ホラー……が、好き、なので……ゾンビを……愛でたいと……思います 作:寿限夢
わっしょいわっしょい!!
└(゚∀゚└) (┘゚∀゚)┘
「……トントン お寺の 道成寺~♪……♪」
罠だらけの館の廊下を紫乃は歌を歌いながら進んでいく。
歩くたび様々な罠が発動し紫乃に襲いかかってくるが、そんな事などどこ吹く風。
壁や床、天井から巨大な斧の刃や鉄の槍が飛び出し首を裂き胸を貫こうとも、紫乃には痛くもかゆくもないので、もはや館の罠はそのビジュアル、凶悪さで紫乃を楽しませるだけの、ただの舞台装置と化していた。
『……』
……なお、そんな紫乃に巻き込まれたコックは完全に沈黙し、ただの人形と化している。
人形なのに目が死んでいるとは、これいかに。
「……
そうやって歩いていると、ふと紫乃が、廊下の天井を見上げて足を止めた。
それというのもなにやら天井から、ドカドカと音がするからである。
「……?」
天井からする物音に、紫乃は小さく小首をかしげた。
天井から針付きの岩が落ちてくるでも、ギロチンが落ちてくるでもない。どちらもついさっき喰らったばかりだ。
なら次は、天井ごと落ちてくるのだろうかと思い、そのまま見つめていると、不意に天井が割れ。
『『『『『GUOOOッ!!』』』』』
「……あ……ゾンビ……」
『『『『『GUッ!?』』』』』
降ってきたゾンビたちに、紫乃がポツリと呟いた。
するとゾンビたちは、一斉にぐりんと振り返った。
目をくわっと皿のように見開いたゾンビたちの目に、紫乃の姿が映る。
「……んぅ……?」
それと同時に、
バッ!!
ゾンビたちが、一斉に地面から飛び上がり、
グルグルグル!
空中で三回転、そして、
ビターンッ!!
両手両足を投げ出し、紫乃を取り囲むように、綺麗に五体投地した。98点!
『『『『『GUOOO~~!』』』』』ワガアルジ~!
そして、そのまま、まさかのガチ泣きし始めた。
身長2メートル越えの筋肉ムキムキの
「……わぁ……探しに……きて、くれたの……?」
『『『『『GUッGUッ!』』』』』
紫乃の言葉に、ゾンビたちが床をへこませながら頷く。
「……ふふ……ありが、とう……ね……」
泣きながら五体投地するゾンビに、紫乃がそっと手を伸ばした。伸ばした手で、地面に付したゾンビの頭を撫で撫で。
「……いい、子……いい子……♡」
そうして紫乃は、五体投地した全てのゾンビの頭を撫でていく。小さく華奢な手のひらが触れる度、ゾンビの体が小刻みに揺れていく。
『『『『『GUOOO……!!』』』』』
この自らが“主”と仰ぐ少女の神対応に、ゾンビたちはさらに号泣。泣きながら紫乃の足元にすがりついた。
端から見れば、さながら聖書にある聖母マリアのようだが、如何せんすがっているのがゾンビであるため、見た目にはどう頑張っても、ホラー映画のパッケージである。
『『『『『GUOOO!』』』』』
それからおよそ十分ほどして、ようやく落ち着きを取り戻したゾンビたちが復活した。
復活して早々、何処からか見つけてきたであろう背もたれ付きの椅子に紫乃を座らせ、二体で挟み込むようにして持ち上げる。ゾンビ神輿室内バージョンだ。
『『『『『GUOOO!』』』』』ワッショイ!
「……そういえば……ゾンビたち、は……どうやって……ここまで……来た……の……?」
椅子にちょこんと座った紫乃が、小首を傾げ、ゾンビたちに訊ねる。
とりあえず天井ーー二階からすると床、をぶち破ってきたのは分かるが、そこに行き着くまでにも、罠があったはずだ。
『GU!!』
紫乃の疑問に応えるように、ゾンビの一体が廊下の先へと歩き出した。
紫乃たちも後に続いていく。
やがて、先行するゾンビに対し罠が発動し、巨大な振り子刃の刃が、ゾンビの顔目掛けてやってきた。
が、
『GU!!』
バキャ!!
迫りくる振り子刃の刃へ向け、ゾンビの豪腕右フックが炸裂。向かってきた振り子刃の刃が砕け散り、辺りに散らばった。
『GU!!』
「……わぁ、すごい……!」パチパチパチ!
見事なカウンター?を見せてくれたゾンビに、紫乃が無邪気にパチパチした。
ゾンビたちがどやぁっとする。
そう、ゾンビたちは全員、こんな感じに館にある罠を全て力ずくで攻略してきたのだ。 力こそパワー!
