ホラー……が、好き、なので……ゾンビを……愛でたいと……思います   作:寿限夢

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 大変長らくお待たせしました!
 誠に申し訳ございません!
 あれも入れたい、これも入れたいと書いていたらめちゃめちゃ長くなってしまい、削るのに時間がかかってしまいました!

 という訳で今回は連続三話!すべてゾンビ回となります!
 主人公が少ないです(泣)
 それでは、どうぞ!
 
 ※誤字脱字報告ありがとうございます!
 


ホラー少女とゾンビーズ

 ――ある大学で行われた、ある実験の話をしよう。

 

 その実験で行われたのは、AIの知能進化について。

 狩猟・補食・繁殖・死――そして、わずかな知識の蓄積・遺伝のみをプログラムされたAIを、ひとつのサーバー(箱庭)に入れ、放置する。

 サーバー内にはエサとなるデータ(簡易AI)が自動でリポップして、それを狩猟し捕食することによって、AIは繁殖することが出来る。

 そして、ある一定期間が経つと、古いAIから“死ぬ(機能停止する)”。

 

 

 そういった状況下で、AIはどのような変化をするのか?

 

 

 1・ただひたすらにプログラムされた行動を繰り返す。

 

 2・エサを食いつくすほど捕食・繁殖する。

 

 3・突然、一斉に死亡する。

 

 etc.etc.etc.……

 

 

 

 様々な結果が予想されたが、結果は、このいずれでもなかった。

 

 

 驚くべきことに成長し、進化した“彼ら”が行った行動は“信仰”。

 

 

 狩猟したデータを捕食し、繁殖出来ることを【■】に感謝し、そして、(機能停止)した仲間の死を悼み、“祈り”を捧げたのだ。

 

 

 そう。

 

 彼らは進化し、“認識”したのだ。

 

 自身より絶対的上位者たる――

 

 

 

 【神】の存在を

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「……あっ……」

 

 

 蛭を倒してから、進むこと二時間。

 ようやく湿地帯を抜けた紫乃たちの前に現れたのは、鬱蒼とした森であった。

 

 

「今度は森か……」

 

「……あんまり、変わらない……ね……?」

 

「まぁ、沼地よかマシだな……」

 

「「「「「Gu!」」」」」

 

 

 ゾンビ神輿に揺られながら、紫乃たちは森の中へと入っていく。

 森の中は薄暗く、見通しが非常に悪い。

 藪も非常に多く、奇襲にはうってつけの地形だったが、二人の予想とは違い、モンスターが一匹も出てこない。

 

 

「……何、も……出てこないね……?」

 

「だな……」

 

「「「「「Guuuu……?」」」」」

 

 

 あまりの静けさに、紫乃とメアリーが小首を傾げる。

 ついでにゾンビたちも首を傾げる。

 周囲のゾンビたちが、文字通り草の根分けて藪の中に顔を突っ込んだりしてみたが、それでもモンスターは現れない。

 そうこうしているうち日が沈み、暗かった森が段々と、より暗くなってきた。

 

 

「……どう、する……?」

 

「……仕方ねぇ。今日はこの辺で休むか」

 

 

 このまま無理に突き進んでも、あまり成果が得られるとは考えにくい。

 夜半の奇襲に特化したボスモンスターの存在も考えられるし、何より、どこかにメダルが隠されている可能性もあるのだ。

 ちょうど少し先に拓けた場所が見えてきたこともあり、ふたりは早々に、休むことにした。

 

 

「ここをキャンプ地とする!」

 

「「「「「Gu!!」」」」」

 

「……? なに、それ……?」

 

 

 突然の親友の宣言に紫乃が首をかしげる。

 

 

「あ? オーイズミ・ヨーだよ? 日本のコメディアンだろ? この間、父さんがDVD見て爆笑してた」

 

 

 ぐだぐだで面白かったぞ? といいながら、メアリーはインベントリから小さな糸を取り出し、神輿の周囲の草や木を縛り、結んでいく。

 簡易式の罠である。

 結ばれた枝が視界を覆い、結んだ草が、足に引っ掛かり相手を転ばせる。

 ついでにゾンビたちにも軽く穴を掘らせ、気付かずに進むと足をとられる、簡単な落とし穴を設置していく。

 

 

「まぁ、こんなとこだろう」

 

「「「「「Gu!」」」」」

 

 

