今回の初日挑戦者はアビゲイル・ウィリアムズ
彼女は長い時間藤丸立香と同衾できるのか──!?
(第1回~7回はないです)
「あー、あー、聞こえるかい?実況は私、花のお兄さんだ。
解説にはロマニを連れてきたぞう。」
カルデアの隅にある一室。
無味乾燥とした平時とは異なり、
複数のモニター、そして花のお兄さん事マーリンと、ロマニがモニターの前に座っていた。
マーリンはその場から、いくつかの職員とサーヴァントに向けて、念話を行っていた。
「さて、好評につき第八回目を迎えた藤丸立香添い寝選手権。
常連の君達なら説明は不要だろうが、新規の視聴者もいるので、改めて説明しよう。
ルールは三つだ、
一つ他参加者への攻撃の禁止、これは物理的、精神的問わず禁止だ。
二つ、気配遮断の使用禁止。どれだけ長く添い寝できるかを競うこの場において、気配遮断はあまりにも強すぎる。
そして最後、三つ目だ。マスターへの攻撃禁止。もちろん、わかっているだろうがマスターだ。攻撃と認識されれば、退去も有り得るだろう。
さて、目標の説明だ。
藤丸くんに気付かれる事無くどれだけ長く添い寝できるかを競う。
その長さが、そのまま得点となる。」
そこまで話終えた所でマーリンが一度喉を潤す。
「さて、解説のロマニくん。今回の注目点を説明してくれ。」
「うん、そうだね、第一回、四回、六回大会優勝者の静謐のハサンは安定して強さを発揮している。優勝を逃していても高順位をとっているからね。」
ロマニは参加鯖のリストを覗いてから続ける。
「今大会からは楊貴妃とエレシュキガルが新規参加者だね。
楊貴妃は逸話からして傾国の女性だ。どうなってしまうのか楽しみだね。」
ロマニは改めてリストを見直す。
同時に喉も潤しているようだ。
「後は、マスターのお気に入り故に気付かれるのが早いジャンヌ[オルタ]もどうなるだろうか。
今回こそ高順位をとって欲しいね。
さて、こんな所で良いかい?マーリン。」
意気揚々とマーリンは続ける
「うんうん、十分だ。
さて、プライバシー保護のため相も変わらず私とロマニの音声だけでお贈りしよう。
第八回藤丸立香添い寝選手権
一人目の参加者は……
おおっと、これは意外。
第五回大会ぶりに参加したアビゲイル・ウィリアムズだ。
藤丸くんの就寝と共に始めよう。」
「さて、藤丸くんが寝付いてから20分が経過したが、相も変わらずアビーちゃんは部屋の扉の前をうろうろしている。
これはどう見るんだい?ロマニ」
マーリンの軽快な口調は、明らかにこの状況を楽しんでいるようだった。
対してロマニは、
「ふむ、第五回ぶりということもあって、緊張しているんだろうね。
彼女の根は真面目だ。添い寝する事で迷惑が掛かるんじゃないかと心配しているんじゃないかな」
真面目に考察していた。
マーリンの真面目はどっちだとでも言いたげな目線は、悲しいかな、視聴者には伝わらないし、ロマニは受け流している。
「おおっと!?状況が動いた!意を決して藤丸くんの部屋に入っていく!」
「漸く決心がついたんでしょうね。」
二人の眼前にあるモニターには真剣な面持ちで部屋に入っていくアビーの姿が映っていた。
「静かに、息を潜めて、毛布の中に潜入していく。
この作戦、君はどう見るんだい?」
「前回、第五回大会ではテンパってダイブしてしまい、まさかの10秒という記録を打ち立てていますからね、その反省でしょう。」
そのまま何事も起きず時間は過ぎていく。
しかし、40分ほどすると事態は変わってきた。
「おや?藤丸くんが身動ぎしているね。」
「ここは機材を守るために冷房が一年を通して効いていますから、寝具は暖まれるものになる傾向があります。
そして、顕現した姿が子供のサーヴァントは、平均より体温が高い傾向にあります。」
「つまり?」
「暑くなってきちゃったんでしょうね。」
「それは辛い」
一転した状況に二人はのりのりで会話を続ける。
モニターには致命的な瞬間が映っていた。
「おーっと!藤丸くんが起きてしまった!
過去、藤丸くんが起きても気付かなかったのは両手で数えるほどしかない!」
「アビーちゃんは既に熟睡していますからね、ここからの挽回は厳しいでしょう。」
ロマニの読み通り、すぐにアビーは気付かれてしまった。
「今回の記録は45分32秒。この記録、どう見ますか?」
「前回が大失敗だったのでなんとも言えませんが、順当な結果でしょう。」
「さて、藤丸くんはアビーを起こすことなく再度寝るようだ。
明日は、この大会常連の静謐のハサンだ。
どんな記録になるか楽しみだね。」
「ええ、彼女は過去に一度、気付かれる事なく夜明けを迎える結果を残している。
再度樹立するのか、楽しみだね。」
要望があれば続きが書かれるかもしれません
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