ホラー……が、好き、なので……ゾンビを……愛でたいと……思います   作:寿限夢

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 なお主人公の歌声は、声優の能登麻美子さんをイメージしていただけると分かりやすいです。

 ※誤字脱字報告ありがとうございます!


ホラー少女と初戦闘

「えっと……」

 

 町に降り立った紫乃は、キョロキョロと辺りを見回した。

 行きたい場所は決まっている。動画に出ていた北の森だ。

 だが、まだ降り立ったばかりで、北がわからない。

 

「んと……ス、ステータス……」

 

 ならば、ステータス画面にでも地図が付いていないかと考え、紫乃はステータス画面を開いた。

 ヴォンという音と共に、紫乃の前に青い半透明のパネルが浮かび上がる。

 

 シノ

 Lv1

 HP 15/15

 MP 1100/1100《+100》

 

 【STR 0】

 【VIT 0】

 【AGI 0】

 【DEX 0】

 【INT 50(+20)】

 

 装備

 頭 【空欄】

 体 【初心者のローブ】

 右手 【初心者の杖】

 左手 【空欄】

 足 【空欄】

 靴 【空欄】

 装飾品 【空欄】

 【空欄】

 【空欄】

 

 スキル

 【闇魔法Ⅰ】

 【ダークボール】

 

 なにやら、MPの値だけ異様なことになっている。

 なお、HPやMPはポイントを1振るだけで20上がる仕様だ。

 与えられたポイントのおよそ半分を注ぎ込んだのだから、妥当な数字のはずなのだが、INTを除き他がすべて0であるのに対し、ひとつだけ4桁を越えているというのは、やはり否応なく目立つ。

 

「むぅ……載ってない……」

 

 ちなみに、ステータス画面に付随していた地図には何も描いてなかった。

 どうやら、行ったことのある場所しか表示されないようである。

 紫乃はいきなり迷子になった。

 

「……ひ、人に……聞かなきゃ……」

 

 現状を打破すべく、紫乃は人に尋ねてみることにした。

 人と喋るのは苦手だが、これも愛しのゾンビのため。

 紫乃は好きなことのためなら頑張れる子だった。

 

 

 しかし、ここで、ある問題が生じた。

 

 

「あぅ……み、みんな……歩くの、速い……」

 

 いざ声をかけようとしたら、周りを歩く人すべて、異様に足が速かった。

 いや、違う。

 紫乃が遅いのだ。

 意外なところで、【AGI 0】の弊害が現れた。

 

「えっと……あの……」

 

 適当な人に声をかけてみるが、誰も彼も素通りしてしまう。

 ただでさえ透き通った囁くような声質な上、声も小さいのだ。

 それでも紫乃は諦めず、出来るだけ歩くのがゆっくりな人を探して、声をかけていった。

 

「あ、あの……!」

「ん?」

 

 そして、その行為がついに実った。

 背の高い、大きな斧を背負った男性が、声に気付き、立ち止まってくれた。

 

「……ん~?」

「えっ……えっと、あの……下です……」

「ん……おぉっ!? 悪りぃ悪りぃ! 小っさくて気付かなかった!」

 

 男性は最初、なぜか辺りをキョロキョロと見回していたが、紫乃に気付くと笑いながら謝ってきた。

 どうやら、紫乃が小さくて見えなかったらしい。

 

「それで? 俺になんか用か?」

「はい……あの、えっと……き、北の森は……どっち……です、か……?」

 

 ゲーム内での初めての交流に、紫乃はちょっと緊張しながらも質問した。

 

「北の森? それなら、この先をまっすぐ行った先にあるぜ」

「わ、わかりました……ありがとう、ございます……」

「でも、あそこは結構、敵強いぜ? 嬢ちゃんひとりで大丈夫か?」

 

 ペコリと頭を下げる紫乃に、男性が少し心配気に忠告する。

 それというのも、北の森は推奨レベル10以上。

 一番レベルの低い西の森ならいざ知らず、方角すらわからない、明らかに始めたばかりの初心者が行くには、少し荷が重いのではないかと感じたからだ。

 

「だ、大丈夫……です。ゾンビ……見たいだけだから……」

「は? ゾンビ?」

「そ、それじゃあ……」 

 

