明石「艦娘の夢を操る機械を作って欲しい?」   作:マロニー

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榛名である為に

 

 

 

提督「そんじゃあ次だな、次」

 

 

明石「あ、マジでやるんですか」

 

 

提督「当然。反省とは次に活かす為にあるものだろ?」

 

 

明石「は、はぁ…それじゃあ、今度は誰に?」

 

 

提督「ふむ、そうだなぁ…

…よし、榛名にしよう」

 

 

明石「あら、榛名ちゃんですか?

…なんかちょっと意外ですね…」

 

 

提督「ん、そうか?」

 

 

明石「はい。だって以前提督がこの装置は負い目があまりない良い娘には効かないって言ってましたし」

 

 

提督「あー、そうだな。確かにそんな事言ってた」

 

 

明石「それに、霞ちゃんと同じ基準でターゲットを決めるなら曙ちゃんとかになるんじゃないかなーと思ってて」

 

 

提督「曙は前回組だから保留だ。

…でだな。今回榛名なのは少し思いついた事があっての事だ」

 

 

明石「はぁ。というと?」

 

 

提督「まず、今回の榛名に対しては俺に嫌われる旨の夢は見せない」

 

 

明石「…まあ、前の霞ちゃんの時点でもそうでしたもんね。気づいてるかどうか知りませんが、今回の企画割とブレブレですよ」

 

 

提督「うるさい、俺が楽しけりゃいいんだよ。

…ま、とりあえず榛名への夢の内容は明日へのお楽しみって事で…」カチャカチャカチャ

 

 

明石(あ、もういじり始めてる。

ていうか操作覚えるの早っ)

 

 

提督「…うし!それじゃあ、榛名!

良い夢を見ろよ!ポチッとな!」

 

 

 

カチリ

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 

 

 

 

【翌日】

 

 

 

提督「さぁて、と。榛名はどこかな?」

 

 

明石『早速ですね。 …で、そろそろ教えて下さいよ。昨夜どんな夢を見せたんですか?』

 

 

提督「そう焦るな。この後に教えるつもりだから、ちょいと待ってな」

 

 

明石『はぁ(いやに焦らすわね)』

 

 

提督「お、榛名だ。丁度いいな。そんじゃちょっくら行ってくる」

 

 

 

提督「よお、榛名」

 

 

榛名「! 提督…えっと、何か御用でしょうか?」

 

 

提督「あー、済まん。特に用は無いんだがな…

その、なんというかだな」

 

提督「…お前と話をしたくってな?もし良かったらなんだが、少しの間付き合ってくれないか」

 

 

榛名「…!はい!榛名でいいならお相手しましょう!」

 

 

提督「…俺から言い出した事だけど、いいのか?何かやる事があったりはしないか?」

 

 

榛名「いえ、榛名は大丈夫です!

…それより、立ち話もなんですし…その…」

 

 

榛名「…は、榛名の部屋に来ませんか?」///

 

 

提督「え、だが…」

 

 

榛名「!す、すいません、嫌ならば、その…」

 

 

提督「はは、嫌な訳が無いだろう。俺にとっては得しか無いんだからさ」

 

提督「そうだな…それじゃあ、折角だし、お邪魔させてもらっていいか?」ニコリ

 

 

榛名「は、はい!」

 

 

 

明石(出た、提督のやけに爽やかな笑み。

あれにドキリと来ない娘は少ないでしょうね)

 

 

明石(にしても…なんというか、提督も榛名ちゃんもどちらもただ普通に仲睦まじくしてる様にしか見えないわ。…一体、どういう…?)

 

 

 

【その後、榛名の部屋に入った後も悪夢に関する様な事は一切行われなかった。明石は砂糖を吐いた】

 

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

 

明石「で、どういう事なんですか?」

 

 

提督「さて、なんの事やら」

 

 

明石「いやいや、しらばっくれるのは無理があるでしょう。榛名ちゃんとはただイチャイチャしてただけだったじゃないですか」

 

 

提督「ああ、そうだな」

 

 

明石「そうだなって… あれですか?結局、あの装置はもう使わない事にしたんですか?」

 

 

提督「…今回は幾つか小細工を用いるつもりでな。

同時に、結構長期に渡って行うつもりなんだ」

 

 

明石「?」

 

 

提督「…ただ悪夢を見せるだけじゃあ、いつしか、あくまであれはただの夢だと思うヤツが出てくる」

 

提督「それじゃ駄目だ。それでは俺が詰まらない」

 

提督「そして、榛名も恐らくその中の一人だろう。

俺が見せようと思っている夢を今見せても割り切ってしまうだろう。何てったって、金剛型の姉妹の絆は途轍もなく強固だからな」

 

 

明石「…?何の事を…」

 

 

提督「だからこその小細工。

だからこその昨日見せた夢だ。俺は昨日、榛名にあいつと仲睦まじく話す夢を見させた」

 

提督「そして今日、榛名は俺と仲睦まじく話した。

まるで夢と同じようにな」

 

提督「一日だけなら偶然に思うかもしれない。

だが、それが何度も続いたらどうだろうな?」

 

