汚い幼女が多過ぎるので片っ端から虐待()して減らすことにした 作:ブラブレ8巻難民
『キャアアアアア!!!』
「やめ、ろ……! ぅぐっ、やめるのだ……!」
「アヒャヒャヒャヒャ!! やめろと言われてやめる奴なんているッスかぁ?」
少女の悲鳴が響き渡り、掃除屋は嗤う。
延珠は掃除屋の暴挙を止めようと奮闘するが、その度に返り討ちされ、彼女自身も苦悶の表情を浮かべる。
「さて……そろそろ終わりにしやすかねぇ」
『痛ッ、くぅ……! うあああああ!!』
「まっ、待つのだ! そんなことをされたらっ、死んでしまうではないかッ!!」
「それが嫌なら、自分の力であーしを止めてみるッスよ」
「こ、の……!」
掃除屋の手が動くたび、悲鳴が上がる。少女の命が削れていく。延珠はそれを、ただ見ていることしかできなかった。
そして遂に、最後の一撃が────
『死ぃねぇぇぇぇ!!!』
「やめるのだあああ!!」
しかしその懇願は届かず、少女は息絶えた。
──K.O.!!
「また負けた……」
「ヒヒヒ、またあーしの勝ちッスね」
「もう一回! もう一回勝負するのだ!!」
「いいッスよぉ? さて、今度はどいつの悲鳴を聞かせてくれるんスかぁ?」
……もうお分かり頂けたと思うが、掃除屋は先日の少女の件で里見家を訪れ、帰ってきていない蓮太郎を待っている間、ゲームをしていただけであった。ちなみに彼女は『悲鳴がとてもリアル』ということで、大層お気に召しているらしい。(※体感には個人差があります)
「ぬぅぅ! どうして今日始めたばかりの初心者がこんなに強いのだ!?」
「頭の構造が違うからッスよ」
「ムキーッ、今バカにされたのだ! 妾、学校では成績上位なのに!」
「いや、バカにしたわけじゃないんスが……」
「じゃあどういう意味なのだ!?」
「どういうもなにも、
「なんだお主今の間は!? さては面倒だなとか思って──ア゛ッ、そのコンボはダメなのだああああああ!!」
「──はい、またあーしの勝ち」
「うぬぬぬぬ、もう一回!」
「……さては勝つまでやる気ッスね?」
「勿論なのだ! あ、手加減したら怒るからな!」
いくら気に入ったゲームとは言え、流石にそれは辛い──と、掃除屋は苦笑いした。
──するとその時ドアホンが鳴らされ、ゲームが中断された。掃除屋は密かに一息吐く。
「む? 誰か来たのだ。掃除屋殿、少し席を外すぞ」
「了解ッスよ〜」
そして延珠が玄関に向かうと、現れたのは──
「やっほー延珠ちゃん、来ちゃった♪」
──延珠の親友、舞であった。
「む、舞ちゃん!? 何故ここに……?」
「今日はお父さんもお母さんも仕事でいないから、ご飯当番私なの。それで買い物することにしたんだけど、前に延珠ちゃんがここのスーパー安いって言ってたから、来てみたんだ。そしたら本当に安くってもうビックリ! もやしとお肉がいつもの半額以下で買えちゃった!
──という訳で、延珠ちゃんにはお礼にコレをあげます!」
そう言うと彼女は、買い物袋からキーホルダーを取り出した。
「おぉ、天誅レッドの新ステッキではないか! 先週出てきたばかりなのに、もう商品化されているとは……しかし、良いのか?」
「いいのいいの。お兄ちゃんと私の分で、二本買ったジュースに付いてきたやつだから。お兄ちゃんはたぶんいらないって言うだろうし、貰ってくれないと逆に困っちゃうかな?」
「そうか……では遠慮なく頂くのだ!」
「うん、じゃあまた明日ね!」
そうして舞が振り返ると、蓮太郎が帰宅してくる姿が確認できた。舞は蓮太郎の元に駆け寄り、一礼する。
「……ん、君は」
「里見さん……ですよね? こんにちは。
私、延珠ちゃんの友人の、神崎舞と言います」
「あぁ合ってるよ、俺が里見蓮太郎だ。延珠がいつも世話になってるらしいな」
「いえいえ、こちらこそお世話になっています」
「……礼儀正しいな。世の中の子供が皆、君みたいな子だったらどれだけ良かったか……」
「あ、あはは……苦労なさってるんですね……」
──大人から子供まで、知り合いにイロモノしかいない蓮太郎は天を仰ぎ、その様子を見た舞は苦笑する。
「……ところで、もう帰るのか? もうすぐ暗くなるし、途中まで送っていこうか?」
「いやいや、何を言っておる蓮太郎。お主はお客さんを待たせておるではないか。舞ちゃんは妾が代わりに送るから、蓮太郎は早く中に入るのだ」
「客……? あぁ、そういえばアイツ今日来るって言ってたな」
「『そういえば』ってなんすか里見少年。まさか忘れてたんスか?」
「──ッ!」
玄関で長話をしている三人に痺れを切らして表に出てきた掃除屋を見て、蓮太郎は焦ってアイコンタクトを送る。
掃除屋は悪い意味で有名だ。面識があると知られて良いことは少ない。彼と掃除屋が知り合いであると舞に認識されれば、延珠にまで害が及ぶ。それだけは阻止せんと、蓮太郎は必死に『頼むから黙って部屋に戻ってくれと』目で訴えた。
「あぁ、悪い悪い。例の件だよな? 遅れた分、さっさと話をつけようぜ。
延珠、スマンが舞ちゃんを頼んだ」
「うむ。それはいいのだが……何をそんなにソワソワしておるのだ?」
「ほッとけ。んなこたどーでもいいからさっさと行ってこい」
蓮太郎は努めて冷静に対応するが、内心の焦りを延珠に見透かされ、少し声が裏返る。
延珠はそれを更に追及しようとするが──意外なところから助け船が入った。
「そうだね延珠ちゃん早く行かないと今度は延珠ちゃんが帰る時大変だろうしだからもう行こうよほら早く早く」
「ノンブレス!? ま、舞ちゃんまでどうしてしまったのだ!?」
「アハハ、何を言ってるのかな? 変なのは延珠ちゃんの口調であって私じゃないんだよ? 大丈夫。だから私はダイジョウビ……」
「明らかに大丈夫じゃないのだ! くっ、蓮太郎が焦っていたのはこれか……! 確かに早く、家まで送り届けてやらねばな!