 もう一度ペコリと頭を下げ、紫乃はとてとてと教えられた道へと歩いていった。

 

 男性はその背中を、ぽかんとした顔で見送っていた。

 

――――――――――――

 

「……」

 

「……あ、ドラグ~!」

「遅かったじゃないか。どっかで道草してたのか?」

 

「……なぁ、ドレッド。フレデリカ」

 

「ん?」

「なに?」

 

「……ゾンビって、わざわざ見に行くもんようなもんか?」

 

 

――――――――――――

 

 

 教えてもらった通りに進むこと5分。紫乃は町の外へと出ていた。

 周囲に人はいない。紫乃ひとりだけである。

 

「……と~おりゃんせ、とおりゃんせ。こ~こは、どこのほそみちじゃ~……♪」

 

 のんびりと歌を歌いながら進んでいる。

 なお、選曲に特に深い意味はない。

 ただなんとなく知っている歌を口ずさんでいるだけなのだが、紫乃の歌い方の癖か、妙にエコーがかかっており、なんだか最後まで聞くと呪われそうな雰囲気を醸し出している。

 

「このこの、ななつのおいわいに~……あっ」

 

 そんな紫乃の行く先に、一匹の猪が現れた。

 まだ距離があるため、向こうはこちら(紫乃)に気付いていない。しかし、このまま進めばやがて気付かれてしまう。

 先に進むのなら、戦闘は避けられない。

 

「……なら、()る……しか、ない……よね?」

 

 即断即決。

 紫乃は早々に、猪を亡き者にすることにした。

 杖を構え、狙いを定める。

 

「えっと……こう、かな……【ダークボール】」

 

 紫乃の声と共に、杖の先端に魔法陣が展開され、そこから暗い闇色の球が撃ち出される。

 撃ち出された闇球は宙を疾り、まだこちらに気付いていない猪の横っ腹に命中し――

 

 

 

 (はらわた)を吹き飛ばし、一撃でHPを全損させた。

 

「あっ……あれ? 意外と、弱い……?」

 

 相手の反撃を警戒していた紫乃は、思いの外あっさり勝てたことに首をかしげた。

 

『スキル【大物喰らい(ジャイアントキリング)】を取得しました。レベルが6に上がりました』

 

「あ……レベルも、上がった……」

 

 ついでにレベルも上がり、なんかスキルも得た。

 なんだか拍子抜けするが、無論、これらの原因は相手()が弱かったからではない。単純に紫乃の魔法が強かったからだ。

 極振りではなくとも紫乃のINTは50。装備分も含めれば70と初心者としては破格の数値となっている。

 当然、INT値に直結する魔法の威力もそれに影響され、確実に格上である猪を、一撃で仕留められる威力になっていたのだ。

 

「えっと……スキル……【大物喰らい】?」

 

 

大物喰らい(ジャイアントキリング)

 HP、MP以外のステータスのうち四つ以上が戦闘相手よりも低い値の時にHP、MP以外のステータスが二倍になる。

 取得条件

 HP、MP以外のステータスのうち、四つ以上が戦闘相手であるモンスターの半分以下のプレイヤーが、単独で対象のモンスターを討伐すること。

 

 

「……結構、強い……のかな……?」

 

 実際それなりに強いのだが、まだ一回しか戦っていない紫乃には、いまいちが実感がわかない。

 

「あっ……ステータス、ポイント……」

 

 一気にレベルが上がったことにより、紫乃のステータスポイントも一気に15増えていた。

 なお、ステータスポイントは二の倍数の時に5づつ、10の桁が増えた時だけ10貰える仕様である。

 

「……ん~……どうしよう……かな?」

 

 一度割り振ると元には戻せないようなので、紫乃は慎重に考える。

 先ほどの町中の事を考えると、AGI に振っても良さそうだが……。

 

「と、とりあえず……今は……貯めとこう……かな」

 

 まだ何が起こるかわからないので、とりあえず保留にすることにした。

 困った事があったら、その時に使えばいい。

 目的地へ向けて、紫乃は再び歩き出した。

 

「……と~おりゃんせ、とおりゃんせ。こ~こは、どこのほそみちじゃ~……♪」

サービス回……いる?

  • いりゅううう!!(ホラー)
  • いりゅううう!!(セクシー&ギャグ)
  • 要らぬ!!
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