ホラー……が、好き、なので……ゾンビを……愛でたいと……思います   作:寿限夢

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 何とかギリギリ書けました!
 シリアス戦闘ってムズい……エロとかホラーとかグロのが楽なんだけど……(゜ω゜)


 ※誤字脱字報告ありがとうございます!


ホラー少女と大苦戦

 紫乃が【NewWorld Online】をプレイし始めて、今日で三日目。

 紫乃は今日もログインしていた。

 

「今日は……何がある……かな……♪」

 

 ログインして早々、紫乃は歌い出しそうに上機嫌である。

 ゾンビに引き続き、今度は亡霊(ゴースト)。なら、次はなにが出るのかなと、期待に胸を膨らませるのと同時に、新しく出せるようになった亡霊を速く試したくて、学校からお勤め(・・・)が終わるまでずっと、うずうずしていたのだ。

 

「それじゃあ……今日も……森、に……♪」

 

 早速試すべく、いつものように町の外へと向かう。

 と、その時。紫乃の後ろから、可愛らしい少女の声が響いた。

 

「私……まだ初期装備のままだ!」

 

「……?」

 

 歩き始めてすぐ後ろから聞こえたので、紫乃は何かなと思い振り向く。

 見れば、そこに初心者らしき黒髪の少女がいた。

 手に持った大きな盾から察するに、大盾使いだろうか。

 

 

「装備……あ、そういえば……私も……」

 

 少女の装飾の一切施されていない盾と、腰に付けた短剣を見て、紫乃がポツリと呟く。

 よく考えて見れば自身も、初期装備のままである。

 

「買った方が……いい……のかな……?」

 

 紫乃はその場で立ち止まりながら考える。

 幸い、資金は潤沢にある。

 北の森でのゾンビたちによる圧倒的人海戦術、もといローラー作戦により、資金がだいぶ貯まっているのだ。

 

「……でも……特に困って……ないし……」

 

 だが、先にも述べた通り、紫乃の主な攻撃手段は【死霊術】により大量召喚したゾンビによる物量攻撃。

 物理攻撃が効きにくいゴーストなどは魔法で対応しているが、それも高めのINT値による攻撃力でゴリ押し出来るため、現状あまり装備などに必要性を感じられない。

 

「……今は……まだ、いい……かな……?」

 

 とりあえず今は保留にして、また後ほど考えることにした。

 なんとなくもう一度振り返ってみれば、黒髪の少女は何処にもおらず、すでにどこかへ移動したようだった。

 

「……あ、でも……回復……アイテムとかは……ちょっと見よう、かな……」

 

 そう思い立った紫乃は、道中、町のショップでHP回復用とMP回復用のポーションをまとめ買いして、また北の森へと向かった。

 

 

 

 

 ――この時、何気なくしたこの買い物が、後に自身の身を助けることになるとは、この時の紫乃は、知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

「……トントン お寺の 道成寺~♪……♪

 

 北の森の中をゾンビたちを引き連れて進んで行く。

 紫乃は相変わらず、ゾンビの肩の上だ。

 道中見かけたモンスターたちをゾンビたちが襲い、次から次へと経験値にしていく。そのおかげで森に入ってしばらくして、紫乃のレベルは16にまで上がっていた。

 

「……釣鐘(つりがね)下ろいて 身を隠し……♪

 

 のんびりと紫乃が歌を歌いながら歩いていると、辺りが霧に覆われ始めたことに気付いた。

 鬱蒼としていた森の木も、次第に枯れ木が目立ち始める。

 

 そうして歩くこと、さらに十分。

 

「……安珍清姫 (じゃ)に化けて♪……七重(ななよ)に巻かれて ひとまわり……♪ ひとまわり……♪

 

 霧を抜けた先に、小さな廃村が広がっているのを見つけた。

 

「わぁ……♡」

 

 いかにもホラーなシチュエーションに、紫乃がうっとりとした声を上げた。

 奥へと進んでいくと廃屋や地面の下からゾンビやスケルトン、ゴーストなどが現れ、一斉に襲いかかってくる。

 

「【ダークボール】……」

 

