ホラー……が、好き、なので……ゾンビを……愛でたいと……思います 作:寿限夢
この展開に賛否両論かもしれませんが、どうぞご賞味してくださいませ!
それでは、どうぞ!
※誤字脱字報告、ありがとうございます!
「……んぅ……?」
「ん~?」
イベントエリアで偶然出会った少女に、紫乃がこてんと小首をかしげる。
同時に少女も小首をこてんとかしげる。
ついでにゾンビたちも首をかしげる。
互いに見つめ合い、小首をかしげ合うふたりの考えていることは、ほとんど同じだった。
(……なんで……お絵かき、してるんだろう……?)
(なんでゾンビがいるんだろう……?)
『『ガォ~! それじゃあ! 途中順位を発表するドラ!』』
そうやって小首をかしげるふたりの間に突然、ゲームのマスコットキャラのドラゾウが、
……なぜ二匹?
ふたりの思考が重なる。
『『1位はペインさん! 2位はドレッドさん! そして3位は、メイプルさんとシノさんドラ~!』』
「えっ?」
「えっ……?」
『『なんとふたりは全く同じ時間に同じポイント数に達してるため、特別措置として、同時にランクインしてるドラ~♪』』
思わぬ爆弾発言に、ふたりは同時に目をぱちくりとさせて驚く。
どちらからともなくドラゾウ(×2)越しに相手を見やり、
「シノ、ちゃん……?」
「……メイプル……さん……?」
と、互いに名前を呼び合い、もう一度目をぱちくりとさせた。
『『もちろん、どちらかのポイントが上回れば、ランクインするのはひとりになるよ! 残り一時間! これからは、上位四名を倒した際、得点の三割が譲り渡されるドラ! 四人の位置は、マップに表示されるドラ~!』』
言うが早いか否か、ふたりのマップに赤い点が点る。
『『それじゃあ、がんばるドラ~♪』』
そう言って二匹のドラゾウは、来たときと同じように唐突に言いきって去っていった。
あとにはメイプルと、紫乃とゾンビ
「……」
「……」
「……」
「……」
「……あ~えっと、シノ、ちゃん?」
「……あ、はい……」
「私たち、3位だって」
「……はい……」
「……どうしよっか?」
「そう、ですね……とりあえ、ず……」
「いたぞ! アイツらだ!」
ふたりが話している途中で、森の奥から、ひとりのプレイヤーがふたりを指さして現れた。
いや、ひとりではない。
その後も周囲からぞろぞろと、
「いたぞぉ!」
「こっちだッ!」
「俺が先だぁ!!」
プレイヤーたちが、こぞって集まってくる。
それも百や二百ではない。
皆、ふたりの得点の三割を狙って、集まってきていたのだ。
「わわっ!?」
「……」
「――ふっ、新参のお嬢さん方。戦場の恐ろしさを教えてやるぜ……!」
思いのほか集まってきたプレイヤーに驚くメイプルと、それを静かに見ていた紫乃の前に、大きな斧を持った巨漢の男が立ち塞がる。デカい。
男が、手に持った大斧を振りかざし――
「……」
「悪く思うなうばぎゃッッ!?」
ドシャッ!!
「ひぃッ!?」
そのまま
吹き飛んだ頭が壁にぶつかり、横にいたプレイヤーが悲鳴を上げる。
「……」
「あ、あわわわッ!?」
「……とりあえ、ず……速い者、勝ちって、ことで……どうでしょう……?」
いきなりの惨事に驚くメイプルに、紫乃が囁くような声で提案する。
そしてすぐに、
「……いって……」
「「「GuAAAAAAッ!!」」」
「ひぃぃッ!?」
周囲のゾンビ’sたちに命じて、集まってきたプレイヤーたちを襲わせ始めた。
襲われたプレイヤーの、悲鳴や頭部が飛ぶ。
「「「ぎゃあああッッ!!」」」
「……あッ! ズルい!? 私も!!」
しばらく呆けていたが、よくよく考えれば先を越されたことに気付いたメイプルが、慌てて参戦する。
襲ってくる者や逃げ惑う者に、自身の大盾を当て、粒子にして喰らっていく。
「せりゃ!」
「うりゃあ!」
そんな中で、特にAGIに特化したプレイヤーがそれぞれ、紫乃やメイプルに向かい、剣やナイフで攻撃していく。
だが、
「はぁっ!?」
「なんでッ!?」
メイプルに当てたナイフは弾かれ、剣で斬られたはずの紫乃は平然としている。
斬りかかったプレイヤーが呆気にとられる。
その隙を突かれ、
「ぎゃあああッッ!!」
「うわぁあああッッ!!」
ゾンビに喰われ、大盾に喰われたりして、呆気なく、光の粒子となって消えた。
そして、驚いていたのは何もプレイヤーたちだけではない。
「えっ? なんで斬られて平気なの!?」
「なんで……ナイフ……弾けるんですか……?」
ついでに言うとプレイヤーたちや観戦者たちも、
(((まったくだよッッ!!!)))
