汚い幼女が多過ぎるので片っ端から虐待()して減らすことにした   作:ブラブレ8巻難民

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 シリアスブレイク前。早くほのぼの書きたい。


掃除屋の過去:前編

 

「……あの、先生」

「なんですか、弟子二号」

「今日って、虐待の手法を教えてくれる約束だったよね?」

「そうですね」

「えと……じゃあ、()()は?」

「究極の簡易虐待キット。俗に言う()()()()ですが」

「いや、それは見れば分かるんだけど……」

 

 正式に掃除屋さんの弟子となってから、最初の授業。彼女は口の悪さ以外善人そのものであるため、今更銃とか鞭とかペンチみたいな、『THE 拷問器具』が出てこないのはまぁ分かる。そもそも私とて、そういうのが使いたくて弟子入りしたワケではないので別にいい。

 ──だが。だがしかし、だ。

 

「カップ麺って、お湯を入れるだけでしょ」

「ふっふっふ、やはり分かっていませんでしたか。カップ麺の凄さを……!」

「凄さ?」

 

 掃除屋さんはポケットから取り出した伊達メガネを着け、ニヤリと笑った。口調もいつもの『サンシタむーぶ』と違って、本当に丁寧になっているし……先生として振る舞う時は常にこんな感じなのだろうか。

 

「いいですか? カップ麺は単体で『食材』『調味料』『保存容器』『調理器具』『食器』としての機能を果たしている、究極の簡易料理です。どんな虐待初心者でも、これなら失敗しません」

「おー、そう言われるとなんか凄い気が。

 ──って、ごまかされると思ったの?」

「うぐっ」

 

 やはり、何か隠している。

 ジト目で見つめ続けて無言の抗議を行うと、彼女は観念して頭を下げた。

 

「……ごめんなさい。急用が入ってしまいました」

「なら最初から、そう言ってくれればいいのに。何時くらいに帰ってくるの?」

「……分かりません。何せ、本当に急だったので」

 

 

 ────あ、コレはダメだ。

 

 

 掃除屋さんの声と瞳に()()()()()()()()を感じて、咄嗟に彼女の手を掴んだ。

 

「何時になるか、分からなくても……帰って、くるんだよね?」

 

「…………夜が明けても私が帰らなければ、この鍵で私の部屋に入り、金庫を開けてください」

 

「私、そんなこと聞いてない……ねぇ、ちゃんと帰ってきてくれるんだよね?」

「……さて、時間ですのでいってきます」

 

 ──行かせるものか

 

 力を解放して、掃除屋さんの胴にしがみついた。

 

「行かせないからッ! だって、そういう顔して商店街に行った子は……! 誰もっ、誰も帰ってこなかったッ!!」

「……大丈夫です」

「『帰ってくる』って言うまで離さない」

 

 この人は、嘘を言わない。どれだけ『誤解』されるようなことを言っても、『嘘』は言わないのだ。だから──

 

「……ごめんね」

 

 突然お腹に強い衝撃が走って、肺の空気が全部抜けた。心臓がビックリして、一瞬身体の時間が止まって。

 

 ──気付いたら、掃除屋さんはいなくなっていた。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

『──助けてくれ』

 

 老翁が、若い女性に頭を下げていた。

 彼の背後には、全身が黒焦げになっている人間がいた。彼はその、性別すら分からなくなった人間を助けるために頭を下げていたのだ。

 

『……全力を尽くします』

 

 女性は初めこそ唖然としていたが、すぐに行動を開始した。

 その甲斐あって、二人は患者の命を救うことに成功する。

 

 老翁はそれに破顔したが、何故か女性は複雑そうな表情をしている。

 

『よろしかったのですか? 私に、貴方の技術を見せてしまって』

『構わんとも。それで一人でも多くの人間が救われるのであれば』

 

 その言葉を聞いて、女性は首のロケットを握り──

 

 

 *

 

 

『ぁあ、アうあァ?』

『……これではとても、救えたとは言えんな』

『……そう、ですね』

 

 二人が助けた人間は、命以外の全てを失っていた。

 脳以外の殆どは機械化され、その残った脳すらも、かつての記憶を残していない。

 辛うじて分かったのは、女性であったということと、年齢が十代前半の若者だったということくらい。

 