「……なら……大丈夫だ、ね……♪」
『『『『『GU!』』』』』
「……それじゃあ……ゾンビ、GO……♪」
『『『『『GUOOO!』』』』』
紫乃の言葉と共にゾンビたちが前進していく。
当然、館に仕掛けられた罠が発動し、紫乃とゾンビたちに襲いかかってくるが、
『GU!』バキッ!
『GO!』メキャッ!
ゾンビたちが一蹴し、文字通り蹴散らしていく。
「……あはは……すごい……すごい……♪」
それを見て紫乃がまた喜び、手を叩いて褒めそやすものだからゾンビたちのテンションはどんどん上がっていく。
おかげで最初はちょっと早歩きくらいだったゾンビの速度が、徐々に小走りから駆け足へ。
遂には、全力で走りながら罠を破壊していくまでになった。
『『『『『GUOOO!』』』』』
「……ふふ……あはは……♪」
そんな状態だからゾンビ神輿(椅子)に乗せられている紫乃も当然、上下左右にガックンガックンに揺られているのだが、当の本人はえらくご機嫌である。紫乃はジェットコースターも余裕で乗れる子だった。
『『『『『GUOOO!』』』』』
そうこうしている間にもゾンビたちは廊下の先へ先へと前進。出てくる罠を破壊しながら進んでいく。
遂には廊下の先、突き当たりであろう大きな木製の扉が見えてきた。
『『『『『
見えてきた木製の扉へ向け、先行していたゾンビ二体がさらに加速して跳躍。扉へ向けドロップキックをかました。
扉が砕け散り、ボロボロになって吹っ飛ぶ。
減速せず、そのまま風通しの良くなった扉の跡を抜けた紫乃たちが出たのは、館に入った時にいたエントランスである。
どうやら、元いた場所に帰ってきたようだ。
「……まだ……誰も……いない、ね……?」
『『『『『GU!』』』』』
辺りを見回した紫乃がポツリと呟く。
てっきり、
「……他の子、は……」
バキッ! メキャッ!
紫乃がそう呟いた時、二階の二つ扉が同時に吹き飛んだ。
見上げてみれば、空いた二つの扉から顔を覗かせる無数のゾンビたち。無論、紫乃のゾンビたちだ。
『『『『『GUOOO~~!』』』』』ワガアルジ~!!
ようやく探していた
ズルッ、ドタドタドタッ!
途中で足を滑らし、将棋倒しに階段を転がり落ちた。紫乃の前に、
『『『『『GUOOO~~!』』』』』
「……ただい、ま……」
紫乃が神輿から降り、うず高く積もったゾンビたちの頭を一体一体優しく撫でていく。こちらも本日二度目である。
そうやって撫でていると、紫乃はそのうちの二体が手に持っている、ある物に気付いた。
「……それ、は……?」
『『Gu? GU!』』
紫乃の質問に、聞かれたゾンビが手に持っていたそれを掲げて頷く。
見ればそれは、紫乃が持つコックと同じような
ただしそれぞれ服装が異なり、片方は
「……見つけて、きたの……?」
『『GuGU!!』』
『『……』』
掲げられた人形に、紫乃が顔を近づけてジッて見つめる。だが、反応がない。どちらもぐったりしている。
「……」
それでも紫乃がジィ見つめていると、魔法使いの人形がプルプルとしながら手をあげ、紫乃の方へと向けた。
人形の手に魔法陣が現れる。
それと並んで、執事の人形もプルプルとしながら懐からナイフを取り出し、紫乃に向かって投げようとした。
が、
ブン、ボグシャアッ!
人形を握っていたゾンビが拳を振り抜き、ぬいぐるみの顔面を叩き潰した。
人形の顔面が凹む。
二体の攻撃をキャンセルされ、またぐったりした。
「……わぁ……」
『『GU!』』
顔面の陥没した人形に紫乃が声をあげる。
そして、なんか色々察した。
なお、察した当人も自身が抱いてる人形に対して、だいたい同じような事をしているが、当人は無自覚であり、それに気付いていない。
……
「……ん?」
『『『『『GU?』』』』』
と、そんな時、まだ開いていない扉から、何かが近づいてくる音が聞こえてきた。
……ドドドドドドドドドドドドッ!!
バンッ!!