同じ気持ちだった。
「えっと、私は単純に硬いから……」
「私、は……ゾンビ、だから……」
どちらからともなく互いに教え合うふたり。
当然、その隙を見逃すはずもない。
プレイヤーたちが一斉に襲いかかっていく。
「【デッドリーブレス】!」
襲ってくるプレイヤーたちに、いち早く動いたメイプルが紫色の致死毒の霧を放ち、迎え撃つ。
猛毒を浴びたプレイヤーたちが、次々と倒れていく。
「なっ……!?」
「がっ……!」
「――あッ! しまった! シノちゃん!?」
バタバタと倒れるプレイヤーたちを尻目に、メイプルは、何故か紫乃を心配して声をかけた。
すると、
「わぁ……すっごく……濃い(霧が)……」
「あれぇ~ッ!?」
周囲に立ち込める致死毒の霧を、まるでただの煙のようにパタパタと手を振って払う紫乃に、メイプルが驚きの声を上げた。
「効いてないの!?」
「あ、はい……私……ゾンビ、ですから……」
驚くメイプルに、紫乃が改めてゾンビだと説明する。
と、その時、立ち込める霧の中から、紫乃のゾンビがメイプルの背後に現れ――
「あっ……!」
かぷっ
メイプルのうなじに、思い切り噛みついた。
「あ……ダメ……!」
慌てて紫乃が、ゾンビを止めようと動く。
しかしその声は、メイプルの上げた声により制止された。
「アハハハハッ!! く、くすぐったいよぉ!!」
「えっ……?」
メイプルの上げた声に、今度は紫乃が驚きの声を上げる。
よく見ればゾンビの歯はまるで歯が立たず、メイプルのうなじの上を、甘噛みしてるような状態になっている。
「アハッ、アハハハハッ!」
「……大丈、夫……なんですか……?」
紫乃が心配して声をかける。
「アハハハハッ! う、うん! 私、防御力極振り! アハハハッ!! だからハハハッ!! こ、これ、止めてぇ!!」
「あ……ゾンビ……ストップ……!」
いつまでも甘噛みし続けるゾンビに、紫乃が、慌てて止めるよう促す。
その指示に従い、ゾンビがメイプルから離れた。
「はぁ……はぁ……ふぅ~……」
「……だ、大丈夫です、か……?」
「ふぅ~……うん、大丈夫! でもすごいね! ゾンビがちゃんと言うこと聞くんだ!」
息を整えた途端、ゾンビを操れる紫乃のことをメイプルが手放しに褒めあげる。
どうやら純粋に感心しているらしい。
裏表のない、その褒め言葉に嬉しくなった紫乃は、頬を朱く染め、
「えへへ……」
はにかむような笑みで、優しく微笑んだ。
「あ、かわいい!」
「あぅ……! そ、そんなこと……ないです……。そ、それより……メイプルさん……の方が、すごい……です……!」
「え~そんなことないよ~!」
「ほんと……です……! ゾンビに……噛まれても……平気……すごい……ゲーム内、最硬……」
「え~? いや、それほどでも~♪」
「ふふ……♪」
紫乃の褒め言葉に満更でもないメイプルが、嬉しそうに照れながら頭をかく。
それを見て紫乃も微笑む。
ふたりの間に流れるなんとも和やかな雰囲気。
観戦者の中にはその部分だけ見て「てぇてぇ……」と言葉を漏らす者も少なくなかった。
……尤も。
「ぎゃああああっ!!」
「ひぃいいいいっ!?」
……そのふたりの周囲は、完全な地獄絵図と化している訳だが。
周囲には致死性の猛毒の霧が立ちこめ、その霧の中を、無数のゾンビたちが蔓延っている。
逃げ惑うプレイヤーは毒に侵され、あるいは、ゾンビに襲われ悲鳴を上げながら喰われていく。
観戦者たちも思わず息を飲むその光景に、たまたま観戦していた運営の管理責任者が思わず、
『何コレ地獄かね?』
と、膝をガクブルさせて顔を青ざめてるほどであった。
「ひぃぃッッ!!」
「……あっ! 他の、人が……逃げちゃいます……!」
「あっ! 本当だ!」
ふたりがそうこうしている間にも、勝ち目がないと悟り、運良く毒霧やゾンビから逃げ果せたプレイヤーがぽつりぽつりと現れ始めた。
