明石「艦娘の夢を操る機械を作って欲しい?」 作:マロニー
提督「ああ、頼むッ!この通りだ!」
明石「いやいやいや!どうしたんですか急に!
急にここに来たと思ったら土下座までして!
今の私、困惑しかないですよ!」
提督「…ある夢を見たんだ」
明石「夢、ですか?」
提督「いや、天啓と言うべきかな…
まあ取り敢えず聞いてみてくれよ」
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その娘はがばりと寝床から身を起こした。
目は見開かれ身体には汗が滲んでいる。
酷い悪夢を見たのだ。
それは、自らが好いている人に嫌われる夢。
それも彼の身勝手ゆえでは無い。
否。寧ろ、その彼は常に優しかった。
常に優しく、常に平等で。
怒っている所や人に誹りを言う所など見た事が無い…それ程柔和な人だった。
そんな彼が、怒った。
そんな彼が、嫌悪した。
そんな彼が、自分を疎外したのだ。
纏わり付いてくるなと。
目障りだと。我慢の限界だ、と。
我慢?
そう、彼はずうっと我慢をしていたのだ。
その娘の全てに対して。
その態度の全ては、彼のその我慢が弾けただけだったのだ。
彼はただ、自らの思っている事を正直に吐き出しただけの事だったのだ。
勿論、それら全ては彼女が手前勝手に見た夢だ。現の事では無い。
もし今、彼の所に行ったとしてどうなるか?
彼はいつも通りに笑い掛けてくれるだろう。
いつも通りに優しく話しかけてくれるだろう。
(我慢なんてしていない。
しているはずが、無い…)
娘は気分を変える為に外に出て、夜風に当たりながら、何度もそう思おうとした。
だが思おうとするたび、その脳裏にその夢の中の彼の顔が浮かぶ。
あの軽蔑と嫌悪、憤怒が混じったような、彼の見た事の無いあの顔を。
他ならぬ、自分に向けられた顔を。
そしてその顔が浮かぶたびに息が荒くなり、胸が苦しくなる。
(いやだ…違う。違う。違う!)
そうしてひたすらに夜風を浴びていた…その時だった。
『おや−−−。どうしたんだ?夜遅くに。
それも、こんな場所で』
彼女は声を掛けられた。
愛しきその『彼』…提督に。
いつもなら、そんなシチュエーションになった時、彼女はとても喜んで彼と楽しく対話をする。
いつもならば。
だが彼女にとって不都合な事に、今の状態はその『いつも』ではなかった。
『……!』
彼の人懐こい顔を見る。軍人らしい筋肉の付いた体躯も。愛おしい、その全てを見る。
それと共に、脳裏にあの全てがよぎる。
嫌悪の目。容赦の無い罵倒。我慢の限界…
気づけば、彼女は後ずさっていた。
『お、おい。どうした?ひょっとして、何か気を悪くさせちまったか?』
困惑する提督。
そしてその顔は。
今の彼女の目には、その困惑の表情は困惑の表情では無く。最も恐ろしい物に…
つまりは、嫌悪の表情と映った。
『…!嫌わないで…!』
ピピピピ ピピピピ ピピピピ
提督「………」パチリ
ムクリ
提督「…夢、か」
提督「ああクソっ、こんないい所で…!」
【起床時刻也】
提督「ああー…朝、かぁ」
提督「あーあ…あのまま、あの娘がどういう反応したのか知りたかったのになぁー」イソイソ
提督「……いや、待てよ?」ピタリ
提督「…まさか、この先は現実で見ろと言う事か?神が俺に向かってそう言っているのか?」
提督「…ああ、そうだ!そうに違いない!
これは天啓だ!これを現実にやれというのが俺の使命なんだ!」
提督「よっしゃ、そうと決まればこうしちゃいられない!明石だ!明石の元に急ぐぞ!!」
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明石「…で、つまり。
貴方は私に夢を操る機械を作らせて、特定の娘に貴方に…提督に嫌われる悪夢を見せて。
で、それからその娘とコミュニケーションを取ろうとしているという訳ですか。それで、その娘の反応がどうなるかを見ようと」
提督「説明ご苦労。
ざっと言うとそう言う事だ」
明石「…何処からツッコんで欲しいんですか」
提督「ツッコミどころなんて無いだろ」
明石「…まず何で提督一人でそんなに騒いでたんですか?ていうか、何でそんな発想に思い至ったんですか?で、夢を操って悪夢を見せようとするって、どんだけ性格が歪んでればそんな発想に思い至るんですか?」
提督「おおう、一息に言い切りやがったな…まあそんな事はどうでもいいんだ、重要な事じゃ無い。だからそれらの問いにも答えん」
提督「問題は一つ。この機械をお前が作ってくれるか、だ。機械そのものが無けりゃ話にならんからな。皮算用にすらならん」
提督「と、いう事で。頼む、この通りだ。
夢を操れる機械を作ってくれないか?」
明石「…作った所で、私の利益がありません」
提督「…前の時のようにインカムをつけよう。あともう一つ、今度は小型カメラもな。それでお前は、曇った顔の娘達を見逃さない筈だ」
明石「…そんな事で、乗ると思いますか?」
提督「ああ、乗るさ。乗るとも。
何せお前は俺と同類だからな」
明石「…同類?」
提督「ああ。お前も俺も、愉悦を感じる為なら何でもやる。艦娘達の良い表情を見る為ならば何でもやる…そんなヤツだ。そうだろう?」
明石「て、提督と一緒にしないで下さい!!」
明石「………」
提督「前と異なり、今回は俺は強制しない。
お前が嫌だと言うならばそれを拒否しろ」
明石「……!」
提督「さあ、どうする?どうするんだ明石!」
明石「…最高の顔を見せる。それが条件です」
提督「GOOD!それでこそお前だ!」