舞ちゃん、歩けるか!?」
「ウン、ダイジョウブ……」
「よし、行くぞ!」
こうして延珠は、いい感じに勘違いして立ち去った。
「……何かよく分からんが、助かったな」
「里見少年はやっぱりおバカでやんすねぇ。どうしてあんなにあからさまだったのに気付かないんスかぁ?」
「……どういうことだよ?」
「あーしが言うのは野暮だと思うんスが、里見少年。君にとってあの娘は──」
── 『
*
「ねぇ延珠ちゃん……あのお客さんとは、延珠ちゃんも知り合いなの?」
「いや、今日が初対面だな。蓮太郎の客人だと言うから家に上げたが、そういえば名前も聞いておらぬ」
「危な……知らない人をお家に入れたら駄目だよ? まぁ今回は本当にただのお客さんだったみたいだけど……」
(──あ、あっぶなかったあああああ!!! しかもちょっと心の声漏れてるしいいいいい!!! 会話の流れ的に不自然じゃなかったから良かったけど! けど!)
帰り道。少し冷静になった舞は、盛大に冷や汗を流していた。
延珠の親友、舞の両親は民警である。そして二人のイニシエーターは、掃除屋の紹介で引き合わされた子供なのだ。
そのため舞は、度々自分が紹介した子供の様子を確認しに来る掃除屋と面識がある。そして、イニシエーターと良好な関係を築いている両親に育てられた彼女は『呪われた子供たち』に忌避感を持っていない。
しかし、世界に染み付いた『子供たち』への差別意識は酷く根強い。善良な子供であっても──いや、善良な子供ほど、ガストレアウイルスを内包する彼女等を敵視する親を見て、それを真似る。だから舞は、親友と親友であり続けられるように、己の心をひた隠すのだ。
──まぁ延珠はその『呪われた子供たち』の一人なので、彼女の心配は全くの杞憂なのだが。
「いや、妾なら相手が不埒な輩でも撃退できるが……それはそれとして、以後気を付けるのだ」
「うむ、それでよろしいのです。
──じゃあ今度こそ、またね。送ってくれてありがとう」
「……体調はもう大丈夫そうだが、無理をするでないぞ?
──では、また今度なのだ」
そうして小さくなっていく親友の背中を見送りながら、舞はポツリと呟いた。
「掃除屋さんと繋がりを持つ人……里見蓮太郎さん、か。今度個人的に会ってみたいな」
「いくら舞ちゃんでも、蓮太郎はあげないからなあああ!!!」
「……取らないし、取れないって」
親友の反応にクスリと笑い、彼女は玄関の鍵を開けた。
「おかえり舞──何かいいことでもあったのか?」
「うん。晩ご飯の材料が安く買えたのと──」
── 貴重な同好の士を、見つけたんだ
余談。
今作舞ちゃんは拙作『赤目の守護者』の『神崎舞』と同一人物です。こちらを読んでから来た方の場合、『舞ちゃんの両親のイニシエーター』については疑問に思われるだろうということで……少し裏話を。
拙作の舞ちゃんは仙台エリア出身であり、そちらに居た時から両親は民警だったのですが……今作では『引っ越す時に民警を辞めて慎ましく暮らす』方を選択しています。
神崎夫妻は紆余曲折あり、もう一度民警をやることにしますが……ペアの組み直しで序列が下がり、その影響で『影胤テロ』の件には関わっていません。
また、延珠ちゃんの赤目バレもしていないので……舞ちゃんのお兄ちゃんが未踏査領域に突撃するフラグが全部折れてます。
Q:じゃあ逆に『赤目の守護者』時空の掃除屋はこの頃何やってたの?
A:別の家の見回りに行ってた。神崎家との関わりがないので、10区方面には足を運んでいないのです。その影響で万引き少女及び蓮太郎と遭遇せず、忘れ物返却イベントが発生しないので、影胤と再会することもなく……普段通りに虐待活動をやってました。