 およそ15分足らずで、神輿を中心にした罠だらけの陣地が完成した。

 しかも、一見すれば無作為に設置されているが、その実、避けながら進むと自然と決まったルートを通るように仕向けられている。

 仮に罠を見破られたとしても、決まったルートで来る相手を狙い撃つのは容易い。

 油断したところを狙い撃ちする、二段構えの鬼畜仕様である。

 

 

「そんじゃ紫乃、仕上げ頼む」

 

「……ん……ゾンビ……!」

 

「「「「「GuU!!」」」」」

 

 

 紫乃の掛け声に、ゾンビたちが集結し整列する。

 

 

「……辺りを、警戒してて……呼びかけが、あったら……すぐ集合……それ以外は……好きにしていい(・・・・・・・)、よ……」

 

「「「「「GuU!」」」」」

 

「……それから……これ……」

 

 

 言いながら紫乃が、インベントリからアイテムを取り出した。

 取り出したのは、一抱えもある大きな瓶である。

 瓶は透明になっており、外から色とりどりの飴玉が詰まっているのが見える。

 

 

「……みんなで……食べて、ね……?」

 

 

 一番手前のゾンビから、紫乃が一体一体、手渡しで飴玉を与えていく。

 受け取ったゾンビたちは嬉しそうに飴玉を口に入れ、舌の上で転がしながら、うまそうに嘗めはじめた。

 

 

「……みんな、頑張って……ね……?」

 

 

「「「「「GuOOOOOOOOOOOOッッ!!」」」」」

 

 

 紫乃の言葉に、ゾンビたちが喜びながら某銀翼部隊のような敬礼で応える。

 一体どこで覚えたのやら。

 口いっぱいの飴玉を頬ばりながら、仕掛けた罠を避け、ゾンビたちがあちこちに散っていく。

 

 

「……なぁ、紫乃」

 

「……んぅ……?」

 

「アイツら……賢くないか……?」

 

「……うん……賢くて……かわいい……ゾンビ……♡」

 

「いや、そうじゃなくてよ……」 

 

「……?」

 

「……なんつーか、妙に賢くなってきてないか?」

 

 

 散っていくゾンビたちを見て、メアリーがぽつりと言った。

 

 

 

  

 

 

 

 

「「「「「Guuuu……」」」」」

 

 

 深い森の中を、複数のゾンビが歩いていく。

 紫乃に言われた通り、辺りを警戒している。

 しているが、彼ら(・・)の思考は、別に向かっていた。

 

 

『シノ様――』

 

 

 複数いるゾンビのうち一体が、ぽつりと呟く。

 周囲には単なるうめき声に聞こえるだろうが、彼らは互いにその意味を理解していた。

 

 

『シノ様……我らが(しゅ)

 

『我らが主より、恩賞を賜った……』

 

 

 言いながら、口の中の飴玉を、舌でかろりと嘗める。

 彼らの言う恩賞とは、この飴玉のことである。

 

 

『かような恩賞を、我らに賜りくだされるとは……』

 

『なんとお優しい』

 

『このような素晴らしき恩賞を味わえるのは、すべてはシノ様のおかげ――』

 

 

 こんなにも素晴らしい物をくれる我が主は、やはり特別な存在なんだと彼らは思う。

 故に、彼らは考える。

 

 

『『『『『主に、報いねばならぬ――』』』』』

 

 

 通常では、あり得ない考えであった。

 単なるAI、しかも、死んでもすぐ代わりが出来る召喚(インスタント)式モンスターが、ここまで深い思考を持つことなどは。

 どうしてこうなったかといえば、すべては紫乃(・・)システムの関係性にある(・・・・・・・・・・・)

 

 それというのも実は、【死霊術】で召喚されるゾンビのリソースは、すべて同じもの(・・・・・・・)を利用しているのだ。

 要するに【死霊術】とラベリングされた蜂蜜の瓶の中から、元となるリソースの蜜を取り出し、それを元にゾンビという蜂蜜飴を作っているのである。

 そして、使い終わったなら、また同じ瓶に戻していくのだが、その際に余計な付着物がついてくる。

 この付着物が、知識や経験だ。

 本来であれば、これらの付着物は瓶に戻した際、キレイに取り除かれるのだが、それでも僅かながらに蓄積されていく。

 といっても、蓄積されるのはそれこそ、砂糖一粒分くらいの量なので、本来なら問題はないのだが、そこにイレギュラーが登場した。

 

 それが紫乃だ。

 