『……彼女はね、()()()()()()()()()()()()()()んだそうだ』

『──なんですって?』

 

 『赤目の子供』と聞いた瞬間、女医の目が血走ったものに変わった。

 

『……我々は医者だ。人を救う存在だ。

 ならば我々は、彼女の行動を讃えるべきなんじゃないかい?』

『えぇそうです。そうですとも。我々は『()()』救う存在です』

『……君も、『子供たち』を人として扱う気はないのだね。

 ()()()()を本心から誓ったのは、おそらく私以外では君だけだった。だから君とだけは、分かり合える気がしていたんだがね……残念だよ。

 ──二人は私が預かることにしよう』

『……そうですか。さようなら──()()()()()()()()教授』

 

 それ以降、四賢人の道が交わることは一度もなかった。

 

 

 *

 

 

「……あぁ、随分と懐かしい夢を見た」

 

 まだ私が、復讐に囚われていた頃の夢。

 まだ四賢人が、手を取り合えたかもしれなかった頃の夢。

 

「彼らは今、どうしているのだろうな……なんて、私らしくもない」

 

 今でこそ『呪われた子供たち』への忌避感も薄れ、感傷に浸ることができているが……あの時の私はきっと、何度繰り返しても彼と決別するだろう。

 

 ……だがそれでも、こうしてたまに、願う時があるのだ。

 

 『あの優しい少女が成長した姿を、見てみたい』と──

 

 

 *

 

 

「君に一つ、私の技を見せよう」

 

 ── マキシマム・ペイン

 

 斥力フィールドが大きくふくらみ、蓮太郎は一枚岩に叩きつけられた。頭部から血が噴き出し、肉が潰れ、骨は圧壊寸前にまで追い込まれる。

 

(……ダメだ、勝てない)

 

 延珠と小比奈の戦闘力は、完全に伯仲している。だから勝敗を分けるのは、パートナーの実力であることは言うまでもない。

 蓮太郎が最初から『禁じ手』を使っていれば、勝負になった可能性はあるが……目標物を回収し、早く依頼を終了させたいという焦りを突かれ、不意打ちを受けてしまった今それをしたところで、時すでに遅しだった。

 だからこそ──

 

「逃げろ、延珠」

 

 冷徹かつ、合理的な戦術的撤退を、蓮太郎は選択した。

 

「嫌だッ!」

 

 しかし延珠はそれを拒み、小比奈は彼女の背後を取る。

 蓮太郎は相棒の危機を救うため、最後の力を振り絞って銃口を──

 

「その必要はないッスよ」

 

 突如斥力フィールドが軋み、影胤は自ら作り上げた障壁に激突した。

 その衝撃で『マキシマムペイン』は解除され、蓮太郎は膝を突く。

 延珠と小比奈も、突然の事態に困惑している様子だ。

 

(なんだ、何が起こった……? まさか、個人兵装の制御に失敗したのか?

 いや、でもアレは──)

 

 蓮太郎の目には、影胤の斥力フィールドが()()()()()()()()()()ように見えた。

 加えて、その直前に聞こえた声は────

 

「──クヒッ、クククッ、クハハハハッ!

 あぁっ、私は嬉しい。まさか、まさか君が再び戦場に舞い戻るとはッ」

「ぶん殴られてケタケタ笑うとか、相変わらずキモいですね旦那ァ。キモ過ぎて長時間同じ空気吸いたくないんで、さっさとケースを少年に渡してやってくれやせんかねぇ」

 

「まさか……そこに居るのか、掃除屋ッ」

「居るッスよ。少年」

 

 半信半疑で虚空に呼びかけると確かに返答が為され、蓮太郎は掃除屋の存在を確信した。

 そして、『呪われた子供』ではない透明人間ということは──

 

「お前も、機械化兵士だったのか……!」

「そういえば、まだ名乗ってなかったッスね」

 

 ──元陸上自衛隊東部方面隊第七八七機械化特殊部隊 『新人類創造計画』 ヒナミ・()()()()()()()()

 

「弟子が家で待ってるんス。何としてでも──夜明けまでには帰るッス」




 次回:シリアスブレイク! 蘇るほのぼの
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