 

明石「……!!」

 

 

提督「さあ、次回は2日後。

次は…そうだな。デートにでも誘う夢を見せよう」

 

 

明石「提督…あなた…」ドン引キ

 

 

提督「さあ榛名、良い夢を見るんだ。

…その後の悪夢をより最悪にする為にな…」

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

榛名「……ッ!!」ガバッ

 

 

榛名「……」

 

 

榛名「夢、よね…」

 

 

榛名「……」

 

 

榛名「……私は…」

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

 

提督「さあ、遂に参りました。本命の日です!」

 

 

明石「あ、朝っぱらからテンション高いですね… 」

 

 

提督「当然だろう。今日この日の為に何日も何日も費やしてきたんだ、テンションが上がらぬ訳がない」

 

 

明石「では、今回見せた夢を聞かせていただいても?」

 

 

提督「ああ。今回見せたのは、俺にケッコン指輪を渡された榛名が次第に姉妹内から疎まれていき、嫌悪されていくってものだ」

 

 

明石「あー…成る程。確かに前言っていたように、榛名ちゃんは普通ではただの夢として受け取るでしょうね」

 

 

提督「だろう?だからこそのここまでだ。だからこその小細工。何度も何度も見た夢が再現させられてからこうなったのなら、盲信とはいかぬとも何か感じる筈だ」

 

 

明石「…ん?ケッコン指輪を渡すんですか?」

 

 

提督「あぁ。さっきそう言っただろうが」

 

 

明石「いやでも」

 

 

提督「っと、榛名発見。という事で話せないぞ」

 

 

明石「アッハイいってらっしゃい」

 

 

 

提督「よう、榛名」

 

 

榛名「!提と…」

 

 

提督「どうしたんだ?ひどい顔だぞ。

何か悪い夢でも見たか?」

 

 

明石(うわ、白々しい)

 

 

榛名「…いえ、大丈夫です。少し疲れが溜まっちゃっているだけですので」

 

 

提督「それはそれで良くないんだけどな…

あー、その、だな」

 

 

榛名「?何かご用でしょうか?」

 

 

提督「えーっと、もし暇だったりしたらなんだが、

少し付き合って貰えないか?」

 

 

榛名「…!」

 

 

提督「いやほんと、急を要する事でも無いんだがな?

用事って程の事でも無いしな?」

 

 

榛名「…いえ、榛名で良いのならばお相手します!」

 

 

提督「そ、そうか。じゃあ済まんが、付いてきて貰えるか?」

 

 

榛名「はい!」

 

 

提督(…さて。今まで、取り敢えず見せた夢と殆ど同じ行動を取ってる。ここまで続くのなら、榛名はこの後、指輪が渡されるのではという思案をするだろう)

 

 

提督(…いや、実際しているようだな。なぜなら…)チラッ

 

 

榛名「……ッ」///

 

 

提督(…あんな複雑な表情は。頬を赤らめながら顔を顰める、なんて複雑な表情はしない筈だもんな)

 

 

 

 

【提督達、人目の付かぬ場へ】

 

 

 

提督「…良し、ここなら誰も聞いてないかな?」

 

 

明石(私が聞いてますけどね)

 

 

提督「で、だな。榛名。

お前、最近練度が99になったな。おめでとう」

 

 

榛名「あ、ありがとうございます」

 

 

提督「…あー、駄目だな、このままじゃ尻込みして言えなくなってしまいそうだ。…榛名よ」

 

 

榛名「…はい」

 

 

提督「単刀直入に言ってしまおう。

このケッコン指輪を受け取って貰えないか?」

 

 

榛名「…!!」

 

 

提督(俯いたな…やはり夢を意識しているな。

さあどうする、どうなる?どういう反応を)

 

 

榛名「ありがとうございます、提督…!

その指輪、是非とも受け取らせて頂きます!」

 

 

提督(するのか…

ってあれ、普通に受け取るのか。しかも判断が早いし。表情にも陰りが見えない。どういう事だ?夢は夢として割り切ったのかな?)

 

 

提督(…少し揺さぶってみるか)

 

 

提督「…無理は、しなくていいぞ?」

 

 

榛名「え?」

 

 

提督「いや、なんて言うかな…

君の顔に焦りというか陰というか…そんなのが見えた気がしてな。勘違いなら悪いが…」

 

 

榛名「……」

 

 

提督「当然だが、この指輪は提案であり強制じゃあない。そりゃ受け取って貰った方が嬉しいがな。

だから、嫌ならば拒否してくれ」

 

提督「悩みがあるとかならば、それを言えばいい。

取り敢えず聞く事だけは出来るからな」

 

 

提督(本当は全然陰りなんて無かったが…

さあ、何か反応が起こるか?)

