明石「艦娘の夢を操る機械を作って欲しい?」 作:マロニー
明石「…ええと。結局次はやるんです?」
提督「ん。ああ、やるさ。やるとも。
次のターゲットは川内だ」
明石「川内ちゃん…夢、見せられるんですか」
提督「?どういう事だ?」
明石「いやだって夜中歩き回ってますし、寝てないんじゃ?」
提督「お前な…川内を妖怪夜戦マンとでも思ってるんじゃないのか?」
明石「そ、そこまでは思ってません!」
提督「そうじゃなくてもアイツは夜フツーに寝るし、夜戦以外の事も考えてるさ。だからこそこれを使えるし、使おうと思ってんだからな」
明石「…確かに、例え夜戦の事しか考えていないなら夢を見せられても何の意味も無いですからね」
提督「そういうこった。
さて、閑話休題。早速だが起動だ!」
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提督(さて、仕事も終え悪夢もちゃんと見せた事だし今日は早めに寝るか。明日が楽しみだっと…)
キィィ
提督(…!?扉が開いた?
…来客の予定は無いが…)
提督(敵襲か?いや、なら扉を開けるなんて悠長な真似はしないはず。なら一体…)
川内「………」フラ…
提督「…?川内、か?
一体どうしたんだこんな夜中に」
川内「……!」ガッ
提督「ぐあっ!?」
提督(…!?何が起きた…?
首が…締められているのか?川内に?)
提督「かっ…な…ぜ…」
提督(……)
提督(抵抗は…無駄か)
提督「……川…内…」
川内「…え?」
スルッ
提督「ゲホッ…い、命拾いしたか…」
川内「…? 提督?何で?私は今…あれ?」
提督「…ふぅ。ようやく息が整った。そっちも取り敢えず、落ち着いたみたいだな」
川内「…ね、え。
今、もしかして私、提督の事…」
提督「そこも含めて。…とりあえずゆっくり話そうか。幸か不幸か秋の夜長。時間はたっぷりあるからな」
川内「…うん」
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提督「……まあ、そのなんだ。
別に俺は気にしてないぞ。これで後遺症が残るとかなったら大人気なく怨んだかもだが」
川内「…」
提督「勘違いして襲った相手も俺が最初で最後だったってのも良かった。結果的に全く被害が無いからな?」
川内「…」
提督「それにほら、別に叛意があった訳じゃないってのも分かってるしな。お前は目の前に『見えて』いた敵をただ倒そうとしてただけだ。だから…」
川内「解体して」
提督「…滅多なことを言うな」
川内「だって! …だって、私は。敵か味方かさえも分からなくなってたんだよ?それも夜の暗さのせいでもない、心の問題で!」
川内「…そんな頭がおかしくなった欠陥品なんて、解体された方がいい」
提督「例え冗談でもそれ以上言うな」
川内「どれだけ戦いに狂っても味方だけは守ろうと思ってた!敵をどれだけ殺したとしても、大切な人達だけは守りたいって!」
提督「…良い心がけだ。
そのまま想い続けるといい」
川内「なのに私は。
一番守りたかった人を、この手で…」
川内「…だから、お願い。解体して」
提督「解体、と。
次に言ったらマジにキレるぞ」
川内「でも!」
提督「でももヘチマも無い。…お前がどう思っていようが俺はお前を罰したりはしない。目論見が外れて残念だったな」
川内「……残酷だね」
提督「…そうだな。罪悪感を持つ者に何もしないのはある意味罰を与えるより残酷、か」
提督「まあその、なんだ。失敗なんて誰にでもあるさ。月並みな慰めだが、これで…」
川内「ただ失敗をしたから辛いんじゃない!」
川内「…私、提督の為なら何をしたって良かった。怖かった筈の夜戦が楽しみになっても、どれだけ敵の血に塗れても、それが提督の為ならって、そう思ってたのに…」
川内「なのに私はそんな手で提督を殺そうとした!深海棲艦と提督すら判らなくなって…!このままじゃ提督だけじゃなくて、妹達にまで…!」
川内「…私、嫌だよ。
それだけは耐えられない。だから…!」
提督「…『解体して』か?」
川内「…殺して」
提督「……」
川内「……」
提督「…この…」
提督「…大馬鹿野郎!!」ズビシッ
川内「痛った!?」
提督「言うに事欠いてそれか、えぇ!?
