汚い幼女が多過ぎるので片っ端から虐待()して減らすことにした 作:ブラブレ8巻難民
初日:出会い
──2021年、人類はウイルス性寄生生物『ガストレア』に敗北した。
それから10年経ち、文明はある程度回復したが……狭い国土に追いやられ、絶望と共に生きてきた『大人たち』──『奪われた世代』の心は、未だに全くと言っていいほど癒えていない。
その弊害の一つが──
「そいつを捕まえろぉぉ!」
……これだ。
蛮声が響き渡り、街道の人波を押し除け少女が走っている。
しかし少女は途中で『ある人物』を見た途端に足を止めてしまい、それが隙になったことで追手に捕まってしまった。
その追手は『大人たち』──そう、
「放せぇ!」
無数の手に押し潰され、少女の骨が軋む音が聞こえても……周囲に少女を助けようとする動きはない。それどころか、誰もが『大人たち』を称賛し、少女に罵声を浴びせる始末だ。
──『呪われた子供たち』
人類を滅亡寸前にまで追い込んだ存在、『ガストレア』と同じ力と身体特徴を持つ者の総称。
件の少女がここまで忌み嫌われている理由。それは、人類が持つガストレアへの不満や恐怖を八つ当たりでぶつけられているからだ。
この狂気的な光景は、今や世界中で見ることができる。つまり、十数年前とは多数派が入れ替わったことで、これは『狂気』ではなく『普通』になっているのだ。
しかし────
「──ハイハイ、皆さんちょ〜と離れてくださいなぁ」
少女が『ある人物』に助けを向かって助けを求めて手を伸ばし、近くに居た少年がその手を払おうとした直前──のらりくらりと人混みを避け、いつの間にか少女たちに近付いていた女性が、少女の手を強く握った。
「──痛ッ」
少女は何を見たのか、周囲から見てもハッキリとした怯えと、手を強く握られたことによる悲鳴を上げた。
「ウチのツレが失礼しやしたぁ……ちょっちエサを渋るとすぐこれでさぁ。連れ帰ってしっかり再教育してやるんで、今回はここまでにしてくれやせんかねぇ皆様方」
「ひっ、ひぃ……! イヤッ、助けて……!」
「コイツが壊したモン、盗んだモンについては勿論弁償させていただきやすが、先ずはコイツがこれ以上暴れないよう連れ帰りやす。てな訳であーしはこれにて失礼をば」
女性は再びのらりくらりと人波を避け、嫌がる少女の腕を無理矢理引いて帰った。
その様子を見て、野次馬達はひそひそと何かを言い合っている。
「なぁ、アイツって……」
「あぁ、間違いない。『掃除屋』だ」
「マジか。純血会の奴らをドン引きさせたっていう、あの『掃除屋』か」
「……おいアンタら、その話、詳しく聞かせろ」
先程少女の手を払いかけた少年が、手近に居た男性の肩を叩いて声をかけた。
「……『掃除屋』は、大勢の『赤目』を集めて、奴らを虐待していることを公言してるキチガイだ。
その虐待の手法は公表されてるんだが……見た奴は皆、『産まれて初めてガストレアに同情した』と言うほどらしい」
「写真とか音声とかがネットに上がってるから見てみるといい。気が狂いそうになるぞ」
「……そうか、よく分かった。ありがとう。
──延珠、一人で家まで帰れるか?」
話を終えると少年は、路地を飛び出し駆けていた。
────これは『狂気』に呑まれた社会の中でも一際目立つ、とある『狂人』の物語である。
*
──さぁ、虐待を始めよう。
『赤目』は総じて力が強いが、全力で逃走し、その後男達に押さえつけられ、弱っている今なら、私でも十分御し切れる。
まず手始めに服を無理矢理脱がせ、限界まで熱した湯船に押し込む。
「〜〜〜ッッ!!」
フハハ、あまりの熱さに声にならない悲鳴を上げている。
これだけでも十分効果的だが、虐待上級者の私は更にここから追撃として、頭から同温の湯をかけてやる。こうすることでくまなく全身を湯責めできるのだ。
ある程度湯責めをしたら、目の荒い布で身体中が赤くなるまで擦ってやる。
そしてある程度熱さを忘れたところに再び湯責め。緩急を付けて、長く苦しめてやるのだ。
続けて、劇物である苛性ソーダを用いて自作した石鹸で、赤くなっている肌に更に刺激を与えてやる。自作であることを明かすことで、原料に何が含まれているのか分からない恐怖を与えることも忘れない。
湯責めが終わったら、服はこちらで用意していたものを着させる。動きを阻害し、逃走を困難にするのだ。
この時点で少女はグッタリしていたが──こんなもので虐待は終わらない。
伝手をフル活用して集めている『ゴミ』を加工し、少女の前に置く。
「こ、これは……?」
ただ一言──『食え』と命令する。
加工してあるとはいえ『ゴミ』は『ゴミ』 口に運ぶのには相当の勇気が必要だろう。実際少女は涙ぐんで震えている。
無慈悲にもう一度『食え』と命令すると、少女は泣きながら『ゴミ』を咀嚼し始めた。
『ゴミ』処理を終了させた少女は、最早意識を保つことも難しいのだろう。半目になってフラフラしだしたので、狭い個室の狭いベッドに放り込む。
後は少女が眠るまで、ひたすら監視する。只々無意味な視線に晒され続ける苦痛を味合わせ、今日の虐待は終りょ────
「民警だ! 『子供たち』を解放しろ!!」
──ククク、どうやら今日の楽しみはまだ終わらないらしい。
たまに来るのだ。こういう正義感溢れる輩が。
声からして、まだ十代か。理想を掲げる若者が、何もできずに帰る姿を拝みに行きますか────
*
──拉致されたと思ったら、手厚く介護されていた件。
暖かいお風呂に入れられて、垢を落とされ、手作りだという石鹸で全身を洗ってくれた。
着心地が良くて、可愛らしいお洋服も与えてくれた。
『フードバンク』なる組織から貰った、食べられるが捨てるしかない食材を使って料理を振る舞ってくれた。
柔らかいベッドに入れられて、眠るまで見守ってくれた。
朝一番に『民警が来たが追い払ってやった』と高笑いしていた件だけは、何のことかよく分からなかったが……間違いなくこの日私は、彼女に救われたのだ。
*
……悪名高い『掃除屋』が、ただの良い奴だった件。
しっかり話を聞けば、『虐待』と言われていた数々の所業は全て、むしろ『子供たち』のためになることばかりだった。
しかも誤解が解けた後に、『呪われた子供たち』を引き取った場合の公的支援や、『掃除屋』の伝手を使った個人的な援助について熱烈なスピーチをされたのは気圧された。
……だが、やたらと『虐待』という言葉を使いたがるせいで、無駄に時間を食わされたことは許さん。
ちなみにその件は『同居人と話し合って決める』と言って、考える時間を貰った。
────これが俺と、特殊過ぎる趣味を持つ彼女の、最初の出会い。
また一人、『汚い幼女』が減らされてしまった……代わりに生まれたのは『綺麗な幼女』だ……クッ、おのれ掃除屋()