 

 

榛名「…」

 

 

 

榛名「……ッ」

 

 

 

榛名「………」ボロボロ

 

 

 

提督「…!?ど、どうした榛名!?」

 

 

 

 

榛名「…ぐすっ…好きなんです」

 

 

榛名「提督が、大好きなんです」

 

 

 

 

提督「そ、そうか(…?)」

 

 

榛名「…最近、提督と榛名は二人で色んな事をしました。部屋で話をしたり、買い物へと行ったり…」

 

 

榛名「そしてその度に夢を見ました。

その全ての、行った通りの夢を」

 

 

榛名「だから、夢を見る度に胸をときめかせてきました。夢を見る度提督の顔が頭から離れなくなりました」

 

 

榛名「そして今日また、夢を見ました」

 

 

榛名「…悪夢でした。金剛お姉様も、誰も彼もが榛名を疎む、そんな夢を見ました」

 

 

提督「…」

 

 

榛名「…なのに」

 

 

提督「?」

 

 

榛名「それなのに、榛名は嬉しかったんです。

提督に好意を向けられ、指輪を渡されるという事が。それだけで嬉しく思ったんです」

 

 

榛名「…榛名は…」

 

 

榛名「私は、いつだって皆を守りたいと思っていた筈なんです」

 

榛名「…なのに私は、皆に嫌われるはずの夢を見た事より、提督から指輪を渡された事に重きを置き、そしてそれに喜びを感じていました。

…感じてしまいました」

 

 

榛名「それはつまり、私は艦隊の皆よりも、姉様たちよりも提督を想っていたという事…」

 

 

榛名「…いえ、本当は、皆の事も大切に思って無かったのかもしれません。本当はただ、自分がただ『いい子』である為に。

私はそんなに醜い子じゃないと。そう自分に思い込ませる為だけに、艦隊の皆を大事なものとしていたのかもしれません」

 

 

榛名「…私は身勝手です。榛名は、榛名は…」

 

 

 

提督「……」

 

 

 

榛名「…ぐすっ、すみません、急にこんな事を言ってしまって…」

 

 

 

 

提督「…榛名。一度この指輪は保留にしよう。

このまま受け取ってもらっても、お前が危ない」

 

 

榛名「!!は、榛名は…!」

 

 

提督「『大丈夫』…じゃないだろう。

お前は、その見た夢のせいでひどく不安定な状態だ。そんな時にこの指輪を渡されても、ただ辛いだけだ。…お互いな」

 

 

榛名「…!でも、私は…!」

 

 

提督「何と言われても、今は渡さないぞ」

 

 

榛名「…」

 

 

提督「…ただ、一つだけ言っておくよ」

 

 

提督「…お前は、悪夢で心を傷付け、自らの心の中にある筈の信念にまで疑念を抱き、疑念に苦しみを感じた。…とても大変な事だ」

 

提督「だが、その苦しみは、そのままお前の優しさを表してる事に気がついているか?」

 

 

榛名「…?」

 

 

提督「本当にお前が他の娘に好意など持っておらず、ただ自らを騙す為の上っ面の感情だったのなら、お前はそんなに苦しむ筈がない」

 

提督「他の娘に対し思いやりがあるからこそ、お前はここまで苦しみ、悩んだんだ」

 

提督「そして、その思いやりこそが優しさなんだ。優しさと想いがあるからこそ、お前は今、苦しんでいるんだ」

 

 

榛名「……」

 

 

提督「…お前は本当に優しい娘だよ、榛名。だからどうか、その苦しみを誇ってくれ」

 

 

 

榛名「…ありがとう、ございます…」ポロポロ

 

 

提督「そして、そうだな。

それらの悩みが少しでも軽くなったら…」

 

 

提督「…そうだな、今度はお前から俺の所へ来てくれないか?生憎、指輪を渡す勇気を使い果したんでな」

 

 

榛名「……!は、はいっ!」

 

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

 

提督「何だかちょっと意外だったなぁ。もっとこう、榛名は貰うか貰わないかの狭間で揺れるものだと思ってたが」

 

 

提督「ま、それだけ俺が愛されてるって事か」

 

 

明石「そういうのって自分で言ってて虚しくなりませんか?」

 

 

提督「うっせぇな…まあともかくとして、榛名も中々良い顔を見せてくれたじゃないか。見たかあの綺麗な泣き顔からの晴れ渡った笑顔」

 

 

明石「いや…はい」

 

 

提督「最初泣き出してしまった時のあの光の無い目。

あれだけでここまで時間を掛けた甲斐があった。

そう思わないか?」

 

 

明石「まあ、そうですね」

 

 

提督「…さっきからどうした?何か考え事か?」

 

 

明石「いや、その、何というか…

さっきも言いそびれたんですが」

 

 

明石「榛名ちゃんに指輪渡す事を確定させて良かったんですか?」

 

 

提督「…何?」

 

 

明石「いやだって提督、まだケッコンしてなかったですし、結構な事件にもなるんじゃ?」

 

 

明石「その事も含め…色々、大丈夫なんですか?」

 

 

提督「…ばっかお前、それくらいは予測範囲内で…」

 

 

提督「もちろん大丈夫…」

 

 

提督「……」

 

 

提督「……大丈夫じゃないわ。

やっべ、何も考えて無かった」

 

 

明石「…先見の明が無いにも程があるでしょう」

 

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