「ヒャッハァアアアッ!!」
『『『『『GuOOO!!』』』』』
「……あ、メアリー……」
『『『『『GU!?』』』』』
唯一無事だった扉を蹴破って出てきたのは、メアリーだった。蹴破られた扉がバラバラに砕け散る。それに続いてメアリーの背後から、無数の紫乃のゾンビたちがにエントランスへ一斉に雪崩れこんできた。
「Hey!!!Hey!!!Hey!!!Hey!!!」
『『『『『GU!!Gu!!』』』』』
そんなメアリーたちはエントランスに入ってからも、何かを頻繁に蹴り回し、ボール代わりにサッカーしている。
蹴っているのは、ハサミを持ったメイドの人形。
そう、紫乃を探していたゾンビとたまたま合流したメアリーは、エントランスへ戻りがてらメイドを蹴り回し、ゾンビとサッカーしながら戻ってきたのだ。
「……お帰、り……メアリー……」
「OH! 紫乃! そっちは速かったナァ!!」
ゾンビからパスされたメイドを、メアリーがリフティングしながら別のゾンビにパス。なお、パスされたのは紫乃と来たゾンビで、メアリーと来たゾンビは紫乃に縋り頭を撫でられている(本日三度目)。
「そっちも人形と罠かァ!?」
「……うん……私はこの子、で……ゾンビたちは……あの子と、あの子……」
紫乃が胸に抱いたコックの手をふりふりしながら、ゾンビの持っている執事と魔法使いの人形を指差す。なお、ゾンビはメイド(をボールにした)サッカーに影響されたのか、それぞれ二体をボールにしたバスケやキャッチボールに勤しんでいる。
「ってことは、これで全部か!?」
「……うん……だから……そろそろ……」
『『『『『「GuU!?』』』』』
紫乃がメアリーの言葉にうなずくのと同時に、ゾンビたちが驚いたような声をあげた。見れば、ゾンビたちが投げたり蹴ったりしていたメイドや執事の人形がふわりと浮き上がり、青白く発光している。
「……あっ……」
そしてそれは、紫乃が抱いているコックも同じであった。紫乃の腕からスルリと抜けながら、青白く発光し空中に浮かびあがる。
浮かび上がった四体の人形は、階段の踊り場――切り裂かれた肖像画の前を開け、横一列に集まる。
すると肖像画の中から、赤い華美なドレスを纏った
『おや、こんにちは? まだ生きてるなんてずいぶんしぶといことだねぇ?』
「お、喋った」
「……わぁ……♪」
『がんばってひぃこら逃げて来たんだろうけど、
『『『『『Guaa……?』』』』』ナンダァ? テメェ……
『何故かって?』パチンッ
ドレスの人形が指を鳴らす。すると、人形の背後の空間が歪んで、中から剣や槍、弓や斧などで武装した無数の
『おまえらは全員、ここでくたばるからだよ!! 悔し~ねぇ? あひゃひゃひ――』
バンッ
『あびゃあァッ!?』
突如放たれた銃声とともに、ドレスの人形が大きくのけ反った。
撃ったのはもちろんメアリー。
高笑いする人形に『こいつ隙だらけだな』と思い、右手に持った【鬼王の銃剣】で額を撃ち抜いたのだ。
『あがががが……っ!?』
「……ダメ、だよメアリー……ちゃんと、最後……まで聞いて……あげなきゃ……」
「いやだってよぉ、なんかアイツ喋り方、スゲームカつくし」
注意する紫乃にしれっと答えるメアリー。
紫乃はゲームのイベントはしっかり見る派で、メアリーはわりと飛ばす派だった。
『ぐぅう……テ、テメェッ!』
のけ反ったドレスの人形がぐりんと顔を戻し、撃ったメアリーをギラリとにらみつける。その顔にはひび割れたような亀裂が広がり、頭上に現れたHPゲージが、ほんの少し減っていた。
『かわいいお人形ちゃんに何てことしやがるッ!!』
「ハッ! ちったぁマシなツラになったじゃねぇか!」
「……あ、良い……(ホラー的な意味で)」
『『『『『GuGAGA!!』』』』』ウケルwww
『~~ッ! 殺スッ!!』
ドレスの人形がヒステリックに叫ぶ。するとそれと同時に周囲にいた人形が一斉に武器を構え、紫乃たちへと殺到した。
「ハッ! 上等ッ!」
「……!」
それに対し紫乃たちもまた、各々武器を構え対峙する。
ゾンビたちも牙を剥き、襲いくる人形たちへ飛びかかっていく。
『GuOOOOッ!!』
戦いの火蓋が、切って落とされた。
サービス回……いる?
-
いりゅううう!!(ホラー)
-
いりゅううう!!(セクシー&ギャグ)
-
要らぬ!!