ホラー……が、好き、なので……ゾンビを……愛でたいと……思います 作:寿限夢
※誤字脱字報告ありがとうございます!
「……か~ごめ、かごめ。か~ごのな~かのと~り~は~……♪」
猪との初戦闘からしばらく。
紫乃は順調に目的地へと進んでいた。
道中、一・二度モンスターが現れ、通せんぼされたりしたが、どれも一撃で倒せたので、途中から慣れた。
「……い~つ~、い~つ~……【ダークボール】」
今もまた、歌を歌いながら、ついでのように魔法を放ち、道の先にいた狼型のモンスターの頭を一撃で吹き飛ばしていた。
『スキル【闇魔法Ⅰ】が【闇魔法Ⅱ】に上がりました。レベルが7に上がりました』
「あ……レベル、上がった……」
レベルアップと同時に【闇魔法Ⅰ】も【闇魔法Ⅱ】になり、新しい魔法【ダークウォール】も手に入れた。
闇属性の壁を生み、相手の攻撃を防ぐ魔法だが、紫乃はあまり関心がなかった。
「そ、そろそろ……着かない、かな……?」
残念ながら紫乃の頭の中は、ゾンビでいっぱいだった。ただでさえ足が遅いのに、途中途中で邪魔が入るのだ。
早くゾンビに会いたい。紫乃の焦燥は募るばかりであった。
《……もういっそ、貯めてあるポイント、全部AGIに振ってーー》
「あっ……!」
そんな割りと早まったことを考えていた紫乃だが、道の先にあるものを見つけ、思わず声をあげた。
なだらかな丘の上、その向こうに、木が鬱蒼と繁った森が見える。目的地だ。
「……!」
ようやく目的地が見えた紫乃は、一も二もなく走り出した。と言ってかなり遅い。けれども、懸命に足を動かす。
「……【ダークボール】!」
途中、また狼が現れたが、今度は走りながらろくすっぽ見ずに魔法を放ち、また吹き飛ばした。狼は死んだ。ここにきて妙に
そして、遂に目的地にたどり着いた。
「わぁ……!」
目を輝かせた紫乃の眼前に、鬱蒼と繁る暗い森が広がっている。
先が見えない暗い森、あの動画にあった通りの場所だ。
「ここに……!」
期待に胸を踊らせた紫乃が、ゆっくりと森の中へと歩いてゆく。
森の中は絡み合った枝が空を塞ぎ、元より暗い道を、より一層暗くしている。
風に揺れた木の葉が、ざぁざぁと揺れている。
ザッ……、
程なくして、少し広い場所に出た。
枝の隙間から、赤い月が顔を覗かせている。
そして、その月明かりの下に、
「あっ……」
全身が傷だらけで、黒ずんだ血で汚れた服を纏ったそれは、フラフラと不自然な動きで、辺りを徘徊している。
白濁した虚ろな瞳を光らせ、不気味なうめき声をあげる、生きた屍。
ゾンビ――紫乃が求めた、それそのものであった。
「いた……!」
ようやく目的のゾンビを見つけ、紫乃は歓喜の声をあげた。
前髪の隙間から赤い瞳を覗かせ、キラキラと輝かせる。
そんな紫乃の頭上に、不気味な緑の炎が上がった。
「あっ……!」
宙に浮かぶ緑の炎は、人魂型のモンスターだった。
それも一体や二体ではない。
赤、青、紫と様々な色合いをした人魂が、気付けばアチコチに浮かんでいた。
中には髑髏の顔をしたものもおり、歯をカチカチと鳴らしながら、暗い森を仄かに照らしている。
そして、その明かりにつられるように、白い骨を覗かせたスケルトンが森の奥から、ガシャガシャと骨を鳴らしながら姿を現した。
「わぁ……!」
スケルトンたちは、手に持った武器を引きずりながら、森の中を徘徊している。
手に持つ武器は剣や槍、それに斧など実に様々だ。
頭蓋が割れたものや、片腕がないものなどもいる。
歩くたびに骨がガシャガシャと音を鳴らす様は、まるで楽器を奏でるかのようだ。
よく見ればスケルトンの他に、色々な種類の死霊・ゾンビなどもいる。
気が付けば紫乃の周りは、蠢く亡者に囲まれていた。
「すごい……ゾンビが……いっぱい……!」
まるで地獄の釜の蓋を開いたかのような光景に、しかし紫乃はより一層、瞳をキラキラとさせた。
「テ、テーマパークみたい……!」
ホラー嫌いな人が卒倒するだろう光景でも、紫乃にとっては最高のエンターテイメントであった。
人魂の明かりをイルミネーション、スケルトンの骨の鳴る音は伴奏、ゾンビのうなり声を歌に見立てたそれは、さながら某ランドのエレクトリカ●パレードか。
なお、彷徨う死霊はパレードの踊り子である。
「ゆ、夢みたい……」
夢は夢でも悪夢だろうその光景に、紫乃はうっとりとした声で頬を染めた。
視線は森の中に釘付けとなっていた。
……それゆえ、気付けなかった。
自身の背後に迫る、その存在に。
「えっ――?」
突如、背後から押され、気が付けば紫乃は、地面に仰向けに倒れていた。
仰向けになった紫乃の上に覆いかぶさる影。
それは、一体のゾンビ。
いつの間にか紫乃の背後に、回り込んでいたのだ。
「あっ……」
仰向けになった紫乃に、覆いかぶさったゾンビが襲いかかった。