「追い……かけ……ます……!」
「えっ! でもどうやって!? 私、足遅いし……」
「……ゾンビ……!」
メイプルの問いかけに対し、紫乃が【マッシヴ】ゾンビ二体に声をかけ、そのうちの一体の肩に乗った。
もう一体は、メイプルの前に。
「乗って……ください……!」
「えっいいの!?」
「フェア……プレー……です……!」
驚くメイプルに、紫乃が、ゾンビの肩の上から答える。
メイプルが乗りやすいよう、さらにしゃがむゾンビ。
それに対しメイプルが、
「……そっか! ありがとう! そ、それじゃあ、ごめんね!」
紫乃にお礼を言い、ついでにゾンビに謝りながら背中に乗り、肩の上に乗った。
「わ、高い!」
「……いって……!」
逃げ出したプレイヤーたちの向かっ先を指差し、紫乃がゾンビたちに指示する。
紫乃の指示に従い、ゾンビたちが一斉に走り出した。
「わわっ! 速い速~い!」
走り始めたゾンビのスピードに、ゾンビの上に乗ったメイプルが喜びの声を上げる。
一方で紫乃は、
「【マッシヴ】……【マッシヴ】……【マッシヴ】……【マッシヴ】……!」
置いてかれるゾンビがいないよう、他のゾンビに【マッシヴ】をかけながら向かっていく。
それにより全体のおよそ三分の一程度だった【マッシヴ】ゾンビの数が、一気に膨れ上がり、全体の三分の二まで増えた。
逃げたプレイヤーたちを追い、【マッシヴ】ゾンビたちが駆け抜ける。
「――ぜぇ、ひぃ!」
「じょ、冗談じゃねぇ! あんなの相手出来るかッッ!!」
「あんなん、ほとんど魔王じゃねぇかッ!?」
一方その頃、なんとか無事逃げ果せたプレイヤーたちは、息を切らして愚痴っていた。
その背後から……
ドドドドドドッッ……、
「?」
「な、なんだ?」
「待て~~!」
「……!」
ドドドドドドッッ!!
メイプルと紫乃が、ゾンビに乗ってプレイヤーたちを追ってやって来ていた。
「ぎゃあああっ!?」
「魔王が全力で追いかけてきたぁぁあッッ!!?」
予想外の状況に、逃げ出したプレイヤーたちが、一瞬で半狂乱になる。
その隙を逃さず紫乃とメイプルが、
「【パラライズシャウト】!」
「【呪い】……」
麻痺と【呪い】の亡霊をばら撒き、一気に逃げ足を奪う。
動けなくなったプレイヤーや、動きが遅くなったプレイヤーは、逃げることが出来ず。
「「「ぎゃあああっ!!」」」
メイプルの大盾や、紫乃のゾンビに轢かれ、そのまま光の粒子となって消えた。
「わぁ! すごいすごい!!」
「……このまま……行きましょう……!」
その後もふたりは、大勢の【マッシヴ】ゾンビたちに乗ったまま、目に付くプレイヤーたちを轢き潰していく。
ぐしゃり、ぐしゃり、どちゃ、
途中、百人ほどの魔法使いと弓使いの連合軍に襲われたが、
「【
「【
三つ首の猛毒の竜や、死を振り撒く嘆きの妖精の声に、あっと言う間に撃滅された。
なお、その際にもふたりは、
「うわぁ!? すっごい声だねぇ!!」
「三つ首の竜……すごい……!」
互いに褒め合い、仲を深めていた。
そうしている間にも、時間は過ぎ。
『ガォ~終~了~!!』
イベントの終了時間となった。
『結果~! 一位から三位までの順位~! は、なんと! 驚きの順位~!』
「シノちゃん……!」
「……メイプル……さん……!」
メイプルと紫乃、ふたりがそれぞれ固唾を呑んだ。
『一位はなんと、またまたメイプルさんとシノさんの同着一位!! 続いて二位にペインさん! 三位はドレッドさんドラ~~!』
「~やった! シノちゃん! 私たち一位だって!!」
「はい……! 一位、です……!」
まさかの同着一位に、ふたりは顔を見合わせ、手を繋いで喜び合う。
『それでは三位から順に、今回のイベントの感想と、表彰式を行うドラ~!』
「「えッ?」」
『まずは三位のドレッドさんから~!』