 向かってくるゾンビやスケルトンを自前のゾンビたちに任せ、紫乃は魔法でゴーストを迎撃していく。

 しかし、ゴーストたちが素早く数が多いので、対処が難しい。

 

「【呪い】……」

 

 ならばと紫乃は、昨日覚えたばかりのスキル【呪い】を使い、ゾンビたちの動きを封じていく。

 紫乃の背後から現れた十体の白い髑髏の亡霊が、ゴーストたちを捕らえ、AGIを奪う。

 そして、吸収したAGIをMPへと変換した紫乃が、捕らえられたゴーストを一体、また一体と魔法で撃ち落とし、撃墜していく。

 ゴーストたちのAGIはそれなりに高いため、紫乃のMP消費はほとんど0。ある意味永久機関である。

 

『スキル闇魔法Ⅱが闇魔法Ⅲに上がりました』

 

 闇魔法のスキルレベルが上がり、新たに【ダークジャベリン】なる魔法を会得した。

 闇色の槍を投擲するスキルで、MP消費が【ダークボール】より多い分、威力が高いスキルである。

 

「【ダークジャベリン】……」

 

 早速試しとばかりに使ってみる。紫乃の左手に、闇色の暗い槍が生まれた。

 手に取って適当な敵ゾンビに投げつけてみれば、槍がゾンビの空いた口から貫通して、股下まで串刺しにした。

 

「……良い♡」

 

 串刺しのままピクピクと痙攣するゾンビを見て、紫乃が満足気な吐息を漏らす。

 そこから先はゴーストを対処しつつ、ゾンビも串刺しにしていく。

 

「……トントン お寺の 道成寺……♪ 六十二段の(きざはし)を……♪ 上がり詰めたら仁王さん……♪ 左は唐銅(からかね) 手水鉢(ちょうずばち) 手水鉢……♪

 

 ゾンビやゴーストたちを相手取りながら、紫乃は奥へ奥へと進んでいく。

 途中、ゴーストが一斉に現れたり、ゾンビが一斉に地面から奇襲を仕掛けて来るなどもあったが、【死霊術】によるゾンビの物量。亡霊によるAGI低下と、それに伴うMP回復による【ダークジャベリン】の連続投擲により、紫乃は特に苦戦することなく、あっさり撃退した。

 そして遂に。紫乃は村の最深部に鎮座する、古びた教会へと到達した。

 

「開けて……」

 

 紫乃の指令に従い、ゾンビたちが教会の扉を開ける。

 ギィィ……と、油の切れた嫌な音を発して扉が開けば、中の様子が明らかになる。

 ひび割れたステンドグラス。

 壊れた長椅子。

 部屋の奥には、巨大なパイプオルガンがある。

 紫乃がゾンビたちを引き連れたまま中に入る。

 それと同時に、入ってきた扉が音を立て、勢いよく閉まる。

 

「……わぁ♡」

 

 中々ホラーなシチュエーションに、紫乃の頬が自然と緩む。

 その耳に、女のすすり泣く声が聞こえてくる。

 

『う、うううっ……う……』

 

 声のする方を見れば、いつの間にかパイプオルガンの前に、髪の長い女が蹲っていた。

 黒い、喪服のようなドレスを着た女だ。

 女は両手で顔を覆ったまま、すすり泣くような声を上げている。

 

『う、ううううっ……』

 

 女の泣く声にゾンビが反応し、女へと近づいていく。

 女がゆっくりと顔をあげる。

 白く、整った女の顔が露になった。

 

 そして――

 

 

 

 

『――――ッ』

 

 

 女が黒い涙を流しながら、この世の物とは思えない大質量を持った悲鳴をあげた。

 

「ッ……う、ぁ……!」

 

 あまりの絶叫に紫乃は耳を押さえ、その場に蹲った。紫乃のHPが僅かに減少していく。そして、それは紫乃のゾンビたちも同じ……いや。

 

 

 

 それ以上だった。

 

「あっ……!」

 

 召喚したゾンビたちが次々に倒れ、光の粒子となって消滅していく。女に近かった順にだ。どうやらあの声は、近くにいた相手ほどダメージが通るらしい。

 

