦、北号作戦に従事し広島県の呉に寄港後、のちに空襲の標的となり、降り注ぐ質量をともなった炎の雨 、600人程度の乗組員が戦死した。被写体の男性のその後を追うべきだったかもしれない。
正直に言おう、怖いんだよ。低評価かまわぬ
顔グラ担当の人たちが元ネタをどこまで意識していたのか
おそらくは偶然だろう、『軍神の大首絵』なのだから
軍人は死して神となるとでも?そして君はどうするんだ?
聖戦の系譜はとにかくイカれてる、業が深すぎる
製作に関わった人、プレイした人たち、書いた私、
たぶん、読んでしまった……お前らも
「夏の盛りも過ぎて秋を感じる涼しい風を
城壁の1番高いところで空が暗くなるまでって
ところですね、ご一緒おねがいできますか?」
「寄り道に誘ったのは私のほうだろう?
ハハハハハ!ああ、かまわないぞ
まかせてもらうとしよう!」
製作現場に共有資料として置いてあったのか
顔グラ担当の人の私物かはどちらでもよい
他にも参考資料はあっただろうし髪型の元ネタは不明
キャラクター設定画の順番が先かもしれない。だが、
上記の3枚がアーダンの顔グラを作成するにあたって
『顔』を形作る大きな役割を果たした
「それじゃ、片付けがまだありますので
もう少しお待ちください、シグルド様」
アーダンはいつも穏やかにほほえみながら
画面の前のあなたをいまでも見つめている
敬具