明石「艦娘の夢を操る機械を作って欲しい?」   作:マロニー

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如月に凍てる

 

 

 

明石「では、次どうなさるんです?」

 

 

提督「…」

 

 

明石「…?提督?次は」

 

 

提督「いや、聞こえてるよ。すまん、ちょっとな…」

 

提督「そろそろ足を掬われそうな…

しっぺ返しがきそうな…そんな気がして」

 

 

明石「まあ確かに因果応報の運命的にそうはなりそうですけど…じゃあ、そろそろやめときます?」

 

 

提督「馬鹿を言え。運命が俺を取り囲むってんなら俺は運命を欺く。続けるさ。今度は如月にやってやる」

 

 

明石「決め言葉のつもりかもですがサムいですよ、それ」

 

 

提督「うるせぇ」

 

 

明石「しかし如月ちゃんですか…どういったものを見せ…いや、ひょっとして」

 

 

明石「…うちの如月ちゃんて一度沈みかけた事ありましたよね?…まさか…」

 

 

提督「そのまさかさ」

 

 

明石「…うわぁ…」

 

 

提督「まあ流石に手心は加えるさ。そんなに酷いようにはしないからヘーキヘーキ」

 

 

明石「前そう言って全く容赦しなかったじゃないですか!」

 

 

提督「そんな前の事なんて覚えてないなぁ」

 

 

明石「いやいや、ちょっと前の事でしょう…ってあれ?」

 

 

提督「つべこべ言ってないでほら、やるぞ…ってまぁ一人でやるんだが」ガチャガチャ

 

 

明石「あ、ちょっと物思いに耽ってるあいだに…」

 

 

提督「ほいじゃ行きましょう。

レッツゴー!」ポチッ

 

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

 

 

夢だった。それを見て直ぐに夢だと分かった。明晰夢だった。

 

 

(これは、いつもの…)

 

 

戦いが一段落つき、ほんのちょっぴり。

ほんのすこしだけ油断をしてしまうのだ。

 

当然、逃れようとする。どんどんと迫り来る鉄火を逃れようとするが、叶わない。

 

何をしようが、自分は撃たれる。

 

撃たれ、討たれる。

 

動悸が激しくなり、震えが全身に回るが、その震えすらも徐々に出来なくなる。

 

身体が動かなくなる。血が通わなくなり、みるみる冷たくなっていくのを感じる。身体の中の空気が無くなり、どんどんと水に沈む。

 

口から塩水が入るその不愉快な冷たさ。苦しさ。目から、身体の穴から、海の水が入る激痛。

 

…いやだ。いやだ、いやだ!!

 

 

助けて。誰か。司令か–––

 

 

 

 

 

…ろ

 

 

……しろ!

 

 

 

 

提督「如月!?おい、しっかりしろ!!」

 

 

如月「!!…はぁ、はぁ…」

 

 

如月「…?司令官?

…助けに来てくれたのね…」

 

 

提督「?何を…

いや、そんな事より!お前大丈夫か!?」

 

 

 

 

【in 如月部屋】

 

 

 

 

如月「…あぁ、そっか、私…

…ごめんなさい。もう大丈夫よ、司令官」

 

 

提督「大丈夫なワケがあるか!」

 

 

 

如月「!!」ビクッ

 

 

 

提督「…魘されて泣いている人間が。

大丈夫なワケ、無いだろう…」

 

 

如月「…ごめんなさい。心配させるつもりは無かったのに」

 

 

提督「なんで謝るんだ。…どうして…」

 

 

提督「…どうして頼ってくれない。どうして泣いてた事について話してくれない。…慣れているからか?…そんなに慣れる程、同じような悪夢を見ているのか?」

 

 

如月「…もう。女の子からそんな根掘り葉掘り話を聞くものじゃありませんよ、司令官?」

 

 

提督「いいや聞くね。…恨むなら、こんな男が上官になった運命を恨むんだな」

 

提督「…俺に出来る事なら何でもしよう。

だからどうか、一人で抱え込まんでくれ」

 

 

如月「…そう、ね。身体が冷えちゃった。

同衾してくれませんか?なんて…」

 

 

提督「ああ、いいぞ」

 

 

如月「えっ」

 

 

提督「言ったろ、何でもするって。

隣失礼するぞ」

 

 

如月「……はい」

 

 

 

提督「ふう、流石にキツイな」

 

 

如月「うふふ、でも暖かいわ?

ありがとう、司令官」

 

 

提督「ああ、どういたしまして」

 

 

 

如月「…司令官」

 

 

 

 

ギュッ

 

 

 

提督「……」

 

 

如月「…怖かった、怖かった…!」

 

 

如月「忘れようと思ってても思い出しちゃって、ずっと忘れられないんじゃ無いかって。こわかった…!」

 

如月「…忘れられないで、どうしようも無い如月を見て、司令が失望するんじゃ無いかって怖かった…」

 

 

提督「…失望なんてするわけ無いだろ」

 

 

如月「…ごめんなさい」

 

 

提督「…必要以上に、君の心の中に立ち入ったりするつもりは無い。これ以上君の傷をほじくり返す気も。…ただ後一つだけ、教えてくれ」

 

 

提督「君の為に、俺は何をしてやれる?」

 

 

 

如月「…じゃあ、一つだけいいですか?」

 

如月「『大丈夫だ』と言って欲しいんです」

 

 

提督「…」

 

 

如月「ふふ、嘘になってしまうから言えない…なんて顔をしてますね」

 

 

如月「…でも、そんな事無いんです。…司令官がそう一言言ってくれれば、それはもう嘘なんかじゃ、無いんです」

 

 

提督「…そうか」

 

 

如月「ええ。だから…」

 

 

 

ギュッ

 

 

 

如月「…っ」

 

 

提督「…大丈夫。大丈夫だよ。

お前達は俺が守るから」

 

 

如月「…はい」

 

如月「…もう少し、このままで」

 

 

提督「気の済むまでしてるといいさ」

 

 

如月「ありがとう、司令官。愛してるわ」

 

 

提督「…ああ」

 

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

 

明石「随分と迫真の演技でしたね。

自分が夢を見せた癖に」

 

明石「というか如月ちゃんも夢うつつだったからか全く言及しなかったですけど何で部屋に行ってたんですか?」

 

 

提督「…」

 

 

明石「?提督?」

 

 

提督「いやな、俺、その…夢が操作される前日はその娘の部屋を見るって習慣をつけてて」

 

 

明石「…えぇ…」

 

 

提督「ん、どうした」

 

 

明石「いや、なんか…猟奇殺人犯のエピソードみたいな事言うのやめてほしいんですが」

 

 

提督「…で、部屋を見回ったら部屋の外までうめき声が聞こえて来てな。ついつい気にして入ってしまったという訳だ」

 

 

明石「は、はあ。…ん?前日って事は、ひょっとしてまだ夢を…」

 

 

提督「…ああ。如月に悪夢見せるの、今回中止だ。ちゅーし」カチャカチャ

 

 

明石「…成る程、演技じゃ無かったんですね…」

 

 

 

 

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