一瞬で固まったふたりの前で、モニターに映った三位の男性がイベントの感想を述べている。
『……って感じだったな』
『ガォ~! おめでとう! それじゃあ記念のメダルをどうぞ!』
「……ど、どうしようシノちゃん! 私、なに言っていいかわかんないよ!!」
「だ、大丈夫……です……! メイプルさん……お、落ち着いて……!」
突然感想なんて言われ、どうしたらいいか分からないふたりは、互いに意味もなく手をパタパタとさせる。
空でも飛ぶ気か。
『――それでは、続いてメイプルさん!』
「はひっ!?」
『振り返ってみてどうだったドラ?』
そうこうしているうちに、いつの間にやらふたりの番が回ってきていた。
目の前のモニターに、ふたりの顔が映る。
「え、あっ、えっと……」
「……メイプル、さん……がんばれ……!」
「い、いっぱい耐えれてよかったでしゅっ!」
(あっ……)
(((噛んだ……)))
……緊張のあまり、思わず噛んでしまったメイプル。
しかも言っていることが滅茶苦茶で、何を言っているのか分からない。
「~~ッッ!!」
そのあまりの恥ずかしさにやられ、メイプルは耳まで顔を赤らめながら顔を覆い、その場にしゃがみ込んでしまった。
どうフォローすればいいか分からず、紫乃はその場でオロオロする。
「~~ッ!」
「……えっ、えっと……」
『それじゃあ最後にシノさん! 今回のイベントを振り返ってみてどうだったドラ?』
「あっ……!」
そんなメイプルを余所に、とうとう感想の矛先が、紫乃へと向かいやってきてしまった。
「え、っと……」
『ん~?』
モニターに映る自身の顔を見ながら、紫乃は頭を回転させる。
何を言うべきか。
しかしその考えは、すぐ変わった。
(――ありのまま、思ったことを話そう)
『ん~?』
「ゾ……ゾンビと……みんなで、遊べて……楽しかった、です……! 新しい……お友だちも、増えて……。また……みんなと……一緒に……ゾンビと……遊びたい……な……♪」
そう言うと紫乃は、モニターの向こうにいるすべてのプレイヤーに向かい、可愛く微笑んでみせた。
それは普段、紫乃がゾンビや親しい者にしか見せない、特別妖しく美しい表情だった。
その笑みに対する反応は、実に様々で、
「ひっ!?」
今回のイベントでやられ、その笑みにトラウマを覚える者や。
「ん”ッ!!」
その蕩けるような艶のある笑みと声音に、何かに目覚めかける者がいたりなど、実に多種多様であった。
こうして、色々な人に色々な感情やトラウマを植え付けた第一回イベントは、幕を降ろしたのである。
「……ふぇぇ~! 恥ずかしいよぉ~!」
「ど……ドンマイ……です……!」
……ということで! 拙作では紫乃ちゃんとメイプル、ふたりが同率一位と相成りました!
初期設定では、ふたり並んで同率三位にしようかなと思ってたんですが、速度を得たメイプルと同格の紫乃が、果たしてその程度で済むかと考え、思い切って同率1位にまでのし上げちゃいました(苦笑)
ちなみにペインとの差は、わずか1・2人差です。ペイン……((((;゜Д゜))))
いつも感想をくれる皆さま、評価してくれる皆さま、いつもありがとうございます!
次回も出来る限り速く書けるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いします!
出来れば感想と評価も!(ちゃっかり)
それでは!(ゝω・)
サービス回……いる?
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いりゅううう!!(ホラー)
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いりゅううう!!(セクシー&ギャグ)
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要らぬ!!