この距離では、AGIもSTAも0の紫乃では、到底振りほどけない。かといって、唯一頼みの魔法でも間に合わない。
まさに絶対絶命。
歯を剥き出しにして、ゾンビは、紫乃の白く細い首筋に食らい付かんとする。
「……」
その光景を見て、紫乃は――
「……いいよ」
抵抗するでもなく、ゾンビに手を伸ばした。
「……私を、食べたいん……でしょ? ……いいよ? おいで……」
伸ばした手でそっと、紫乃は優しくゾンビの頬を撫でる。
潤んだ瞳で頬を紅潮させ、荒く息を吐くその様は、さながら花の蜜で虫を誘う、食虫植物か。
……あるいは、
「さぁ……」
男を誘い惑わす、妖しい
「あ……っ!」
まるで誘われるように、ゾンビはその牙を、紫乃の首筋に思い切り突き立てた。
紫乃の柔らかな首筋を、ゾンビの牙が蹂躙する。
「あ……んっ」
その痛みに耐えるように紫乃が腕を伸ばし、ゾンビの首を抱きしめた。
ゾンビが動くたび、紫乃の口から吐息がこぼれる。
めくれ上がったスカートの裾から、華奢な太ももが露わになった。
「あ……はっ」
こぼれる吐息と共に、紫乃のHPを示すゲージが、徐々に少なくなっていく。一息では死なない。
すると、まるで街灯に集まる蛾のように、近くにいたアンデッドたちが、紫乃の周りに集まってきた。
いくつもの死者たちの命なき眼が、紫乃ひとりに注がれる。そして、それに気付いた紫乃が囁く。
「……いいよ、みんな、来て……?」
その言葉を皮切りに、すべてのアンデッドが一斉に紫乃に群がり、紫乃のHPを瞬く間に全損させた。
そうして、全損した紫乃は、再び森の入り口に戻ってきていた。
「フフッ……すごかった……」
戻ってきた紫乃は、恍惚の笑みを浮かべていた。
目をトロンッとさせ、艶やかな唇から、甘い吐息をこぼす。
「ゾ、ゾンビ映画の……主人公みたい……」
まるでホラー映画の主人公になったようなあの体験は、紫乃の心をがっしりと鷲掴みにしていた。
「も、もう一回……」
そう言って紫乃は、また再び森の奥へと入って行った。
そして、今度は自分からゾンビに抱きつき、またHPを全損し、また森の入り口に戻ってきた。
「も、もっと……」
そうして、また森の奥へと入って行く。
その後も、紫乃は死んでは森へ入り、死んでは森に入りを繰り返した。
途中、何度か猪や狼など、アンデッド以外のモンスターに
そうして繰り返すことに数回。抱きつくにつれコツを覚えたのか、紫乃は喰われずして抱きつく術を手にした。
そう――
背中から、抱きつくことである。
「えへ……おんぶ……♡」
時々落ちそうになるのを、白く細い太ももでゾンビを挟み込むことでカバーする。
色々とやって観察してみた結果、どうやらこのゾンビたち、
正面にいる敵などには反応するが、背後、それも自身の背中に引っ付くよう存在には、対処出来ないでいようであった。
「あ……今、びくってした……♡」
背中から回された紫乃の手が、ゾンビの胸板や腹部を撫で回す。
触れる箇所により、ゾンビが反応することに気付いた紫乃は、妖艶な笑みを浮かべ、反応する箇所とそうでない箇所を調べ、交互に撫でたり,擦ったりしていた。
結果、どうやら乳首が一番反応するらしい。
「フフッ……びくびくしてる……かわいい♡」
ゾンビの弱点? 見つけた紫乃は、大層ご満悦だ。
嗜虐的な笑みを浮かべながらゾンビの弱点を、指先でこねたり引っ張ったりしている。
「こっち……は……どう、かな……?」
興が乗った紫乃は、今度は標的を、胸から上に変更した。
要するに頭だ。
落ちないよう気をつけながら、ゾンビの体をよじ登っていく。
「フフッ……すっごく……おっきい……♡」
ゾンビの上からの景色に、紫乃は熱い吐息をこぼした。
猫背だが、ゾンビの身長は優に180以上。
身長が132センチの紫乃にとっては、かなり大きい。
「それじゃあ……♡」
襟首に指を掛けた紫乃が、ゾンビの頭部へとゆっくりと顔を近づける。
そして――
「あ~……むっ♡」
後ろからゾンビの耳を、甘噛みした。
と、その時。
『スキル【
「ふぁれ……?」
何故か、スキルを取得した。
あと、ゾンビはものすごくびくびくしていた。
※この物語の主人公・紫乃は、リアルではJSです。
故に、彼女にそういったいやらしい他意はなく、上記の行為は、あくまで愛情表現の一種としてナチュラルに行っております。
他意はない。いいね?
あと、6時にもう一話追加します!
サービス回……いる?
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いりゅううう!!(ホラー)
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いりゅううう!!(セクシー&ギャグ)
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要らぬ!!