 圧倒的MPによる、ゾンビのゴリ押し大量召喚。

 超々時間に渡る運用。

 それらは、予想されていた【死霊術】の使用量を遥かに上回っていた。

 それに加え、第2のメイプル&紫乃を生み出さないために処置したモンスターのAI強化のアップデートによって、うっかり【死霊術】ゾンビのAIまで強化され、蓄積量も増えてしまった。(これは完全に運営のミス)

 結果、元々ネタ枠で用意していた、【死霊術】ゾンビのAI初期化の処理能力を大きく飛び越え、紫乃のゾンビたちは自我を獲得した。

 

 紫乃を【"(絶対神)"】として仰ぐ、強烈な自我を。

 

 

『我らが主に報いねばならぬ』

 

『うむ』

 

『うむ』

 

『どう報いる?』

 

『より、大きな供物(モンスター)を捧げれば良いのでは?』

 

『ばか、そんなことは当たり前のことだ』

 

『今さらすぎる』

 

『おい、今お前ばかって言った?』

 

 

 腕を組み、頭をひねりながらゾンビたちは考える。

 なお、警戒することも忘れない。

 そんな時、一体のゾンビが口を開いた。

 

 

『ひとつ、思いついたことがある……』

 

『なに?』

 

『何だ、何を思いついた?』

 

『なあ、今お前ばかって言ったろ? なぁ?』

 

『メダルだ……』

 

『メダル!?』

 

『お前たちも見ただろう? 我らが主は、メダルを集めている……』

 

 

 言われたゾンビたちが、ぴたりと足を止めた。

 言ったゾンビも足を止める。

 そのうちバカと言われたゾンビは、言ったゾンビをガン見している。

 

 

『メダルを集めて、主に捧げれば良い……』

 

『なるほど』

 

『その手があったか』

 

『なぁお前今ばかって言ったよな? なぁ?』

 

『しつこいな』

 

『しつこい!? 今しつこいって言ったァ!?』

 

『お前らうるさいよ』

 

『だが、我らは主より"警戒しろ"と言われているぞ?』

 

 

 騒ぐゾンビを余所に、二体のゾンビが話を進める。

 彼らにとって主の命令は、自身の命より遵守すべきことである。

 

 

『主の命令は絶対だぞ?』

 

『問題ない……』

 

『なに?』

 

『どういうことだ?』

 

『お前ら、よぉく思い返してみろ。主は最後に、それ以外、好きにしていい(・・・・・・・・・・・・)と仰った……』 

 

『『『『あっ!』』』』

 

 

 話していたゾンビ以外、その場にいた全員が思わずハッとした。

 確かに、言っていた。

 言ってはいたが、自分たちの自由より、先の“警戒しろ”,という命令を遵守するあまり、そこまで考えが巡っていなかった。

 

 

『なれば警戒しつつ、メダルを探せばいい……』

 

『なるほど!』

 

『その手があったか!』

 

『お前、天才か!?』

 

『他の者にもそう伝えよう……我らだけで探すより、見つかる率が高くなる……』

 

『うむ! では、我はあちらから伝えてくる!』

 

『ならば、我はこちらからだ!』

 

『なら、我はそちらに』

 

『それならば、我は向こうに伝えてくる! ばかじゃないので!』

 

『まだ言うか……』

 

 

 そう言ってゾンビたちは、それぞれ別の方角に散り、仲間の元へ向かっていった。

 今しがた話した内容を、それぞれの仲間に伝え、次から次へと広めていく。

 話を聞いたゾンビたちは、それぞれ警戒をしつつ、まだ話を聞いていない者にも伝えながら、文字通り草の根を分けるようにして、メダルを探し始めた。

 

 

『探せ』

 

『探せ』 

         『メダルだ』

 

   『メダルを探せ』

 

『主に献上するのだ』 

 

         『探せ』

『探せ』

 

 『あちらか――』  

        『いや、こちらか』

 

『こちらにはない――』

           『ならば、あちらか』

 

   『探せ……』

 

『メダルを……主に献上するのだ……』

 

 

 暗い森の中を、蠢くゾンビのうめき声が響いていった。




 
 ★その頃、とある森の中では――


「うう……怖くない怖くない怖くない怖くない……」

「大丈夫、ほら! シノちゃんの気持ちになって!」


 ――徘徊する野良ゾンビに怯え、思わずメカクレで対処する二人と。


「――ハッ! いま、とてつもなく素晴らしいメカクレの波動が!?」


 ……どっかの管理室で反応する、とある変態がいたという……。

サービス回……いる?

  • いりゅううう!!(ホラー)
  • いりゅううう!!(セクシー&ギャグ)
  • 要らぬ!!
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