 

 女が、息を吸い込む。

 

「ッ……【ダークウォール】……!」

 

 攻撃の意思を察知し、紫乃は咄嗟に闇の壁を展開した。

 女のつんざくような悲鳴が襲いかかる。

 耳を塞いでいても鼓膜を破かんとする絶叫に、無事だったゾンビたちが倒れ、光の粒子となって消えていく。

 

「……ッ【ダークジャベリン】……!」

 

 女の悲鳴が終わるのと同時に、紫乃が闇の槍を出現させ投擲する。

 女の右肩に槍が突き刺さる。

 しかし、女のHPはわずかしか削れない。

 

『――――ッ』

 

「う、ぁ……っ……!」

 

 すかさず女の悲鳴が紫乃に襲いかかるが、即座に後ろへと倒れるように退ったため、先ほどよりダメージはなかった。

 しかし、紫乃のステータスはMPとINTの二極振り。

 最初から15しかなかったHPは、最初の一撃で3。今の一撃で2減っている。

 ほとんど近づいていなくてもこのダメージだ。

 直撃を受ければ即死は免れない。

 

「……【死霊術】……!」

 

 紫乃は【死霊術】を使い、失ったゾンビの補充をする。闇魔法が通じない以上、紫乃に残された攻撃方法は、ゾンビしかない。

 しかし、

 

 

『――――ッ』

 

 

 女の悲鳴ひとつでゾンビのHPはほとんど削られ、瞬く間に消滅してしまう。召喚したばかりのゾンビですら、かろうじて生き残る程度だ。

 接近しなければゾンビは攻撃が出来ない。だが、接近すればするほどに、悲鳴による攻撃力は高くなる。

 遠距離攻撃(闇魔法)もダメ、近接攻撃(ゾンビ)もダメ。

 八方塞がりである。

 唯一の救いは、女がその場から動かないことと、攻撃が悲鳴なだけくらいだ。

 

「……どう、しよう……何か……ない、かな……?」

 

 紫乃は回復用ポーションを飲みながら、インベントリを漁った。

 何か、現状を打破する方法はないか。

 アレでもないコレでもないと、散発的に放たれる悲鳴を【ダークウォール】で耐えながらアイテムを漁るが、町で買ったポーション以外は全て、ゾンビやスケルトンなどのドロップ品であった。

 

『――――ッ』

 

「ぅ、あっ……!」

 

 インベントリを漁っていた紫乃の耳に、女のつんざくような悲鳴が叩き込まれる。

 【ダークウォール】でガードしていても、鼓膜が破けそうだ。

 思わず耳を押さえようとした紫乃の手が、インベントリを表示していたパネルにぶつかる。

 パネルの表示が変わり、別の画面へと切り替わった。

 

 

 

 

「あっ……」

 

 

 

 ――そして、そこに表示されたものを見て、紫乃の視線は固まった。

 

 一瞬にして頭の中に、勝利への道筋が形成される。

 

「これ、なら……!」

 

 紫乃は急いでパネルを操作し、必要なアイテムをインベントリから取り出した。

 

 

 女が、深く息を吸い込む。

 

 

 それよりも速く紫乃は【ダークウォール】を展開し、自身の身を守った。

 

『――――ッ』

 

「……ッ!」

 

 女の悲鳴に、頭が割れそうになる。

 紫乃は鼓膜が破けそうになるのを耐えながらパネルを操作し、女の悲鳴が終わるのを待つ。

 

『――――ッ……』

 

 そして、悲鳴が終わった。

 紫乃は【ダークウォール】の陰から女に杖を向け、

 

「……【呪い】……!」

 

 十体の白い髑髏の亡霊を、解き放った。




 やばい……書き溜めがお亡くなりしそう……
 でも、せっかくいい流れなのだし途切れさせたくないので、頑張って出来る限り連日投稿します。
 文豪の皆、おらに速筆を!

サービス回……いる?

  • いりゅううう!!(ホラー)
  • いりゅううう!!(セクシー&ギャグ)
  • 要らぬ!!
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