つーか独断で部下を殺そうもんなら俺がクビになるわ!んな事もわからんのかバーカ!」ビシッ ビシッ
川内「なっ!?何急に怒ってるのさ!ていうか何度も何度も叩くな!バカになっちゃうってば!」
提督「やかましい!バカはバカになったくらいでちょうどいいわこのバカ!」
川内「さっきからバカバカうるさい!
てかバカって言う方がバカなの!」
提督「ほんっとお前は…
いいか、まず一つ!お前は貴重な戦力だ!夜戦は危険だし、お前みたいなプロフェッショナルは絶対に必要なんだよ!」
提督「で二つめ!お前がもし居なくなったら他の奴らはどう思う?親しくしてる駆逐艦達は?姉妹は?士気が低下するなんてもんじゃないぞ!」
川内「……ッ」
提督「…そして、三つめ」
提督「…お前が居ない夜なんて、俺は嫌だ」
川内「……」
川内「……へ?」ポカン
提督「…ほれ。わかったならもう行け。
俺はもうそろそろ寝る」
川内「…ねぇ、もっかい言ってよ」
提督「うるせぇ、さっさと寝てろ。
幻覚も寝不足のせいなんじゃないのか?」
川内「……提督も、結構バカだよね」
提督「なんだと?」
川内「アハハ、凄い顔!」
川内「…私みたいな夜戦バカと提督みたいなバカ。バカ同士お似合いかもね?」
提督「なーに言ってんだ。
ほら、さっさと行っちまえ」
川内「ごめんごめん。それじゃまたね」
川内「…その、今日は色々とごめん、ね」
提督「しおらしいのなんて、らしくないぞ」
川内「…うん。おやすみ」
提督「ああ、お休み」
バタン
川内(……)
川内(困ったなぁ。何も解決してないや。
幻覚を見てた事も、仲間も襲いかねないのもなーんにも)
川内(やった事といえば、本当に提督と話したくらい。何やってるんだか)
川内(…でも、不思議と。
もう大丈夫な気がする。話しただけなのに、少し、笑いあっただけなのに…)
川内(前みたいに…ううん。
前よりも、うんと心が軽い)
川内「…よーしっ!夜戦だ、夜戦!!」
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提督「…どうだ?故障か?」
明石「うーん…バグとはまた違いますね。夢を見せていた事に違いは無い、といいますか」
提督「白昼夢、か?」
明石「そうですね。陳腐な言い方ではありますがそれに近いです。提督が設定した夢が、起きている彼女にそのまま見せられて…」
提督「ご覧の有様、か。
…実験的に、見せた夢がパニックホラーチックにしてたのがミスだったのかもなぁ」
明石「パニックホラーって…
どんなのを見せたんですか?」
提督「俺とかがゾンビみたいになってて…って感じの悪夢。どうやら今回の場合はそれが白昼夢として川内の心の恐怖に重なって…」
明石「提督達を深海棲艦に見せた、と。つまり例によって例のごとく提督の自業自得ですか。責任感じてるであろう川内ちゃんが可哀想」
提督「ククク、酷い言われようだな。まあ事実だから仕方ないけど」
明石「反省の様子は見られそうにないですね。
まあそれは期待するだけ損ですか」
提督「…多分、川内はもう責任を感じてはないと思う。そう仕向けたからな。それでもダメだったら、俺の命を懸けてでも何とかするさ」
明石「…カッコつけてますけどそれただ自分の尻拭いをするってだけですよね?」
提督「バレたか」